記念艦三笠でゲームプレイ!Steam Deckの操作感や活用方法を考えつつ、屋外でも使ってみた
ASCII.jp / 2022年10月25日 11時0分
近年、3D処理もこなせるようになったCPUが登場したことでゲーム用途を前提にした「ハンドヘルドPC」の市場が賑わいを見せ始めている。
そんな中でソフトウェアプラットフォームの「Steam」で知られるValve社がAMDのZen 2/RDNA 2のカスタムAPUを搭載した「Steam Deck」を発売。普段デスクトップやラップトップで遊んでいたようなゲームが手軽に持ち運んでプレイできるということもあり、大きな注目を集めている。
そんなSteam Deckだが、すでにASCII.jpでは分解して解説&Windowsの導入方法紹介した記事やベンチマークテストをした記事が掲載されているので詳細についてはそちらを見てほしい。
とりあえず実際にゲームを遊んでみるぜ!
ここからは筆者がSteam Deckで実際にゲームを遊んでみたときの印象をつらつらと述べていきたいと思う。
まず、携帯ゲーム機として実際に手に持ったときの印象だが、これは決して悪くないと言っていいだろう。重量に関しては公称値669gとなっているが、実際に計測してみたところ673gとまぁ誤差の範囲。
手に持って10分や20分ゲームを遊ぶんにはいいが、1時間くらい遊んでいると結構腕が疲れてくる。まぁ本体が大きめな分、手に持ちやすく力を入れずに把持し続けられるので、手のひらや指にはほとんど負担がこないので遊びやすいのは確かだ。
ゲーマーとして気になるであろうサムスティックも見ていこう。スティックの頂点部はラバー素材で覆われ本体から約1cmほどの高さがある。指の接地面は少しだけ凹みがあり、その外周のラバーは細かい凹凸が設けられていて滑り止めの役割を果たしている。
気になるスティックの硬さだが、PlayStation 4のコントローラーと同等くらいで、操作のしやすさは上々と言えるだろう。
続いては十字形ボタン。左サムスティックの横に取り付けられていて、いわゆる"モンハン持ち"が可能な形状。ボタン入力のしやすさについては、格闘ゲームを遊んでいてもコマンドミスが生じることもなく、しっかりと設定されていると感じた。
実際に「ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル」を数時間遊んでみたのだが、ハンドヘルドPCにありがちな「斜めに入んねぇ!」ということもなく快適。あえて操作感の近いものを出すならば、Xbox Oneのコントローラーの十字形ボタンだろうか。
A・B・X・Yボタンは右サムスティックの横に配置されていて、Xbox Oneのコントローラーに近い押し具合。特に硬いということも、微妙に隙間があって押下時にブレるということもなく連打も問題なし。
ボタンサイズはNintendo Switchより大きく、Xbox One・PlayStation 4よりも小さいという中間くらい。結論として操作性は申し分なしといったところだ。
左右にあるトラックパッドについてはマウス入力の代わりとして利用することができる。こちらはFPSやTPSといったタイトルで使用するには若干の慣れが必要で、最初は思うように操作できないだろう。だが、半日も使っていれば特に問題なく使えるようになるはずだ。
ただ、注意点として右サムスティックを操作しているときに親指の付け根が触れてしまい、誤操作をすることがある。なので、ゲームを遊ぶときにトラックパッドを使用しないのであれば、無効化しておくことを強くオススメしておきたい。
L1・L2・R1・R2といったSteam Deckの上部に取り付けられたボタンはあまり力を入れずに押し込むことができるのでどんなタイプのゲームでも特に困らず使うことができるだろう。
トリガー部の操作感についてはストロークは浅めで、感覚的にPlay Station 4のコントローラーに近い印象を受けた。
背面にはさらにR4・R5・L4・L5といったボタンが配置されている。なぜこんな場所にボタンがあるかというと、サムスティックを操作しながら十字形ボタンやABXYボタンを同時に押すのが難しい場合に使ったりすることが想定されているからだ。
特にFPSでは右サムスティックで視点を操作しながらAボタンのジャンプを押すというのが難しいのだが、背面のボタンにジャンプを割り当てておけば同時に使用できるといったスグレモノ。他にもゲームによっては同時押しのボタンを割り当てたりと、使い方は工夫次第。
ボタンは意識して入力しないと反応しないくらい硬めだが、Steam Deck本体を握り込んだときに誤操作しないためこうなったのだろう。
ディスプレイは。最大解像度は1280×800ドットでアスペクト比が16:10のIPS7インチタッチスクリーンを採用している。画面タッチでSteamのライブラリからの選択やゲーム起動などは、直感的に行うことが可能だ。
ディスプレイリフレッシュレートは60Hzと控えめではあるが、携帯ゲーム機ということを考えれば十分だろう。
バッテリーについてはやや難ありというのが正直なところだ。特に3Dのゲームを遊んでいるとほとんどが1時間30分~2時間ほどしか持たず、バッテリーの残量が気になりゲームに集中することができなかった。
一応Steam Deckが60fps動作しているのを30fpsに制限をかけることで、バッテリー消費を抑えるといった小ワザはあるのだが、ヌルヌルとした描画で楽しみたい人には割りと辛いものがある。
2Dのゲームはどうか? というと、こちらは負荷が少ないため3~6時間くらいは持つタイトルが多い印象だ。
ゲームの続きのプレイやリプレイ動画視聴で活躍!
