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最新のZ790をDDR4メモリ対応マザーにしてコストを抑えたいゲーマーへ向けたMSI「MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4」

ASCII.jp / 2022年11月26日 11時0分

 PCI Express 5.0やDDR5、バスが高速化したことで昨今のマザーボードは少々高め。そうなると旧PCのパーツを使いまわして少しでもコストを抑えつつプラットフォームからアップグレードを図ろうというプランも現実的になってくる。今回紹介するのはメモリにDDR4を採用するMSI「MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4」だ。

MSI「MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4」実売価格は4万6000円前後

DDR4メモリ対応マザーでコストを抑えたいゲーマーへ

 MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4は、製品名のとおりDDR4メモリを採用している。兄弟モデルの「MAG Z790 TOMAHAWK WIFI」はDDR5モデルなのでいずれも購入時、要注意したい。MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4の実売価格は4万6000円前後。DDR5のMAG Z790 TOMAHAWK WIFIと比べ、1万円程度安い。その上で、旧PCからDDR4メモリを使い回せる方ならシステムトータルでさらにコストを抑えられる。

メモリスロットの裏側。DDR4対応なので、DDR5モデルで求められる表面実装(SMT)ではなく、これまでどおりピンが貫通している

 4万6000円前後という価格は安くはない。ただ、Intel Z790マザーボード自体、エントリーモデルでも3万4000円程度するので、エントリーとメインストリームという価格差では適正と言える。TOMAHAWKはメインストリーム向けゲーミングモデル。電源回路は長時間にわたるゲームプレイを見据えて余裕を持たせ、2.5GbEや高速USBも装備、ストレージも豊富だ。DDR4メモリの流用でコストが抑えられる分を、高機能で安定性も重視したメインストリームクラスのマザーボードに投資すると思えばよいのではないだろうか。

ゲーミングの本命、ビデオカード用x16はGen5対応

 メモリはDDR4として、そのほかのインターフェースも重要だろう。次世代に対応するのか、現行規格にとどまるのか。MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4はこのあたりをミックスしてバランスよく仕上げている。

 ゲーミングとしてより重要なのはビデオカード用PCI Express x16スロット。ここはPCI ExpressのGen5に対応している。メインストリームユーザーとなるとさすがに毎世代買い換えるというわけにもいかないだろう。MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4なら、PCI Express Gen5世代のビデオカードが登場してもアップグレードできる。

ビデオカード用PCI Express x16スロットはGen5対応。ほか、x1スロットがGen3、x16形状の4レーンスロットがGen4対応となっている

 一方、M.2スロットはPCI Express 4.0 x4対応にとどまる。ハイエンド志向のユーザーには残念な点だが、メインストリームユーザーならどうだろうか。PCI Express Gen5世代のM.2 SSDが登場したとしても高値であることは間違いない。また、超高速SSDは、PCI Express Gen4世代の登場当時もそうだったように、熱への対策が必要でありそこでのコスト増もある。現在、熱問題が落ち着きつつあるPCI Express Gen4世代のM.2 SSDをメインに、必要であればRAID 0(ストライピング)を組むほうがコスパ的にはよいのではないだろうか。割り切りではあるが、メインストリームという点を考えると堅実的な選択だろうと思われる。なお、M.2スロットは4基。3基はチップセット接続で、うち1基はSerial ATA 3.0にも対応している。

PCI Express Gen4止まりとしたM.2スロットには、通常のヒートシンクが組み合わされている。Gen5対応となるともっと巨大なヒートシンクが必要だ
ツールレスでM.2 SSDを固定できるEZ M.2 CLIP。4基あるM.2スロットすべてに採用されている

Renesas製チップを中心に組まれた電源回路。コストも考慮しつつもひとつ上のグレード

 次はTOMAHAWKであるところの電源回路を見ていこう。ゲーミング向けモデルとエントリーモデルとの違いが明確に分かる部分でもある。

MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4のCPU電源回路

 まず電源端子はEPS12V×2。オーバークロックや、強烈なブーストにも余裕の電力供給能力を備えている。フェーズ構成は16+1+1。CPUコアに16フェーズ用意しており、ここでも余裕を感じさせる。

 次にPWMコントローラはRenesasの「RAA229132」を採用しており、CPUコア用MOSFETはRenesas(Intersil)製で90A対応のSPS「ISL99390」を組み合わせている。マザーボード裏を見ると、「17AF」刻印のRenesas(Intersil)製フェーズダブラー「ISL6617A」が確認できる。ダイレクト駆動とフェーズダブラーを使用、あるいはダブラーを使わず1つのPWMから2つのMOSFETを制御するといった回路設計は、マザーボードのグレードに合わせて使い分けられる。MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4の場合は、比較的コスト要求もあるので、フェーズダブラーを用いた回路設計を採用したというところだろう。

PWMコントローラはRenesas「RAA229132」
CPUコア用MOSFETはRenesas「ISL99390」
フェーズダブラーはRenesas「ISL6617A」

 組み合わせるVRMヒートシンクは、このグレードのMSIマザーボードではお馴染み「Extended Heatsink」。バックプレート付近までVRMを覆う形の大型ヒートシンクだ。CPUソケット左辺と上辺はセパレートだが、大きさでカバーしている格好だ。VRM回路上のMOSFETやチョークと接するサーマルパッドも、7W/mKのものを採用していると言う。

大型ブロックタイプのVRMヒートシンク

 今回も、一式組んで高負荷時のVRM温度を見てみた。使用機材は以下のとおりだ。

ビデオカードは「GeForce RTX 3070 Ti VENTUS 3X 8G OC」を使用
今回メモリにはCrucial Ballistix MAX 5100を使用した。XMPでDDR4-5100に対応する硬派なOCメモリだ

