無料で使えなくなった今だから、楽天モバイルをメイン回線として使う
ASCII.jp / 2022年12月4日 12時0分
楽天モバイルが完全有料化、というより、無料で使うことができなくなった11月、筆者は満を持してメイン回線を楽天モバイルに乗り換えた。いろいろ理由はあるのだが、その背景や現在の使用感をまとめた。
なぜ今、楽天モバイルなのか 通話発信の機会が増えたのと、eSIMでの使い勝手がいいから
と言っても理由は単純で、自分の使い方に合っているからだ。最近、個人的に状況の変化があり、通話の発信をする機会が増え、無料通話の範囲が広い楽天モバイルがオトクという結論になった。
もう1つの理由は、メインで使っているスマートフォンの仕様で、デュアルSIMを使うには、どちらかをeSIMにしなければならない。そうなるとeSIMの使い勝手の面で、eSIMは「楽天モバイル」一択になった。それならばメインの回線を楽天モバイルでeSIMにすれば、サブ回線を物理SIMになり、選択肢が広がる。
楽天モバイルというと懸念されるのがエリアの狭さだが、改善の進みかたは驚くほどで、ひと昔の印象で語ってはいけない。楽天モバイルによる楽天グループの業績の問題が報じられているが、それほど頑張ってエリア拡充をしていると捉えることもできる。
エリアの問題はほぼ大丈夫 そして、サブ回線の活用もできる
実際のエリアの状況だが、ウェブ上のマップを見てもらえばわかるとおり、都市部ではベッタリとエリア化されている。屋外の見通しのいいところなら、実際にこのとおりなのだが、室内に入ったり、基地局の方向に電波の影ができそうな建物などがあった場合は話は変わってくる。また、最近は地方に行ってエリアチェックをする機会がないので、都市部や自分の行動範囲以外のことはわからないが、それでも自分が移動している範囲では問題なく使えている。
なお、楽天モバイルの場合、auへローミングして通信していることの確認はアプリでしかできないのだが、通信量を確認する機会も減っている。
とは言え、詳しくは後述するがエリア内でも問題がないとも言えない。ただ、もし圏外となったとしても、デュアルSIMでサブ回線を使えば問題は大体は回避できる。
Rakuten Linkでの通話の問題はだいたいOKだが、油断は禁物
楽天モバイルが圏外で、サブ回線を使ってデータ通信はできても、問題になるのは通話の発着信。その点も通話に使うRakuten Linkアプリは、インターネットさえつながっていれば利用できることが多い。
“多い”と書いたのは、圏外時の他社回線での通話は公式な利用法ではなく、デュアルSIM時にデータ通信を楽天モバイルでないほうの回線に指定した場合、Rakuten Linkアプリが再ログインを求める場合がある。再ログインには楽天モバイル回線でのSMS受信が必要なので、圏外が続く状況では通話の発着信ができなくなってしまう。
Rakuten Linkの挙動は過去にも変更があり(「iOS版「Rakuten Link」の挙動が変わった楽天モバイル、圏外時の着信が不可になった!?」)、AndroidとiOSでも違うため、今後どうなるかはわからない。Rakuten Linkがあるから楽天回線の圏外でも大丈夫とは言えないので、その点では注意が必要となる。
eSIMの使い勝手は楽天モバイルがMNO4社で断然トップ
最近はデュアルSIM機が増えているが、iPhoneを始め、その片方はeSIMという機種が多い。
スマートフォンが故障した場合などのことを考えると、キャリアのサイトなどにアクセスして「eSIM再発行」手続きをしないと回線を切り替えることができないeSIMより、簡単に差し替えできる物理SIMの方が便利。また、手続きには切り替えたい回線でSMSを受信しないと進まない方式を取っているキャリアがあり、その場合はeSIMが登録されたスマートフォンが故障した場合はお手上げで、キャリアショップなどに出向く必要が生じる。
