RTX 4080がコンパクトな新PCケースにしっかり入る”意外な工夫”
ASCII.jp / 2022年12月14日 11時0分
2022年の後半に、インテルから第13世代Coreプロセッサーが、NVIDIAからGeForce RTX 40シリーズが登場し、パソコン市場が盛り上がっている。インバースネットが販売するFRONTIERブランドからも、両方を搭載するモデルが登場している。
また、FRONTIERのゲーミングパソコン「GAシリーズ」は、新PCケースに刷新。コンパクトながら大型のGeForce RTX 40シリーズがきっちりと入るケースに仕上がっている。今回は、Core i7-13700KFと、GeForce RTX 4080を搭載する「FRGAGH670/4080」を試す機会を得られたので、新ケースや本機の性能についてチェックしていこう。
シンプルなデザインだが奥が深い新PCケース マザーボードを逆向きに搭載
FRGAGH670/4080に採用されている新PCケースは、年々性能とともに上がっていく熱にも対応すべく刷新されているのが大きな特徴。ケースのサイドパネルを開けて驚いたのは、マザーボードが逆に付いているという点だ。
これにより、ビデオカードが上部に位置している。なぜ逆さに搭載したのだろう? と考えたときに、その答えは電源にあった。CPUやビデオカードの性能向上に合わせて、電源もその分大型化してきている。これだけコンパクトなケースに逆さではなくそのままマザーボードを装着すると、ビデオカードが電源と干渉してしまう。そのため、干渉せずに、かつしっかりと大型のビデオカードを搭載するために、逆さにつけたのだと思う。
ちなみにビデオカードにはカードステイが装着されているため、上部に位置していても輸送時の揺れや経年劣化でも落ちないようになっている。
また、CPUがビデオカードより下にあるのもポイント。これは、水冷CPUクーラーから万が一水漏れが起きた場合に、高価なビデオカードに水がかかって故障しないように配慮しているのだという。確かに、水漏れは100%起こりえないとはいえないため、こういった気遣いがなされているのもうれしい。
CPUクーラーのラジエーターはケース前側に装着してある。このラジエータの前には標準のケースファンが備わっており、水冷モデルにする際にファンを別途用意する必要がないため、そのぶんコストダウンになっているとのこと。こういった細かい調整によって、FRONTIERのゲーミングパソコンが高コスパで購入できる価格に収まっているのだなと感心した。
また、エアフローに関してもかなり工夫がなされている。上部に位置しているビデオカードは、天板とサイドパネルのビデオカードの高さ周辺に通気口があり、熱が逃げやすくなっている。CPUは簡易水冷で冷却されているほか、電源は底面から直接外気を取り込み、そのまま背面から排気する。これにより、電源から発せられる熱がケース内にこもらないようになっている。
このように、熱の発生源にそれぞれの冷却構造を設けることで、いずれの熱もこもらないようにうまく排熱できる構造になっているというわけだ。またケース内部は、余計な部品がなくスペースがかなり空いているので、外気を取り込んだ際にしっかりと各パーツに届くようになっているのもポイントだろう。
なお、同社によると一番苦労したのはビデオカードとCPUの配置だという。これは、通常のレイアウトだとビデオカードから発せられた熱で暖められた空気がそのままCPUのほうにも行くためだ。そこでマザーボードを逆に取り付け、かつ簡易水冷を採用すると、CPUにもビデオカードにもフレッシュな空気が届くようになったとのことだ。
そのほか、ラジエーターの上にはスリムドライブを搭載可能なスペースも設けられている。光学式ドライブがほしいという人向けに、しっかりと搭載可能な構造にしてあるのも、好印象だ。
ストレージベイについては、3.5インチが1基、2.5インチが2基配置されている。メインストレージはM.2 SSDが採用されているため、試用機ではすべてのベイが開いた状態になっていた。もちろん、購入時のBTOカスタマイズで追加することも可能だが、もし前のパソコンでSSDやHDDを使っていた場合は、ベイに装着して流用することも可能だ。
人気のホワイトを採用し“イマドキ”のデザイン インターフェースもわかりやすい
ケース内部の次は、外観についてチェックしていこう。新PCケースのサイズは、およそ幅210×奥行460(突起込)×高さ447(脚部込)mm。ミドルタワーとしては比較的コンパクトな印象で、パソコンデスクやラックにも置きやすいサイズ感だ。
カラーはブラックとホワイトの2色をラインアップしており、今回はホワイトのモデルを試用したのだが、シンプルなデザインながら、フロント上部に赤いLEDが仕込まれていたり、下部にも赤いラインが施してあったりと、ゲーミングらしさも、控えめに踏襲されている。
しかし、LEDライトの幅は狭めなため、ゲーミング以外の用途に使うようのメインマシンとしても違和感のない、どんな部屋にあっても合うデザインになっているなと感じる。
また、いいなと感じたのが天面前方に配置されているインターフェースに、わかりやすいように規格が書いてある点。これにより、転送スピードが高速なほうがいいデバイスは3.0を、そうでないデバイスは2.0を使うといったように、簡単に使い分けることができる。
さらに、背面のインターフェースには「LIGHTNING GAMINGポート」が採用されている。これは、ASRockのマザーボードの独自機能を搭載したUSBポートで、マウスにはUSB接続の、キーボードにはPCI-Expressブリッジ接続のコントローラーをそれぞれ個別に割り当てることで帯域幅を確保し、よりスムーズなデータ転送ができるという。
そのため、ゲームをプレイする際にこちらのポートにゲーミングマウスとキーボードを接続すれば、ラグやレイテンシを抑えたゲームプレイが可能になり、FPSといったデバイスの反応がとても重要になってくるタイトルで、より有利に戦闘をすることが可能になる。
どこに置いても違和感のないケースに、バリバリゲームをたのしむためのポートを搭載したマザーボードを採用することで、ゲームでも仕事でもしっかりと活躍してくれるマシンに仕上がっている。
