PC自作好きの同志、PCパーツメーカーと自作erが集った「ASK FES 2022」が最高だった
ASCII.jp / 2022年11月9日 13時0分
11月5日、6日に、ベルサール秋葉原で「ASK★FES 2022 ~何かが見つかる!世界のPCパーツ大集合祭り~(以下、ASK★FES 2022)」が開催された。自作PCパーツメーカーを中心に、多くのブースが出展され、久々の大規模なオフラインイベントということもあり、2日間とも終日多くの自作erが足を運び、賑わっていた。
出展側もオフラインでの出展は久々というメーカーが多く、各担当者も足を運んだ自作erたちとの会話に花を咲かせ、一緒に楽しんでいるように感じたのも、印象的だった。
また1階のステージでは、2日間にわたってさまざま企画を展開。今回は、そんなステージイベントを中心に取材させてもらったので、レポートしていこう。
豆苗に洗面台!? 面白過ぎるMOD PCを制作者が紹介 マシンも実際に展示され注目の的に
初日には、まずトークステージ「MOD PC EXPO 2022」を実施。ASK★FES 2022では、事前に自作PCのコンテストへの参加を募集。集まった自作PCの中から、気に入った作品にはオンラインで投票が可能で、7日14時に結果も発表された。なお、応募作品はコチラで確認できる。まだ見ていないという人は、すごくキレイな作品から、ぶっ飛んだ発想の作品、コンセプトが面白い作品までさまざまな種類のMOD PCがエントリーしているので、ぜひチェックしてみてほしい。
さて、トークステージでは実際にオフライン会場で設置しているエントリー作品の制作者が登場し、制作したMOD PCのコンセプトやこだわりについて熱く語った。
トップバッターとして登場したのは、作品名「Remilia Deco♥PC」を制作したTangerinelionさん。『東方Project』に登場するレミリア・スカーレットを愛しすぎるあまり誕生したデコレーションモデル。普段は仕事があるので、休みの間にコツコツと作業をこなして、制作期間は約6ヵ月とのことだ。
左側のパネルにはキャラクターをレーザー彫刻で施しているほか、天板にはハーフミラーのディスプレーを採用しているのがポイントだという。
続いて登場したのは、作品名「豆苗PC」を制作した魚米さん。タイトルどおり天板の上には豆苗が乗っている。ケース内のRGBライティングは豆苗PCらしくグリーンで統一されている。水冷のパイプ曲げについての苦労話を聞かれた魚米さんだったが、やってみると意外と簡単だったとのことだった。
次に登場したのが、作品名「NZXT H7 【spratta】 for ASRock B650 LiveMixer」を制作したGrayGhostCCCさん。ASRockの「B650 LiveMixer」のデザインにインスパイアーされ、マザーボードと同じようなペイントを、ケース全体に施しているのが特徴。ケースのデザインはカッティングシートを貼り付けているほか、塗装は2日で完成させたとのことだ。
また、GrayGhostCCCさんは作品名「HYTE Y60 Neon aquarium」も出展していた。こちらはケース内に水槽のようなモディファイが施されており、「ファインディング・ニモ」のニモが泳いでいるのが特徴となっている。
最後に登場したのが、作品名「カスタム洗面台組込みMODPC Fontana(フォンターナ)」を制作したABS博士さん。ASRock20周年を記念した大理石デザインの「X670E Taichi Carrara」をいかに美しくみえるかを考え、オールアクリルの洗面台にしようと決めたのだという。
会場にも展示されていたが、洗面台から実際に水が流れており、青いライトで照らされていて、美しく異彩を放っていた。また、ABS博士さんはMOD PCについてはトライアンドエラーの連続で、どこを妥協点にするのかがコツと語っていた。
いずれのモデルも個性豊か過ぎて笑ってしまう(賞賛)ようなモデルが多く、展示されているモデルについては、なるほど! と思えるものもあれば、構造が理解不能なものもあって、とても面白かった。
こだわりが光るPC部屋が多数登場 ゲストの部屋ものぞき見!
