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ジンバル不要のカメラを搭載、コンパクト・ハイエンドに磨きをかけた「Zenfone 9」

ASCII.jp / 2022年11月3日 15時0分

 ASUSスマートフォンの新フラッグシップモデル「Zenfone 9」は、前機種「Zenfone 8」から続くディスプレーサイズ5.9型のコンパクトボディーに加え、新たにカメラに6軸ハイブリッドジンバルスタビライザーを搭載し、カメラモジュールごと動くという独自の仕組みで撮影時のブレを大幅に低減できる点が大きな特徴となっている。カメラを中心にその実力を探ってみよう。

コンパクトさを維持しつつ特徴的な背面デザインに

 まずは外観を確認すると、ディスプレーサイズは先にも触れた通り5.9型で、サイズは約68.1×146.5×9.1mm、重量は約169g。Zenfone 8のサイズが約68.5×148×8.9mm、重量が約169gであることから幅と高さがやや小さくなっており、片手で持ちやすいとされる70mm以下の幅はしっかりキープしている。

「Zenfone 9」の前面。5.9型ディスプレーを搭載するなど、サイズ感は「Zenfone 8」と大きく変わってはいない
幅70mm以下を維持しており、片手で持っても十分使いやすいサイズ感だ

 Androidスマートフォンでは6.5型クラスが当たり前となりつつある中にあって、ディスプレーサイズが5.9型と聞くとかなり小さいように感じてしまうかもしれない。だが実際のボディーサイズは、最近のiPhoneのスタンダードモデルよりほんの少し小さい程度。販売不振で新機種からは姿を消したiPhoneの「mini」シリーズと比べればサイズは大きく、iPhoneに慣れている人ならそこまで小さいと感じることはないように思う。

「iPhone 13 Pro」(左)と並べてみたところ。コンパクトとはいえiPhoneのスタンダードモデルとサイズ感は大きく変わらないことが分かる

 デザインは最近のトレンドを踏襲したスクエアな印象のもの。だが背面はかなり特徴的で、ポリカーボネートとポリウレタンを組み合わせた素材を用いたことで、布やフェルトに近い触り心地の素材感を実現している。独自性が非常に強いというだけでなく、指紋が付きにくい上に滑りにくいのもメリットだ。

背面は2つのカメラが非常に目立つデザインに。ボディー素材も独特の触り心地で非常に独自性が強い

 そしてもう1つ、背面で特徴的なのがカメラである。2つの丸くて大きなカメラが大きな面積を占めるデザインとなっており、ボディーサイズがコンパクトなだけになおさらインパクトを受けることだろう。ちなみに後述するイメージセンサーの違いもあってか、横から見ると2つのカメラの段差にはかなりの違いがあるようだ。

側面から見ると、2つのカメラにはかなりの段差があることがわかる

 なお側面はアルミ製で、右側面に音量キーと電源キー、底面にUSB Type-C端子とSIMスロット、上面に3.5mmのイヤホン端子を搭載。ディスプレーはZenfone 8に続き有機ELを採用しているが、指紋センサーは画面内蔵型ではなく電源キー一体型へと変更されている。

左側面には音量キーと電源キーを搭載。指紋センサーは電源キーに搭載する形へと変更がなされている
底面にはUSB Type-C端子とSIMスロットが備わっている
ハイエンドながら上面にはイヤホン端子もしっかり搭載。イヤホンにこだわる人にはうれしい仕様だ

 またZenfone 9はコンパクトで片手操作がしやすいことを強く意識し、新たに側面の電源キーを活用した「スマートキー」という機能が用意されたのもポイントといえる。スマートキーを活用すれば電源キーを2回連続で押した時に好みの機能を呼び出せるようにしたり、指を上下にスライドさせることで通知の呼び出しやウェブサイトの操作などができるようになるが、スライド操作は慣れていないと電源キーに触れた時に誤操作してストレスに感じたこともあったので、活用にはやや慣れが必要かもしれない。

「スマートキー」の設定で電源キーに関連する操作をカスタマイズできる
指紋センサーを活用し電源キー上で指を上下にスライドした時の操作も設定可能。通知を呼び出したり、ウェブサイトの更新をしたりするなどの操作が割り当てられる

ジンバル内蔵で強力な手ブレ補正を実現したカメラ

 続いてカメラを確認すると、背面のカメラは約5000万画素/F値1.9の広角カメラと、1200万画素/F値2.2の超広角カメラの2眼構成となる。広角カメラはイメージセンサーに、最近のスマートフォンで多く採用されているソニーの「IMX766」を採用していることから、高い性能を持ち暗所にも強いのだが、より注目されるのはやはり新たに搭載された「6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー」の存在だろう。

