「気配を感じ見守れる」アトムテックの「ATOM Sensor V2」を衝動買い
ASCII.jp / 2022年11月3日 12時0分
一般販売に先駆けて、限定2000台を通常価格5980円より1000円安い4980円(別途送料700円)で販売するとのニュースを聞いて、速攻で申し込んだ。「ATOM」はご存じのようにウェブ経由の見守りカメラやそれらと連携する、センサー系のIoTデバイスなどを販売する横浜に本拠を置く、アトムテックの製品ブランドの総称だ。
このコラム「簡単な設定で“遠隔からの見守り”もできるATOM Sensorを衝動買い」でも、1年ほど前に同社の「ATOM Sensor」をご紹介した。ATOM Sensorも今回のATOM Sensor V2と同じく、開閉センサーやモーションセンサーを組み合わせた家庭やSOHO向けの見守り&監視センサーシステムだ。
初代のATOM Sensorと新しいATOM Sensor V2との最大の違いは、初代のATOM SensorはATOM Cam(ウェブカメラ)を中心としたシステム構成で、各センサーのハブになるUSB ATOMドングルをATOM Camの背中に挿すという風変わりだが、アイデア満載の筆者好みの外観だった。
一方、新しいATOM Sensor V2はATOMドングルを同梱のUSB/ACアダプター経由で、ACコンセントに直差しする構成のモノだ。機能的にはほぼ同じものだが、新しいATOM Sensor V2のATOMドングルや各センサーは、初代ATOM Sensorとの接続はできない。筆者のように両モデルのユーザーは、それぞれを別ドメインのシステムとして、同じアプリ上で使うことになる。
アトムテックの商品で、筆者が製品本体以上に常に一番感心することは、製品の梱包へのこだわりだ。今回も届いたパッケージを開くと小さなドングルやセンサー類、ACアダプター、クイックスタートガイドが乾燥剤とともにギッシリと小さな箱に、隙間や遊びがなく見事に収納されている。
今回のパッケージに収められている製品は、ATOMモーションセンサー、温湿度センサー、開閉センサー、ATOMドングル+USB/ACアダプター、取説の全部で6点。前述したようにATOMドングルは同梱のUSB/ACアダプター経由でACコンセントに直に挿す仕組みだ。
最大の特長は「ウェブカメラなしのセンサーだけ」という構成
今回のセンサーキットの最大の特長は、ウェブカメラを中心としたよく見かける構成ではなく、ウェブカメラなしのセンサーだけの構成であることだ。初代のATOM Sensorと製品別に比較するなら、ゲートウェイ機能を担うセンターシステムであるウェブカメラがなくなり、その代わりにATOM温湿度センサーが加わった構成となっている。
ATOM Sensor V2を活用するには、従来同様「ATOMスマートライフ」アプリのスマホへのダウンロード、インストール作業が必要だ。今回は筆者のメインスマホであるGalaxy Z Fold4に、導入設定した。今回掲載しているスクショ画面は、カバーディスプレイの縦長画面とメインディスプレイを開いた広い画面の両方を掲載している。
アプリのダウンロードや初期設定は従来同様なので、詳細は2021年9月のコラムを参照されたい。またパッケージに同梱されているクイックスタートガイドでは、設定の詳細が分かりにくいケースもあるので同社のウェブページにある「ATOM Sensor V2ユーザーマニュアル」をダウンロードし、参照するのも効果的だ。
設定操作は、まずゲートウェイ機能を持ち各センサーからの情報を、ルーター経由でインターネットに送り出す役目を担うATOMドングルの設定が、最初だ。ATOMドングルV2を同梱のUSB/ACアダプター経由ACコンセントに挿入し、スリセットボタンを3秒押す。あとはアプリの指示に従って進めば、大丈夫だ。
引き続きスマホ上のATOMスマートライフからデバイス追加を選択し、接続すべきWi-Fiルータを候補の中から選択すれば、ATOMドングルV2を発見して新しいセンサーとして追加してくれる。同様の手法で温湿度センサー、開閉センサー、ATOMモーションセンサーを順に追加導入すれば、設定作業はほぼ終了だ。
筆者の場合では、初期のATOM Sensorも今も現役として活用しているので、ATOM Sensorと新しいATOM Sensor V2の2種類が、アプリ上のリストに混載表示される形となってしまう。ぱっと見多少判別が厄介な感じもあるが、新しいSensor系の名称には最後に「V2」の文字が表示されるので、それほどの混乱はない。
アプリ上でATOMドングルを見ることで、現在ATOMドングルV2に接続されているV2系の全てのセンサー名と電波強度をチェックすることができる。現在のところATOMドングルと3つのセンサーは、同じフロアで直線距離にして8mほど離れているが、電波強度は3中の2という感じでデータの取りこぼしはなさそうだ。
指定した気温や湿度をトリガーとして活用可能
