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サスティナブルな“配らないデジタル名刺”「United Card」を衝動買い

ASCII.jp / 2022年12月15日 12時0分

紙の名刺交換ではなく、vCardイメージの名刺などの属性データを相手のスマホのNFCリーダー機能を使ってUnited Card内のリンク先情報経由でサーバーから表示するサービスだ

紙の名刺から脱却、配らないデジタルスマート名刺

 SDGsが今ほど世界の潮流になる以前から、地球環境の保全は世界的なテーマだった。IT業界の隅っこに長く生息していると、かれこれ50年近く前の超大型コンピュータの時代から、昨今のパソコン、スマートフォンの時代まで、その大きな目標の一つは「省力化」と「環境保護」による便利で楽しく優しい世界の創出だったことを記憶している。

 昨今は世のため人のためと看板だけを掲げて、ただ利益追求を目指している企業では社会の賛同を得られる時代ではなさそうだ。普段から顧客や製品、サービスだけではなく、組織や文化までを取り込み変革し拡大して説明上手、発信上手で透明性を感じるスタイルの企業が、ブラックではないと賞賛される厄介な世の中なのだ。

 今回このコラムでは「風が吹けばいつかは桶屋が儲かる」的なSDGsやDXの関係性を再定義するなんて高尚な世界は置いておいて、イケイケな昭和な人にもよく分かる「省力化」や「環境保護」に沿った“サスティナブルな配らないデジタル名刺”「United Card」を衝動買いしたのでご紹介したい。昨今肥満気味のSDGsやDXほど哲学的ではないが、ひとりでもすぐに始められるペーパーレス環境改善によるなんちゃってSDGsだ。

 United Cardは今のところ販売代理店もほとんどなく、街中のステーショナリーショップやAmazon.co.jpから直接買えるわけでもない商品だ。偶然ウェブで見かけた筆者も販売元である「TheFourSeasons」のウェブショップから直接購入した。United Cardはクレジットカードサイズで、ICタグを内蔵したプラスチックカードだ。

今のところ直販サイトのTheFourSeasonsのショップページでの購入がよさそう

 カードのカラーはブラック、ブルー、グリーン、ネイビー、パープル、レッド、ホワイト、イエローと8色展開でお好みのカラーを選ぶことができる。目指すところは「デジタル名刺」なのでカラー選択に加えて、カード表面下部に会社名と氏名を2行分プリントすることが可能だ。もちろんミーハーな筆者は、一番目立つレッドを選んだ。

 筆者は会社名の行に、友人たちと一緒にやっているオリジナルデザインの大学ノートやタイベック素材のカバン作りの放課後倶楽部名である「Thinking Power Project」という文字と氏名を英字で入れた。また2行目の氏名の部分には、このコラムのタイトルである「T教授の戦略的衝動買い」と入れることにした。少し長い感じがしたがレイアウトも無事収まり、意外とスッキリした印象だ。

 肝心の価格だがUnited Cardのカード本体は3000円、オプションの氏名と会社名の追加印刷に500円、そして消費税が350円で全部で3850円の支払いとなった。購入はウェブサイトでのクレジットカード決済で、送料込みとなる。テクノロジーガジェットと考えるか、名刺より高いと考えるか安いと考えるかは人それぞれだ。

ネットで注文後約1週間から10日で配送されてくる

 1週間ほどでUnited Cardは届いた。前述したがUnited Cardは、内部にICタグが封入されたプラスチックカードだ。すでにICタグの入ったよく似たメディアには、貼り付けシール状のものやコイン型、キーホルダー型などさまざまな形状がネット上で購入可能だ。筆者も名刺ではないが、自分に関係あるいくつかのウェブサイトやビジネスサイトへの誘導自動接続のために、以前から愛用している。

United Cardの原理は昨今ネットショップでも入手可能なICタグと専用ウェブサイトとの組み合わせだ
3枚の名刺を活用している人は残念ながらUnited Cardも3枚必要かもしれない。登録できるウェブサイトが複数可能なら回避策も考えられそうだが今のところは無理そうだ

 United Cardは、各カードごとに封入されているNFCチップ内の専用エリアにUnited CardのサーバーにアクセスするためのユニークなURLが、出荷時に書き込み済みだ。固有URLの飛び先にあるサイトは、United Card購入者に必ず付与される単ページの専用ウェブページといった感じだ。専用ウェブページはユーザーの写真や属性、複数の関連リンク先などを含むダッシュボード的イメージだ。

