FCNTの法人向けスマホ「arrows BZ03」は5Gに対応し使い勝手も進化した
ASCII.jp / 2022年11月18日 11時0分
FCNTが法人向けスマートフォンの新モデル「arrows BZ03」を発表しました。「arrows BZ」シリーズで初めて5G(第5世代移動通信システム)に対応したモデルで、2023年1月に発売されます。その発売に先駆けて実機に触れられる機会を得たので、端末の特徴や使用感をレビューしたいと思います。
なお、arrows BZ03は法人向けではありますが、Amazon.co.jpでもSIMフリーモデルとして販売を予定しており、個人で購入可能です(前モデルは販売中)。余計なアプリがバックグラウンドで動作するのを極力避けた仕様となっており、対応バンドも主要キャリアのものが使えるので、SIMフリースマホとして個人でも普通に使えることを先にお伝えしておきます。
最大のメリットは5Gへの対応
arrows BZ03の最大の特徴は、FCNTの法人向けスマホとして初めて5Gに対応したこと。全国で広がっている5Gエリアで超高速・低遅延の通信を利用でき、さらに企業などがプライベートネットワークとして構築するローカル5Gにも対応しています。また、現行の「arrows BZ02」でサポートしているsXGP(4Gを用いるローカルの通信方式)に加えて、地域・自営のBWA(2.5GHz帯を利用する広帯域移動無線アクセス)にも対応。大規模施設内での内線電話などにも利用できる仕様になっています。
5Gの対応バンドはn3、n28、n77、n78、n79。国内の全キャリアに対応し、ローカル5Gにも用いられる(公衆網としてはドコモだけが利用の)n79にも対応しています。なお、SIMスロットには1枚のnanoSIMしか装着できませんが、eSIMを搭載しているので、DSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)で使うことも可能。通話用とデータ通信用の回線を使い分けたり、公衆回線とsXGPによる内線を同時に使ったりすることもできます。
持ちやすいサイズ感で ケースなしで使っても安心
arrows BZ03は、昨今のスマホとしては「比較的コンパクト」といえるサイズ感。約5.7型の液晶ディスプレーを搭載し、サイズは約71×147×9.4mmで、重さは約172g。ほとんどのアプリは片手で楽に操作できます。
本体の右側に電源キーと音量キーを搭載。左側にSIMとmicroSDのスロットを備えています。上部には3.5mm穴のイヤホンジャック、下部にUSB Type-C接続端子という、ベーシックなレイアウト。内蔵スピーカーはモノラルです。
指紋センサーは背面パネルに搭載されています。背面パネルはマットな質感で、指紋が付着しにくい印象。エッジが丸みを帯びているので、手になじみやすいことも魅力。IPX5/IPX8の防水性能、IP6Xの防塵性能に加えて、米国国防総省の資材調達基準であるMIL規格の23項目に準拠するタフネス性能を備えていることも利点。業務用のスマホは、ケースに入れずに使うことも多いようですが、堅牢性に優れたarrows BZ03は、ケースを付けなくても安全に快適に使えるのです。
大ヒットモデル「arrows We」との共通点も
arrows BZ03を手にすると、どこかで触れたことがあるように感じました。どうやら、ハードウェアは昨年12月に発売されて以来、ロングヒットを続けている「arrows We」と共通しているようです。持ちやすさや操作のしやすさは、arrows Weと同等と言って差し支えないでしょう。
arrows BZ03は、arrows Weと同じように泡タイプのハンドソープや食器用洗剤で洗うことが可能。作業現場などで付着した汚れをきれいに落とせます。また、アルコール除菌に対応しているので、複数人で使うことがあったとしても安心。さらに、病院や食品を扱う現場などでも安心して使えるように、イソプロピルアルコール(99.7%)、エタノール(99.5%)、次亜塩素酸ナトリウム(1.0%)による拭き取りもできるそうです。
スペックは控えめだが、ビジネスに役立つ機能が充実
