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テーマは「こだわり」!今年もHHKBミートアップイベントが開催

ASCII.jp / 2022年12月22日 14時0分

 毎年12月恒例、PFUの高級キーボードHHKBのユーザーミートアップイベント「HHKB User Meetup Vol.6」が開催された。コロナ禍のため今回もオンライン配信となった。500人限定の「Zoom配信」に加え、エバンジェリストなどの招待客が集まる原価BAR三田本店でのパブリックビューイングも開催された。

HHKBのユーザーミートアップイベントが今年も開催!

コロナ禍でも販売台数が伸びているHHKB

 まずは、原価BARから、PFU コミュニケーション戦略室 室長 松本秀樹氏からの挨拶。HHKBをここまで引っ張ってきた立役者であり、HHKBコミュニティでは顔となっている人物だ。

「ご承知の通りPFUは、今年激動の1年でした。親会社が富士通からリコーに変わり、皆さんもHHKBがどうなるのか、と思われる方もいるかもしれませんけど、大丈夫です。皆さんがいる限り、HHKBはなくなりません。引き続き、応援よろしくお願いします。皆さんもビールでも飲んで、今日も楽しんでいただきたいと思います」と松本氏はHHKBオリジナルのビールHHKBEERを片手に開会の挨拶を行なった。

PFU コミュニケーション戦略室 室長 松本秀樹氏

 続いて、ドキュメントイメージング事業本部 販売推進統括部 統括部長の山口篤氏がHHKBのオーバービューを紹介してくれた。まずは累計出荷台数が64万台を突破。コロナ禍で4万台も売れており、伸び幅も高く、絶好調だ。市場の割合は、日本国内が83%で、海外が17%。

 仕事もプライベートもオンラインという人が増えている中、HHKBの認知度も高まっているので、販売台数が増えたのだろう。ここで、HHKBファンは一人2~3台持っている人が多く、実際のユーザーは半分くらいと思われるので、まだまだこれから、とジョークを飛ばした。実際、その一面はあるので、まだまだユーザー数の伸びしろしかない、という状態だろう。

2022年は10月の段階で累計64万台を出荷した

 販売の内訳では、相変わらず最上位モデルの「HYBRID Type-S」が8割以上とダントツに売れている。面白いことに、アメリカでは「HYBRID Type-S」は49%で、スタンダードモデルの「HYBRID」が18%、有線モデルの「Classic」が18%となっている。アメリカと比べると、日本は静音性を重視する傾向にあるようだ。

 カラーではダントツに「墨」が多く、過半数を占める。続いて、「白」が3~4割、「雪」が1割弱といったところだ。配列は英語配列と日本語配列が4割強で、若干日本語配列の方が多い。そして、HHKBと言えば「無刻印」。キートップに何も書いていないモデルが14%もいるという。昨年は9%なので、大幅な伸びだ。

 ユーザーの年齢層にも変化があった。2021年、30代までのユーザーは22.8%だったのだが、なんと今年は31.1%。1年で8%以上も増えたのだ。山口氏は「雪」モデルを出したおかげで、若い世代のユーザーが増えたと分析していた。10代、20代にとっては3万円前後するHHKBは高い買い物だと思うが、その価値を見出している人が増えているというのはすごいことだ。

 男女比は、10月時点で女性が4.7%。「雪」モデルを出した昨年は5.3%まで伸びたので、今後に期待。

HHKBの無刻印にチャレンジするユーザーが増えている

 2022年は5月に日本語配列の無刻印キートップセットを発売した。これまでは、無刻印というと英語配列しかなく、日本語配列ユーザーは横目で見ているしかなかったのだ。それが「雪」モデル発売時に、日本語配列の無刻印を出したことで、大きな反響があり、「白」と「墨」の日本語配列でも販売する流れになったという。

 9月にはリファービッシュ品の販売も開始。これはさまざまな理由で返品となった製品を点検・清掃したものを割引価格で販売するというもの。もちろん、購入からの1年間保証もついてくる。「さまざまな理由」というのは、英語/日本語の配列を間違えた、刻印/無刻印を間違えた、カラーを間違えた、などだという。購入時にはよく確認しよう。

 そして10月25日、「HHKB Professional HYBRID Type-S 雪」が販売された。純白カラーで、キートップにカナがなく、中央印字デザインになっているのが特徴だ。もちろん、英語配列にも日本語配列にも無刻印モデルが用意されている。しかも、「雪」モデルの無刻印モデルは、左上のHHKBロゴもなくなっているこだわりぶりだ。

 これまでと雰囲気が異なるためか、女性誌や音楽誌など、IT業界ではない媒体への露出が増えたそう。これまでリーチしなかった層にアピールできたことが、販売増につながったのかもしれない。