 まずはCPU(VRM)に負荷をかけるべくCINEBENCH R23のCPU(Multi Core)を10分間実行してみた。

グラフ1 CINEBENCH R23の温度推移

 PL1&2は無制限としている。VRM温度(MOS)はアイドル時40℃前後だったがベンチマーク開始と同時に上昇をはじめ、55℃に達してから安定した。PL1&2無制限ということを考えれば問題ない温度と言えるが、若干高めなのはフェーズ構成がダイレクト駆動ではなくフェーズダブラーを用いていることもあるだろう。大きなVRMヒートシンクが上昇を抑えている印象だが、ケース内エアフローはしっかりと確保しておいたほうがよい。そのほか、チップセット(PCH)やGPU温度は、直前のベンチマークで温まっていた影響があるようで、ベンチマーク開始から緩やかに下る格好だ。CPU温度は92℃程度におさまり、サーマルスロットリングも発生しなかった。なお、MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4の水冷ポンプ用4ピン端子は3A対応とのこと。水冷CPUクーラーの性能を引き出すことができる。

 続いては普段使いのシミュレーションとして、PCMark 10実行中の温度をモニタリングしてみた。こちらのVRM温度は35〜39℃。何ら問題なく使用できる。

グラフ2 PCMark 10の温度推移

 最後はゲーミングのシミュレーション。今回は3DMarkの調子が悪く、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを利用した。こちらもVRM温度はさほど上昇せず、33.5〜40℃の範囲だった。

グラフ3 FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークの温度推移

 CPUのスレッドをフルに、100%負荷をかけるようなシチュエーションでは55℃まで上昇したもののあくまでPL1&2が無制限時のこと。もちろん50℃程度では問題ない。ケース内エアフロー、とくにフロントファンを搭載し、CPU温度で回転数を制御するようにしておけば不安はまったくないだろう。

追加チップもモリモリ。豊富なSATA&USBで拡張性抜群のPCが実現

 バックパネルには、HDMI、DisplayPortのほか、USB 3.2 Gen2x2 Type-C、USB 3.2 Gen2 Type-C、USB 3.2 Gen2 Type-A×4、USB 3.2 Gen1 Type-A×4、2.5GbE、Wi-Fi 6E、各オーディオ入出力端子が並んでいる。USB 4こそ非対応だが、USB 3.2 Gen2x2も搭載しているので外部接続用USBとしては十分だろう。また、簡易版だがClear CMOSとFlash BIOSボタンが搭載されているところも便利だ。

豊富なUSB、そして簡易ながらもBIOS関連ボタンを備えている
起動時に現在のPOST進行状況が分かる「EZ DEBUG LED」も搭載

 マザーボード上に目を向けると、フロントUSB Type-CはGen2対応で、その横にはUSB 3.2 Gen1用のピンヘッダも備えている。また、JTBT1ピンヘッダもある。これはThunderbolt拡張カードを搭載する際に必要になるものだ。

フロントUSBは、Type-C側がUSB 3.2 Gen2、Type-A側がUSB 3.2 Gen1
USB 3.1ハブチップのGenesys Logic「GL3523-S」が2つほど確認できた。豊富なUSB端子はこのハブチップによって実現している

 また、本製品はSerial ATA 3.0ポートが7基ある。うち5ポートはチップセットの機能を利用しており、残る2ポートはAsmedia「ASM1061」チップによって増設している。HDDや2.5インチSSDなどを旧PCから引っ越そうと検討している方はここに注目だ。一応M.2 SSDとの併用によって排他になることもあるので、製品仕様やマニュアルを確認したい。

PCI Express x1からSerial ATA 3.0×2ポートを利用可能にするAsmedia「ASM1061」

 ネットワークは2.5GbE&Wi-Fi 6。2.5GbEチップはIntel I226-LMを使用しており、Wi-Fi 6EもIntel製とされている。オーディオはコーデックにRealtek「ALC4080」を用い、日本ケミコン製オーディオグレードコンデンサなどを組み合わせて「AUDIO BOOST 5」準拠としている。

2.5GbEチップはIntel I226-LM(QW93)
オーディオチップはRealtek「ALC4080」

 こうして見ると、けっこうな量の追加チップを実装していることが分かる。それだけ高機能、数多くのストレージやUSBを求める方に適している。つまりは、過去の資産を受け継ぐアップグレード的自作PC向きだと言えるだろう。一式組むのもよいが、たとえばCPUとマザーボードだけ最新世代にアップグレードしておきたいといった組み方も検討したい。

x16スロットと電源回路にこだわり、ゲーマーの機能ニーズもカバー

 MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4は、メモリはDDR4、ビデオカード用x16スロットはGen5 Ready、M.2スロットはGen4でコスパ路線と、一見すればチグハグのようで、実はメインストリームゲーマーにはコスパのよい選択をとっている。結局AMD Radeon 7000もNVIDIA RTX 4000もPCI Express Gen5対応とはならなかったわけが、プラットフォーム側の準備が整っているわけで次こそGen5対応の時代が来るだろう。今後数世代使うPCを今アップグレードしたいという方なら、ここをポイントに選びたい。

現在の環境からアップグレードする際に検討したい一枚

 一方、充実したCPU電源回路はメインストリームゲーマー寄り。豊富な機能はストレージをはじめさまざまな機器を接続して使いたいパワーユーザー向けと言える。M.2スロットも4基と豊富だ。組み合わせるCPU次第では、プレイだけでなく配信など幅広い用途に対応できる。もちろん、それらも削ってコストを求める方もいるかもしれないが、ある程度の余裕がなければ用途を限定されてしまうこともある。バランスという点に注目すれば、MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4のちょうどいい塩梅が理解できるのではないだろうか。

MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4詳細ページ MSI製品販売店を調べる MSIサイト

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