まず送られてきたUnited CardをNFC対応スマホにかざしてユーザー(アカウント)登録をする

専用アプリ不要で、登録は簡単

 United Cardを購入したユーザーは、まず送られてきたUnited Cardを自身のNFC対応スマホのリーダー部分にかざすことで、ユーザー登録をする。操作は極めて簡単だ。ブラウザー上にユーザー登録ページが表示されたら名前、Eメール、パスワード、パスワード認証の4つを入力して登録ボタンを押すだけだ。

アカウント登録は名前、メールアドレス、パスワードの3点のみ

 無事登録作業が終了すれば、続いてUnited Cardのオーナーの属性を入力する画面が表示される。登録項目は、オーナーの氏名や写真、職業、経歴、紹介文orメッセージ、仕事や役職、学歴、居住地、そして最後にSNS、ウェブ、HP、電話番号、メールアドレスなどのコンタクト情報になる。

 コンテンツ内容は、基本的に名刺のイメージなので個人の判断で、不要なモノは入力することはないだろう。ただ電話番号もウェブも1つだけしか登録できないのは、昨今の名刺らしくない。物理的な紙面やフォントサイズの制約がある紙の名刺ではないので、サーバー上のダッシュボードのサイズ拡張が望まれる。

アカウント登録が終わるとデジタル名刺データの入力画面に切り替わる。登録内容は7つほどのセグメントに分かれているが順次入力してデジタル名刺のコンテンツを完成させる。セグメントごとに入力終了後はSaveボタンをタップしてサーバーに保管する

 入力が終了したら各セグメントごとに「Save」をタップすることで、入力データはサーバーサイドに保存される。変更や修正は、最初にユーザー登録したEメールとパスワードでログインすれば、いつでも変更修正が可能だ。なので勤務先や部署、電話番号、メアドなどが将来変更されても経歴、紹介文orメッセージの書き直しなどはDIYで簡単だ。

 もちろんリンク先(SNS、ウェブ、HP、電話番号、メールアドレス)も随時変更が可能だ。新しいSNSやカテゴリーを追加したい時は、15個の凡例の中から選択することができる。ひととおり入力が終了すれば、データをサーバーサイドにSaveしてサーバー側に正しく保存されているかどうか、アクセスしてチェックしてみよう。

SNSやメール、ウェブなどの外部リンクはリストから選択する

 NFC機能を搭載しNFC機能をオンしたスマートフォンにUnited Cardをかざして、自動的にブラウザーが起動して設定通りのマイページにアクセスできれば成功だ。先ほど設定に使った自分のスマホでも大丈夫だが、家族や友人のスマホでやってみた方が安心感はあるだろう。

入力が終わりSaveできたら、他の人のNFC対応スマホでテストして見ると安心だ。編集、入力した通りの項目が並んでいれば完成だ。必要に応じて修正できる

 SafariやChromeなどブラウザーを2種類以上インストールしていたりすると、NFCタグを読み込んだ最初の時点でブラウザーのアイコンを並列に表示してどれを使うか聞いてくるが、その場で選択すればよいだろう。常時Chromeを使うと決めているなら「常時使う」と指定すれば、以降は聞かれることなく直接マイページにアクセスしてくれる。

 スマホ画面上に表示された、マイページの中のリンク先グループのすぐ上に表示されている「Download」ボタンをタップすることで、マイページのキー項目がスマホにダウンロードされる。

United Cardに記述されているコンテンツをスマホにダウンロードする

 ダウンロードされるファイル名は、United Cardを所有する各ユーザー固有のID番号のようなモノだが、筆者の場合だと「sN6bXXXX3913,vcf」というvCardイメージでダウンロードされ、連絡先アプリで読み込むことができるようになる。そして連絡先アプリの最下段には、「基本情報」としてマイページの物理的リンク先アドレスも記載される。

(左)ダウンロードされたファイルは電子名刺のフォーマットであるvCard形式だ (中央)vCardは「連絡帳」で見ることができる標準フォーマットだ。最下段にUnited Card1枚ごとに紐付けされているURLが記述されているので、今後のコンテンツ更新があってもここのデータを見ることで新たに名刺交換しなくても最新データが反映される (右)ICタグを読み書きできるアプリ「NFC Tools」でUnited Cardを見ると、最下段のレコード1に各United Card固有のURLを知ることができる