今回、新しく我が家のセンサーの仲間入りした温湿度センサーは、一辺4cmサイズの正方形のデバイスだ。前面の液晶画面の上半分に、現在温度と下半分に湿度が表示される。同データは、ほぼリアルタイムでスマホアプリ上にも反映される。アプリ上では、温度と湿度はタップすることで切り替えて表示を見る仕組みだ。もちろん温度と湿度の変化は、履歴として日、月、半年の期間指定でその推移を見ることもできる。
ATOM Sensor V2では、温湿度センサーの望ましい温度範囲や湿度範囲を快適ゾーンとして指定し、範囲を超えた場合にはその変化をトリガーとしてアラート表示、プッシュ通知で知らせてくれる。また高温警報をトリガーにして、連携指定した任意のATOM Cam(カメラ)で映像を録画して、メッセージセンターに保存することも可能だ。火災や熱中症の未然防止や事前察知にも有効だろう。
開閉センサーを活用すれば 「カメラを使わない」プライバシー配慮型の見守りが可能
開閉センサーの基本動作は、初期のモデルと同様だ。筆者は、初期モデルを昨年から両開きの冷蔵庫のドア部分に取り付けて、高齢者の見守りを想定してテストしているが、快調に動作している。今回のモデルも自宅や会社のドアの開け閉めをセンスして開閉の時刻のプロットを確実にやってくれるので、パーソナルから会社まで使途は多いだろう。
開閉センサーを自宅内のトイレのドアや玄関ドア、冷蔵庫などの複数箇所に取り付けることによって、カメラを使うことなく同時に見守られる人のプライバシーも尊重しながら、「気配を感じる」見守りシステムとして、高度に活用することが可能だ。
加えてモーションセンサーを併用すれば、より精度の高い見守り管理も可能となるだろう。検知範囲は水平方向は8m以内で120度、垂直方向は7m以内で50度というスペックなので十分だ。自宅の廊下などで、ペットの見守りなどに活用できる。
ペットのサイズにもよるが、天井に取り付ける以外なら設置する側壁の高さに、多少の配慮が必要かもしれない。床上20〜30cm辺りに設置すれば、人もペットにも問題なく対応できる配置だろう。開閉センサーと同じく履歴保管が可能だ。
モーションセンサーによる検知の履歴は、「動き」と「照明」の両面で運用管理が可能なので、実際の画像を見ることのできる見守りカメラに劣ることのない、細かな検知活動が可能だろう。
スマートスピーカーを活用し センサーの結果を音声で通知する仕組みを作成
さて最後になったが多くのウェブのP2P見守りカメラ系、センサー系のデバイスはスマートスピーカーと連携することで、より人間のレベルで相互のコミュニケーションが取れることが良い点だ。ATOM Sensor V2は、アマゾンのスマートスピーカーであるEchoと連携が可能だ。
まずはスマホに、ダウンロード&導入済のAmazon AlexaアプリにATOMのスキルを選択し、有効化する。あとはAlexaアプリで「定型アクション」を作るだけだ。定型アクションとは古来からある「風が吹けば桶屋が儲かる」にも通じるかもしれない。
開閉センサーV2を使った、簡単な「定型アクション」を作ってみた。設定項目は「定型アクションの名称」「実行条件」「時間指定」「アレクサのアクション」などの項目だ。実際には、今回のトリガーとなる「開閉センサー」が開いた場合や閉じた場合に、アレクサの取るべきアクションを指定するだけだ。
今回は「開閉センサーV2」が開いた時には、24時間365日筆者の寝室に設置してある「T教授のecho show」が、「T教授の部屋の開閉センサーV2が開きました」と話すように設定した。実際の動作は、開閉センサーと連携したecho showの発話動画を見て頂ければ一目瞭然だ。
ユーザーがAmazon Alexaの定型アクションを作ることで、センサーの動きを人が理解できる言葉に変えてくれる
今回の新製品である「ATOM Sensor V2」は、従来のようにデータ転送量の膨大なカメラ映像を前提に考えられた見守り、監視システムとは異なったものだ。開閉センサーや、温湿度センサー、モーションセンサーが送り出す極めて微小なデジタルデータを、インターネットを介して遠隔地にあるスマホで受け取り、現場の状況をアプリが見える化することでユーザーが現場に居なくても、その詳細を把握できる便利な商品だ。
超高速回線を基盤にしインターネットカメラを介した静止画や動画は、ビジュアル的には極めて満足度の高い印象はあるが、実際の現場の状況は各種センサーがタイムリーにレポートするデジタルデータの組み合わせ分析の方が、はるかに価値のあることも多い。
現在のセンサーの機能を十分活用すれば、高齢者や子供、ペットの見守りなどは簡単だ。例えば障子の向こうで咳をする見えない高齢者や子供やペットの歩く足音などでも、それが極めてタイムリーにレポートされるなら見守りには十分だ。今回のATOM Sensor V2は、筆者のライフワークでもある「気配を感じる」見守りに、1歩も2歩も近づいた秀作だ。
今回の衝動買い
・アイテム:アトムテック「ATOM Sensor V2」 ・購入:Amazon.co.jp ・価格:4980円(送料700円)※先着2000台特別価格
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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