最近の各社のSIMの速度はどうなっているのか?
ASCII.jp / 2022年11月6日 12時0分
一昔前までは、格安SIMといえば速度の遅い時間帯があり、非常にわかりやすい形で「料金が安いことの代償」が見られた。といっても、実際には昼休みなどの一部時間帯に極端に速度が落ち込むことが中心で、実害はさほどないことも多かった。最近は全般的にかなり改善されてきており、実用性でもMNOと比べて遜色なくなっているが、実態はどうなのか。筆者が契約しているSIMであらためて試した。
主要回線のいずれも品質の改善が著しい
MVNOの格安SIMの代表格と言えばIIJmioだろう。回線品質も格安SIMとしては標準的なレベルで、昼休みに速度の落ち込みがある以外はほぼ快適に利用できる。この傾向は昔から変わらないが、最近ではその昼休みの速度の落ち込みが和らいでいて、ほぼ一日中、速度が遅くて困るという時間帯がなくなっている。
続いてはmineo。今最も特徴的なサービスを提供していると筆者が考えているのがmineoだが、月990円で平日昼休み以外は最大1.5Mbpsで使い放題という「マイそく」を導入したことがトピックだろう。その平日12~13時は最大32kbpsと実質的にほぼデータ通信が止まるものの、「使い放題」というキーワードの魅力は大きい。最大1.5Mbpsの時間帯でも、当初はあまりデータが流れてこないという印象だったが、最近はどうなっているだろうか。
最後に楽天モバイル。MVNOの格安SIMではなく、4社あるMNOの1社ではあるが、料金面ではMVNOの格安SIMや、MNOが提供するサブブランドやオンライン専用プランと対抗する状況になっている。
以前はサービスエリアの面で、悪い意味で安さを感じることもあったが、日に日に広がっており、今や都市部はもちろん、相応の人口がある郊外や地方都市でも圏外となることはあまりなく、快適度が上がっている。あとはところどころにあるエリアの穴を埋め、先行する3大キャリアに近づいていく段階に入ったと言える。
ドコモ、Y!mobileの回線も含めて、実際にテスト
結局のところ、格安SIMが良いか悪いかは使ってみなければわからない。今回も参考までにスピードテストの結果も紹介するが、実際の使い心地が、このテストの速度に完全に比例するわけでもない。それでも全体的な傾向としては、スピードテストで速い数値を出している回線は、それなりに快適なことに間違いはなく、ここが遅くてはできることに制限が出てくる。
そこで、まずは実測してみた。今回は朝/昼/夕方と3つの時間帯で、4Gで接続した場合の速度を比較した。前述の3回線(IIJmio、mineoはともにドコモ回線)に加えて、ドコモ契約の回線、サブブランドの代表としてY!mobileも合わせてテストしている。
午前中はいずれも快適で高速
午前の時間帯はこれまでもほぼ高速な結果が出ており、今回もその予想どおりの数値になっている。それぞれにわかりやすい違いはないが、場所の問題もあってかY!mobileの上り速度が遅い数字にはなった。
通常、ウェブ閲覧や動画視聴は下り回線が主になるため、ある程度の速度が出ていれば支障がない。しかし、写真や動画の投稿となると上りが重要になる。動画配信もしたいとなると、より速い回線を選んでおくべきだが、基本的に各社実用的な品質に差はないと言える。
また、mineoの「マイそく スタンダード」は、速度が上り/下りともに約1.5Mbpsと制限一杯の数字をテストでも記録しているが、実際に使ってみると1.5Mbpsと思えないほど、快適になっている印象だった。
スマートフォンだけでなくテザリング経由でPCからも利用しているが、マイそく開始時とは比べ物にならない印象だ。サービスの開始当初は速度測定などをするユーザーが多いためか回線が混雑していたのかもしれない。
昼の時間の速度低下も、MVNO以外は気にならない時代に
続いて、昼休みの時間帯。テレワークが浸透して、以前よりは12~13時に昼休みを取る人は少なくなった傾向もあると思われるが、それが原因か回線側の対応かは不明ではあるものの、以前に比べれば12時台の落ち込みは少なくなっている。特にMVNOの格安SIMでは、まともな通信が望めないほど落ち込むサービスもあったが、IIJmioの結果を見ても、現在はそのようなことがあまりなくなっている。
ドコモやY!mobileでは下り速度がまったく落ち込んでおらず、ドコモの上りが落ちている程度だ。楽天モバイルは落ち込んでいるが、スマートフォンで配信動画を見るには支障のないレベルで、今回のテスト環境によるものかもしれない。
IIJmioは速度が大幅に改善されたとはいえ、落ち込むこと自体は変わっていない。それでも2~3Mbps程度あるなら、動画配信サービスを見ているときに、画質が少し落ちることもあるかなと感じる程度。もう少し速度が落ちると、さらに画質が低下して音声もクリアさがなくなるだろう。
実は少し驚いた変化もある。mineoの「マイそく」は平日12~13時は最大32kbpsとなるが、今回のテストでは速度測定がエラーにならずに完走するようになった。速度自体は遅いとはいえ、データの流れはひっかかりなく流れてくるということだろう。
夕方は一部で落ち込みも
最近よく聞くのは夕方の通信品質の問題。コロナ禍での行動制限も和らいだ今、繁華街など人の多いところで通信が混雑するケースが目立つようになり、特に夕方が顕著だという。筆者は数値を示すほどのデータを持ち合わせていないが、言われてみればそのような傾向があるように感じている。
今回は繁華街で測定していないので、エリアによる速度の変化は反映していないが、夕方の測定では、IIJmioだけが速度を低下させた。3回測定して中央値を取って下り12Mbpsとしているが、測定するたびに10Mbps台から1Mbps台まで大きく変化する。ドコモ契約のSIMが高速で通信できていることからすれば、IIJmio側で速度低下が発生していることは明らか。実際にウェブサイト閲覧などで速度が不安定なことが感じられた。それ以外は問題なく高速な通信ができている。
速度差はかなり小さくなっているが、用途によっては影響あり
測定結果だけがすべてではないが、MVNOの格安SIMも昼休みの快適度は圧倒的に上がっている。以前はそれほどでもなかった夕方の混雑のほうが注意したほうがいいかもしれない。
一般的なユーザーなら、MVNOの格安SIMは速度が遅い時間帯があるので少し注意が必要だが、サブブランドやオンラインプラン、楽天モバイルは避ける理由はなくなりつつある。いずれにせよ以前ほど差はなくなっている、というのが今回の結論だ。ぜひ自分に合った最適なSIMを選んでほしい。
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