iPhoneやGalaxy、あなたのスマホに最適な外部ストレージを探せ! microSDやSSDの転送速度で検証
ASCII.jp / 2022年11月18日 11時0分
スマホで動画を撮影することが日常となって以降、スマホの内蔵ストレージ不足問題も日常的に発生するようになっている。多くのスマホメーカーは、そういった状況に対応すべく、内蔵ストレージの容量を増やすようになっているものの、動画も4Kや8K、60fpsや120fpsなどで撮影できるため1ファイルあたりの容量が増加し、ストレージの拡大がなかなか追いついていないのが現状だ。
そこで重要となるのが、大容量の動画データなどを外付けSSDやmicroSDカードなどの拡張ストレージに保存するという方法である。
過去にも同様の内容を取り上げたことは何度かあるが(スマホで肥大化する大容量データを外付けSSDに逃がすのが思いのほか便利だった件(2022)、モバイルデバイスの外付けSSDに最適! 堅牢性が増したSamsungの「T7 Shield」に注目)、今回はスマホごとに最適な拡張ストレージの選び方を紹介する。
iPhoneで最もオススメなのが 「Lightning - SDカードカメラリーダー」の利用
スマホ用の拡張ストレージを選ぶ場合に重要となるのが、自分が使っているスマホでどういった種類の拡張ストレージが使えるのかをしっかり把握する、という点だ。
まずiPhoneの場合は、利用できる拡張ストレージがかなり限られる。それは、iPhoneにはmicroSDカードスロットが用意されないことと、接続端子に独自規格のLightningを採用しているからだ。そのため、拡張ストレージとして広く利用されている、microSDカードやUSB接続のポータブルSSD、USBメモリーなどをそのままでは接続できない。
そのような拡張ストレージをiPhoneで利用するには、接続端子をLightingに変換する変換アダプターや変換ケーブルを利用することになる。直接接続できないため少々手間がかかることがデメリットだ。また、やや割高ではあるがLightning端子を備えるUSBメモリーも存在するので、そちらを利用してもいいだろう。
これらの方法の中で一番オススメしたいのが、「Lightning - SDカードカメラリーダー」だ。こちらも変換ケーブルを利用するという方法ではあるが、Appleの純正アクセサリーなのでiPhoneでの動作に不安がないという点が、オススメする最大の理由。
比較的安価なSDカードを利用できるという点も大きい。SDカードやmicroSDカードは、近年容量単価が大きく下がっているため、容量あたりのコスパが非常に良い。また、SD/microSDカードであれば、ほかのスマホやPC、デジカメなどでも利用できる汎用性も大きな魅力。
ちなみに、将来的にはiPhoneでも接続端子にUSB Type-Cの採用が確実視されているがどのような仕様になるのかは明らかにされていない(充電専用やUSB 2.0の可能性もある)。後ほどAndroidスマホでの検証の際にも触れるが、最低限USB 3.2 Gen1 (5Gbps)には対応してほしいところだ。したがって現時点ではLightning - SDカードカメラリーダーの利用がベストといえる。
Androidスマホで使うなら microSDカードスロットの有無をチェック
Androidスマホは、以前より拡張ストレージとしてmicroSDを利用できる製品が多く存在しており、容易に内蔵ストレージ容量を拡張できる手段として広く利用されてきた。ただ近年は防塵仕様に対応したり、コストダウンなどの影響もあってか、microSDカードスロットを省いた製品も増えている。したがって最初に確認しておきたいのが、microSDカードスロットの有無だ。
microSDカードスロットがあるスマホなら、microSDカードを利用した拡張が最も簡単な手段となる。スマホにmicroSDカードを装着したうえで、カメラアプリで撮影する写真や動画の保存先をmicroSDカードに設定しておけば、内蔵ストレージの容量を減らすことなく写真や動画を保存できる。そして、microSDカードの容量がなくなってきた場合には、新しいmicroSDカードと交換してもいいし、microSDカードを取り出してPCなどにデータを待避すればいいので、非常にお手軽だ。
