ディーゼルのWear OS 3搭載スマートウォッチ「GRIFFED GEN 6」はカスタマイズ自由自在!
ASCII.jp / 2022年12月22日 12時0分
イタリアのファッションブランド、DIESEL(ディーゼル)はグーグルWear OSを搭載するスマートウォッチを長く手がけてきた。今回は2022年秋にディーゼルが発売した「THE GRIFFED GEN 6 SMARTWATCH」をレポートする。Wear OS 3と、クアルコムのウェアラブル向けSoC「Snapdragon Wear 4100+」を搭載する注目機だ。
最新のWear OS 3を搭載。Androidスマホと好相性
THE GRIFFED GEN 6 SMARTWATCH(以下:GRIFFED GEN 6)は、自動車やバイクの工業デザインの感性を採り入れたというクールな外観を特徴としている。ステンレススチールの輝きを活かしたケースには、写真のシルバーのほかにシルバー/ブラック、ガンメタル/ブラックのカラーバリエーションがある。バンドはステンレススチール、レザー、ディーゼルロゴを配置したナイロン×シリコンの合計3種類。
ケースのサイズは48mm、厚みは14mm。筆者はディーゼルのデニムやTシャツ、ジャケットなどアパレル製品のデザインにはどちらかと言えばヨーロピアンな力強さを感じていたが、GRIFFED GEN 6のシルバーモデルはシックな印象だ。スーツやジャケットにも合わせやすい。ウォッチ本体は3気圧防水に対応しているので、ワークアウトにも使える。
ケースの右サイドにはセンター(リューズ)、トップ(2時位置)、ボトム(4時位置)に3つのボタンがある。センターボタンがメニューの呼び出し機能を担い、リューズを回転させると画面スクロールになる。トップボタンは最近使ったアプリ、ボトムボタンはよく使うアプリへのショートカットだ。本体設定からトップボタンは長押し、センターボタンはダブルクリックに特別な操作が割り当てられる。
Wear OS 3以降からグーグルが提供してきた「Wear OS」モバイルアプリではなく、各メーカーの専用コンパニオンアプリをペアリング、あるいは本体の各機能のセットアップに使う仕組みに変わった。GRIFFED GEN 6は「DIESEL On」アプリを使う。
このアプリにはひとつ注意事項がある。AndroidとiOSの両プラットフォームに対応しているのだが、Androidスマホと一緒に使ったほうが、ウォッチのソフトウェアキーボードでタイピングしてメッセージやメールに直接返信を送ったり、Google Payによるタッチ決済対応など、いくつかのアドバンテージが得られる。この点でGRIFFED GEN 6はAndroidスマホユーザー向きのスマートウォッチと言えなくもない。
バッテリー持ちの良さと高速チャージ対応も武器
クアルコムがスマートウォッチ向けに開発する「Snapdragon Wear 4100+」は、処理パフォーマンスとバッテリー寿命のバランスに長けたウェアラブル向けSoCとして定評がある。
バッテリー性能では、前機種のGEN 5と比べて充電にかかる時間が2分の1に短縮され、30分で約80%の高速チャージに対応する。ディーゼルはウォッチのバッテリー持ちを時間単位では公表していない。ウォッチの「バッテリーモード」を開くと、およそ1日中のバッテリー持ちを目安とする「毎日」、必要時に重要機能をオンにして数日おきの充電ペースまで長持ちさせる「拡張」と、バッテリー残量が低下してからもしぶとく粘れる「時計表示限定」の3つの設定が選べる。
筆者が試した限り「毎日」モードは毎晩寝る前に充電してから「睡眠トラッキング」に一晩中使い、そのまま外出して夜までバッテリーがしっかりと持つ感触だった。
ワークアウトのトラッキングから心拍測定までフィットネスも充実
センサーは光学式心拍計、加速度計、ジャイロからGPSも含めて幅広く揃う。最新モデルのGEN 6からSpO2(酸素飽和度)のオンデマンド計測にも対応した。
ウォッチに内蔵するウェルネスアプリには、睡眠やアクティビティのトラッキング、カーディオフィットネスを導き出してフィットネスレベルに合わせたワークアウトの実践を促進する機能がある。それぞれ機能のメイン画面を下にスワイプすると、ウォッチのウェルネスアプリ内で履歴データの一部を参照できる。
Google Fitアプリとの連携にも対応する。コンパニオンアプリのDIESEL Onにもフィットネスデータを一望するためのダッシュボード機能があるので、睡眠計測や心拍数の振り返りはここからサクッとできる。ウォーキング、ランニングなどワークアウトのルートマップ履歴が一望できたり、Google Fitアプリの良い所と使い分けたい。
アプリでカスタマイゼーションをとことん楽しむ