 以降、物理的な名刺交換をする代わりに、スマホを私のUnited Cardにかざして私の設定した各種属性をダウンロードした人は、連絡先アプリを通して私のすべての属性を知ることができるようになる。また私がその後の変更をタイムリーにアップデートしてさえいれば、その内容は基本情報のリンク先DBに反映済みなので、いつでも最新の属性情報を入手可能だ。

自分の属性をタイムリーに変更修正できる

 人生において何度でも転職することが、普通のことのようになり、それにつれてメールアドレスや電話番号、SNSなどもダイナミックに変化する可能性のあるこれからの時代には、自分の属性をタイムリーに変更修正できる。

 そしてそれより以前にバーチャル名刺交換した関係のある人達が適時相手の最新情報を取得することができるのは、新しい時代の洗練されたコンタクトマネジメントのあるべき姿だろう。

 United Card1枚に必ず1個紐付けされたユニークなリンク先URLは、非公開情報ではないのでユーザーがやってみたければ別の展開も可能だ。筆者はそのリンク先URLをキーホルダータイプのICタグやコイン型ICタグに書き込み、United Cardの形状違いの複製を作ってみた。

United Card固有のURLをICタグを書き込めるアプリで別のICタグに書き込むことも可能だ
筆者はネットショップで買ったキーホルダー型ICタグにUnited Card固有のURLを書き込んで常用のカバンの取っ手にぶら下げて利用している。United Cardを持って行くのを忘れた場合の対策だ

 コイン型ICタグは財布の中に入れ、キーホルダー型ICタグは常用のカバンの取っ手に取り付けてみた。もちろんこの両者にNFCリーダ付きのスマホをかざしてみたところ、United Card同様、登録したマイページを瞬時に表示してくれた。これでUnited Cardをオフィスや自宅から持ち出し忘れても大丈夫だ。

 すでにスマートフォンの世界では、NFCリーダを標準的に組み込まれた機種がほとんどだとは思うが、このUnited Cardのデジタル名刺は、NFC機能のないスマホではまったく無力だ。しかしそのシンプルな仕組みは、単にマイページのある固有専用のURLに相手を誘導するだけなので、相手のスマホにカメラ機能さえあればQRコードも使用可能だ。

 普段、唯一自分のアナログ名刺の代わりになる大事なデジタル名刺、United Cardをどこに入れて持ち歩くのかを決めておくべきかもしれない。しかし、もし持って行くのを忘れた場合、失くしてしまった場合……そしてNFC機能のないスマホの人との名刺交換。それらを全般的に考えて、すべての場合に使えるもう1枚の「NFC&QR スペアUnited Card」を作ってみた。

ついでにUnited Card固有のURLをQRコード変換してNFCリーダのないスマホを使ってる人にも対応できるようにした。何れNFCリングやスマートウオッチにもデジタル名刺データは入るかも

 まず筆者が愛用しているICタグ内蔵のクレカサイズのプラスチックカードに、マイページに誘導するためのユニークなURLを書き込んだ。そしてブラザーのラベルプリンターを使い、同じマイページに誘導するURLをQRコード形式で印刷、テープ出力し貼り付けた。これで予備のUnited CardとNFC機能のないスマホユーザーにも対応可能となった。

 昨今ではQRリーダーアプリをインストールしなくても、スマホの出荷時からカメラの拡張機能としてQRコードの読み取り機能が組み込まれているケースも多い。今後はNFCと並んでQRコードもアプリ不要で使える時代が、そこまで来ているのかもしれない。

昨今のスマホカメラはカメラ機能の一部としてQRコード読み取りもできるモノが多くあるのでわざわざQRコードリーダアプリのインストールが不要なことも多い

新しい時代のサスティナブルな名刺交換手段

 United Cardは、簡単な方法でペーパーレスを実現できる新しい時代のサスティナブルな名刺交換手段だ。仕組み的には極めておもしろい。しかし「相手の名刺はいただくが自分の名刺は渡さない」という当面起こりそうなアンバランスな商習慣は、United Card普及の阻害要因にもなりそうだ。スローでも確実に普及させるには、今一つ何かアイデアが必要なのかもしれない。

物理的な名刺がなくなるかどうかは、テクノロジーだけではないような気もする。しばらくはレガシーな名刺も持ちつつ、メインはUnited Cardでやってみようと考えている
 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:TheFourSeasons「United Card」 ・購入:United直営オンラインストア ・価格:3850円(本体:3000円 オプションの印刷:500円+消費税350円)

T教授

 日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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