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マニアじゃないのに極小親指サイズに感動したゲーム機「Thumby」を衝動買い

ASCII.jp / 2022年11月24日 12時0分

友人宅のBBQパーティーで実物を見て、そのウルトラコンパクトなサイズと実際の動作にハマって、翌週に衝動買いしてしまった

 元某編集長宅のBBQの席で自慢されてしまった、なんちゃってゲームボーイのようなレガシーな超小型ゲーム機にハマってしまった。ゲーム機の名前は「Thumby」(サムビー)。英語では手の親指以外の指はすべて〇△□フィンガーだが親指だけは「サム」と少しこだわりがあるようだ。

 世界初のUSBメモリーも、その昔TREKが名付けたThumbDriveというのが今も残っている。SNSのFACEBOOKで、「いいね!」を表現する親指を立てた「Thumbs-Up」も同様だ。そんな米国人のこだわりある、親指の第一関節にピッタリサイズのハンディゲーム機が「Thumby」だ。

親指の第一関節サイズ以下のThumby

 クラウドファンディングでスタートし、動画サイトやSNSであっという間に広がったThumbyを企画販売するのは、米国オハイオ州に本拠を置く「TinyCircuits」(タイニーサーキット)と呼ばれる企業だ。オープンソースエレクトロニクスをコアに、ゲーム機からIoT系のプロダクトまで多数手がけ、世界中にファンがいる。

Playable Programmable KeychainというタグワードのThumbyはTinyCircuitsの商品だ
パッケージ裏面にはThumbyのスペック概要が記載されている

 なんといっても、親指サイズのウルトラコンパクトデザインに、惹かれた人は多いだろう。筆者もその中のひとりだ。初めて見た時は、ガシャポンのジャンルの中の1つである、動作しないミニチュアカテゴリーのゲーム機モックアップかと思ってしまった。

非動作モックアップモデルのガシャポンとして売られていそうなイメージだ

 本体サイズは29.5×18×8.5mm、重さ4.8g(実測)。Raspberry Pi Pico RP2040 プロセッサーを採用し、メモリー容量は2MBだ。72×40ドットのモノクロOLEDディスプレーを搭載。内蔵電池は、容量40mAhのRechargeable LiPo Batteryで、最大で2時間くらいゲームで遊ぶことができる。

29.5×18×8.5mm、重さ4.8g(実測)は、ポケットに入れていることを忘れて洗濯してしまいそうだ。本体上下にmicroUSBポートと電源オン/オフスイッチがある。キーチェインも付属する。充電ケーブルと比較するとThumbyは驚くほど小さい

わずか親指サイズの本体に コントロールボタンやMicro USBポートまで装備

 本体上部には、電源オン/オフスイッチ。本体にブザー(スピーカー)を内蔵し、バッテリーの充電と2台のThumbyを繋いで、マルチプレイヤーゲームをするために、本体底部にはMicro USBポートを1個備えている。専用ケーブルのThumby Link cableも販売されている。本体ストレージには、出荷時にAnnelid、SaurRun、SpaceDebris、Tennis、Thumgeon、TinyBlocksの6種類のゲームがプリインストールされている。

 実際に筆者と家族は、プリインストールされているすべてのゲームをプレイしてみた。久し振りに遊んだ1970年代のテニスゲームや1980年代のテトリス風ゲームは、そのシンプルさと懐かしさでいまごろまたハマってしまった。もちろんゲームをプレイするのは、親指ではなく両手の親指の爪先だ。

プリインストールゲームのいずれもが、古くからのゲームユーザーなら一度は見たことがありそうなモノだ。操作は大変そうに見えるが、慣れとは恐ろしいモノだ。爪先でコントロールボタンを押す感じだ。しかし、老眼だけは事前の対策が必要かもしれない

 時代と共にストーリーが複雑化し、体感タクタイルを取り込み、グラフィックスがよりリアルに成長したコンピュータゲームはそれなりに迫力があり楽しいが、シンプルで単音のコンピュータゲームも楽しいものだ。悪ノリでブラウザーで遊べるTiny Game向きのビデオゲームを、EIZOの37.5インチ大型曲面モニターで遊んでみたら予想外に楽しかった。

72×40ドット程度の極小スクリーンで遊ぶゲームを、デッかいワイドな液晶モニターで遊んでみるのもまた楽しくなってくる
充電だけではなく、データ転送をサポートしているmicroUSBケーブルでパソコンとを接続しThumby Code Editorアプリを起動すると、Thumbyの液晶画面にも「Thumby Code Editor」と表示されパソコンとの間でコミュニケーションできるようになる