コンパニオンアプリのDIESEL Onから、ウォッチのさまざまなカスタマイゼーションが楽しめる。まずアプリのデザイン自体がおもしろい。ウォッチの画面の下、「あなたに」というタイトルの下に並ぶダイナミックカードは、ユーザーに役立つウォッチの使い方や旬の情報、キャンペーンを知らせる役割を担っている。鮮やかな独特の画面デザインがアパレルブランドのスマートウォッチらしい。
GRIFFED GEN 6は外観のカスタマイゼーションを楽しむ自由度が高いスマートウォッチだ。ウォッチフェイスはデザインの種類が豊富なだけでなく、文字盤に時刻表示のリングの色など選べる項目が細分化されている。掛け合わせを練れば、まさしく「自分だけのデザイン」に追い込める。
今後は自分が撮った写真や任意の画像を使ったオリジナルウォッチフェイスが作成できる「フォトフェイス」の機能がアップデートにより追加される予定もある。
ウォッチフェイスには「Dial Effect」というソフトウェアの機能が追加できる。Dial EffectはGEN 6以前のモデルから引き継いでいるが、天気情報を参照して文字盤に強く照りつける太陽の光や濃いめの雲などを浮かび上がらせる。「時刻が見やすいこと」を腕時計製品の一般的な常識として守りつつ、ギリギリの所でディーゼルらしさを盛り込んだ意欲的な機能だ。
もうひとつの「DIESEL T-ON-I」という機能はディーゼルのスマートウォッチが搭載するオリジナルアプリだ。時計を身に着けていると、不定期に不思議なテキストが画面に表われる。T-ON-Iのメッセージはユーザーのアクティビティや天気情報にも連動している。内容はインフォメーションというよりもポエムに近く、難解なユーモアが時に理解できないこともあるが、使い込むほどにこれぞまさしく「ディーゼルのスマートウォッチらしいアソビの機能」なのだと納得してしまう。
Amazon Alexaで音楽再生
GRIFFED GEN 6はAmazon Alexaによる音声操作にも対応するスマートウォッチだ。利用にはAmazonアカウントが必要。最初にウォッチでAlexaアプリを開き、スマホやPCなどの端末からAmazonアカウントにログインして「Alexaのペアリング設定」を完了する。
Alexaはケースのサイドボタンの押し込み操作による起動が速くて便利。ウォッチにマイクが内蔵されているので、話しかけて天気やニュースを聞いたり、ワークアウトの際にはBluetoothイヤホンをペアリングしてから好きな曲をAmazon Musicから音声で検索・再生できた。
Wear OS 3に最適化されたYouTube Music、Spotify(Premium)のアプリなら、GRIFFED GEN 6が内蔵する8GBのストレージに楽曲をキャッシュしてオフラインで再生もできる。屋外でもスマホを持たずに音楽再生とワークアウトをハイブリッドにこなしたい場面にピタリとハマる。
条件が揃えばタッチ決済を使いたい
GRIFFED GEN 6をAndroidスマホにペアリングして使っている方は、ぜひGoogle Payによるタッチ決済が使える環境を整えたい。ただ、こちらはリンク先のページでも詳しくレポートされているが、登録できるカードの種類がまだ少なく、制限もあるのが難点。
筆者がこの原稿を書いている2022年12月19日時点で、GRIFFED GEN 6に読み込めるカードはコンタクトレス(非接触)決済に対応するVISA、もしくはMasterCardのブランドが発行するデビットカード(デビットカード付きキャッシュカードを含む)に限られる。筆者はSony Bank WALLETを登録した。コンビニでの買い物などが便利だ。将来はぜひSuicaなど交通系ICカードも使えるようにして欲しい。
先進的なスタイルと機能のバランスが絶妙
ディーゼルのGRIFFED GEN 6は、デザインの先鋭感とWear OS 3が実現する最新機能のバランスを程よく備えるスマートウォッチだ。Wear OS系スマートウォッチを初めて使う方もスムーズに馴染めるだろう。
Androidスマホのユーザーなら、SuicaやFitbitのフィットネスサービスが使えるGoogle Pixel Watchを選ぶ手もあるかもしれない。ただ、腕時計としての存在感はGRIFFED GEN 6の方が強い。スーツなどと組み合わせた着こなしを工夫すれば、見た目にもより強いインパクトが演出できる。iPhoneのユーザーも対象に含めて、アンダー5万円で楽しめるとてもスタイリッシュな個性派スマートウォッチとしておすすめしたい。
筆者紹介――山本 敦 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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