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アップルCEOティム・クック氏がApp Storeの「日本発アプリ」を体験! 開発者コミュニティの成長に期待

ASCII.jp / 2022年12月15日 18時10分

今回の来日機会に日本のApp Storeで活躍するデベロッパーとの交流の機会を持った、アップルCEOのティム・クック氏

 アップルCEOのティム・クック氏が、来日に合わせて日本のApp Storeで活躍するデベロッパーを訪ねました。この日は意欲あふれるデベロッパーをアップルが支援する「App Store Foundations Program」が、先行するヨーロッパ以外の国・地域で初めて2023年1月上旬にローンチすることも発表されました。

クック氏がApp Storeで人気の「日本発アプリ」を体験

 この日、クック氏は3社のデベロッパーが開発したアプリを体験しました。

 ひとつはWhatever(ホワットエバー)が開発した「らくがきAR」です。フリーハンドで描いた“らくがき”のイラストをiPhoneやiPadのカメラで読み込み、デジタルキャラクターを生成。カメラでとらえた背景画像に重ね合わせて、デバイスのスクリーン上でキャラクターのコミカルな動きが楽しめるユニークなARアプリです。

左から、Whateverの関賢一氏、小野里夏氏、宗佳広氏

 デザイナー・クリエイティブディレクターとしてアプリの開発に携わった宗佳広氏は、「世界がコロナ禍による影響に見舞われ、多くの方々が巣ごもり生活を続ける中、室内でARエンターテインメントを楽しめるアプリをつくることで人々に貢献したいと考えた」と、らくがきARを開発した動機をクック氏に語りました。

 iPhoneのカメラで読み取ったらくがきキャラクターは、すぐさま活き活きと動き始めます。アップルのデバイスによるスムーズな体験を実現しているところも、このアプリの特長。クック氏もアプリを試しながら「キャラクターの動きがとても自然だから愛着が持てますね」と、宗氏に印象を答えていました。

 Fantamstick(ファンタムスティック)は「算数忍者AR〜対戦!箱かぞえの巻〜」や「国語海賊〜小学漢字の海〜」に代表される、子ども向け学習アプリを精力的に手がけるデベロッパーです。代表取締役社長CEOのベルトン・シェイン氏は、「子どもたちがゲームのように遊び、ワクワクしながら算数・国語など教科の知識を学べるアプリをつくりたかった」と、人気のアプリが誕生した経緯を振り返りました。

左からFantamstickの篠原勇人氏、ベルトン・シェイン氏、近藤洋平氏

 「算数忍者AR」を起動して、iPhone/iPadのカメラで現実世界の風景をキャプチャすると、画面の中に沢山の立体的なARオブジェクトが描かれます。子どもたちはデジタル仮想空間の中でキャラクターたちとふれ合い、次々に出題されるクイズを解きながら伸び伸びと「学びに没入」できるところがアプリの大きな魅力です。シェイン氏は、「国語海賊」アプリを試験的に導入して試した小学校の事例を紹介。漢字の書き取りの授業では、手書きのノートよりもアプリを使った方が、同じ時間内に生徒たちが漢字を早く覚えることができたといいます。シェイン氏の説明を聞いたクック氏も、デジタルテクノロジーを上手に活用した新しい学びのかたちとの出会いに関心を寄せていました。

 画像処理を専門とする研究開発型ベンチャー、QONCEPT(コンセプト)は代表取締役社長兼CTOの林建一氏がiOS専用アプリ「Golfboy(ゴルフボーイ)」をクック氏に紹介しました。ゴルフボーイはiPhoneのカメラを使って、ゴルフのスイングチェックやパター練習を室内でも快適に実践できる斬新なアプリ。LiDARスキャナを内蔵するiPhoneは、スイングの軌道を立体的に把握できることから、実践に近い本格的なシミュレーションゴルフも楽しめます。

QONCEPTの林建一氏(左側)と藤田洋介氏(右側)

 クック氏もゴルフをたしなむそうです。自身でパターを握り、アプリのデモンストレーションを体験したクック氏は開口一番「とても創造性にあふれるファンタスティックなアプリですね」と嬉しそうに笑みを浮かべていました。

Golfboy(ゴルフボーイ)アプリを体験するクック氏。解析精度の高さにも関心を寄せていました
Whateverの小野里夏氏、宗佳広氏に「らくがきAR」アプリが誕生した経緯を聞くクック氏

App Store Foundations Programが 開発者コミュニティにもたらすもの

 それぞれのアプリを体験したクック氏は、日本のデベロッパーの印象をあらためて次のように語っていました。

 「今回の出会いからもまた、日本のデベロッパーの皆様がとても創造性豊かであることを強く実感しました。皆様のアプリは社会の様々な課題を解決に導き、あるいはパンデミックの中でエンターテインメントの力によって人々に安らぎを与えてきました。いずれも前向きな創造性がアプリという形に具現化され、良い結果をもたらした素晴らしい事例だと思っています。日本のデベロッパーコミュニティが、困難に打ち勝つ力を持っているいることを証明していただきました。皆様がARや機械学習のテクノロジーを巧みに使いこなして、アプリに命を吹き込まれたことにも感銘を受けました。」(クック氏)

 いよいよ日本でも、来年1月からApp Store Foundations Programがキックオフを迎えます。オンライン形式のグループセッションと、対面形式によるネットワーキングセッションなど複数回に渡る特別なカリキュラムには、Apple Developer Programに登録したすべての日本のデベロッパーが参加できます。アップルはプレスリリースの中でも、特にスタートアップや初期段階のデベロッパーをApp Store Foundationsに数多く招き入れたいとしています。

 App Store Foundations Programに参加することにより、日本のデベロッパーたちの成長にどのような良い相乗効果をもたらすことを、クック氏は期待しているのでしょうか。

 「日本にも導入されるApp Store Foundations Programは、多くのデベロッパーたちによるアプリ開発をより高い次元に導くことを確信しています。今回の試みがデベロッパーの皆様の成長を促すものとなり、沢山のセッションに参加する中でビジネスの種が芽吹く瞬間が数多く生まれることに私たちも期待しています。」(クック氏)

 Apple Developer Programに登録している日本のデベロッパーには、まもなくApp Store Foundations Programの全容が伝えられるそうです。

 

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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