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Polk Audioの50周年記念モデル「RESERVE R200AE」発表、国内150ペア限定

ASCII.jp / 2022年11月1日 17時0分

設置イメージ

 D&Mホールディングスは11月1日、Polk Audioの50周年記念モデル「R200AE」の国内販売を開始すると発表した。AEはアニバーサリーエディションの略。全世界1000ペアの限定生産で、国内向けには150ペアを確保しているという。価格は17万6000円(ペア)。

RESERVE R200のネットワーク回路をグレードアップ

 R200AEは、RESERVEシリーズのブックシェルフスピーカー「R200」(10万3400円)をベースにしている。ドライバーは同じだが、ネットワーク回路のパーツを大幅にグレードアップ。また、LEGENDなど上位のクラスでしか採用していない、突板仕上げの高品位な外観にした。表面はピアノフィニッシュとの中間的なポリウレタン塗装になっており、木目が見えない。結果、緻密な響きになるという。

一番右がR200AE

 入力端子もクロムメッキからゴールドメッキに変更し、背面には創業者のひとりマシュー・ポークのサイン入りシリアルプレートをあしらっている。

スピーカー端子もグレードアップ、限定モデルらしい豪華なプレート付き

 ネットワーク回路は、コイルを大型の空芯コイルにしている点が特徴。標準モデルでは、ラミネートコア入りのものを使用しているが、これをなくすことで、コアに起因する歪みを無視できるという。基本構成は変わらないというが、コイルとコイルの間の距離を広く取る必要があるため、基板はかなり大きくなっている。

右がR200AEのネットワーク回路、左がR200のもの

 コンデンサーも変更。標準モデルでは、ポリプロピレンフィルムコンデンサー、ポリエステルフィルムコンデンサー、ケミコンの3種類が用いられている。R200AEでは、ツィーター用は全てポリプロピレンフィルムコンデンサーに変え、ケミコンもポリエステルフィルムコンデンサーにするなどグレードアップした。セメント抵抗も大型化。容量は基本5Wだったが基本10Wにし、最大15Wのものも使用している。仕様上はここまでのスペックは必要ないが、大容量にすることで温度上昇が緩やかになり、温度に依存する抵抗値の変化の点で有利。パワーコンプレッション/サーマルコンプレッション(高域特性の変化)が起きにくくなるそうだ。

 このほか、結線する端子も金メッキとなっている

 ネットワーク回路の重量は430gから1350gと約3倍になった。製品も1kgほど重くなっている。標準モデルとR200AEの特性(データ)は変わらないが、これらの変更により音はグレードアップしているという。

よりHi-Fi的で自然な音質に

 R200/R200AEの比較試聴もできた。R200で聴く、キャンディス・スプリングスの「ブレイクダウン」は、シルキーな質感が感じられ、見通しのいい空間に抜けのいい声が浮き上がって魅力的だ。対するR200AEでは、音離れが良くなり、空間が広がる。声はややクールな質感で落ち着いた印象に。低域は締まってボア付き感が低減。明瞭度が上がる。全体に一皮むけたような、クリアさがあり、奥行きの深さはもちろんだが、定位が少し高い位置に上がったような解放感が出る。一言でいえば、非常にHi-Fi的で自然な再現だ。

 計測数値だけを観ると、R200とR200AEの間には差はないそうだが、聴感的にはS/N感が上がったような印象を持つ。測定データ上の差がないというのは不思議な気分だ。

 D&Mの澤田龍一氏によると、電解コンデンサーからフィルムコンデンサーになることで低音域の明瞭度が上がったという。また、R200/R200AEはツィーターの能率が高く、ウーファーと合わせるために抵抗で抑える必要があり、抵抗の容量を大きくすることの効果は大きいのだそうだ。

 Polk Audioは創業以来、高音質でも決して高価にならないコストパフォーマンスの良さを信条としてきたブランドであり、日本の10倍の規模を持つ北米スピーカー市場を中心に展開しているため、スケールメリットを出しやすいのも特徴だ。

RESERVEシリーズの特徴であるピナクルリングラジエーター。もともとLEGENDシリーズ用に開発したもので、40kHzに迫る高域の再現が可能。ソフトドーム素材だが、中心部と周辺部に凹凸を設け、超高域の再生時は全体ではなく中心部だけが動き、分割振動による歪みが発生しにくくしている。指向性を広げるため、中央にとがった樹脂のパーツ(Pinnacle)を置き、音を拡散させている。
ウーファー(タービンコーン)はこぶが付いた独特の形状だ。ポリプロピレンのコーン紙にインジェクション成形で風車上の凹凸をつけ強度を高め、薄い素材でありながら変形に強くしている。
「X-Port」は、Polk Audioの特許技術で、リアバスレフポートの中心に吸音材を入れたパイプを入れ、3方向から支える構造。エアフローを最適化するとともに、中域と高域の余計な共振を防ぐ効果がある。

 価格を超えた物量、重量にはある種の驚きがあるが、本質は大量生産ではない。技術を中心とした企業であり、学生でも手に入る良質な製品を届けたいという、創業時の思想が反映されている。Klippelアナライザーを始めとする最先端の機器を揃え、技術革新に励んでいるという。

 R200AEはこうしたPolk Audioの思想がよく反映された製品だ。サウンドバーを皮切りに2020年から日本市場へ再参入を果たしたブランドだが、昨年の6月、8月、11月と矢継ぎ早に投入した単品スピーカーの評判は上々。2022年8月にはB&W、DALIに続き、ブランド別シェア第3位になったという。

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