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2億画素カメラと「神ジューデン」のインパクトが光る「Xiaomi 12T Pro」

ASCII.jp / 2022年12月17日 12時0分

 「Xiaomi 12T Pro」は、2021年発売の「Xiaomi 11T Pro」に続くシャオミのハイエンドスマートフォン。2億を誇る高画素のカメラを搭載し、ソフトバンクが「神ジューデン」とアピールする120Wの急速充電に対応するなど、充実した機能・性能を備えるXiaomi 12T Proの実力を発売前の実機から探ってみよう。

ボディー素材は高級化もカメラの出っ張りは目立つ

 まずは本体サイズを確認すると、ディスプレーは6.7型の大画面で、サイズは約76×163×8.8mm、重量は205gで、Xiaomi 11T Pro(約76.9×164.1×8.8mm、204g)と大きく変わらない。最近の大画面ハイエンドモデルとしては一般的なサイズ感で手にすると薄さもあるが、やはり重さが200gを超えるので重く感じてしまう。

「Xiaomi 12T Pro」の正面。6.7型の大画面で、サイズは前機種「Xiaomi 11T Pro」と大きく変わらない

 背面のボディー素材はガラスを用いており、マットな加工を施していることから触感は比較的さらさらしている。Xiaomi 11T Proが樹脂素材でハイエンドらしい高級感が得られなかったことを考えると、この点はポジティブな進化といえるだろう。

背面から見たところ。ボディー素材はマット加工の施されたガラスとなり、触感の高級感が増した点はメリットだ

 ただ気になるのが、カメラがかなり出っ張っており主張が際立っていることだ。とりわけ広角カメラの部分は2段になっており、5mm近い高さがあるため、背面を下にして本体を置くと傾きが気になってしまう。カメラモジュールの進化に伴い、カメラ部分の厚みがかなり増してしまったことが影響したと考えられるが、全体的に本体がもう少し厚くてもいいので出っ張りを抑えてほしかったところだ。

カメラ部分は大ぶりで、とりわけ広角カメラはかなり出っ張っていることがわかる

 なお、側面はメタル素材が用いられており、右側面に電源キーと音量キーを配置。底面にはUSB Type-C端子とSIMスロットが用意されており、イヤホン端子はない。ディスプレーは有機ELで指紋センサーはディスプレー内蔵型のものを採用していることから、側面のインターフェースはかなりシンプルだ。

右側面から見たところ。音量キーと電源キーが備わっている
底面にはUSB Type-C端子とSIMスロットが備わっている

2億画素のカメラの実力はどこまで活かせているか

 続いてカメラを確認すると、背面のカメラは2億画素/F値1.69の広角カメラと、800万画素/F値2.2の超広角カメラ、200万画素/F値2.4のマクロカメラの3眼構成。幅広い撮影シーンに対応できる体制は整えながらも、広角カメラの性能に重点を置いてコストを抑えるという構成はXiaomi 11T Proと同様で、シャオミらしさを感じさせる部分でもある。

カメラは広角、超広角、マクロの3眼構成。ただ性能は2億画素の広角カメラに全振りしている
広角カメラで撮影した写真
同じ場所から超広角カメラで撮影した写真
マクロカメラでの接写も可能だが、カメラの画素数がかなり落ちる点に注意

 それゆえ最大のポイントは、やはり広角カメラの2億画素という画素数を誇るイメージセンサーになるだろう。このイメージセンサー自体は1/1.22型と、「AQUOS R7」などが搭載する1型センサーと比べればサイズ自体は小さいのだが、非常に精細な画素数を活かして複数の画素数を組み合わせたピクセルビニングによって、暗い場所で撮影する際の感度を向上させているのが特徴だ。

 実際、夜に暗い場所での撮影を試してみると、街頭のある場所であれば夜景モードを使わなくてもかなり明るく撮影できることが分かる。超広角カメラと比べるとその明るさは一目瞭然だ。

