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PC向けCPUやARグラス、スマートウォッチも! クアルコムが示す“スマホを超えるもの”

ASCII.jp / 2022年11月18日 10時0分

スマホを超えるものは出るのか!? スマホ以外の新プラットフォームも発表

 11月15~17日(現地時間)の3日間に渡ってクアルコムが開催した「Snapdragon Summit」。16日の基調講演では、「Beyond Smartphone」(スマートフォンを超えるもの)をテーマに、ARグラスやスマートウォッチ用のプラットフォームが発表された。さらに、クアルコムが買収したヌビアが設計する、新たなCPUの名称が明らかになった。

基調講演2日目のテーマは、Beyond Smartphone。ARグラス、PC、スマートウォッチ、イヤホンと、多種多様な製品や協業体制が発表された

 薄型、軽量のARグラスに特化したプラットフォームとして発表されたのが、「Snapdragon AR2 Gen 1」だ。同プラットフォームは、メインのプロセッサーと対になるコプロセッサーを採用しており、前世代と比べて基盤面積で40%の小型化に成功。消費電力も50%カットした。小型化で省電力という特徴を生かし、スマートフォンと連携するメガネ型のARグラスへの採用を狙う。

薄型、軽量なARグラスに特化したSnapdragon AR2 Gen 1を発表
これまで、同社のXR向けプラットフォームは、AR、VR、MRをまとめて対象にしていた。Snapdragon AR2 Gen 1は、これらとは異なり、ARに特化している

 メインプロセッサーには、CPUやメモリーに加え、画像を処理するためのISPである「Spectra」や、ディスプレーの描画や動画を再生するためのGPUである「Adreno」を搭載。DSP(Digital Signal Processor)の「Hexagon」も備える。これと連動するコプロセッサーは、センサーとカメラをアグリゲーションするエンジンや、AIアクセラレーターを搭載。両者が連携することで、アイトラッキングや手の検出などを行なう。

ARプロセッサーとコプロセッサーが連携する仕組みで、小型化や省電力化を実現した

 パートナー企業には、レノボ、LG、Nreal、OPPO、Pico、Rokid、TCL、Tencent、Vuziz、Xiaomiに加え、ドコモが設立したXRを専門に事業化するNTTコノキューやシャープの名前が挙がっていた。これに加え、「Pokémon Go」などでおなじみのNianticも、開発中のデバイスの写真を披露している。このARグラスにも、Snapdragon AR2 Gen 1が内蔵されているという。

エコシステムとして紹介されたメーカーの中には、設立されたばかりのNTTコノキューが名を連ねていた
Nianticが開発しているARヘッドセット。屋外での利用を想定している

「Pokémon Go」でおなじみのナイアンテックも合流

 基調講演には、NianticでARヘッドセットの開発を率いるMaryam Sabour氏が登壇し、「クアルコムと提携することで、2023年にはSnapdragon Space(SnapdragonのXRプラットフォームのこと)やXR開発プラットフォームとの互換性を実現し、(Nianticの)Lightship VPS技術の機能をヘッドセットに拡張していく」と語った。

NianticのSabour氏が、Lightship VPSのSnapdragon対応を明かした

 Lightship VPSとは、カメラの画像を使い、現在地やユーザーが向いている方向を測位するシステムのこと。正確なARコンテンツの表示に活用でき、日本でも主要都市に導入されている。クアルコムのXRプラットフォームに統合することで、「すべてのSnapdragon Space対応デバイスで利用可能になり、コンテンツを作成する開発者と新しいデバイスで参入するメーカーの摩擦を減らすことができる」(Sabour氏)という。

PC向け新CPUの名は「オライオン」に

 また基調講演では、クアルコムが開発中の新CPUが2023年に投入されることが明かされた。新たなCPUの名称は「QUALCOMM ORYON(オライオン) CPU」。主にPCなど、高い処理能力を求められるデバイスへの搭載を想定して開発を進めているものだ。この開発に先立ち、2021年にクアルコムは元アップルの開発者が設立したスタートアップのヌビアを2021年に買収。そのヌビアの技術を応用したCPUが、ORYONになる。

クアルコムが新たに開発するORYON。その名称が明かされた

 ORYONは、アップルがMacやiPadに採用するMシリーズに対抗することを狙っていると言われており、当初のターゲットはPCを想定しているようだ。開発をリードし、ヌビアから合流したエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのGerard Williams氏は、「新時代にふさわしいパワフルで効率的なパフォーマンスを実現したクラス最高のCPUで、業界に革命をもたらす」と語る。当初は、PCが中心になりそうなORYONだが、スマートフォンなどのモバイルデバイスやXRデバイスなどにもカテゴリーを広げていく予定だという。

Gerard Williams氏は、アップルでチップセットの開発に従事したあとスタートアップを設立。その会社がクアルコムに買収され、CPUの開発をしている

 PC向けのプラットフォームは、昨年の同イベントで「Snapdragon 8cx Gen 3」を発表していたが、今回は新製品が発表されていない。代わりに、基調講演にはマイクロソフトやアドビの幹部が登壇した。PC向けのプラットフォームでは、AIアクセラレーション機能を発表。Windows 11の「Windows Studio Effect」に対応し、ビデオ会議のノイズキャンセリングなど、オンデバイスAIを駆使した機能が、Snapdragon搭載PCで利用できるようになることが明かされた。

スマートフォン向けプラットフォームで培ったAIのノウハウは、Windowsにも活かしていく方針

新しいSnapdragon Soundで さらなる音楽体験が

 ほかにも、クアルコムはワイヤレスイヤホン向けの「Qualcomm S5 Gen 2」「Qualcomm S3 Gen 2」を発表している。後者はBluetooth LE Audioやダイナミックヘッドトラッキングを利用した空間オーディオに対応する。

Snapdragon Soundに対応したイヤホン向けチップセットも発表

 クアルコムのシニアバイスプレジデント、Alex Katouzian氏は「我々が持ち歩き、使用するデバイスは今後も増え続け、日々の生活をより豊かにしてくれるでしょう。Snapdragonは、このインテリジェントに接続された世界の中心になる」と語る。2日目に発表された豊富な製品バリエーションは、その言葉を裏付けているかのようだ。スマートフォン市場が飽和しつつある中、同社が次の一手を模索している様子がうかがえた。

クアルコムのシニアバイスプレジデント、Alex Katouzian氏

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