本日まで開催、「ポタフェス 2022冬」注目の展示をピックアップ
ASCII.jp / 2022年12月18日 12時0分
e☆イヤホンが主催するポータブルオーディオのイベント「ポタフェス 2022冬 秋葉原」が3年ぶりに東京で開催された。会場以前と同じ、ベルサール秋葉原で本日18日までの開催。事前登録なしのフリー入退場制が採用された。
たくさんの製品が集っている。特に参考出品が多く、価格はおろか名前すらまだわからないという製品も多く展示された。その中からいくつかブースごとにまとめて紹介していこうと思う。
Astell & Kernのアナログポータブルアンプ
注目製品のひとつは直前に発表されたこの「AK PA10」だ。
一般的な3.5mm端子と4.4mmバランス駆動用端子を備えるポータブルアンプだが、3.5mmのアンバランス回路と4.4mmのバランス回路の信号経路が独立している尖った特徴。このため、4.4mm端子から入力した信号は4.4mmのヘッドホン出力でのみ再生できる(3.5mm端子にイヤホンをつないでも音が出ない)。
また、A級増幅のアンプを搭載し、カレントコントロール機能で電池の持ちを変えながらパワーを高められるという本格的な設計だ。ポータブルアンプはDAP全盛になり一時期の勢いはなくなったが、またこうした本格的な製品が出てきて活性化されると面白いと思う。
4.4mmで試聴してみたが、たしかにA級増幅らしい極めて滑らかなサウンドが楽しめた。カレントコントロールを変えると特に低音の力感が増すようだ。実売価格は9万4980円前後で発売日は未定。
AZLAからは新しいフォームタイプのイヤーピース
AZLAブランドからは、フォームタイプのイヤーピースが発表された。これは「SednaEarfit foamax」という製品で、名称通りフォームの素材とSednaEarfitのフィルターが組み合わされている。聞いてみるとフォームらしいしっかりとした装着ができ、やはりフォームらしい低音重視の柔らかめの音になるようだ。価格等は未定。
サプライズとなったCampfire Audio初の完全ワイヤレス
サプライズとなったのが、Campfire Audio初の完全ワイヤレスイヤホン「Orbit」。参考展示されていた。とてもコンパクトだが大口径の10mmのダイナミックドライバーを搭載している。
試聴してみると、音場が広く力強いサウンドで、ダイナミックドライバーらしい躍動感ある音だ。とても軽くて装着感が良いのも特筆だ。価格は未定だが、海外価格は249ドル。
Campfire Audio Trifecta
「Campfire Audio Trifecta」は、3基のダイナミックドライバーを三角形に配置した独特なデザインを持つハイエンドの有線イヤホンだ。国内では50台のみ46万8900円前後で発売される。試聴してみると音場が立体的で極めて個性的、ダイナミックドライバーらしい密度感があって厚みのある音楽的なサウンドだ。
FiiO FW5
ポタフェスの直前に発売が開始された「FiiO FW5」はマルチドライバーかつ独立したDAC/アンプ統合チップとしてAK4332が搭載されている音質志向の製品だ。価格は3万3000円。
特徴は、音量調整に物理ボタンを使用する点で、基本的にはスマホ側のボリュームは最大にして「FiiO FW5」側のボタンで音量操作をする。スマホ側のボリュームを最大にすることでデジタル計算による劣化を避けることができるのでより高音質で楽しめるというわけだ。
音は落ち着いた上品なオーディオマニア向けのサウンドだと感じた。同じくエミライが扱う「FoKus Pro」の派手な音作りとも対照的なサウンドなので棲み分けができるかもしれない。
Noble Audio FoKus Mystique
Noble Audioからはマルチドライバーを搭載した完全ワイヤレスイヤホン「FoKus Pro」の後継機種「FoKus Mystique」の世界初展示がなされていた。ドライバー構成は「FoKus Pro」と同じだが、再チューニングが施されている。また外音取り込み機能が追加され、フェイスプレートのデザインが変更されている。
聴いてみると「FoKus Pro」に似た先鋭的でアタック感の強いサウンドが楽しめた。価格等は未定だが、おそらく「FoKus Pro」に近いものとなると思われる。
また、同ブランドではサプライズとして「FoKus Prestige」が参考展示された。これは、FoKus Mystiqueと中身は同じだが、素材やデザインが異なる製品で、FoKus Mystiqueが通常製品なのに対してFoKus Prestigeは限定製品となるようだ。価格はやはり未定だが「FoKus Mystique」より多少高くなると思われる。
水月雨からは平面磁界型ヘッドホンの「VENUS」
高音質のイヤフォンで人気のある「水月雨」ブランドからはフラッグシップである平面磁界型ヘッドフォン「VENUS」が国内初展示されていた。これは100mmのサブナノメートル振動板を採用し、純銀エッチングの電気回路を採用している。
価格は8万円台ということだが、試聴してみると音場が広くて解像力がとても高く、その整ったサウンドは価格を大きく超えていると思う。その意味では、とてもコスパの高い製品と言える。
Lotoo発の据え置き型プレーヤー、Mjolnir
Lotooの据え置き型プレーヤーである「Mjolnir」を展示。これはいわばAstell&Kernの「ACRO CA1000」のような据え置きのDAPと言える製品で、上面にタッチパネルを搭載してDAPのように操作できる他に前面にも再生情報が表示できるディスプレーを備えている。バッテリー駆動で8時間ほど再生できるということだ。DACにはAK4499を搭載し、ポータブルという制約がないので回路は新設計とのことだ。
試聴してみるとLotooのDAPに似た音調ではあるが、ポータブルよりも力感があり据え置きの実力を感じることのできるサウンドだ。価格等は不明。
正真正銘の昭和生まれヘッドホン「ST-90-05」~アシダ音響
最新の機材が並ぶ中で異彩を放っていたのはアシダ音響ブースだ。ここで展示されているレトロな外観がユニークの「ST-90-05」は昭和リスペクトの製品ではなく、40年も前に開発された業務用のヘッドフォンをベースにした正真正銘の昭和生まれの製品だ。これはもともとは通信用に開発されたものを音楽用に手直ししたもので、音を聞いてみるとレトロ調だが今聞いてみても悪くはない。現代機器の尖鋭的なサウンドに慣れたユーザーには新鮮に感じられるかもしれない。希望小売価格は6600円。
元祖イヤモニと言えばこれ、Shure E1
Shure(シュア)は、1997年発売の「E1」を参考展示していた。これは現在の高性能イヤホンやIEM(インイヤーモニター)の先祖と言える先駆的な製品だ。設計はWestoneのオーディオマイスターであるカートライト兄弟とShureの共同で行われてた。Shureはこの製品により名を知られることになり、その後にWestoneもこの分野に進出していくきっかけとなる記念碑的な製品でもある。この25年もの高性能イヤホンの歴史はこの後どうなっていくのか、ちょっと考えさせられる展示であった。
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