初日のトークステージでは「あなたのPC部屋見せてください」も実施。MCの山下まみさんに加え、YouTuberのたこまるさん、コスプレイヤー、ストリーマーの伊織もえさん、ゲームキャスターの岸大河さん、eスポーツチーム「Jadeite」所属のRegalia選手、GURAN34選手が登場した。
最初のコーナーでは、出演ゲストのPC部屋がクイズ形式で紹介された。まず初めにスクリーンに映し出されたのが、岸さんのPC部屋で、お気に入りアイテムは「KEF LS50 Wireless II」と「ハーマンミラー X ロジクールG エンボディゲーミングチェア」。
また昇降デスクを使っており、立ち仕事がしたいときはデスクの高さを上げてiPadで作業しているとのことだ。ほかのゲストからは「大人な感じ」と評されていたが、岸さんは「発表前の製品を検証させていただいていることもあって、写真に出せないものが周りにたくさんあるんですよね」とシンプルなデスクの理由を語っていた。
続いて紹介されたのが、Regalia選手のPC部屋。こだわりとしては、ゲームをプレイする際にマウスを振るため、右側のスペースはなるべく物を置かないようにしているという。
お気に入りアイテムは、Gloriousの「Model O Pro Wireless Gaming Mouse- Red Fox -」。約55gと超軽量な点がお気に入りポイントとのことだ。ほかのゲストに「デスクの上とてもキレイですね」と聞かれると、Regalia選手は「この写真を撮るために片付けました。普段はペットボトルとかおいてあります」と正直に告白。それに対して「ゲーマーあるあるですよねー」と賛同されていた。
次に紹介されたのが、GURAN34選手のPC部屋。お気に入りアイテムは、コントローラー。加えて、レイアウトするコントローラースタンドもお気に入りとのことで「レイアウトしていつでも眺められるし、スタンドのフォルム自体も好きなんですよね」と語っていた。なお、GURAN34選手もペットボトルは整理して写真撮影を実施したという。
続いて紹介されたのが、たこまるさんのPC部屋。たこまるさんはよくデスク周りのレイアウトを変えるとのことで「最初にモチーフやコンセプトを決めて、それにあったレイアウトを目指します」と説明。今回は白をテーマにパソコンデスクを決定したとのことだ。
お気に入りアイテムはデジタル時計。たこまるさんは「これを置くだけで映えますし、製品によってはRGBで色を変えられるモデルもあるので、おススメです」と紹介した。たこまるさんのPC部屋を見た伊織さんは「Francfrancの貝殻ランプ可愛い! これ買います!」と高評価だった。
最後に紹介されたのが、伊織さんのPC部屋。お気に入りアイテムは、ゼンハイザーのヘッドセット。またイヤークッションは別途購入して装着しているとのことだ。さらに、伊織さんが壁に貼っている紙がアップで画面に表示されると、伊織さんは「恥ずかしい」と言いつつも「ゲームで危機的状況になると周りが見えなくなってしまうことがあるので、そうならないように視野を広く持つための心構えが書いてあるんです」とのことだった。
ゲストのPC部屋の紹介が終わると、続いてたこまるさんプレゼンツ「出張! youtuberたこまる企画 あなたのお部屋気になります!」というコーナーがスタート。事前に募集していたさまざまな人のPC部屋の写真を紹介するというもの。
PC部屋は、たこまるさんがそれぞれタイトルを決めて紹介。各PC部屋のこだわりまくったレイアウトに、ゲスト全員が驚いていたほか、口をそろえて「いいなー」と羨ましがっていた。
最後に、伊織さんは「色々なお部屋を見せてもらって、参考にしたい部分がたくさんありました。私は水色を基調にした部屋に憧れがあるので、ぜひ挑戦してみたいなと思いました。あと、テーマを決めてPC部屋をつくるのも大事だなと今回のイベントに出させてもらって感じたので、勉強になってよかったです」とコメントしていた。
メーカー担当者が大喜利! 未来のPC自作は自宅から!?
2日目には、各メーカーの担当者が登場した「PCパーツベンダー対抗 大喜利大会」を開催。出演したのは、NVIDIAのPeter Chen氏、AMDの佐藤美明氏、ASUSの市川 彰吾氏、ASRockの原口 有司氏、GIGABYTEの川村直裕氏。自作PC好きであれば一度は見たことがある顔ぶれだろう。なお、MCはアスクの深江祐介氏がつとめた。
1つ目のお題は「私の考えた新しいPCパーツ」。ぶっ飛んだ回答が出てくるかと思いきや、メーカーの担当者だけあって、コンデンサーが着脱できるマザーボードや、折れるマザーボード、大きくなったビデオカードでも安心の寝かすPCケース、さらにはAMDとインテル両方のCPUが搭載できるマザーボードなど、どうしても実用性を考えてしまう回答が多かった。
そんな中、ぶっ飛んだ回答を出したのが、AMD佐藤氏の「サイコフレームを搭載したCPU」。思いが強ければつよくなるほど、CINEBENCHのスコアが上がるという。スゴさの基準がCINEBENCHというのもこの界隈らしいなと感じた。
続いてのお題は、「僕の考えた最強DIY PC構成」。これについては、ASRockの原口氏が「最強ってなってくると、もう土地を買って、エアフローを考えた家を建てるしかないですね」と回答。これに対し、ASUSの市川氏は「自作用に電柱とかも建つだろうね。しかし、これの後に回答するの難しいよ……」と、最初にぶっ飛んだ回答が出たことに困った様子だった。
3つ目のお題は「2032年のPC DIY業界」。これに対してASUSの市川氏は「M.2 SSDしか付かないマザーボードとかでそうですよね」と回答すると、全員が「あー」と納得した様子。また、川村直裕氏は「GPUのコードネームに日本人の名前が出てきてもいいんじゃないか」と回答。これに対しても、「確かにあってもいいよね!」と結構共感があった。
ゲームに関わって生きていくことの楽しさや厳しさを語る!
