コスパを突き詰めた1万円台のスマホ、aiwa「JA2-SMP0601」の実力を探る!
ASCII.jp / 2022年10月29日 12時0分
オーディオメーカーとして手ごろな価格のモデルを展開しながら、惜しまれつつも市場から撤退した「アイワ」のブランドがスマートフォンで復活した。中国で数々のIT製品の開発や製造を請け負うJENESIS株式会社が「aiwa」のブランド使用権を獲得し、aiwaデジタルシリーズとして今年9月からスマートフォンやタブレットを販売している。今回は同社初となるスマートフォン「JA2-SMP0601」をレビューしよう。
aiwaブランド初のスマホは割り切りエントリー向け
JENESISは数々の日本のスタートアップ企業の製品を製造してきた実績のある企業で、中国・深センには自社工場を持つ。JA2-SMP0601もJENESISが自社で開発し、製造した製品だ。最大の特徴はコストパフォーマンスに優れている点で、5G非対応ながら1万6800円(税込)という低価格を実現している(価格は記念価格)。もちろんその分スペックも抑えめだが、スマートフォンにはお金をかけず、必要最小限の機能があればいいと考える人に向いている製品だ。
JA2-SMP0601のディスプレーはサイズが6.5型(1600×720ドット)のIPS液晶、フロントカメラは800万画素で上部に水滴型ノッチ形状で埋め込まれている。チップセットは日本ではあまり採用されていないUNISOCのT310を搭載する。これはエントリーモデル向けのSoCだ。メモリーは2GB、ストレージも32GBと控え目。OSは低いスペックでも操作性を損なわないようにAndroid 12 Go Editionとなっている。
本体カラーはブラックとホワイトの2色。今回はホワイトをレビューする。背面の質感は悪くなく、価格から想像する安っぽさは感じられない。カメラの台座周りの造りもしっかりとした印象だ。
メインカメラは1300万画素で、200万画素のマクロも搭載。全体のスペックからターゲットとするユーザーはゲームや動画撮影を楽しむような層ではなく、SNSやチャットでのコミュニケーションや、ウェブブラウザーなどを適度に使うライトユーザーだ。
本体右側面には音量ボタンと電源ボタンを配置。指紋認証センサーは搭載されていない。これも価格を抑えるためだろう。より多くの機能を求めるのであれば、他社の上位モデルを選べばいいだろう。JA2-SMP0601はキャリアと契約しなくても2万円以下で買えるスマートフォンを目指して設計されているのだ。
本体左側面にはSIMカードスロットを搭載。4Gに関してはFDDがB1/B3/B5/B7/B8/B19/B28B、TDDがB34/B38/B39/B40/B41に対応。なお、VoLTEはドコモとソフトバンクで動作確認が取れているとのこと。SIMカードトレイはnanoSIM 2枚とmicroSDカード1枚を同時に使うことができる。
本体下部のUSB Type-C端子とスピーカー、本体上部の3.5mmヘッドフォン端子などはオーソドックスな配置である。なお、本体のサイズは約76.6×164.4×9.2mm、重さは約190g。防塵防水はIP52に対応で、防水性能がやや弱いが国内販売モデルだとRakuten miniなどと同等だ。
OSはAndroid 12 Go Editionを搭載
Android Go端末なのでプリインストールアプリも最小限になっている。GoogleアシスタントやギャラリーもGo版だ。簡単な独自UIを搭載したほうが使いやすいのかもしれないが、むしろ素のAndroidのままとすることで機種固有の独自操作を覚える必要もないので、ライトユーザーはLINEやメッセンジャーアプリをインストールすれば十分だろう。
ほかのスマホとの最大の違いが「MAMORIO」機能
独自アプリとしてはオンラインの取扱説明書が用意されている。最近のスマートフォンは説明書が付属しないが、使い方がわからなくなってもすぐにここから調べられる。また、aiwaデジタルの製品には紛失防止タグ「MAMORIO」の機能が搭載されている。実はMAMORIOの製造開発にはJENSISがかかわっており、自社スマートフォンに同機能を搭載しているのだ。
MAMORIOは駅などの遺失物センターにタグを検知するMAMORIO Spotの設置を進めており、万が一スマートフォンやタブレットを紛失しても駅に届けば通知してくれる。スマートフォンの本体スペック以外の部分で他社のスマートフォンに勝る、優れた機能と言えるだろう。
設定画面はごくごく普通であり、デュアルSIMの設定も他社製品と同様にできる。もちろん技適は取得済みだ。
実際にJA2-SMP0601を使ってみると、やはり低スペックゆえに画面のスクロールなどに若干もたつくこともある。価格が安いということを念頭におきつつ、スマートフォンというよりもSNSやメッセージ、ブラウザーなどを単体で使う端末、と考えて使うべきだろう。繰り返しになるがゲームをすることを考えて設計はされておらず、自動車でいえば大衆向けの軽自動車のような、割り切った使い方と価格を重視するユーザー向けの製品なのだ。
ベンチマークを計測してみるとAntutu v9は138164、Geekbench 5はシングルコア307、マルチコア617だった。スコア的には2~3年前のミドル機といったところだろうか。スマートフォンとしてあれもこれも使うという用途にはパワー不足だが、JA2-SMP0601の目指すところはそこではない。
カメラはエントリーなりの性能
低価格機と言えどもカメラの性能は気になるところだ。1300万画素の標準と200万画素マクロの2つのカメラで、どの程度の写真が撮れるのだろうか? まずカメラを使ってみて感じたのは、屋外だと液晶の表示が暗くなりがちで、撮影中の画面もやや暗く見えてしまう。「明るく写ったかな?」と心配してプレビューで写真を見るとしっかり明るく写っている、ということが何度かあった。このあたりはディスプレーのパネルのコストを下げた結果かもしれない。
また、HDR撮影でシャッターボタンを押して実際に撮影するまでに1秒弱の時間がかかる。これはCPUスペックに起因するものだろう。カメラを使っていてこの2つの点が特に気になった。
カメラのUIは倍率切替がないためシンプルだ。HDRのON/OFFがあるが、画質が低いのでなるべくONにしておいたほうがいいだろう。撮影モードにはマクロに加えてマクロ動画があるのが面白いところだ。サイズの切り替えは右上のアイコンをタップして設定から切り替える。ただ、よほどのことがない限り1300万画素以下にする必要はないだろう。動画も同様に設定から3つのサイズを切替できる。
以下、カメラの作例を紹介する。屋外ではそれほど悪くないものの、室内ではちょっと暗くなると色の表現が落ちてしまう。屋内撮影時はライトがあったほうがよさそうだ。
【まとめ】復活したaiwaの今後に期待したい
最近のスマートフォンと比べると性能はかなり低いものの、価格を抑えた割り切った設計というメーカーの意図がターゲット層にうまく届けば、それなりに受け入れられる製品だと感じた。イメージキャラクターがミュージシャン・俳優の石橋 凌氏であることからもどのような層に売ろうとしていることがよくわかる。
しかし、JENESISの藤岡淳一代表取締役社長はaiwaブランドを再び世界に広めるべく、音響性能やデザインにも注力していく考えだ。今回の製品は、まずはJENESISの究極の低コスト開発力を知らしめる製品とも言えるかもしれない。第2弾、第3弾のaiwaデジタル製スマートフォンにも期待したい。
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