Zenfone 9のカメラは広角・超広角の2眼構成。6軸ハイブリッドジンバルスタビライザーを搭載した広角カメラは撮影時に見ると実際に動いているのが分かる
Zenfone 9の広角カメラで撮影した写真
同じ場所で暗い時間帯に撮影した写真。実績豊富なIMX766を使用しているだけあって、夜景モードを使わなくても暗い場所での撮影には比較的強い

 動画ニーズの拡大もあって、最近はスマートフォンで動画のブレを抑えて撮影するためのジンバルがいくつか提供されているが、Zenfone 9はそのジンバルをカメラに内蔵してしまったといえばわかりやすいだろう。具体的には6軸のジャイロセンサーで本体の動きを検出して、カメラモジュール自体を動かすことでブレを抑える仕組みで、カメラを起動してから広角カメラを覗くと、Zenfone 9の動きに合わせて中のカメラモジュールが動いている様子を見て取ることができる。

 そして6軸ハイブリッドジンバルスタビライザーの実力を活かすには、カメラの設定から「スタビライザーガイド」を設定しておくのがよい。設定しておくと画面上に小さなドットが現れ、それを円形のガイドの中から出ないようにして撮影すればブレを抑えやすくなる。

6軸ハイブリッドジンバルスタビライザーを有効活用するには「スタビライザーガイド」を設定しておくのがよい
スタビライザーガイドを設定した状態。画面中央にドットが現れるので、そのドットを円の中から出ないように撮影すればブレを抑えられる

 6軸ハイブリッドジンバルスタビライザーは写真撮影のブレを防ぐ上でももちろん役立つのだが、より効果を発揮するのはやはり動画撮影時だろう。実際、6軸ハイブリッドジンバルスタビライザーに電子式手ブレ補正を加えた「HyperSteady」モードで撮影すると、歩行時の振動によるブレなどもかなり抑えて撮影することが可能だ。

 ちなみに動画撮影時の手ブレ補正設定は「OFF」「普通」「HyperSteady」の3種類が用意されているのだが、手ブレ補正を強力にするほど撮影時の画角が狭くなる。とりわけHyperSteadyに設定した場合、4K/8K動画の撮影ができなくなる点には注意が必要だ。

 以下の作例は手ブレ補正設定を「OFF」にして撮影した動画。FHD画質での撮影で、撮影時に大きいノイズ音が入ってしまったので再生時には注意(以下同様)。

 以下は手ブレ補正設定を「普通」にして撮影した動画。

 こちらは手ブレ補正設定を「HyperSteady」にして撮影した動画。

 もう1つ新しい機能となるのが、長時間露光により光の軌跡や水の流れなど、動きのある写真の表現ができる「ライトトレイル」モードだ。この機能自体は同じASUSのゲーミングスマートフォン「ROG Phone 6」にも搭載されていたものだが、ROG Phone 6ではどうしても手ブレで背景にブレが起きやすい弱点があった。だがZenfone 9で撮影を試してみたところ、手ブレに非常に強いこともあって背景のブレが生じにくく、より撮影しやすくなっているようだ。

「ライトトレイル」モードを用いて撮影した写真。「ROG Phone 6」では背景にブレが生じやすかったが、Zenfone 9は手ブレ補正が強力になったことから、より撮影しやすくなった

 一方のフロントカメラは1200万画素/F値2.45と標準的な内容。ちなみにZenfone 9はフロントカメラによる顔認証でのロック解除に対応するが、マスクをした状態でもロック解除できるようになっているのは非常に助かる。

フロントカメラで撮影した写真。こちらは標準的な内容で、ポートレート撮影やビューティー機能なども用意されている

発熱への対処は大幅に強化 ゲームプレイ時も安心

 性能面を確認すると、チップセットはクアルコム製のハイエンド向けとなる「Snapdragon 8+ Gen 1」で、メモリは8GB/16GB、ストレージは128GB/256GB(いずれもモデルによって異なる)。メモリやストレージに違いがあるとはいえ、性能的にはROG Phone 6にかなり近くゲーミングスマートフォン並みの性能を持っている。

 それゆえベンチマークの結果も非常に高く、AAAクラスのゲームも快適に動作するのだが、多くの人が気にするのは発熱であろう。Zenfone 8はフル性能でゲームプレイすると本体を持ちづらくなるほどの発熱が生じていたことから、サイズがあまり変わっておらず発熱への対処が難しいZenfone 9もこの点が懸念されるところだ。

