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「Google Pixel Watch」の真価は、いいとこ取りにあり!

ASCII.jp / 2022年11月3日 9時0分

スイーツのマカロンのような丸いデザインで、ケースはリサイクルステンレス、ガラスには「カスタム 3D Corning Gorilla Glass 5」を使用。バンドはほかにストレッチ、ウーブン、クラフトレザーなどがオプションで用意されています

 グーグルからスマートウォッチ「Google Pixel Watch」が発売されました。上から見ても横から見ても角のない丸いデザインが特徴で、フルオロエラストマー製のスポーティーな「アクティブ バンド」が付属しています。

長短2つのバンドが付属し、手首周り130~210mmをサポート。左右どちらの腕に着けるか設定できだけでなく、リューズの位置も左右どちら側でも使うことができます

 手にしてまず感じたのは、「想像していたより小さく軽い」ということ。丸型のスマートウォッチにはディスプレイを広くとるためか、バッテリーのためか、大きくごついモデルが多いですが、Pixel Watchは直径41mm、高さ12.3mm、バンドを除いた重さが36gと、比較的コンパクト。手首の細い人にも着けやすいと思います。リューズのほかには目立たないサイドボタンが1つだけと、構造もシンプルで色も3色から選べるなど、性別や年齢を問わず手に取りやすいデザインという印象です。

Type-C 磁気充電ケーブルが付属します

 3万9800円のWi-Fiモデルのほか、4万7800円で4G LTE対応のセルラーモデルもあり、KDDI(au)とソフトバンクが取り扱っています。eSIMを搭載し、スマートフォンと同じ電話番号が使えるスマートウォッチは、「Apple Watch」のほかには「Galaxy Watch 4」「Galaxy Watch 5」と、このPixel Watchだけ。auでは「ナンバーシェア」、ソフトバンクでは「ウェアラブルデバイスモバイル通信サービス」というオプションサービスを契約すると、単体で通話やデータ通信が利用できます。

Pixel Watchとペアリング後、専用アプリのメニューにある「モバイルネットワーク」から進むと、電話番号が自動認識されるのでそのまま申し込むだけです

 Pixel Watchの特徴のひとつは、このように単体でつながるセルラーモデルが用意されていること。しかも通常385円/月の料金が4年間無料という、太っ腹なキャンペーンも実施されています。サービスの申込みは、auまたはソフトバンクのSIMカードがセットされたスマートフォンから。手続きが終わるとすぐにeSIMが有効になり、スマートフォンが近くになくてもネットワークにつながるようになりました。

GoogleカレンダーやGmailも利用可能。受信メールに音声やキーボードで入力してダイレクトに返信できます。日本語キーボードは配列と文字の小ささに慣れが必要

「Galaxy Watch 5」との違いは、グーグルサービス連携とSuica

 もうひとつの特徴は「WearOS 3.5」の搭載です。「WearOS 3」はグーグルの「Wear OS by Google」とサムスンの「Tizen」、2つのスマートウォッチ向けのOSが統合されたもの。「3.5」はその進化版にあたり、サムスンのGalaxy Watch 5にも同じOSが搭載されています。

 同じAndroid OSのスマートフォンでもメーカーごとにUIや機能が異なるように、Pixel WatchとGalaxy Watch 5にも違いがあります。たとえばGoogleサービスとの連携は、やはりPixel Watchの方がやりやすい。一方でGalaxy Watch 5には血中酸素や体組成が測れる機能などもあり、電池持ちが最大24時間(つまり、毎日1回は充電が必要)のPixel Watchよりは、体感で2倍くらい長く使えます。

GPSやコンパス、高度計、加速度計、ジャイロスコープなども搭載。Googleマップと連動し、徒歩、自転車、クルマでターンバイターンのルート案内が利用できます

 Google PlayストアからWear OS向けアプリがインストールできる点や、Googleマップでのターンバイターンのルート案内、YouTube Musicでのストリーミング再生、Googleアシスタントの音声操作などは共通ですが、Pixel Watchでは「Google Home」も利用可能。自宅に対応のスマート家電があれば、手元でさくっと操作できます。

YouTube Musicでのストリーミング再生可能。「Pixel Buds Pro」との相性もばっちりです

 筆者宅はGoogle Nestから音声操作もできるのですが、リモート会議などで声を出せないとき、スマホを取り出さずにさっと操作できるのは便利だと感じました。

手元から家電のオンオフなどが操作できます。Googleアシスタントを使って、音声で操作することも可能です

 もうひとつ、Galaxy Watch 5にはない機能が「Suica」です。Google PayにSuicaを登録してクレジットカードからチャージし、電車やバスに乗ったり、対応店舗での決済が可能。Suicaが使えるスマートウォッチは、Apple Watchのほかは、ガーミンやFitbitの一部機種と限られるので、これは大きなメリットです。