2日目にはスペシャルトークステージ「令和版好きな仕事で生きる道!~好きなゲームで生きていく~」も実施。ステージには、元プロゲーマーで現在はJadeiteのVALORANT部門のコーチも務めるnoppoさん、ゲームキャスターの岸大河さん、JAPANESE GIRLS STREAMERのyunocyさん、ゲームタレント・声優の芦澤佳純さん、HIKKY 取締役COO・CQOのさわえみかさん、そしてMCとして声優の山下まみさんが登場した。
最初のテーマは「今のお仕事の魅力」について。岸さんは「まずは何といってもゲームに関わることができるということと、選手が生で演じる対戦を、リアルタイムで実況できることですね」とコメント。
これに対し、山下さんが実況はどのような仕事なのかについて聞くと、岸さんは「チーム同士の対戦を生だとすると、それを料理して視聴者に届けるという感覚ですね。真剣に戦っている選手たちの戦いを、視聴者がより楽しめるように娯楽のレベルを上げるという感じです。最近ではオフラインも増えてきて、実況で盛り上がってくれる一体感を味わえます。そういった渦中にいられるのは、幸せですね」と語った。
また、山下さんが声優を目指した理由は「もともとアニメやゲームが好きでしたけど、キャラクターの声を演じる“声優”という仕事があるとは考えもしてなかったです。そんな中、北海道で仕事をしていて、あるとき『なんで声優を目指さなかったの?』と聞かれ、声優という仕事を意識して、そのあとすぐに上京して声優を目指し始めた感じです」と答え、行動力の速さに皆驚いていた。
仮想空間での自由なクリエイティブをサポートするメタバースエンジン「VketCloud」を開発中のさわえみかさんは「性別も年もわからないメンバーで、現在はメタバース内でのイベントを手掛けています。裏方もアバターで仕事をしているので、見た目も場所も気にせず好きなことを表に出せることが魅力ですね」と語った。
ストリーマーとして活動しているyunocyさんは「リアルタイムで実況していると、リスナーが友達みたいな感覚でやっていられるので、楽しいです」とコメント。noppoさんは「社内でも社外でも、ゲームが好きな人と関わることが多いので、普通だとわかってもらえないコアな話題が通じるのはうれしいですね」と語った。
続いてのテーマは「苦労や挫折などの経験」について。芦澤さんは「親に心配されて『(実家に)帰ってきてもいいよ』と言われたことです。自分の限界だと思われていることが辛くて、泣いた日もありました」と語った。
また、現在所属しているG-STAR.GAMINGに所属する前は1年間フリーで活動していた時期があり、その際は東京ゲームショウに足を運んで、プロデューサーへのあいさつ回りなども自ら行なっていたという。芦澤さんは「そういった苦労の中で、人見知りを克服したり割り切ることができたりするようになりました。自分の根底に、最後に勝てば勝ちという考えがあって、負けておわらなければいいと今も思っています」と、少し前の苦労を語っていた。
また、noppoさんは「現役時代はeスポーツに全振りしていたので、そのあとのキャリア探しには苦労しましたね。今と違ってeスポーツ氷河期みたいな時期だったので、ゲーム会社に入ろうと思って受けましたが全部落ちましたね。今はeスポーツのファンの数が何千倍にもなっていますが、当時はプロゲーマーって何? という時代だったので、就職活動は大変でした」とコメントした。
さわえみかさんは「ヘアメイク時代は会社に就職したわけではなく弟子入りだったので、仕事終わって2時間後には次の仕事なんてこともあり、公園で休憩するだけといった時代もありました。その時期は結構大変でしたけど、根性はつきましたね」と語った。
次のテーマは「好きを仕事にするために意識したこと」。yunocyさんは「好きなゲームを別の理由で嫌いになることがあったので、好きでいることを意識することが重要ですかね。せっかく好きになったゲームを嫌いにならないように、ほかのゲームをやるとかいかに切り替えるかが大切だなと思っています」とコメントした。
さわえみかさんは「色々なことに貪欲に手を出していくことかなと思います。色々な枝を伸ばした結果、たどり着くこともあるので、いったんトライすることも大事だと思います」と答えた。
最後のテーマは「夢に向かうみなさんへ」。noppoさんは「不安に立ち向かう機会は多いと思いますが、決心をして進んでいくことが大事です。稼げるようになる前に引退してしまったとしても、私のように働いて生きていけるので、今は全力でやってほしいです」と語った。
芦澤さんは「私がこれをやりたいということを、しっかりとやっておくことが大事ですね」とコメント。yunocyさんも「諦めないことが大事ですね」と、夢に向かう人にエールを送った。
今、様々な業種で最前線で活躍している人たちも、昔は苦労することがあったり、さまざまな経験を重ねて今に至っているということがわかるスペシャルトークステージだった。あとは登壇者全員、今でもゲームが大好きなんだなということが伝わる内容だった。
ゲストと一緒にApex Legendsをプレイ!
