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Pixel 7 Proで「カッコいい料理写真」を撮るテク〜2倍ズームとポートレートモードを使いこなせ!

ASCII.jp / 2022年12月17日 12時0分

グーグル「Pixel 7 Pro」

Pixel 7 Proはレンズが明るく 料理撮影にも適している

 僕は仕事で料理の撮影をよく手掛けている。飲食店からメニューやウェブサイト用に依頼されることもあれば、雑誌の取材、はたまた食品メーカーのパッケージまで、品も用途も実にさまざまだ。仕事では効率や仕上がりを求めて大型ストロボを組むことが多いが、料理撮影のキモは光と構図。その基本を抑えれば、スマホでもカッコいい料理写真を撮ることができる。実際にGoogle Pixel 7 Proでそれらのテクニックを生かしてみた。

 まず最初は自分でササッと作った朝食。ベーコンと卵を炒めて、ご飯に乗せるというザ・男の朝飯である。4歳の息子にもとても好評な一品だ。

長方形の画面に丸い器をきれいに収めると、この写真のように無駄な空きが生まれやすい
そこで器や料理の一部をカットする。空きが減るだけでなく、欠けた部分があることで視覚的にボリュームを感じやすくなる
陰影が強かったので、カーテンを閉めて撮影。すると青みが強くなってしまった(写真左)。Pixel 7 Proのホワイトバランスは現実にかなり忠実で、日陰ではやや寒色方向に振れる

温度計マークのスライダーで寒色・暖色を調整し 「2倍ズーム」で背景を整理して撮るべし!

 そんなときは画面をタッチすると、3つのスライダーが現れる。縦位置では左、横位置では下にある温度計マークのスライダーが、寒色・暖色を調整できるホワイトバランス(色温度)。暖色方向に振り、さらに明るさと暗部のスライダーを少しだけ明るいほうへ持ち上げた。ザ・男の朝飯も、写真の雰囲気だけはママの手料理くらい優しくなったと思う。

スライダーが現れた撮影画面。揚げ物も暖色系に振ったほうがおいしそうに見えるので、ぐっと左の赤い方向へ。料理写真はなるべく明るめが基本なので、太陽マークの明るさも左の明るい方向へ
というわけで近所のとんかつ屋さんで撮った一枚。とんかつは元が平たい料理なので、俯瞰ではボリューム感が出にくい。幸いキャベツで斜めに立てて盛り付けられていたので、テーブルにPixel 7 Proを置いてほぼ水平に撮影。屹立する岩山のごとく、とんかつを表現できた
というわけで料理をきっちり入れてそのまま撮影したもの(写真左)と、料理の一部をカット&暖色に調整して撮ったもの(写真右)を比較。わずかな差だけど印象は違うはず(撮影協力:喫茶ランドリー森下・両国)

 ちなみにここまでの写真は、すべてズームを2倍にして撮影している。1倍は料理撮影に使うには画角が広過ぎ、器や料理が歪んでしまったり、背景の写り込みが増えてしまう。Pixel 7 Proでは超近接撮影が可能なマクロフォーカスを搭載しているが、これはワイドカメラを併用することでピントの合う範囲を広げるもの。ジャンルや場面によっては有効だが、料理では背景がシャープに見えてしまい、肝心な主役が埋もれてしまうこともある。2倍以上にズームすればだいぶ背景も整理されるし、さらに寄らない(寄れない)けれど背景をボカしたいというときはポートレートモードを使うのもいい。

プロが撮影する料理写真はボケで立体感を作っている 「ポートレートのぼかし」できれいな仕上がりに

 プロが撮影する料理写真では、ボケで立体感を作り出していることが多い。大型ストロボで撮影すればそれなりにメリハリや立体感はあるのだが、心地よい自然光で絞りを開けて=ボケを大きくして撮った写真にはかなわない。2倍以上にズームしたりポートレートモードを使うのは先に書いたが、もっとも仕上がりがきれいなのは上の写真のように「編集」→「ツール」→「ポートレートのぼかし」で後からボカすことだ。

