バッファローのWi-Fi 6E対応ルーター「WNR-5400XE6」が超快適だった
ASCII.jp / 2022年12月22日 10時0分
6GHz帯がようやく開放されたことで、各メーカーがWi-Fi 6E対応ルーターを発売してきているが、バッファローからはハイエンドモデルではなくミドルクラスの「WNR-5400XE6」から発売された。こういう製品は大体、ハイエンドモデルを出して廉価版へという流れが多いが(同時発売もある)、今回は真逆。廉価版を先に発売して、ハイエンドモデルは来年春発売ということだ。
ハイエンドモデルは、それなりなお値段がするわけで、アーリーアダプターといった新しもの好きがメインターゲットになるが、ミドルクラスだとお値段も抑えられているので、Wi-Fi 6Eに興味がある人やちょうどルーターを交換しようと思っていた人には手を出しやすいはず。Wi-Fi 6Eを普及させるにはミドルクラスを先にしたのは正解かもしれない。
WNR-5400XE6は、単体で実売価格2万円前後、即メッシュ化できる2台セットが3万8000円前後と、ハイエンドモデルを買うより2台セット買ったほうが安いのではという値段設定。戸建てや広いマンションに住んでいるなら、メッシュ化したほうが全部屋カバーしやすいので、ハイエンドモデル1台買うよりミドルクラス2台セットを購入したほうがコスパ的にいいだろう。
今回は、そんなWNR-5400XE6の2台セット「WNR-5400XE6/2SN」をお借りして筆者宅で検証してみた。
WAN側は2.5Gポートを搭載
バッファローのルーターというと、黒いボディに箱型タイプという印象が強いが、本製品はボディカラーがホワイト。縦長のコンパクトなデザインで、サイズは140(W)×75(D)×217(H)mm。リビングに置いても違和感のないアンテナ内蔵タイプだ。電源はACアダプターだが、コンパクトなので複数のコンセント口を埋めることはない。
基本性能としては、どの周波数帯も2×2で、アンテナは5GHz帯と2.4GHz帯用が2本、6GHz帯用が2本で、理論値としては6GHz帯と5GHz帯が最大2401Mbps、2.4GHz帯が573Mbpsとなっている。
配線が目立たないよう、本体底面にポート類を集結。WANポートが2.5Gbpsに対応しており、最近の1Gbps超え回線を意識した仕様になっている。ただ、LAN側は1Gbpsのため、Wi-Fiで接続しないとその恩恵は受けられない。
機能としては、複数の端末と同時に通信するOFDMAに対応。電波強度により接続する周波数帯を変える「バンドステアリングLite」機能を搭載。プロバイダーとの接続では、IPv6(IPoE / IPv4 over IPv6)に対応するため、アクセス集中によるデータの滞りの少ない通信ができる。
メッシュ化を実現する「Wi-Fi EasyMesh」では、簡単なセットアップですぐに利用可能となり、常に最適な経路で自動的に通信してくれる。ルーター(コントローラ)と中継機(エージェント)との切り替えもスムーズに行なえる設計だ。メッシュ構築は有線LAN接続でも可能で、Wi-Fi接続より速度の劣化が少なく、より広い範囲で高速通信が可能となる。残念なのは、LAN側が1Gbpsな点で、1つでも2.5Gbpsポートが用意されていれば、より高速なメッシュ環境を構築できるのだが、あるいはこのあたりがハイエンドモデルとの差別化ポイントとなるのかもしれない。
ほかにも、端末ごとにネットの使いすぎを防ぐ「キッズタイマー」機能を搭載。曜日ごとに利用できる時間帯を制限可能だ。
そもそも、6GHz帯が加わったことで、これまでの環境と何が変わるのかざっくり説明すると、2.4GHz帯は高速化技術が使えず、今となってはとても遅い通信手段となってしまっている。また電子レンジやBluetoothなどと利用帯域が被るため、そういった機器の使用時はWi-Fi通信が停滞することがある。
一方、5GHz帯は、航空レーダーや気象レーダーの帯域と被り、それらの電波をキャッチすると、自動的にチャンネルを変更する仕組みになっている。そのため、そういった電波が飛び交う地域では、通信を一旦停止するといった処理が発生しがちで安定せず、結果遅くなってしまう。
Wi-Fi 6Eで利用できるようになった6GHz帯は、ほかと被る帯域がなく干渉が起きないため、5GHz帯のような通信を止める必要もなく利用できる。また、チャンネル数も増えたため、たとえば隣家など、近くにほかのルーターがあり、同じ6GHz帯を使っていたとしても、干渉せずに利用できることが期待できる。ただし、5GHz帯に比べても電波が遠くへ届きにくくなっているので、どんな場所でも6GHz帯の方が必ずしも速くなるというわけではない。