2022年10月25日、「HHKB Professional HYBRID Type-S 雪」を販売開始

「シン・ウルトラマン」とのコラボでは意外な縁も

 2022年11月には、映画「シン・ウルトラマン」とコラボした「HHKB Professional HYBRID Type-Sシン・ウルトラマンセット」を発売した。なんと劇中に小道具として、HHKBが登場しているのだ。11月18日からAmazon Prime Videoで独占配信が開始されたため、としているが、裏話が披露された。

 制作側から2019年秋に話が来て、「HHKB Professional BT」を貸し出したそう。しかし、コロナ禍で公開が延期になり、PFU側も「HYBRID」の開発でてんやわんや。貸し出したことを忘れていたという。そして、2022年5月13日に「シン・ウルトラマン」が公開され、思い出したそう。もちろん、何の話も進んでいないので、ここではツイートするだけしかできなかった。

 そこから急いでコラボの話を持っていったのだが、なんと円谷プロ側に松本氏の小学校の同級生がいたとのこと。HHKBが引き寄せたご縁と言っていいだろう。そして、11月の配信確定時に「HHKB Professional HYBRID Type-Sシン・ウルトラマンセット」を87セット限定で販売したのだ。このセット、税込み3万9600円なのだが、5日間で売り切れてしまった。

11月にシン・ウルトラマンとのコラボセットが発売された

 続けて、ブレイクタイムということで、注目のSNSネタを披露。その中で、バレンタインネタが取り上げられた。昨年、HHKBを板チョコに見立てたツイートが投稿されたのだが、アルミホイルでHHKBを巻いただけで、そこはリアルに作ろうよ、という意見が出た。

 今年は、実際に3DプリンタでHHKBの方を作り、チョコレートを流し込んで実際に作ったのだ。しかし、そこは素人だったのだろうか、型からチョコを外せなくなり、山口氏の指示で型を壊したところ、チョコも粉々になってしまった。来年はチョコメーカーなどのプロとコラボしていただき、完成品を見てみたい。

3Dプリンタで作ったHHKB型にチョコを入れたところ取り出せなくなり、型ごと破壊

セッション「こだわりの先に辿り着いた白の魅力について」

 続いて「こだわりの先に辿り着いた白の魅力について」というテーマのスペシャルトークセッションが行なわれた。登壇はクリエイティブコンサルタントの市川渚さん、捨てない整理収納アドバイザーの米田まりなさん、モノ系ブロガー・YouTuber・コンテンツプランナーの鳥羽恒彰さんの3人で、MCはMac OTAKARA(Macお宝鑑定団)を主宰するdanboさん。

左からdanboさん、市川渚さん、米田まりなさん、鳥羽恒彰さん

 HHKBシリーズに新たな純白モデル「雪」が加わったということで、「白」にちなんだトークが繰り広げられた。お三方とも白へのこだわりがすごかった。

「私は身の回りのものと普段持っているものを白とシルバーで揃えてるというか、それしか買わないと決めてます。HHKBのアイボリーはぎりぎりいいかなと前は使っていました」(市川渚さん)

「私もインテリアと洋服もほとんど白が中心です。部屋の片付けをアドバイスするときも、極力ものを白に近づけていきましょうと言っています。たとえば商品のラベルを剥がしたら本体が白くなるとか、本も背表紙を見せずに箱に詰めたり、仕切りで仕切って白くすると、集中力アップにもつながります」(米田まりなさん)

「デスク回りはできるだけ白で統一したいと思っていて、白をベースにライトグレーとか差し色でオレンジを入れてみる、という感じでやってます」(鳥羽恒彰さん)

 以前のHHKBの白モデルは真っ白ではなく、ベージュに近い感じだったが、雪モデルは本当に白い。しかし、白にもいろいろある。こだわりの3人はどう感じているのだろうか。

「モノとしてこの白い感じはすごいうれしいです。僕はHHKBが好きで、他に選択肢がないのでベージュっぽい白モデルを使っていましたが、雪モデルは脳で考える前にポチってました。白いものって売れないので、これを社内で稟議を通して出してくれたっていうのは、すごいやってくれたなって思いました」(鳥羽恒彰さん)

「すごくこの色味が気に入っています。私は1日12時間以上キーボードを触ってることが多いので、ネイルの色を白にした時に手元を見ながら、自己肯定感が上がっていくので、すごく白に助けられています。ただ、掃除の仕方がわからず、どのように白を保ったらいいんだろうと悩んでます」(米田まりなさん)

「このこの白は全然良い白です。これがもうちょっと青に振れてると、ちょっと違ってアウトです。私はチョークっぽい白が好きだから、雪モデルに触ったときに、本当に「あーいい白だ」と思いました」(市川渚さん)

 お三方とも雪モデルの白はお気に入りのようだ。ちなみに、要望を聞いたところ、市川さんは墨に黒の刻印のように、雪に白のエンボスっぽい刻印が欲しいとのこと。鳥羽さんはHHKBのテンキーモデルが欲しいという。テンキー付きのHHKBではなく、独立タイプがよいそう。米田さんはシン・ウルトラマンコラボモデルのような、ミッフィーとのコラボを望んでいた。