Steam Deackはどんな活用方法があるかを考えると自宅外の出先やその移動中に利用するというのが答えだろう。
「あのゲームもうちょっと進めたいけど、これから外に出なきゃだし無理だなぁ」なんて状況になってもSteam Deckさえあればバスや電車での移動時間はもちろん、コインランドリーの待ち時間などを有効活用し、どっぷりとゲーミングライフを満喫することができるだろう。
また、ゲーマーが集っての飲みの席で使うなんていうのもアリだ。よくゲーマーが飲みに行ったとき「〇〇って△△じゃないかと思うんだけど?」「いや、それ通るの? 無理じゃない?」みたいな会話になることがある。そんなときにSteam Deckがあれば、その場で検証したりということが可能になり、コミュニケーションも円滑になると言えなくもない。
上記以外ではどんなケースが良いか? と考えたところ、リプレイシステムが搭載された格闘ゲームを遊んでいるプレイヤー、特にプロゲーマーであれば間違いなく本機は役立つだろう。
例えば「ストリートファイターV」はリプレイシステムが搭載されているので本機を使えば有名なプロゲーマーの試合を出先で手軽にどこでも視聴することができる。
これは一般プレイヤーが上達するためだけでなく、国内外を転戦することが多いプロゲーマーにも大きな恩恵がある。トーナメントで次戦への待ち時間に、次の対戦相手となるプレイヤーのリプレイを視聴して対策を練るといったことができるようになるのは大きいメリットとなるだろう。
リプレイ機能が無いゲームでもトレーニングモードで、技の硬直時間を表すフレームを調べたりといったことが手軽に出来るので、格闘ゲーマーにとってSteam Deckは親和性の高いデバイスと言えなくもない。
ハンドヘルドゲーミングPCともなれば自宅外での使用ばかりに目が行きがちだが、もちろん屋内での運用も問題なくできる。例えばゲーミングPCを家族の誰かが触っていたり、動画のエンコード中でなにも出来ないといった場合がそうだろう。
そんなときにSteam Deckがあれば多少の環境の差はあれど、プレイしたかったゲームを遊ぶことができるのは嬉しい。
個人的に体調が悪く数日ダウンしていたとき、寝続けるのもシンドいといった状況でよくある「ゲームしたいけどPCの前に座るほど気力がない……」といった状況でSteam Deckが手元にあったのが幸いし、変な言い方だが快適に過ごすことができた。
やっぱり外に持ち出してゲームでしょ! てなわけで横須賀に行ってまいりました!!
Steamのゲームが持ち運びできるハンドヘルドゲーミングPCってことなら、やっぱり外に持ち出して遊んでみるしかないぜ! ってことで、京浜急行電鉄に乗って横須賀中央駅へ降り立ち行動開始。
今回の目的地は三笠公園に鎮座している『記念艦三笠』。なぜここを訪れてみたのかというと、筆者はWargaming.netが提供するオンライン海戦アクションゲームの「World of Warships」の大ファンで、戦艦三笠には何度も何度もお世話になっているため、実物を見てみたいと思い訪れた次第だ。
この撮影をした日は10月も半ばではあったのだが、日中は気温が高く結構汗だくというかヘトヘトに。やっぱ家でばっかゲームしてると体力が落ちるよなぁなんて思いながらも三笠公園でおもむろにWorld of Warshipsをプレイしながら休憩。
記念艦三笠は入場料を支払うことで乗艦できる。金額も全然高くないので早速乗艦してみたのだが、World of Warshipsのワンマッチが長いので主砲の下でベンチに座りながらプレイ。
船に乗ったら行きたいところNo.1とも言える船首でもプレイ。現在三笠は地上に設置してあるのだが、ゲームを通じて擬似的にそれっぽい雰囲気を楽しむことも可能だ。
最後は東郷平八郎提督が立っていた艦橋へと向かう。戦艦の艦橋を肌で感じながら遊ぶWorld of Warshipsは一味も二味も違うスペシャルな体験。快適に遊べるのもSteam Deckがあるからだと言っても過言ではない。
といった感じでゲームを遊んでいたわけだが、バッテリーが尽きそうということで下船することに。
ちなみに艦内にはHTC VIVEを使用した艦隊戦の臨場感が味わえるVRや、バルチック艦隊との戦闘を体験プレイできるゲームなどのアトラクションもある。盛り沢山な展示物も興味深いものが多くあり、かなり濃ゆい体験をさせて頂きました。
以上、Valve社の手掛けるハンドヘルドゲーミングPCのSteam Deckを見てきた。Steamのゲームを持ち運びでき、通信環境さえあれば遊べてしまうお手軽感はとてもいい。
ただ、3Dのゲームを遊ぶときはバッテリーの消費が激しく、長時間遊ぶには給電できる環境を整える必要がある。ゲーム側の描画設定を軽くしたり、Steam Deck側の設定を調整することでバッテリーの消費を多少抑えられるが、それをするくらいなら給電する手段を用意したほうがいいだろう。
本当にバッテリーの持ちがやや微妙というのだけが気になるポイントなのだが、そういった点も気にならないという人であれば、本機は購入に値する製品だと断言していいだろう。
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