MicroPythonでオリジナルゲームの開発も可能

 さてThumbyのもうひとつ楽しいところは、パソコンとThumbyをUSBケーブルで接続してMicroPythonでオリジナルゲームを開発することができることだ。残念ながら超文系の筆者にはハードルが高い。しかしそういうユーザーには、Thumbyウェブサイトにあるコミュニティで、ほかのユーザーが開発したゲームアプリを自分のThumbyのインストールして楽しむことができる。

 まずはThumbyとパソコンをmicroUSBケーブルで接続する。必ずデータ通信をサポートしているケーブルが必要だ。microUSBケーブルのなかには、充電だけを目的としたケーブルも多いので通信が上手くいかない時は、ケーブルのスペックを疑った方がよいかもしれない。

 

 ケーブル接続ができたらウェブブラウザー(筆者はChromeを使用)で、専用エディターである「Thumby Code Editor」(https://code.thumby.us/)を起動することでThumbyとパソコンを有線接続し、Thumbyの操作が可能となる。専用エディターを起動後、いつまで待っても画面左端のウィンドーに「Waiting for connection・・・・」と表示されたままの場合は、microUSBケーブルを替えてみることだ。

 専用エディター起動後の画面構成は、4つのウィンドーが表示される。左側は「ディレクトリー」ウィンドーで、Thumby内のファイルのディレクトリーを表示する。中央の一番大きなウィンドーは「テキストエディター」で、MicroPythonのプログラムコードの表示・入力・修正などをする。そして右上は「シェル」で、現在のThumbyとの接続状態やログ、システムとの対話、ヘルプなどを表示する。最後になるが、右下のThumbyが表示されたウィンドーは、「Thumbyエミュレーター」だ。テキストエディター画面に表示された、MicroPythonスクリプトの実行画面を見ることができる。

Thumby Code Editorのパソコン側画面。ディレクトリー、テキストエディター、シェル、エミュレーターの4つのウィンドーが表示される

 今回はThumbyウェブサイトに登録されているプリインストールゲーム以外のアプリをダウンロードして、Thumbyにインストールし起動した。昔懐かしいAMIGA 500のデモソフトのような雰囲気の「Journey3Dg」という3Dグラフィックスデモアプリが、おもしろそうだったのでダウンロードしてThumbyに追加してみた。実際の雰囲気は動画をご覧いただきたい。

Thumby Code Editorのメニューの中から「ARCADE」を選択し、お好みのフリーアプリをダウンロードして自分のThumbyにインストールできる。原稿執筆時点で60近いアプリが登録されている
 

昔から小さなゲーム機が大好きな筆者だが、Thumbyはブッちぎりのウルトラコンパクトだ

ブッちぎりのウルトラコンパクトThumbyは 目的のゲームが起動するとさらなる感動が生まれる!

 親指サイズのThumbyは、数値スペックを聞いてもほかのモノとの比較写真を見ても、その小ささは頭では十分理解できる。しかし、実際に実物を自分の指先で取ってみると、それらとは別の感覚で本当の小ささと軽さが実体感できる商品だ。そして爪先で電源を入れ、目的のゲームが起動するともうひとつ別の感動がある商品だ。

 四半世紀ほど昔、IBM ChipCardというパソコンとリンクできる電卓カード型8Bitコンピュータの商品企画をしたことがあったので、今回のThumbyには終始惹かれまくりだった。今は普段使いのブリーフケースにぶら下げて、会う人ごとに自慢しているが、老眼系の多い筆者の友人たちには、残念ながら十分楽しんでもらうことができないでいる。

普段使いの鞄の持ち手に付けて、会う人ごとに自慢している

 一番残念なのは、Thumbyの構成要素だけを見る限り、現在なら世界中の誰でもが作れてしまえそうなハードウェアとソフトウェアなのだが、日本では誰もが作れなかったという残念な現実だ。同じように、国内のクラウドファンディングを眺めて見ても、その多くは海外で成功した製品の二番煎じか、大手メーカーのテストマーケティング的クラファンばかりだ。日本でもThumbyのような、とんでもないモノを世界初に企画する奇人が登場してくれることを期待したい。

 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:TinyCircuits「Thumby」 ・購入:Amazon.co.jp ・価格:4700円(10月25日時点)

T教授

 日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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