骨伝導でも音がいい、耳をふさがないイヤホン大集合
ASCII.jp / 2022年12月20日 9時0分
“ポタフェス 2022冬 秋葉原”が12月17~18日に、秋葉原でリアル開催された。
会場で目立った存在になっていたのが、骨伝導型を中心とした耳をふさがないタイプのイヤホン、ヘッドホンだ。数年前から、Shokzなど取り組むメーカーが増えていたが、最近になってオーディオテクニカを始めとした大手も製品化に取り組んでいる。骨伝導型が苦手とする低域の再現なども改善し、音楽再生用に使っても満足いくクオリティのものが増えている。
会場の展示から気になる製品をまとめていこう。
骨伝導の元祖と言えば“Shokz”
国内でShokz製品を取り扱っているフォーカルポイントは、骨伝導型ワイヤレスイヤホンを多数展示。また、骨伝導型ではないが、耳をふさがない完全ワイヤレスイヤホン「OpenDots」(実売2万4000円弱)の展示もしていた。
骨伝導型では「OPENRUN PRO」「OPENRUN」「OPENMOVE」「OPENCOMM」の4モデルを展示。ハイエンドのOPENRUN PROのみが“Shokz Turbo Pitchテクノロジー”という骨伝導技術を採用。ほかは“PremiumPitch 2.0”を採用している。OPENCOMMは、テレワークに便利なブームマイク付き。エントリーモデルの「OPENMOVE」はイヤーフックなどの材質がチタンではなく樹脂製となり、充電方法が専用マグネティック方式ではなく、USB Type-Cとなる点が異なる。詳しくは比較表を参照してほしい。
OpenDotsは、指向性をコントロールしたダイナミックスピーカーを採用した“DirectPitch”技術を採用している。また、低域改善アルゴリズムによって「原音に近い深みのある豊かなサウンドを聴ける」とのしている。Bluetooth 5.2準拠で対応コーデックはSBC、AAC。IP54相当の防塵防水対応で、一回の充電で約6時間、充電ケース込みで最大24時間の再生可能。5分の急速充電で最大約1時間の再生に対応している。デュアルノイズキャンセリング・マイクも備え、ハンズフリー通話も可能。一部店頭で販売中だが、品薄状態だという。
第3の経路“軟骨伝導”を活用するオーディオテクニカ
オーディオテクニカの「ATH-CC500BT」は、世界初を謳うワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン。「軟骨」伝導である点が特徴だ。
35gと軽量で、見た目や利用方法は従来の骨伝導ヘッドホンと大きくは変わらない。Bluetooth接続でAACやaptX、aptX HDコーデックやマルチポイント接続にも対応する。通話性能では、AIノイズリダクション技術(AIVC)を活用し、発話者の声だけをクリアに伝えられるという。IPX4の防滴仕様。音楽の音楽再生時間は最大約20時間。充電時間は約2時間。約10分の充電で約2時間使用できる急速充電にも対応している。直販価格は1万7600円。
AVIOT初の骨伝導ヘッドホン「Openpiece Playful」
AVIOTを展開するプレシードジャパンは骨伝導ヘッドホンの「Openpiece Playful」を展示。12月23日より順次発売予定。価格は1万5950円だ。
耳全体を包み込むAVIOT独自の「モダンフィットデザイン」を採用している。各部の硬度と表面素材を最適化し、内部にはチタンを用いた形状記憶合金で適度なバネ特性と強度を両立している。歪みのない高域と深みのある低音が特徴だという。最長12時間の連続再生が可能で、充電しながらの音楽再生や通話も可能。USB Type-C対応でおよそ10分の充電で最大60分の急速充電にも対応する。IP67相当の防塵・防水性能、マルチポイント接続機能や高品質通話機能。専用アプリの設定で、高音質/音漏れ抑止モードの切り替え、GPSを使った位置履歴の確認、ゲームを想定した低遅延設定の変更などが可能、4色展開のカラバリも魅力と言える。
日本上陸から間もない中国発ブランドHAYLOUも
日本に上陸したばかりのブランドHAYLOUは、発売したばかりの骨伝導イヤホン「PurFree BC01」やGREEN FUNDINGでクラウドファンディング中のオープン型イヤホン「PurFree Buds」を展示していた。
PurFree Budsは耳をふさがないオープンイヤー構造を採用。16.2mmと大型のドライバーも特徴。骨伝導イヤホンのPurFree BC0は発売中のモデルで、1万7980円。ブランド独自の “Haylou Surround” 技術によって、深みのある重低音を追求しているモデル。また、HAYLOUの輸入代理店であるロア・インターナショナルのオリジナルブランドHACRAY「SeaHorse」は音楽プレーヤー機能を搭載する骨伝導ヘッドホンとなっている。
耳をふさがず、音漏れを逆相で防ぐnwmの「MBE001」
GREEN FUNDINGのブースでは、NTTソノリティの音響ブランドであるnwm(ヌーム)のパーソナルイヤースピーカー「MBE001」を展示。こちらもクラウドファンディング中だ。
耳穴をふさがないタイプの製品で、ドライバーから耳元の小さなエリアを狙って音を出す。この製品が搭載しているPSZ技術は、イヤホンから漏れる音に逆相の波を当てることによって音漏れを防ぐという仕組み。よくあるノイズキャンセリング技術の逆をやっていることになる。実際に試してみたところ、耳元に近い距離だとさすがに音は聞こえるが、少し離れると注意深く聞かないと分からないレベル。これまでの有線型(MWE001)に加えて完全ワイヤレス型も追加されたことで、会議などがより快適にこなせそうだ。
FILLTUNE CLEARはハードルの低い月額レンタルも可能
FILLTUNEの「FILLTUNE CLEAR」は、聴覚障害のある人を想定した聴覚補助デバイス。仕組みとしては骨伝導ヘッドホンの一種と言える。老化などで蝸牛内の外有毛細胞が損傷して、高音域の音声が不明瞭になった人でも、もう一度音楽を楽しめるといったコンセプトで開発されている。試作機は以前、このサイトでも紹介しているので詳しく知りたい方は参照してほしい。なお、44万円と高価な製品ではあるのだが、月額8800円でレンタルも可能だという。
耳をふさがないイヤホンの定番と言えばLinkBuds
ソニーの「LinkBuds」は、中央をくりぬいた独特のドライバーを使用し、周囲の音を聴きながら使える開放型の完全ワイヤレスイヤホンだ。すでに発売から時間が経っているが、この分野では有力な選択肢。ブースでも強くアピールされていた。
骨伝導ドライバー搭載の密閉型イヤホンで高音質化を狙う方向も
最後に骨伝導というと、利便性のほうが優先されがちだが、ハイエンドのイヤホンでは高音質化のためにも用いられている。最近ではダイナミック型、BA型などのドライバーに加えて骨伝導デバイスを組み合わせているケースが増えている。
Unique Melodyのブースでは、骨伝導デバイスも利用した完全ワイヤレスイヤホン「U-Free」も試聴できた。ダイナミック型と骨伝導ドライバーを1基ずつ搭載した密閉型のハイブリッドイヤホンで、ノイズキャンセリング機能も搭載。SBC/AAC/aptXのコーデックに対応。現在アプリなどを開発中で来年の発売になるそうで、価格は4万円前後となる見込み。
よく密着感させることが重要だが音も相当によく、骨伝導が耳によくフィットするよう専用のイヤーピースも用意している。今回聴いた完全ワイヤレスイヤホンの中でも出色のサウンドと言ってもいいと個人的には感じた。
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