セッション「キーボード界の今とこれから」

 次のトークセッションは「キーボード界の今とこれから」というテーマで行われた。登壇者は2017年から自作キーボードショップ「TALPKEYBOARD」を経営している池田洋介さん、仕事はプログラマーだが、趣味の自作キーボードについてYoutube「ほぼ週刊キーボードニュース」という番組を発信しているびあっこさん、2年前、びあっこさんと共にマツコの知らない世界でキーボードを紹介したぺかそさんの3人。司会は、HHKBミートアップのモデレーターとしておなじみ、ほげ技研の小山哲志さん。

左から、小山哲志さん、池田洋介さん、びあっこさん、ぺかそさん

 最初は、今年のキーボードライフはどうだったか?という質問から。

「キーボードパーツを全般に販売してるので、円安という社会情勢でなかなか販売したいものが販売できなかったというジレンマがありました。あとは、自作キーボードの形状がすごく広がったな、と思ってます」(池田さん)

「最近コロナの間にリリースされたキーボードを買ったのですが、それがポツポツと届いてきたので、組み立てて遊んでます。新しいキースイッチといった変化がいろいろあったのを試してた年でしたね」(びあっこさん)

「今年は実験をする年だという印象が強いです。この1年は他の人の作品を見て、すごく関心したり、得られるものが多かったです。あとは、新しいキースイッチなどが結構出てきていて、勢いが衰えるどころか、進んでるなと感じています」(ぺかそさん)

 続いて、これから、どんなキーボードが欲しいかという質問。

「OSの操作するのにマウスは必要なので、マウスポインタ側のデバイスというか、入力装置が発展してほしいですね。個人的な意見ですが、キーボードは入力装置にて徹してほしいです。あまり7色に光るかとか、画面が付いていたりするのは、ノイズだと思ってます。それとは別にやっぱり見た目も楽しみたいので、見た目の良いキーキャップも買ったりしてます」(ぺかそさん)

「私は餅は餅屋派で、キーボードはキーボード、トラックボールなりマウスなりはそれぞれに適した高度な設計があると思います。なんだかんだ言って、分かれてた方が結局いいんじゃないのと思っています。(マウスとキーボードを)一緒にすることで、何かが失われちゃうと、ちょっと本末転倒だなと。ミニ四駆とかゲームと一緒で、キーボードのスイッチやキャップ、レイアウト、ソフトウェアを変えて、その変化そのものを楽しんでるところがあります。その一連の体験がキーボードに求めているところなのかなと考えています」(びあっこさん)

「今、自分の中でのキーボードは3パターンに絞られてます。仕事で使うものと、持ち運び、あとはお家でまったり使うものです。1つ目の仕事で使うものは、いかに素早くスムーズに打てるか。モバイルではマウスを持ち運ぶのが嫌なので、やはりひとつにまとまった形がないかな、なかったら作っちゃおうという感じです。家では白もそうですが、木の素材を使って、インテリアとして見て愛でるところで楽しめるものを考えています」(池田さん)

中継先のパブリックビューイングも大盛り上がり

 パブリックビューイングの会場である原価BARからは、セッションの合間に2度、中継が繋がれた。まずは、プログラマーであり、UBER EATSの配達員でもある清水亮さん。

「技研ベースに新しい会社を作って、オタクやエンジニア、もしくはただのガジェット好きとかが集まってます。面白いのは、コワーキングスペースなんだけど、座ってる人が全員CTOだったり、いろんな出会いがある場所なんです。毎週金曜日と土曜日は技研バーとしてバー営業もやっています。そこにもHHKBが全種類あって布教活動に努めております」(清水さん)

プログラマー・UBER EATS 配達員 清水亮さん

 HHKBエバンジェリストの魚住惇さん。愛知県公立高校情報科の教員をしており、HHKBが大好き。

「最近、愛知県の高校でギガスクール端末でタブレット端末の配備が始まってるんですけど、キーボードがどれもやばい。へにゃへにゃするので、やっぱりHHKBを広めるべきだな、と思うわけです。僕はHHKBとともに人生を歩んできました。新婚旅行にもHHKB、子供が生まれた時にもHHKB、来年3月に第2子が生まれる予定ですが、その時もまた(HHKBと写真を)撮りたい思います。人生と共にHHKB、それを大事にします」(魚住さん)

HHKBエバンジェリストの魚住惇さん

 パブリックビューイング会場では、オリジナルのHHKBEERも振舞われ、久しぶりというか滅多にないエバンジェリスト同志の交流で大盛り上がり。カスタマイズしているHHKBを持ち込んでいる人もいた。

 PFUの親会社がリコーになるという激動の1年だったが、ミートアップの様子を見ていると、以前と同じ熱量だったので、今後のさらなる躍進も期待できそうだ。

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