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本格普及は2025年ごろ? LE Audioの将来像を探る

ASCII.jp / 2022年11月16日 15時0分

 SNSなどを見ると、グーグルが先日発表した「Pixel 7」には「LE Audioの有効化」というメニュー項目があるそうだ。アップルはLE Audioへの対応を明言していないが、ハードウェア的な要件を満たすために必要なBluetooth 5.2以上には、すでに「iPhone 14」シリーズと第2世代の「AirPods Pro」が対応している。Bluetoothの次世代形であるLE Audioへの対応は確実に近づいてきていると感じる。

LE Audio普及のシナリオをBluetooth SIGが公開

 それでは今後、LE Audioはどのように普及していくのだろうか。Bluetooth SIGの発表からシナリオを見てみよう。

 2022年は、LE Audioへの対応がようやくはじまった年と言える。まずは、既存のBluetoothとデュアルモードで対応したLE Audio専用機が出始めると、Bluetooth SIGの発表では書かれている。しかし、LE Audio専用機が大きく普及するには、LE Audio対応のソース機(スマートフォンなど)が相当数必要になるため、現実的な普及は2025 年以降になるだろうとBluetooth SIGでは予想している。

 デュアルモードは現状、Bluetooth ClassicとBluetooth Low Energy(BLE)への対応といった形で多く用いられており、Bluetooth機器では市場の半数が採用している。現状のLE Audioはごく一部のスマホと対応機器の間でしか利用できない規格である。当面の間、Bluetooth Classic対応機器と、LE Audio対応機器は併存することになるだろう。デュアルモード対応機は便利に思えるが、消費電力の観点では、LE Audioの対応に絞ったほうが有利になるはずだ。

 こうした自然遷移を通じて、エコシステムができ、LE Audioが普及していくシナリオもBlutooth SIGは想定している。ソース機器(スマートフォンなど送信側の機器)とシンク先(イヤホンなど受信側の機器)の両方で事業展開している企業(アップルやグーグルなどを指すと思われる)は、自社を中心としたエコシステムの中でLE Audio専用のソリューションを提供することができる。また、ソースとしてのAuracastが普及して、ユーザーがそれに価値を見出せば、LE Audioの普及率は高まることになる。

低消費電力へのニーズが高い補聴器

 また、戦略的なアプローチについても言及している。LE Audio固有の機能が、新規参入するベンダーの差別化の可能性を切り拓くという予測だ。例えば、補聴器の分野では消費電力の少なさが重視されるため、LE Audio専用機が有利な分野であるとしている(もともと「LE Audio」は補聴器分野へのBluetoothの普及手段として策定された経緯がある)。

 最終的には、5~10年をかけてLE Audioが市場になじんでいくだろう。実際にはクラシックBluetoothとLE Audioが明確に分かれるというよりも、消費電力、音質、大きさ、価格などを考慮しつつ、両者が技術的に融合していくかもしれないとBluetooth SIGでは予測している。

 つまり、実際にLE Audioがどのように普及していくかは、技術そのものよりも、ベンダーがLE Audioをいかにセールスポイントにできるか、あるいはユーザーがいかにそこに価値を見出せるかという戦略次第と言えるだろう。ただし、冒頭に述べたように、やっと土台が固まってきた程度の現状からはまだ見えてこない。誰がどう仕掛けてくるのか、あるいは誰もそうしないで自然な市場遷移に任せるのか。こうした市場の動向そのものが、しばらくの注目点となっていくのではないだろうか。

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