「Geekbench5」におけるZenfone 9のCPUベンチマークの結果
「3DMark」(Wild Life Extreme)におけるZenfone 9のベンチマークの結果
「PUBG MOBILE」のグラフィック設定は、現行のAndroidスマートフォンの最高設定まで引き上げることが可能だ
「原神」のグラフィックス設定はデフォルトで「中」。最高設定にしても動作に問題はない

 だがZenfone 9はベイパーチャンバーを新たに搭載し、ヒートパイプの面積をさらに広げるなどして発熱対策により力が入れられている。そうしたことから実際に長時間ゲームプレイをしてみても、表面が40度を超える温度には達するが持ちづらいほど熱くなることはなく、安心感が高まっている。

ゲームプレイ中に「Game Genie」で温度を確認してみたが、45度を超えることはあまりなく手に持ってプレイするのが厳しいほど熱くはならないようだ

 ただそれゆえか、本体のパフォーマンスを制御する「システムモード」はZenfone 8と比べ簡素化されており、あまり細かな設定はできなくなっている。設定がわかりやすくなったとは感じるが、細かなカスタマイズがしたい人には残念かもしれない。

「システムモード」は4つの中から1つを選んでややカスタマイズする仕組みとなり、Zenfone 8のようにCPUやGPUの性能を細かくカスタマイズすることはできなくなっている

 パフォーマンスだけでなく音響面もROG Phone 6同様、音質をカスタマイズできる「オーディオウィザード」もを新たに搭載するなど力が入れられている。加えてディスプレーのリフレッシュレートも120Hzと滑らかなので、大画面にこだわらなければゲームプレイはかなり快適といえるだろう。

音響面も強化されており、ROG Phone 6同様「オーディオウィザード」による音質のカスタマイズもできるようになった

 もう1つ、コンパクトモデルで気になるバッテリー容量だが、こちらは4300mAhと最近のハイエンドスマートフォンとして見れば小さいものの、4000mAhだったZenfone 8と比べると増量がなされている。30Wの急速充電や、バッテリーケア機能には引き続き対応しているのでそうした部分も安心感は高いといえる。

 モバイル通信に関しては、物理SIM×2のデュアルSIM仕様で、多くのSIMフリースマートフォンと同様5Gにも対応するが、ドコモの4.5GHz帯(バンドn79)に対応していないので利用するならドコモ回線以外のSIMを用いるのがベストだろう。ただ、Zenfone 8に続いてIP65/IP68の防水・防塵性能を備え、FeliCaに対応していることから、国内で安心して使えるのは大きなメリットだ。

SIMは物理SIM(ナノSIM)×2で、トレイは上下に挿入するタイプとなる

 ちなみにZenfone 9には、別売りとなるがいくつか純正の周辺機器も用意されており、その1つが「Zenfone 9 Connex Accessories Set」になる。これは背面下部に穴の開いたケースをZenfone 9に装着し、穴の部分に付属のアイテムを装着することで機能を拡張できるというもの。

「Zenfone 9 Connex Accessories Set」の本体ケースには穴が開いており、そこに別途アイテムを装着して利用できる

 アイテムとしてはクレジットカードなどを一緒に持ち歩けるカードホルダーと、Zenfone 9を立てて動画視聴などがしやすくなるスマートスタンドの2つが用意されている。このうち後者については、設定によりスタンドを立てると自動的に特定の動画アプリを起動させることも可能となっている。用途に応じて使い分けられる点は非常に便利なので有効活用したい所だ。

カードホルダーを装着したところ。財布がなくてもカードなどを入れておけるので便利だ
スマートスタンドを装着すると、動画視聴時などにスタンドとして利用できる。スタンドを立てた時に特定のアプリを起動できるよう設定も可能だ

【まとめ】洗練度は高まったが コンパクトモデルへの逆風が気になる

 Zenfone 9はコンパクトでハイエンド、かつ日本仕様に対応するというZenfone 8のコンセプトをしっかり引き継ぎながらも、ゲームプレイ時の発熱というコンパクトモデルならではの弱点をクリア。なおかつ背面デザインや6軸ハイブリッドジンバルスタビライザーで独自性も発揮できている。カメラモジュールの大型化で「Zenfone 8 Flip」まで存在したフリップカメラのモデルがなくなりZenfoneらしい特徴を打ち出すのが難しくなっていた中にあって、Zenfone 9はうまく特徴付けをすることにより新しいZenfoneらしさを打ち出すことに成功したといえるだろう。

 ただその特徴を市場が受け入れるかどうかは別の話だ。iPhoneの「mini」シリーズの販売不振で、コンパクトモデルの劣勢が明確に示されてしまったスマートフォン市場で、とりわけハイエンドを求める層に対してコンパクトであることがマイナス要因に働く可能性は少なからずある。発売後の市場での評価が気になるところだ。

 

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