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ゲームに特化した「Xperia 1 IV Gaming Edition」はゲーミングスマホと何が違うのか

ASCII.jp / 2022年11月3日 12時0分

 SIMフリー版「Xperia 1 IV」と、専用のゲーミングギア「Xperia Stream for Xperia 1 IV」をセットにした「Xperia 1 IV Gaming Edition」が、10月14日に発売された。専用のギアを装着することでゲームをどれだけ楽しみやすくなるのか、一般的なゲーミングスマートフォンとは何が違うのかを、実機から確認してみたい。

「Xperia 1 IV」はメモリーなどが強化もミリ波は削除

 まずはXperia 1 IV Gaming Editionの「Xperia 1 IV」について確認すると、SIMフリー版ではあるが基本的なデザインや性能はキャリア向けのものと大きく変わらない。ディスプレーはアスペクト比21:9で4K解像度、120Hz駆動の6.5型で、サイズは約71×165×8.2mm、重量は約187g。デザインもキャリアロゴがないことを除けば大きな違いはない。

Xperia 1 IV Gaming Editionの「Xperia 1 IV」はSIMフリー版。本来同梱されるXperia 1 IVはブラックなのだが、発売前に端末をお借りした都合上、同じSIMフリーモデルのアイスホワイトを使用している
背面から見たところ。キャリアロゴなどがない以外、やはりキャリア向けモデルと大きな違いはない

 Xperia 1 IV最大の特徴となっているカメラについても、メインカメラはいずれも約1220万画素のイメージセンサーを採用し、35mm判換算で16mm、24mm、そして85~125mmの可変望遠カメラという点は変わっていない。VLogの撮影やライブ配信などに活用できる「Videography Pro」が搭載されている点も共通だ。

カメラは35mm判換算で超広角の16mm、広角の24mm、そして85~125mmに可変する望遠カメラの3つ。こちらも他のXperia 1 IVと大きな違いはない

 搭載するチップセットも、クアルコム製のハイエンド向けとなる「Snapdragon 8 Gen 1」で、現行モデルでは最高クラスの性能を持つのでゲームプレイに不足はない。バッテリー容量も5000mAhと大きく、電源キーと一体型の指紋センサーを備えるほか、IPX5/IPX8の防水、IP6Xの防塵性能に対応、FeliCaも利用可能であるなど、やはり基本的な部分に大きな違いはないようだ。

ゲーム向けということでベンチマークも改めて確認。こちらは「Geekbench 5」のベンチマーク結果
こちらは「3DMark」(Wild Life Extreme)のベンチマーク結果

 一方で違いがある部分の1つがメモリとストレージだ。キャリア向けモデルはメモリーが12GB、ストレージが256GBだったのに対し、SIMフリー版モデルはメモリーが16GB、ストレージが512GBと強化がなされている。最大1TBまでのmicroSDを追加できる点は変わっていないことからストレージの充実度は高く、ゲームプレイに重点を置き性能を向上させている点はうれしい。

SIMフリー版はメモリーとストレージが増強されており、ストレージは標準で512GBの利用が可能だ

 ただスペックダウンしている点もあり、それがモバイル通信だ。SIMフリー版も物理SIMとeSIMのデュアルSIM仕様ではあるのだが、キャリア向けモデルと違って5Gのミリ波に対応していない。後述するXperia Stream for Xperia 1 IVのことを考慮すると、ゲームプレイにはモバイル通信より自宅などの固定回線を使用することを重視しているからだと思われるが、通信性能にこだわる人には残念なところだろう。

専用ギアはサイズが大きいが持ちやすい

 続いて「Xperia Stream for Xperia 1 IV」だが、こちらは単体では動作せず、Xperia 1 IVに装着して利用する機器となる。

 本体サイズを確認すると、横にした状態で約185×80×39mm、重量は約142g。Xperia 1 IVに合わせた設計なので幅と高さはXperia 1 IVに近いが、厚みがあり大きさもそれなりにある。

「Xperia Stream for Xperia 1 IV」の本体。中央に備わっているのが空冷用のファンで、手に触れる部分にはドット調の加工が施されている
本体を装着しない状態で前面から見たところ。右側にUSB Type-C端子が備わっていることがわかる
本体と並べてみたところ。Xperia 1 IV専用の設計ということもあってサイズ感は近い