それに対し、microSDカードスロットがないスマホでは、ポータブルSSDやUSBメモリーなどUSB接続の拡張ストレージの利用が基本となる。この場合には、用意したポータブルSSDやUSBメモリーをスマホのUSB Type-Cコネクタに接続し、ファイルアプリなどを利用して写真や動画データを転送することになる。
なお、スマホのUSB Type-Cの仕様だが、形状はUSB Type-Cで同じであっても、USB 2.0対応だったり、USB 3.0/3.1対応だったりと、製品によって仕様が大きく異なっている。そして、その違いによってデータ転送速度が大きく違ってくる。
USBの仕様ごとのデータ転送速度をまとめたのが下の表だ。これを見るとわかるとおり、USB 2.0とUSB 3.0以降とでは、データ転送速度にかなり差があることがわかる。近年のスマホでは、ハイエンドはUSB 3.0/3.1対応のものも増えているが、ミドルクラスのものだとUSB 2.0対応のモデルまだ多く存在している。自分が使っているスマホのUSB Type-Cがどの仕様に対応するかは、メーカーが公表している製品の仕様表などで確認できる。
とはいえ、USBは互換性が保たれており、仕様に関係なくポータブルSSDやUSBメモリーを接続して利用できる。たとえば、USB 2.0対応のスマホであっても、USB 3.0/3.1対応のポータブルSSDやUSBメモリーを接続して問題なく利用できるので、その点は安心だ。
iPhoneのLightingはUSB 2.0相当の速度しか出ないため データ転送に時間がかかる
ここからは、実際にiPhoneとmicroSDカードスロット非搭載のAndroidスマホ、microSDカードスロットを搭載するAndroidスマホを用意し、拡張ストレージを利用して内蔵ストレージに保存されているデータをどの程度の時間で転送できるか見ていこう。
用意したスマホは、「iPhone 12 Pro Max」、microSDカードスロット非搭載のAndroidスマホ「Galaxy Z Fold4」、microSDカードスロット搭載のAndroidスマホが「Xiaomi Redmi Note 11 Pro 5G」だ。
また拡張ストレージとしては、ポータブルSSD「T7 Shield 1TB」と、microSDカード「EVO Plus 256GB」、そして「USBメモリ Type-C™ 256GB」を用意した。
そして、それぞれのスマホの内蔵ストレージに、あらかじめ用意した動画データを保存しておき、その動画データを拡張ストレージに転送する時間をストップウォッチで計測した。用意した動画データのデータサイズは約14GB。転送には、それぞれのスマホに用意されている標準のファイル操作アプリを利用し、ストップウォッチで3回計測した平均を出している。
まずはiPhoneから。先に紹介したように、iPhoneではAppleが発売する「Lightning - SDカードカメラリーダー」の利用がオススメということで、今回はLightning - SDカードカメラリーダーに、EVO Plus 256GBを付属のSDカード変換アダプターに取り付けた状態で検証した。結果は以下の表のとおり。
用意したmicroSDカードのEVO Plus 256GBは、一般的なベンチマークで90MB/s前後の書き込み速度が出ているのだが、iPhoneからの転送は約6分20秒(約37MB/s)と非常に時間がかかった。この最大の理由は、iPhoneのLightning端子のインターフェース速度がUSB 2.0と同等の480Mbpsしかないためだ。その意味では、USB 2.0の実効速度としては標準的な数字と言えるだろう。
もちろん、拡張ストレージとしての利用はまったく問題がなかったので、本来の目的を十分果たせるのは間違いない。ただ、大量の写真や動画データを転送するにはかなりの時間が必要となる。そのため、ある程度時間に余裕があるときや、寝る前などに転送を開始するなどの対応が必要だろう。
Galaxy Z Fold4はUSB 3.2 Gen1対応のため 高速な転送が可能
次にGalaxy Z Fold4だ。Galaxy Z Fold4にはmicroSDカードスロットがないため、今回はポータブルSSDのT7 Shieldと、USBメモリ Type-C™で検証した。結果は以下の表のとおりだ。
これを見るとわかるように、USBメモリ Type-C™利用時には約3分46秒かかっているのに対し、T7 Shield利用時にはわずか37秒で転送が終了した。この差は、拡張ストレージの書き込み速度の差によるものだ。
