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スマホのSoCで有名な台湾・MediaTekが日本のマーケットを意識。自動車とメタバースにも注力

ASCII.jp / 2022年12月6日 12時0分

 台湾の半導体メーカー、MediaTek(メディアテック)が11月25日に「日本メディア コンファレンス2022」と題して、事業説明会を開催した。MediaTekはスマートフォン向けのチップで知られるメーカーだが、さまざまなスマートデバイスやテレビ、パソコン、自動車など、幅広いジャンルに製品を供給していることが紹介された。スマホ向けには、これまでスタンダードモデルが中心だったが、5G時代を迎えてハイエンドにも力を入れており、最新の5Gチップ「Dimensity 9200」についても紹介された。

右から、MediaTek Japan株式会社の社長・栫 啓介氏、MediaTek本社のコーポレート シニア バイスプレジデントのジェリー・ユー氏、コーポレート バイスプレジデントのマイク・チャン氏、スマートフォンビジネス部門 副ジェネラルマネージャーのイェンチー・リー氏

MediaTekは世界4位のファブレスICデザイン会社

 説明会では、まず、日本法人のMediaTek Japanの社長・栫 啓介氏が登壇。同社の概況について説明された。

 MediaTekは台湾の新竹サイエンスパークに本社を構え、MediaTekのほかに、アイロハ(Airoha Technology)とリッチテック(Richtek Technology)の3社でグループを形成。全世界に50ヵ所以上にオフィスがあり、約1万7000人の従業員を擁している。2021年のグループ売上高は、前年比61%増の176億USドルに達したとのこと。世界4位の、自社工場を持たない「ファブレスICデザイン会社」であることがアピールされされた。

MediaTek本社は台湾の新竹サイエンスパークにある
世界50ヵ所以上にオフィスを構えている
世界4位のファブレスICデザイン会社であるとアピール

 MediaTekは1997年に設立され、2007年にアナログデバイセズのモデム事業を買収したことがマイルストーンとなり、同年にMediaTek Japanを設立。その後、スマートフォン向け事業で成長を続け、リッチテック、アイロハ、エムスターなどの買収によって事業を拡張し、2021年の爆発的な成長につながっている。

MediaTekの沿革と売上推移

 現在は、売上の54%をモバイル向け製品が占め、続いて37%がChromebookやタブレット、スマートスピーカー、ルーターなどの「スマート・エッジ・プラットフォーム」、そして7%が「パワーマネージメントIC」となっている。

多くの製品で市場シェア1位を獲得し、さらに事業を拡張させつつある

5G時代を迎えて、スマホ向けチップの売上が急増

 続いて、コーポレート シニア バイスプレジデントのジェリー・ユー氏から、MediaTekの最新動向について詳しい説明が行なわれた。

 同社の主力商品であるスマホ向けのチップセットは5G時代を迎えて、飛躍的な成長を続けており、2019年から2022年の、わずか3年で売上は4倍になったという。

過去3年間で、スマートフォン部門は4倍、スマートエッジ部門は1.5倍、パワーマネージメント部門は2倍の売上増となっている
スマートフォン部門の実績と今後の取り組み

 スマート・エッジ・プラットフォームの部門では、Wi-Fiソリューション、スマートTV、スマートスピーカー&ディスプレー、さらにArmベースのChromebook向けチップで、市場シェア1位を獲得している。Wi-Fiの新規格「Wi-Fi 7」についてもいち早く開発に取り込んでおり、2023年からメーカーに製品を供給していく計画だという。

スマート・エッジ部門でも、多くの製品でシェア1位を獲得している
パワーマネージメント部門の実績と今後の取り組み
複数の製品を統括的に成長させる、中長期的な展望も示された

今後の成長領域としてメタバースと自動車に注力

 コーポレート バイスプレジデントのマイク・チャン氏からは、主に成長領域についての説明が行われた。

 MediaTekがこれから注力する分野として、最初に挙げたのがメタバース。現在の市場規模は10億ドル程度だが、2030年までには1000億ドルまで拡大することを見込んでいるという。

ARやVR、ウエアラブルデバイス向けの製品に注力。これまでに培った接続性や省電力などで強みを発揮したいという

 もう一つ注力しているのが自動車だ。電気自動車や自動運転などが普及し、自動車は「タイヤがついたスマホ」になりつつあると例える。すでに自動車にさまざまなチップを供給しているが、今後はさらなる需要が見込まれている。

自動車分野での需要増にも対応していく計画

最新の「Dimensity 9200」は 世界最高峰のスペックを実現

 最後に、スマートフォンビジネス部門 副ジェネラルマネージャーのイェンチー・リー氏が登壇。スマホ向けチップの現況と新製品について説明された。

 MediaTekのスマホ向けチップは現在、世界での出荷台数シェアは1位。8四半期にわたって1位を維持している。

現在の主力製品であるスマホ向けチップは、世界で37~38%のシェアを占め、2位のクアルコムに大きな差をつけている。5Gに限ると25%で、さらに拡大傾向にある

 MediaTekのチップは、4G時代にはスタンダードモデル(ミドルレンジ)向けが多かったが、ハイエンドモデル向けも増えており、スマホメーカーのフラッグシップでも採用されるようになり、それが大きな成長につながっていると説明した。とくに、中国のハイエンドスマホ向けの供給が増えているそうだ。

中国の500ドル以上のAndroidスマホ向けにおけるシェアは、2021年第1四半期と2022年第2四半期を比べると、12%から34%に急成長を遂げた
最近、MediaTekのチップを搭載したAndroidスマホ。ASUS、シャオミ、OPPO、Vivoなどがハイエンドモデルに採用している

 5Gスマホ向けの最新のフラッグシップチップは「Dimensity 9200」で、これを搭載するVivoの「X90 Pro」が11月22日に発売されている。

最新のハイエンド向けチップは「Dimensity 9200」。初搭載するのは、日本未上陸のハイエンドモデル「X90 Pro」

 Dimensity 9200はTSMC(台湾の大手半導体メーカー)の第2世代のnanoプロセスを採用。最大3.05GHzのパフォーマンスコアを搭載し、いち早くWi-Fi 7に対応できる準備をするなど、9つの“史上初”をアピールする高性能なチップだ。ゲームメーカーと協力して、ゲーミングのパフォーマンスを向上させたこともセールスポイントにしている。

Dimensity 9200は、9つの史上初を実現した最高峰のチップ
Dimensity 9200のCPUとGPUのスペック
前モデルと比較して、シングルコアで12%、マルチコアで10%のパフォーマンス向上を実現している

 5GモデムはSub 6とミリ波のどちらにも対応し、ミリ波はビームフォーミングにおいて従来比で25%の高速化を実現。最大7.9Gbpsの通信速度を実現しているという。

5Gはミリ波にも対応し、最大7.9Gbpsのスループットを実現

日本は重要なマーケット

 今回、台湾本社からエグゼクティブが来日し、メディア向けの説明会を開催したのは、ブランド知名度の向上が目的とのこと。また、日本はテレビや自動車のメーカーが多いこともあり、成長領域においても重要なマーケットと考えているようだ。

 日本で発売されるAndroidスマホには、クアルコムの「Snapdragon」が搭載されることが多い。MediaTekの「Dimensity」を搭載する機種はまだ少なく、ミッドレンジ向けが中心だ。しかし、今後は、ハイエンドモデルでも「Dimensity」の名前を見かけることが増えてくるだろう。

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