5日と6日の両日に実施されたのが、「来場者参加型!超大物ゲストとAPEXをプレイ!」。5日には伊織もえさんとJadeiteのRegalia選手、埼玉かぴばら選手、GURAN34選手が、6日には、yunocyさん、芦澤さんと一緒に、ステージ上で「Apex Legends」をプレイし、チャンピオンになれば豪華景品がもらえた。
イベントでは、抽選で選ばれた参加者とゲストがステージ上でカジュアルマッチをプレイ。実況は岸大河さんがつとめ、5日はプレイしていないゲストが、そして6日には飛び入りで普段から本作をプレイしているという、NVIDIAのPeter Chen氏が解説として登場した。
5日は、まず伊織もえさんと埼玉かぴばらさんと参加者チームで挑戦。しかし、序盤で敵チームと出会ってしまい、すぐに倒されてしまった。続いては、GURAN34選手とRegalia選手と参加者チームで挑戦し、こちらは最終円まで堅実に立ち回り、見事チャンピオンとなった。
6日目は、2戦ともyunocyさん、芦澤さんが参加者と一緒にプレイ。残念ながら2戦ともチャンピオンには至らなかったが、特別なメンバーと特別なステージでプレイできたことに対して、参加者もとても楽しかったと口をそろえていた。
ステージイベントの最後には、じゃんけん大会も実施。じゃんけんに勝つと豪華賞品が手に入るだけに、ステージ前には溢れんばかりの人が集結。イベントの最後にふさわしい、大盛り上がりの大会となった。
担当者から直接製品の魅力が聞ける、メーカーのステージ企画も!
以上のようにゲストが登場するステージイベントのほかに、各メーカー担当者が製品についての紹介や最新情報をお届けするステージ企画も実施。インテルやAMD、NVIDIAを始め、各マザーボードメーカーや半導体メーカーが数多く登場した。
ステージでは最新の製品や情報について紹介されたほか、ほとんどの登壇者がステージ登壇後は自身のメーカーのブースに戻るため、ステージで話を聞いたあとに、直接ブースに気になったことを聞きに行っている人も多かった。メーカーの担当者から直接情報を仕入れて、さらに直接話せる機会は、こういったオフラインイベントならではだなと感じた。
そのほか、各ブースにはメーカーイチオシの製品はもちろん、コンセプトモデルだったり、日本未発売モデルだったりといった、レアなアイテムも展示されていた。また、各ブースではTwitterフォローといった条件つきでノベルティーも配布しており、無料で入場できるうえに色々ともらって帰ることも可能だった。加えて、秋葉原の店舗を巡ってお買い物をすることで豪華景品が当たるスタンプラリーも実施。PCパーツメーカーが一堂に会したイベントだけあって、まさに豪華景品と感じる製品が用意されており、多くの参加者がスタンプラリーに参加していた。
メーカーも、参加者も自作PCパーツという好きな共通点のある人達が集まったことで、2日間をとおして全体的に和気あいあいとしている印象のイベントだった。自作の知識をまだまだ持っていない人でも、なるほどと思える情報もあったり、詳しい人は詳しいメーカーの人ととことん会話できるという、さまざまな自作erが楽しめるイベントだといえるだろう。
多くの自作erが楽しんだASK★FES 2022。ぜひ、2023も実施してほしい。
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