Suicaが使えるのはPixel Watchの魅力のひとつ。ほかにVISAやマスターのタッチ決済にも対応しています

 ただしこのSuicaの登録にはひと癖あって、同じGoogle アカウントを使ってスマホでSuicaを使っていた場合、おサイフケータイアプリから機種変更の手続きをしないと、エラーが出てPixel Watchへ登録ができません。実は筆者もこれにハマってしまい、設定にはかなりの時間を要しました。

Suicaやクレジットカードは、ペアリング後にインストールされる専用アプリで登録します

 設定にはやや難ありでしたが、腕をかざすだけで改札が通過できるのはやはり快適です。ただしGoogle Payで使えるSuicaは、おサイフケータイのモバイルSuicaとは違い、定期券やグリーン券の購入、オートチャージには対応していません。残高不足には注意が必要です(体験済み)。

ヘルスケア機能はFitbitの最新モデルに比べるとやや物足りなさも

 背面には心拍センサーを備えていて、グーグル傘下となったFitbitのヘルスケア&エクササイズの機能が利用できるのもPixel Watchの特徴です。Androidには「Google Fit」というアプリもありますが、Pixel WatchではFitbitのサービス&アプリがそのまま採用されていて、Fitbitへの登録が必要です。

 ちなみにPixel WatchはiOSには対応していませんが、iOS版のFitbitアプリやウェブブラウザーより同一アカウントでログインすれば、データを確認することができます。Pixel Watchで計測した歩数や消費カロリー、エクササイズやストレス、睡眠などのデータをペアリングしたAndroidスマホからクラウド経由で、iPhoneのFitbitアプリでも、チェックすることができました。

睡眠の長さだけでなく、深さや回復度などを詳しくチェックできます。Premiumではエナジースコアやストレスについても詳しくわかります

 パイオニアだけあって、Fitbitのヘルスケア&エクササイズ機能はかなり充実しています。Pixel Watchでは購入特典として、有料サービス「Fitbit Premium」(640円/月)が6ヵ月無料で試せるのですが、このPremiumではさらに自分の疲れ度(エナジースコア)を見える化してくれたり、睡眠やストレスについてのより詳しい分析や、マインドフルネスやエクササイズの動画によるセッションなどが利用できます。

 また運動やダイエットのモチベーションを高めるような、プログラムも用意されています。

 ただしヘルスケア&エクササイズだけに着目するのであれば、Pixel WatchよりもFitbitのスマートウォッチの方が、センサー類が充実しています。たとえば最新の「Fitbit Sense 2」には血中酸素ウェルネスのモニタリング機能や皮膚温センサーがあり、睡眠のパターンを長期的に分析する「睡眠プロフィール」も利用できます。

 Pixel Watchではウォーキング、ランニング、屋外サイクリング、クロストレーナー、スポーツ、有酸素運動、水泳の計7種類のワークアウトは10分以上(デフォルトの設定で変更可能)エクササイズを続けるとバックグラウンドで記録をとりますが、それ以外はエクササイズ開始前にエクササイズモードの項目を選択する必要があります。しかし、Sense 2ではエクササイズを自動的に検出して記録。価格も3万2800円とPixel Watchより安価で、かつSuicaも使えます。健康管理や運動、ダイエットのためにスマートウォッチが欲しいなら、こちらも有りでしょう。

 このように同じOSのGalaxy Watch 5や、Fitbitのスマートウォッチと比べてみると、Pixel Watchには電池持ちや搭載センサー、利用できるヘルスケア&エクササイズ機能などに少しもの足りない部分があります。

 一方でセルラーモデルが選べて、Googleサービスと連携しやすく、SuicaやFitbitの一部のサービスが使えるスマートウォッチはほかにないのも事実。もの足りないところもあるけれど、バランス良くいいとこ取りをしたスマートウォッチになっている印象です。

 価格も今の為替レートを考えるとかなり戦略的な値付けになっていますし、一部で予約受付がストップするほどの人気になるのも納得といったところでしょうか。

 

筆者紹介――太田百合子  テックライター。身近なデジタル製品とそれら通じて利用できるサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。

 

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