夜の時間帯に夜景モードを使わずに広角カメラで撮影。暗い場所でもかなり明るく撮影できている
同じ場所から超広角カメラで夜景モードを使わずに撮影。広角カメラと比べ、明るさやブレの具合が全く違っているのが分かる
もちろん夜景モードを使えば、より明るくくっきり写し出すことが可能だ

 それ以外にも高精細を活かした機能が搭載されており、それが「ウルトラHD」だ。これは2億画素をフルに活用して撮影できるモードなのだが、画面上部のボタンを押すことで5000万画素での撮影と2億画素での撮影を切り替えることができる。

 もちろん2億画素で撮影した方が被写体の精細さは増すのだが、その分1枚当たりの容量が50~70MBとかなりの大きさになってしまうのに加え、ピクセルビニングが効かなくなることから暗い場所での撮影に弱くなってしまう点は注意したい。

「ウルトラHD」を使って2億画素で撮影した写真。元の容量は73.5MBに達するが、この画像は10MBにリサイズしている
先の写真から、銅像の部分を通常と同じサイズで切り出したところ。文字や葉っぱなど細部の様子もしっかり確認できることが分かる

 そしてこのウルトラHDで撮影することで、利用できるのが「Xiaomi ProCut」という機能。これはAIが被写体を分析して自動的にトリミングし、最大で5種類の構図を作成してくれるというもの。中でも2つの被写体が分かれて写っている場合、個々の被写体に自動で分離してあたかも1枚の写真であるかのようにしてくれる点が特徴としてアピールされている。

 だが、実際に色々な写真を撮影して試してみると、被写体を自動分離してくれるのは人物に限られるようで、動物や人形、オブジェクトなどが2つ並んで写っている写真は分離してくれなかった。これはシャオミ製スマートフォンに搭載されている多くの撮影機能に共通することでもあるのだが、インパクトは大きいが実際に撮影してみると対応できるシーンが非常に限られてしまうことが多い点は改善を求めたいところだ。

ウルトラHDで撮影した写真から「Xiaomi ProCut」を使ってみた。人間以外が2つ並んでいても、自動で写真を分割してはくれないようだ

 一方のフロントカメラは2000万画素/F値2.24と、やや性能は高め。夜景モードやポートレート撮影にも対応しており、ビューティーモードの利用も可能だ。

フロントカメラは2000万画素と比較的性能は高い。いわゆるビューティーモードやポートレート撮影などの利用も可能だ

19分でフル充電をうたう「神ジューデン」の実力は

 続いて、19分で満充電にできる「神ジューデン」とうたわれている急速充電機能を確認してみよう。Xiaomi 12T Proは5000mAhのバッテリーを搭載しており、120Wの急速充電に対応している。スペック自体はXiaomi 11T Proと変わっていないのだが、急速充電はやや改良もなされているとのこと。

 では実際の充電速度はどの程度なのだろうか。バッテリーを使い切った状態から標準付属の充電器で充電を開始すると、充電を確認できるまでおよそ3分かかったものの、その後は順調に充電が進み、およそ11分30秒で50%に達した。

実際に120Wの急速充電をしているところ。かなりのスピードで充電がなされていく様子がわかる

 その後19分経過した時点では84%となり、およそ23分30秒で満充電という結果になった。公称値はバッテリーが2%から100%まで充電した時の最短時間なので、バッテリーが切れた状態から充電を開始するとどうしても充電が始まるまでのタイムロスが発生してしまうのだが、それを差し引けば19分という充電速度はあながち間違いではないだろう。

充電完了後、設定画面からバッテリーの推移を確認したところ。短時間のうちにかなりの勢いで充電されていることが分かる

 また、以前のレビューでXiaomi 11T Proの急速充電を試した際は、やはりバッテリーがゼロの状態から充電を開始して満充電に達するまで25~27分程度かかっていた。そのことを考えれば、急速充電の性能自体もややアップしているといえそうだ。