行きつけのバーで、マスターの息子さんが昼間にカフェを始めるというので開店初日に行ってみた。1倍+マクロモードで撮影すると、カウンターにある本棚までくっきり(写真左)。これはこれで店の特徴を表しているが、自信作というあんバタースコーンが目立たない。そこで花のアイコンをタップしてマクロモードをオフ(写真右)
ボケは大きくなったが、背景をさらに整理したいので2倍にズーム(写真左)。これでスコーンが浮かび上がってきた。しかし寒色気味なのが気になる。そこで「編集」をタップすると、「候補」の中に「ウォーム」の項目が。タップすると暖色にシフトしつつ、メリハリもついた。さらに「調整」の最後にある「周辺減光」で、わずかに四隅を暗く落とした
さらに後述する「ポートレートのぼかし」で「ぼかし」を50、「奥行き」を25でさらに背景をボカしてレタッチ完了。周辺減光は主役に視線を誘導させるテクニックのひとつだ(撮影協力:sugeo coffee)
ハンバーガーはスマホで普通に撮ると、ピントの深さゆえにボリューム感が出しにくい
そこで「ぼかし」を最大の100、ピントの合う範囲を決める「奥行き」を25に
さらに「調整」で「色温度」を70、 「シャドウ」を-10、「周辺減光」を10にして仕上げたのがこれ。レタッチだけで雑誌や広告に使えそうなレベルになった
義母から庭の畑で栽培したニンニクが届いたので、ペペロンチーノを作ってみた。ピザやラーメンなど盛りが平らな料理で「ポートレートのぼかし」をかけると、ボケがまだらになることがある。しかしこれくらい盛り付けに立体感があればきれいに効いてくれる

 上のペペロンチーノは窓際に面している我が家のキッチンで撮影している。窓際の光はスマホでの料理撮影に最適で、直射日光は当たらないが明るいという状況がベストだ。その柔らかい光を奥から当てることで、立体感やボリューム感、さらには料理をおいしそうに見せる“テリ”を表現できる。仕事で大型ストロボを組んで撮影するときも、料理を時計の文字盤に例えると、10時から2時の方向から光を当てる。

飲食店で写真を撮りたいときは、可能であれば窓際の席や、窓からの光がこちらに向かっている席に座ってみよう。このカレーライスも窓際の席で撮影した(撮影協力:喫茶ランドリー森下・両国)
ただし背中から光が当たる順光も、ときに効果的なこともある。たまたま入ったカフェでカフェラテを注文。窓を背にする席しか空いていなかったのだが、西日がいい陰影を作ってくれた
コントラストが強い「アルパカ」は、パンチの効いた料理にぴったり。青が濃く、赤が明るめに再現されるので、激辛麻婆にベストマッチだ

仕上がりをアレンジする「フィルタ」を活用

 Pixel 7/7 Proの「編集」メニューには、仕上がりをアレンジする「フィルタ」もある。効果が強いものから弱いものまで、カラー15種類・モノクロ4種類が用意されている。その中からいくつかを使ってみた。

またまた僕の手作りパスタ。彩度が下がりつつ赤が残り、全体的にトーンが持ち上がる「モデナ」を適用。モデナといえばフェラーリの本社と工場がある町。だから赤が強いのだろうか。それはともかく、おしゃれな雑誌でときどき見るようなトーンになった
料理企画の締めはデザートで。というわけでハイライトがちょっとだけ持ち上がる「デザート」を使ってみた

 Pixel 7 Proはレンズが明るく、暗い場所でもメリハリのある写真が撮れるので、料理撮影にも適していると思う。今回特集としてあれこれ試してみて、とくにレタッチ後の仕上がりの良さには驚いた。無加工でおいしそうに撮るというのは一眼レフやミラーレス機でも難しく、何らかのレタッチをしていくのだが、Pixel 7 Proはそれがとても簡単という点もポイントだ。食欲の秋というにはだいぶ寒くなりつつあるけれど、手作り、テイクアウト、外食、さまざまなおいしいものを、ぜひおいしそうに撮ってほしいと思う。

 

※お知らせ※  9月30日に玄光社より著書「いい写真を撮る100の方法」を発売しました。見たこと、感じたことをどうすれば「いい写真」に仕上げることができるか、100篇の写真と文で送るヒント集です。教科書としても、読み物としてもお楽しみいただけると思います。 ■玄光社による紹介ページ→http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=29454

 
 

筆者紹介――鹿野貴司  1974年東京都生まれ、多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーランスの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるかたわら、精力的にドキュメンタリーなどの作品を発表している。

 写真集に「山梨県早川町 日本一小さな町の写真館」(平凡社)など。公益社団法人日本写真家協会会員。

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