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Inter BEE 2022のSamsungブースで見たクリエイティブ×SSDの進化

ASCII.jp / 2022年12月1日 11時0分

 11月16日(水)から11月18日(金)にかけて映像・音響・放送・通信業界のプロフェッショナル向け展示会Inter BEE 2022が幕張メッセで行なわれた。さまざまな企業が、多彩な製品をPRしていたこの展示会で、SSDに関する大型展示をしていたのがSamsungだ。

ブースの全景

 8ホール入り口付近にブースを構えていた同社は、

  • 各種シネマカメラのRAW動画を大容量SSDに直接収録
  • データセンター向けSSDが搭載されたDASやNASで高速かつ大容量のデータバックアップ
  • RAID SSDを搭載した4K8K向け超高速編集マシン
 

 の3点を軸に、「撮影」「データのバックアップ」「編集」という三段構えで展示を実施していた。目についたものを紹介していこう。

RAW動画はSSDに記録する時代に シネマカメラの高解像度RAW動画をUSB Type-C接続のT7 Shieldで直接収録

 ブース入口にある撮影コーナーには、4K、6K、12Kに対応したブラックマジックデザインのカメラがズラリと並んでいた。その上部にはポータブルSSDが外付けされている。最新機種のT7 Shieldは、USB 3.2 Gen 2対応で、最大転送速度1050MB/sを誇る外付けSSDだ。

 SamsungのポータブルSSDとしては初めて防塵・防水(IP65レベル)に対応した高耐久もウリとなっている。外側がゴムで覆われているので、高い耐衝撃性はもちろん、SSDが発熱した際の低温火傷の心配もない。容量は1TBと2TBのバリエーションが発売されている。

カメラ上部にT7 Shieldを外付け。こちらのカメラはBlackmagic URSA Mini Pro 12Kだ

 このSSDは、12Kまでの動画撮影時にも安定して書き込める速度を誇っている。撮影データの保存方法としては、CFastカードなどを使う手も当然あるが、これらのカードはSSDに比べて容量単価がどうしても高い。

 おまけに、SSDにデータを保存すれば、パソコンに直接接続してそのまま編集作業に入れるので便利。容量やコスパ、効率を重視して、カメラからSSDに直接収録するのは効果的といえる。

 カメラ+SSDの展示の中で、ひときわ異彩を放っていたのは、CFexpressカードの代わりに変換アダプター経由でM.2 SSDを使用し、動画収録できるという展示。8K 60pのRAW動画を記録できるNikon Z9だと2TBの容量でも45分程度しか記録できないため、高価なCFexpressカードの代わりに汎用SSD(この展示では980 PRO 2TB)を活用して、高コスパな記録メディアが自作できるというわけだ。

Nikon Z9のCFexpressカードスロットに、M.2 SSDをCFexpress変換アダプター経由で接続し8K RAW収録を行なう

 4K以上の高解像度のRAW動画を高フレームレートで記録できるシネマカメラが増えてきているが、その結果、カメラ内部の温度が上がりやすくなり、オーバーヒートで熱停止するモデルも出てきているという。カメラメーカーも対策は行なっているだろうが、熱源のひとつになりうる記録メディアを外に出すというのは、熱対策の観点からも有効な手段と言えるかもしれない。

容量30TBを超える持ち運べるRAIDストレージ 日本未発売の大容量SSDを搭載したオールフラッシュDASを展示

 一方、バックアップコーナーでは、データセンター向けSSDが搭載された大容量DASが展示されていた。2.5インチ専用の6ベイを備えたAreca製RAIDエンクロージャー「ARC-8050T3U-6M」に、日本未発売の2.5インチSATA SSD「PM893」の7.68TBを6本搭載したものでRAID 6でもその容量は30TBを超える。

 驚くべきはその重量。PM893を6台搭載した状態でも総重量は4kgを下回る。肝心の転送速度だが、展示されていたベンチマーク結果(Thunderbolt 3接続、RAID 6設定)では、読み出し3130.30MB/s、書き込み2217.06MB/sの表示があった。