 これだけの急速充電をすると本体や充電器にかかる負荷や発熱が気になるところだが、充電中に温度を測定してみたところ本体、充電器共に34度前後に収まっており熱の発生はそこまで大きくない。もっとも充電器とケーブルは専用のものが必要で、サイズもかなり大ぶりである点は変わっていないことから、急速充電を利用できるシーンはやや限られてしまうので注意したい。

付属の専用充電器と本体を並べてみたところ。充電器の大きさがわかる

最新チップセット搭載で性能は申し分なし

 最後に本体性能について確認すると、チップセットはクアルコムのハイエンド向けとなる最新の「Snapdragon 8+ Gen1」を搭載しており、RAMは8GB、ストレージはオープン市場向けモデルが128GB、ソフトバンク向けモデルが256GBとなっている。最近のハイエンドモデルとして見ればRAMは抑えめだが、十分な性能を持つことが分かる。

 Xiaomi 11T Proはベンチマーク時の性能が落ちるなど、パフォーマンスの制御がかなり厳しめだった印象を受けたが、Xiaomi 12T Proは特に設定を変えることなくベンチマークを実施しても、他のSnapdragon 8+ Gen1搭載機種とスコアは大きく変わらない様子で、常時十分なパフォーマンスを発揮しているようだ。

「Geekbench 5」のCPUベンチマークのスコア
「3DMark」(Wild Life Extreme)のベンチマークスコア

 もちろんAAAクラスのゲームでグラフィック設定を最高にしてプレイしても、スムーズに動作する十分な性能を持っている。放熱も強化されているようで、30分以上ゲームプレイしていても熱くなりにくいほか、ディスプレーも120Hzのリフレッシュレートと最大480Hzのタッチサンプリングレートを備えているのでゲーミング用途として利用しても満足感は高い。

「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティが「FHD」、フレーム設定が「ウルトラ」までと、現時点で最高水準の設定が可能だ
「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「中」。だが最高水準に設定しても十分快適に動作する

 通信面を確認すると、物理SIMとeSIMのデュアルSIMに対応しており、もちろん5Gの利用も可能だ。ただし5Gのバンドn78(4.5GHz帯)には対応していないので、ドコモやそのMVNOをメインとして利用すると5Gのエリアが狭くなってしまう。もし利用するのであればサブ回線での利用がベストだろう。

SIMは物理SIMとeSIMのデュアルSIM構成で、スロットはnanoSIM×2のみ。microSDスロットは用意されていない

 またいわゆる日本仕様に関してだが、Xiaomi 12T ProはFeliCaに対応するが、防水・防塵性能はIPX53の生活防水レベルとなる。このあたりはXiaomi 11T Proと大きく変わっていないようだ。

【まとめ】性能は向上したが価格も10万円超に

 まとめると、Xiaomi 12T Proは比較的安価で高い性能を持つハイエンドモデルという、前機種の特徴を引き継ぎながらも、2億画素のカメラなどさらにインパクトのある性能を備え、より性能向上が進められている点はメリットが大きい。また携帯4社からは超高速の急速充電に対応したモデルが登場したことがないだけに、「神ジューデン」もソフトバンクユーザーに与えるインパクトが大きいのではないだろうか。

 ただ一方で、残念なポイントも2つある。1つは本文中で触れた通り、カメラモジュールの高性能化で出っ張りが非常に目立ってしまうこと。そしてもう1つは価格の高騰だ。

 というのもXiaomi 12T Proは性能強化やボディー素材の高級化、そして円安が影響してか、価格もオープン市場向けモデルで10万9800円、ソフトバンク向けモデルの一括価格で14万3280円と、いずれも10万円を超える価格となってしまっているのだ。それでもハイエンドモデルとしては値ごろなのだが、7~8万円程度で購入できたXiaomi 11T Proの価格的インパクトが非常に強かっただけに、価格が評価にマイナスの影響を与えてしまう可能性が気がかりでもある。

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