OSはAndroid 12。CPUはSnapdragon 480 5G(2.0GHz + 1.8GHz オクタコア)で、メモリーは4GBで、ストレージが64GBという構成。一般向けのスマホではエントリーもしくはミドルクラスに位置づけられる仕様ですが、業務用スマホとしては十分。基本アプリはサクサクと操作できました。
3520mAhの大容量バッテリーを搭載し、電池は余裕で1日持つ印象。また、電池寿命をより長くする技術を搭載し、3年間使い続けたとしても劣化しにくいことが特徴です。
業務用のスマホはWi-Fi接続で利用することも多いでしょうが、「Wi-Fiハンドオーバー」という機能を搭載していることも特徴。移動しながらWi-Fi接続で通話をした場合に、接続中のWi-Fiアクセスポイントから離れて、電波が弱くなった場合に、より強い電波でつながる別のWi-Fiアクセスポイントに切り替わり、安定した品質で通話を続けられるという機能です。さらに音声通話では、通話相手がマスクを着けていても通話音声を聞こえやすくする「マスク通話モード」、相手にはっきり聞こえるようにする「はっきりマイク」も備えていて、電話機能をよく使う人には便利です。
ロック画面から素早く起動できる「FASTメモ」、よく使うアプリを素早く起動できるように設定できる「スライドインランチャー」など、一般向けのarrowsでおなじみの便利機能も使えるので、arrowsユーザーなら違和感なく使えるでしょう。
前モデル「arrows BZ02」のほうが優れている部分も
arrows BZ03は、2021年8月に発売された「arrows BZ02」の後継モデルですが、置き換えではなく、BZ02もラインナップの一つとして販売が続けられます。BZ03とBZ02はどこが違って、BZ03はどこが進化したかもチェックしてみました。
最大の違いは、言うまでもなく通信機能が強化されたこと。BZ02は4Gまでの対応ですが、BZ03は最新の5Gに対応し、下り最大1.9Gbps、上り最大218Mbpsの高速通信を利用できます。それに伴い、5G向けのプロセッサーに変更されたため、処理速度も向上しています。
ディスプレイはBZ02が約5.6インチ(720×1480ピクセル)だったのに対して、BZ03は約5.7ドット(720×1520ドット)と、わずかにサイズアップしました。ただし、BZ02が有機ELディスプレーであるのに対して、BZ03はTFT方式の液晶ディスプレー。BZ03も明るく見やすく表示されますが、より輝度が高く、高コントラストで表示されるBZ02の画質を好む人が多いかもしれません。
アウトカメラはBZ02は約1310万画素のシングルカメラでしたが、BZ03は約1310万画素の広角カメラに約190万画素のマクロカメラが追加され、デュアルカメラに進化しています。ただし、インカメラの仕様は、約800万画素(BZ02)から約500万画素(BZ03)へと少し控えめになっています。
BZ03がnanoSIM+eSIMのデュアルSIMに対応していることは先述しましたが、BZ02はeSIMには対応していません。カードスロットにnanoSIMを2枚装着できますが、2枚目のSIMはmicroSDとの排他利用になっています。そのため、microSDカードを装着した場合はデュアルSIMは使えません。
実は、BZ02にあってBZ03にないものもあります。BZ02にはストラップホルダーがありますが、BZ03にはありません。ネックストラップを着けて、首や肩からぶら下げて使いたい場合にはBZ02が魅力です。5Gを必要としないのなら、BZ02を検討する価値がありそうです。
1年が一般的なメーカー保証期間だが arrows BZシリーズは3年保証
arrows BZシリーズは、業務で使うために必要なアプリのインストールや、逆に不要なアプリや機能を削除するなどのカスタマイズにも対応してもらえます。導入後のサポートサービスも提供されており、一般的にメーカー保障は1年間が主ですが、arrows BZシリーズは3年間の長期保障を提供しています。
また、自然故障に加えて、落下・水没・火災・落雷などによる破損・故障においても3年間、負担金なしで修理してもらえる「ワイド保証サービスZERO」にも加入できます。3年間、安心して使い続けられることも、arrows BZ03のメリットといえるでしょう。
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