もちろん、端末側も6GHz帯が利用できなければ意味がないが、すでにWi-Fi 6E機能を内蔵し、バージョンアップによって開放される端末は意外と少なくない。そうした機器を使っている方なら、Wi-Fi 6E対応ルーターを早期に導入すれば、それだけ早く高速通信のメリットを享受できるのでおすすめだ。
実際に筆者宅に設置してみた結果
さっそくWNR-5400XE6/2SNを設置して、どの程度の速度が出るのか検証してみた。筆者宅は戸建ての軽量鉄骨住宅で、壁の中にも金属が入っているため、木造建築の住宅よりは電波が届きにくい。また、回線はフレッツ光NEXTで速度は最大1Gbps。そのため残念ながらWAN側2.5Gbpsの実力は発揮できない。
また、計測には「Speedtest」アプリとスループットを測る「iPerf3」を使用。Speedtestの場合、ノートPCで何度か計測して好結果の値を記録として記載しているが、回線やサーバーの混み具合によって速度が異なるため、その点を留意してほしい。一方iPerf3では、有線LAN接続のデスクトップマシンとノートPC間で計測。30秒間の平均値を取り、やはり好結果の値を記録として記載している。なお、ノートPCはWi-Fi 6Eに対応したVIOA SX14 ALL BLACK EDITIONを使用している。
まず設置に関しては、使用しているプロバイダーがIPoE接続なので、ケーブルをつないで電源を入れるだけで自動的に回線を認識してネット接続できるようになった。念のためルーターの状態を確認できる「StationRadar」アプリを使って確認したが、特に設定することもなく、あっけなくWi-Fi 6E環境になった。
初期設定では利用できるSSIDが、6GHz帯、5GHz帯、2.4GHz帯で分かれていて、端末がAOSSに対応してれば、ボタンを押すだけで設定可能。QRコードをアプリで読み込んでの設定も可能で、やりやすい方法で接続するといい。
メッシュ構築も非常に簡単で、2台セットモデルだとすでに設定が完了している状態でパッケージングされているため、エージェント機を設置したい場所に置き、電源を入れるだけでOK。手をわずらわされることなくメッシュ環境になる楽さだ。ちなみに、新規にエージェント機としてもう1台追加導入する場合でも、コントローラ機とAOSSボタンを押して設定するだけ。初心者でも迷うことはないはずだ。
Speedtestアプリでの計測した結果は以下の通り。1階奥の部屋だけ、メッシュありとなしを計測している。
ご覧の通り、これまでいろいろとルーターの計測をしてきたが、1階の奥の部屋以外、下りが600Mbpsを超えるという、これまでにない好結果となった。2階のリビングがいちばんルーターに近いが、ほぼ有線接続したときと遜色ないレベルに達している。6GHz帯のほうが上回っているが少しの差。ルーターから離れていくと、若干5GHz帯のほうが良い結果になっている。
一方で、1階奥の部屋は6GHz帯では極端に落ちる結果となった。電波がギリギリで、下りは一応300Mbps近くが出ているものの、上りが50Mbps前後とかなり厳しい。5GHz帯では、上り・下りとも十分な速度が出ているので、もしルーター単体で運用するなら、遠い部屋は5GHz帯で接続するのがいいだろう。
エージェント機を1階に設置してメッシュ化すると、1階奥の部屋が復活する。6GHz帯で下りが596Mbpsまで出るというのも、これまで見たことのない数値だ。2階建て以上の戸建てなら、ワンフロアごとにエージェント機を置くと、家の隅々まで高速でネット接続できるようになる。
もう1つ、iPerf3でのスループットを計測した結果は以下の通りだ。
全体的にはSpeedtestの結果と同じ傾向で、メッシュ化したときの1階奥の部屋がSpeedtestのときより若干落ちているものの、その他の場所では上回っている。これだけの速度がでれば十分だ。
コンパクトなのにかなりパワフル
こうして検証した結果、コンパクトなミドルクラスのモデルにもかかわらず、ルーターからちょっと離れたぐらいでは速度の低下もあまりなく、かなりパワフルだということがわかった。2×2なので、あまりにたくさんの端末が接続して通信すると、ハイエンドモデルよりは速度が落ちるかもしれないが、これだけ速度が出れば多少落ちても支障はないはず。
いまWi-Fiルーターを購入するなら、少々高くてもWi-Fi 6E対応モデルにするべき。単体が実売価格2万円前後、2台セットが3万8000円前後なので、この冬のボーナスを投入し家庭のネットワーク環境を刷新して来年をいい年にしてみては?
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