最新パーツの性能に驚き まずは基本性能をチェック
ではここから、FRGAGH670/4080の性能についてチェックしていく。FRGAGH670/4080の主なスペックは、Core i7-13700KF、GeForce RTX 4080、32GBメモリー、1TB SSDという構成だ。
まずは、パソコンの総合性能をチェックできる「PCMark 10」を計測。総合スコアは、9348という、今までに自身で計測してきたマシンでは見たことがない高スコアを記録した。
詳細をみていくと、アプリ起動速度、ビデオ会議、Webブラウジングの性能を測る「Essentials」が11686。表計算や文書作成のオフィスソフト性能を測る「Productivity」が11183。写真編集や動画編集、3DCG製作などのクリエイティブ性能を測る「Digital Content Creation(DCC)」が16960という結果になった。
いずれも高いスコアだったが、やはり注目すべきはDigital Content Creation(DCC)のスコア。1万5000以上のスコアはなかなかお目にかかれないため、結果がでたときにはさすがCore i7-13700KFとGeForce RTX 3080だなと驚いた。
そのCore i7-13700KFの性能を推し量るべく、「CINEBENCH R23」を計測。結果は、マルチコアが27526pts、シングルコアが2093ptsだった。マルチコア・シングルコアともに、従来のCore i9-12900Kよりも高いスコアを叩き出している。ゲームプレイはもちろん、ゲームをしながら実況配信だったり、録画したプレイ動画を編集したりするようなクリエイティブな作業でも、かなり快適にこなすことができそうだ。
ストレージの速度は「CrystalDiskMark」でチェックしたところ、シーケンシャルリードで3446.22MB/sという結果になった。ゲームプレイでのロードやマップ読込も高速で、ストレスに感じることはほぼないだろう。
気になるGeForce RTX 4080の性能は、「3DMark」でチェック。結果は以下のとおりで、こちらも目を見張るような高スコアが並んだ。とくに最新のベンチマーク「Speed Way」のスコアが7000というのがスゴイ。以前計測したGeForce RTX 3070搭載マシンで計測した際は2373だったため、参考程度で留めておいてほしいが、RTX 4080がどれくらい高性能かはわかってもらえるのではないだろうか。
では、もっとも気になるゲーム性能をチェックしていこう。まずは、定番となる「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」をチェック。高品質、フルスクリーンで、1920×1080ドット、2560×1440ドット、3840×2160ドットに変更しつつ計測した。
結果は、4K解像度でも11311(とても快適)と、高スコアを記録している。FFXVは高負荷な部類に入るタイトルではあったものの、GeForce RTX 4080であれば、WQHDや4K解像度でも快適にプレイできるというのがわかった。
もう1つ、負荷が高いタイトルをチェックしておこう。今年はアニメも話題になった「サイバーパンク2077」のゲーム内ベンチマークを計測。クイックプリセットを「レイトレーシング:ウルトラ」に、DLSSを「自動」にして、フルHD、WQHD、4Kに変更して計測した。
結果は、なんと4K解像度でも平均70fps越え、WQHDでは最低フレームレートも60fpsを超えてきた。4K解像度でも最低FPSは50fpsを下回っていないので、レイトレーシングをオンにした状態でも4K解像度で本作が遊べるというのは、かなりスゴイのではないだろうか。
ではフレームレートが重要になってくるFPS系のタイトルもチェックしておこう。まずは人気バトルロイヤル「Apex Legends」をチェック。グラフィックス設定はほとんど最高の状態にして、フルHD、WQHD、4K解像度でのフレームレートを「Fraps」で計測した。射撃訓練場をぐるぐると周回した際のフレームレートを計測している。
結果は驚くことに、4K解像度でも平均フレームレートは200fpsを超えてきた。さらに、フルHDの場合は、ほとんど300fps張り付きの状態で遊べるというのがわかった。Apex Legendsは、4K+高リフレッシュレートのディスプレーや、WQHDもしくはフルHDの超高リフレッシュレートのディスプレーと組み合わせても、そのパフォーマンスをしっかりと発揮してくれるだろう。
最後に、「Call of Duty | Modern Warfare II」のゲーム内ベンチマークをチェック。クリエイティブプリセットを「極限」に設定して、フルHD、WQHD、4Kで計測した。
結果は、こちらも4Kでも平均は90fps以上、WQHDで140fps以上、フルHDでは180fps以上と、FPSの中では負荷が高めな本作でも、しっかりとしたフレームレートを保ってくれた。ちなみに、こちらもほぼ最高のグラフィック設定で実行しているため、フレームレートを上げたければ、こちらの設定をいじることで、より高いフレームレートが出せるだろう。
4K解像度もいよいよ本格的に遊べる時代に 新ケースで快適プレイ!
FRGAGH670/4080は、大型のビデオカードをはじめとしたハイエンドパーツを、よりコンパクトな空間に収められるように工夫されたPCケースが採用されており、フルタワーほどの場所を取らずとも、それと同等の性能を実現しているゲーミングパソコンだ。ゲームプレイや実況・動画編集を快適にこなすためのパソコンがほしいけど、設置スペースがそこまで広くないという人にとっては、要チェックな1台となるだろう。
そしてその空間を活かしてCore i7-13700KFとGeForce RTX 4080を搭載し、高負荷なゲームタイトルでもしっかりと4K解像度で遊べる性能を持っている。年末から超快適なPCゲームライフを送りたい、ボーナスを使ってハイエンドなパソコンに買い替えたいという人は、ぜひFRGAGH670/4080を検討してみてはいかがだろうか。
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