今回用意したUSBメモリ Type-C™はUSB 3.0対応で、読み出し速度は比較的速いものの、書き込み速度は読み出しに比べてかなり遅い。これは一般的なUSBメモリーでよくあることで、コストを抑えるために書き込み速度がやや犠牲になっているからだ。
それに対し、T7 ShieldはPCの内蔵ストレージとしても広く利用されている高速なPCIe/NVMe SSDをベースとしており、データ転送速度は読み込み最大1050MB/s、書き込み最大1000MB/sと、ポータブルSSDとしてはトップクラスの速度を誇っている。そのため、Galaxy Z Fold4から高速にデータを転送できたわけだ。
とはいえ、その速度は約378MB/s程度で、本来の速度は引き出せていない。ただこれは、Galaxy Z Fold4のUSB Type-CはUSB 3.2 Gen1準拠となっているからである。
先に紹介したように、USB 3.2 Gen1のインターフェース速度は最大5Gbps、実効速度としては450MB/s程度だ。今回の検証での実測値約370MB/sは、USBの仕様的には申し分ない速度が引き出せていることになる。
価格はUSBメモリーのほうが圧倒的に安価だが、実際に使ってみると、これだけデータ転送を高速にできるのは非常に便利だと感じる。それも、データが多ければ多いほどその差が大きくなるので、価格分のメリットは十分にあると言っていいだろう。
Redmi Note 11 Pro 5Gでは microSDカードの利用がベスト
最後にシャオミのRedmi Note 11 Pro 5Gだ。こちらはSIMカードトレイにmicroSDカードスロットが用意されているため、microSDカードのEVO Plus 256GBをmicroSDカードスロットに装着して計測。また、ポータブルSSDのT7 Shieldも接続して転送時間を計測してみた。結果は以下の表のとおりだ。
結果を見ると、いずれも思ったほど高速ではないことがわかる。まずEVO Plus 256GBだが、転送時間は4分37秒、転送速度は約50MB/sだった。一般的なベンチマークでの書き込み速度が90MB/s程度なので、少々物足りない印象だ。
この原因としては、Redmi Note 11 Pro 5GのmicroSDカードスロットの速度にあるものと考えられる。Redmi Note 11 Pro 5GのmicroSDカードスロットの仕様については公開されていないものの、今回検証した結果から、おそらくUHS-I SDR50もしくはDDR50対応となり、データ転送速度が最大50MB/sとなっているからだろう。それなら、検証結果と速度が合致するため、納得がいく。
ただ、実際に利用する場面では、この速度で十分とも言える。それは、microSDカードスロットを備えるスマホの場合には、写真や動画を直接microSDカードに保存できるため、わざわざ撮影後にデータを転送する必要がないからだ。しかも、書き込み速度が50MB/s前後あれば、大容量の4K動画も問題なく撮影して保存できる。そのため、Redmi Note 11 Pro 5GのようにmicroSDカードスロットの備わるスマホでは、はじめからmicroSDカードを装着して利用するのがオススメだ。
それに対し、T7 Shieldへの転送時間は6分12秒と非常に遅かった。これは、Redmi Note 11 Pro 5GのUSB Type-CがUSB 2.0準拠だからだ。これではせっかく高速なポータブルSSDもまったく実力が発揮できないのはもちろん、USBメモリーもあまり使い勝手が良くないだろう。そういった意味でも、Redmi Note 11 Pro 5GではmicroSDカードの利用がベストだ。
自分のスマホに合った拡張ストレージで 内蔵ストレージ容量不足を解消しよう
今回検証してわかったように、利用しているスマホによって、利用すべき拡張ストレージが変わることがよくわかってもらえたと思う。iPhoneは接続コネクターがLightningということでやや制約が多いが、USB Type-Cを備えるAndroidスマホも、microSDカードスロットの有無やUSB Type-Cの仕様の違いで、利用すべき拡張ストレージの選び方が変わってくる。
自分のスマホの仕様をしっかり確認したうえで、ベストな拡張ストレージを選んでもらいたい。そして、今回の記事がその一助になると幸いだ。
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