PM893を6台搭載したARC-8050T3U-6Mを秤に載せた展示(写真右)。確かに4kgを切っている

 ちなみに、3.5/2.5インチSSD兼用で12個のベイを備えるエンクロージャー「ARC-8050T3-12」に660gのHDDを12台搭載した場合の総重量は約17.4kg。その差は4倍以上だ。体積も4倍近い違いがある。

 これまで大容量のRAIDストレージと言えば、HDDが主流であったが、その重量や体積を考えるとなかなか外に持ち出すという発想はなかった(振動、衝撃の観点からも)。しかしオールフラッシュで30TB以上のRAIDストレージが4kg以下で実現できるとなると、既存の概念が覆るかもしれない。

ARC-8050T3-12に660gのHDDを12台搭載した場合との重量比較。ベンチマーク結果もモニター表示されていた

 また、QNAPの12ベイNAS「TS-h1290FX」に、これまた日本未発売のPCIe 4.0x4接続のU.2 SSD「PM9A3」を搭載した参考出展もあった。サムスンの担当者によれば、日本未発売の製品を多く展示している意図は「市場のニーズを見極めつつ、日本での発売の可能性を探っていきたいから」だという。

PM9A3を搭載したQNAPのNAS「TS-h1290FX」
ブース壁面に掲示されていた、SamsungのSSDラインアップ。ここにあるもののうち、990 PRO、PM9A3、PM893は日本未発売だ

8K RAW動画の編集も怖くない? Ryzen Threadripper PRO搭載マシンに27GB/s超えの超速RAID SSDを接続

 4K、8K環境に対応した編集コーナーには、Samsungの超高速SSDを搭載した、複数台の高性能PCが展示されていた。なかでも目を引いたのが、超絶ハイスペック&高価なCPUであるRyzen Threadripper PRO 5995WX (64コア、128スレッド、約108万円)と、PCIe 4.0接続のM.2 SSD 「980 PRO」の2TBモデル8台をRAIDカードに搭載した最高スペックのマシンである。

スペックが写真右に掲示されている。GPUにはGeForce RTX 3090を搭載。左の画面にはベンチマークの実測値が表示されている

 同社の担当者が「どれくらいの速度が出るのか、この場で試してみるという意気込みで展示した」と語るこのマシンは、現場での実測値で、読み出し27257.00MB/s、書き込み26448.88MB/sという超速を叩き出していた。

 PCグレードの構成であっても、同じRAIDカードを使うことで同等の速度を出すことは可能だが、その場合、レーン数の制約でビデオカードが挿せずGPUはCPU内蔵になってしまうという問題がある。

 その点、Threadripper PROの構成ならPCIe 4.0x16レーンが7本あるので、今回のようにビデオカードで3本分塞いでしまっていても、まだ空きスロットが4本あり、RAIDカードなどの拡張が可能となっている(実際、空きスロットを使用して、100GbEのネットワークカードなども接続されていた)。

画面下のRAIDカード(HighPoint SSD7540)に、980 PRO 2TBモデルが8枚搭載されている。なお、980 PROは日本市場でも発売されているので、この構成を国内で実現することは可能だ

 上記のほかにも、PCIe 4.0x4の新モデル「990 PRO」を接続したPCのベンチマーク展示や、980 PRO 2TBモデル4枚をソフトウェアRAIDで接続したPCによる4K編集のデモも行なわれていた。各機種のスペックやベンチマークは以下に写真で掲載しておくので、ご覧いただきたい。

990 PROのベンチマーク展示。読み出し7460MB/s、書き込み6920MB/sと公称値を上回る速度を計測
980 PROをソフトウェアRAIDで4枚搭載したPCで、4K編集のデモが行なわれていた。ベンチマークは読み出し、書き込みともに17GB/s超えとなっている

 高性能化が進むSSDの活用法を、クリエイティブの側面から提案していたSamsungの展示。日本未発売の製品も多く見られたそれは、今後に向けた試金石としての側面が強いものだった。ここで展示されていた製品たちが、日本のプロフェッショナルたちに光をもたらすことを期待したい。

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