 ただ、これだけの大きさとなっているのは、中央にファンを搭載していることや、横に持った状態で手になじみやすいデザインを考慮したためだろう。Xperia Stream for Xperia 1 IVを装着した状態で外に持ち出し、通常のスマートフォンのような使い方をするとは考えにくいので、そこまで大きさを意識する必要はないように思える。

実際に装着して「Tower of Fantasy(幻塔)」をプレイ。「原神」より重いとされているタイトルだけあって、グラフィック設定を最高水準にまで引き上げるとXperia 1 IVの性能でもフレーム落ちなどが起きる

 実際に装着する際は、まず本体の左部分をスライドして外し、Xperia 1 IVのUSB端子をXperia Stream for Xperia 1 IVに装着した後、左部分を元に戻すだけと、専用デバイスということもあって非常に簡単だ。電源供給はXperia 1 IVからなされるので、装着しただけで利用できる。

Xperia 1 IVを装着するにはまず本体左側をスライドして外す
その後、Xperia 1 IVをUSB端子に接続するよう挿入し、左側を元に戻せば装着完了だ

 装着した時の持ち心地だが、側面、背面にドット状の加工が施されており、しっとりした触感で滑りにくい。また中央にファンがあるものの、傾斜がかかっているためファンに指がかかりにくい設計になっていることから、持ち心地は全体的に良好。専用デバイスならではの高いフィット考えられるのはうれしい。

Xperia 1 IV専用の冷却設計、その効果は

 Xperia Stream for Xperia 1 IVの大きな機能の1つとして、装着してゲームをプレイすると冷却ファンが動作し、本体を冷却してパフォーマンスや持ちやすさを維持してくれることが挙げられる。では一般的なゲーミングファンとどのような点が違うのかというと、本体全体をまんべんなく冷やしてくれる点だ。

 ゲーミングファンの多くは装着した場所に空冷、最近ではペルチェ素子などを加えて発熱しやすい場所を集中して冷やすようになっている。ただ熱源が複数あると本体が冷えにくかったり、熱源に応じて装着場所を選ぶ必要があるため場所によってはゲームプレイに支障が出たりするのが難点だ。

 だがXperia Stream for Xperia 1 IVは、冷却ファンと独自の構造で本体の背面だけでなく前面にも風を送って冷やす仕組みとなっており、ゲームプレイしていると指にほんのり風を感じる。Xperia 1 IVはゲーミングに強いとはいえ専用に設計されたスマートフォンではなく、ゲーミングスマートフォンのように冷却しやすいよう熱源を集中させている訳ではないことから、こうした仕組みを採用しているようだ。

 ではその冷却効果はどの程度なのか、ゲームモードを「パフォーマンス優先」にした状態で「原神」を20分プレイし、前面、背面の温度を測定してみた。まずはXperia 1 IV単体でプレイした場合だが、前面の温度は前面が約40~45度、背面が約35~46度で、前面にした状態で中央のやや左寄りの部分が熱くなりやすいようだ。

「パフォーマンス優先」で「原神」をプレイし、20分経過した後の前面の温度。中央左側の部分の方が熱くなりやすいようだ
背面の温度。やはり45度を超えるくらいまで温度が上がってしまう

 一方、Xperia Stream for Xperia 1 IVを装着してプレイした場合の温度を確認すると、前面の温度は約30~39度。背面に至っては冷却効果に加え、厚めのボディーにより本体の熱源から距離ができることもあって約21~26度にまで下がる。寒い日などは逆に指が冷えてプレイしづらかった程で、冷却効果はてきめんといえるだろう。

Xperia Stream for Xperia 1 IVを装着し、同様の条件でプレイした後の前面の温度。40度を切るくらいまで温度が下がっていることがわかる
熱源のスマートフォンに直接触れない背面は20度台となるため、熱さはほぼ感じず快適なプレイが可能だ

 もう1つ気になるバッテリーの持続時間だが、ファンの回転を「Auto」にして給電せずに「原神」をプレイし続けてみたところ、バッテリーが5%を切るところでファンが停止し、最終的には約2時間でバッテリーが切れた。給電なしでもそこそこの時間、ゲームプレイはできるようだ。