ところが、楽天モバイルは手続き時に元の回線が有効になっている必要はない。時間帯もメンテナンスなどを除けば24時間ネット対応。しかも無料。これは非常に大きな利点であり、このくらいの対応がないとeSIMを積極的に選ぼうとは思わない。
メイン回線を物理SIM、サブ回線をeSIMにするのなら問題はない。しかし、サブ回線をTPOに合わせて自由に取り替えたいというマニアならば、メイン回線をeSIMにしておくほうが活用しやすい。つまり自分にとっては現時点では楽天モバイルとはかなり相性がいい、ということになる。
メインの回線を楽天モバイルへMNP
楽天モバイルの加入方法はいくつかあるが、ネットでの申込みが事務手数料も無料で便利。今回はeSIM+eKYCによる申込みなので、即日乗り換えが完了するつもりだった。しかし、申込時につい欲を出して特価のスマートフォンを購入したため、配送まで時間がかかってしまった。
楽天モバイルでは、以前は配送で申込みすると運送会社の配送状況をチェックしているようで「配達完了」にならないと、手続きが完了しなかった。しかし、今回は改善されたのか、楽天側のステータスが「配達中」でも手続きを進めたところ、すぐに楽天モバイルのeSIMが有効になった。
ちなみに、購入した機種はOPPO「A55s 5G」。数少ない物理SIM2枚対応の5G機種で、人気のOPPO Reno 7Aなどよりは、安価なモデルとなる。メモリー容量やプロセッサは1段階下になるが、さまざまなSIMや5Gに対応する機種として有効活用できそうな1台だ。
ただし、最近は楽天モバイルに加入した際の端末販売価格はあまり安くなっていない。よりオトクにスマートフォンを購入したいのなら、IIJmioやOCN モバイル ONEのように特価販売で知られたところもう1回線を契約、その上で楽天モバイル“も”加入すれば、デュアルSIMと複数の回線契約が一緒に手に入る。
回線開通、速度や使い勝手は特に問題無いが 基地局との関係で速度は大きく変化するか
時間帯別の速度については、別契約ながら最近測定(「最近の各社のSIMの速度はどうなっているのか?」)しているの参考にしてほしい。興味深いのはエリア整備が現在進行系なため、基地局との位置関係で速度が変わりやすいことかもしれない。
ちなみに自宅は楽天モバイルの基地局から直線距離で400mほどのようで、途中に大きなビルなどはない住宅地だが、それも電子機機器がたくさんある部屋の奥ともあって、上りも下りもあまり速度が出ない。特に上りが10Mbps以下になってしまう。
そこで、基地局の近くに移動した。基地局の直下でもいいが、アンテナは水平方向に指向性を持たせているため、20~30mほど離れ、基地局アンテナが見通せる場所で測定したところ数値を見ると、下りは100Mbpsを超えることもあるほどに上昇。上りも40Mbps前後は出る。室内での測定時からは5分程度しか時間差はないので、回線混雑の影響は基本ないはずだ。
3大キャリアのネットワークではあまりこのような変化はないため、これは楽天モバイルの基地局整備の特徴と思われる。基地局アンテナ位置は他社よりも低く、電波の進む角度も違ってくる。話題のプラチナバンドによる差もあるかもしれないが、今後の楽天モバイルの基地局整備次第ということになってくる。
しばらくは楽天モバイルのいいところを活用したい
メイン回線を楽天モバイルにしてしまった自分だが、今のところ困った点はなく、むしろ、通話定額の安心感を満喫している状況だ。当面、楽天モバイルの電波が届きにくい場所への引っ越しの予定もないため、問題になることもなさそうだ。
現在、通話アプリのRakuten Linkの規約変更についても話題になっており、この先もずっとこのままというわけではないかもしれないが、しばらくは楽天モバイルをメインで使ってみて、なにか変化があれば情報をお届けしたい。
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