 ちなみにファンの設定は、「Game enhancer」を呼び出した後に「ゲームモード」を選択することで設定可能。ファンの回転だけでなくシャッターキーでファンのオン・オフを制御したりもできるようになる。

冷却ファンに関する設定は「Game enhancer」上で可能。ファンの制御や使用するタイミングなど、細かな設定ができる

ライブ配信などに便利な有線の端子類を用意

 そしてもう1つ、Xperia Stream for Xperia 1 IVを装着すると利用できるようになるのが有線のインターフェース類だ。実際、下部にはUSB Type-C端子のほか、イーサネット端子、HDMI端子、そして3.5mmのイヤホン端子が備わっており、それらにケーブルを接続することで各機能を利用することが可能だ。

側面下部を確認すると、USB Type-C、イーサネット、HDMI、3.5mmイヤホン端子の4つが用意されていることが分かる

 イーサネット端子は有線でネットワークに接続することにより、Wi-Fiやモバイル通信で発生しがちな通信の不安定さをなくし、オンラインゲームの安定的なプレイを実現できるようになる。性能的には100BASE-TXなので実はWi-Fiや5Gよりも最大通信速度が落ちるのだが、ゲーム中に大容量通信をするケースは少なく、有線LAN接続で安定した通信を確保しやすくなることから「ゲーム中にネットワーク接続が一時止まってしまい、その間にやられてしまった」という経験がある人にメリットが大きいだろう。

 HDMI端子はゲームプレイよりむしろ、ゲームのライブ配信などをする際に役立つ端子であり、ケーブルを接続するだけでゲームの映像をディスプレーだけでなく、キャプチャーボードなどにも簡単に出力できる。端子もミニHDMIやマイクロHDMI端子ではなく、通常サイズのHDMI端子だというのも利便性が高い。

HDMI端子はライブ配信用の映像出力に役立つが、もちろんディスプレーへの出力も可能だ

 有線接続で気になるのは、やはりケーブルが邪魔になってゲームプレイに支障が出てしまうのでは? ということ。もちろんしっかり考慮がなされており、すべての端子を中央下部に集中配置することで、本体を手にした時にケーブルが指に一切触れない仕組みとなっていることから、試しに全端子にケーブルを接続してプレイしても、ゲームプレイに影響することはなかった。

実際にすべての端子にケーブルを挿入して「PUBG MOBILE」をプレイ。ケーブルが下部に集中するため指に触れて邪魔になることはなく、プレイも快適だ

【まとめ】ゲーミングスマホよりプロ・セミプロ向け機能が充実

 ここではXperia Stream for Xperia 1 IVの使用感を中心にレビューしてみたが、Xperia 1 IV Gaming Editionはゲーミングスマートフォンとは設計思想が違っており、通常のスマートフォンをゲームする時だけ強化する、という発想で作られているようだ。

 それゆえゲーミングスマートフォンのような目立つデザインではなく、日常的なスマートフォンとしてXperia 1 IVを活用しやすい。それでいて、ゲームプレイ時はXperia Stream for Xperia 1 IVを装着することでプレイが快適になり、配信などもやりやすくなることからeスポーツのプロやセミプロ、さらには日常的にライブ配信をしているストリーマーなどにとってメリットが大きいといえる。

 その一方で、ゲーミングスマートフォンのように専用のトリガーなどが用意されているわけではなく、ゲームプレイ時のカスタマイズ性は高くないのに加え、本体の一部が光る仕組みなどもない。またソニーストアでの価格は18万9200円と、「ROG Phone 6 Pro」(16万9800円)や「Black Shark 5 Pro」(11万8800円)、「REDMAGIC 7」(上位モデルで13万7520円)といった最近のゲーミングスマートフォンと比べても高い。

 そうした要素を考慮すると、やはり趣味でゲームを楽しむアマチュア向けというより、Xperiaシリーズのフラッグシップモデルと同様“好きにこだわる”ゲームのプロ・セミプロに向けた製品といえそうだ。

 なお、Xperia Stream for Xperia 1 IV自体は単体販売もなされているので(ソニーストアとドコモオンラインショップで2万3100円)、安くはないがすでにXperia 1 IVを持っている人なら負担を抑えて環境整備ができることも覚えておくといいだろう。

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