閉幕したサッカーW杯でモバイル業界的には目立ったvivoの存在
ASCII.jp / 2022年12月22日 12時0分
約1ヵ月の間、世界中が沸き、歓喜し、泣いたFIFAワールドカップが終わった。5Gが初めて利用されるワールドカップとなるなど、モバイルの面でも話題がある。
視聴者は夏季五輪を上回る世界最大のスポーツイベント
4年に一度のFIFAワールドカップ(FIFA World Cup Qatar 2022)が12月18日(現地時間)、閉幕した。連日の夜ふかし(あるいは早起き)の日々がやっと終わったという方も、日本代表が敗退して以来結果だけ見ていたという方も、はたまた現地に応援に行ったという方もいらっしゃるだろう。
日本では、全試合を無料でネット配信した「ABEMA」が一気に存在感を高めた。試合中にカメラを切り替えたり、スタッツを見たり、他の視聴者のコメントを楽しんだり、新しい試聴方法を楽しんだ人も多いだろう。
日本がクロアチアと戦った12月5日の世帯視聴率は34.6%、個人視聴率は20.2%と報じられている。世界でも、11月28日のスペイン対ドイツのスペインの視聴率は65%、同国の2018年のグループステージの視聴率を超えたそうだ。オランダもTVを視聴している人の76.6%がエクアドルでの自国選手のシュートシーンを見ていたという(FIFA発表)。
ワールドカップは世界で最も視聴されているスポーツイベントだ。Statistaによると、前回大会(FIFA World Cup Russia 2018)は35億6000万のユニークビューア(従来型TVとデジタルチャンネルの合計)があったとのこと。これは東京五輪(30億5000万人)、北京冬季五輪(20億1000万人)を上回っている。なお、今年のスーパーボウルは9920万人の米国の視聴者に3000~5000万人の米国外の視聴者がプラスされると推定している(https://www.statista.com/chart/28766/global-reach-and-tv-viewership-of-the-fifa-world-cup/)。
vivoは公式スマートフォンパートナー 折りたたみ式スマホ「vivo X Fold+」をアピール
このように高い注目度のイベントとなれば、スポンサーの効果も大きいだろう。FIFAのスポンサーとしてはアディダス、コカコーラ、Visa、カタール航空、カタールエナジー、ヒョンデ/KIA、Wanda Groupが名を連ねており、さらにワールドカップはバドワイザー、BYJU'S、Crypto.com、ハイセンス、マクドナルド、China Mengniu Dairy Company、Vivoのロゴが並んでいる。
推定されるスポンサー収入は17億ドル(約2250億円)とGlobal Dataは推定している。4年間の権利の平均スポンサーマネーは6326万ドル(約84億円)。同社の予想では金額ベースのトップはvivo。vivoは公式スマートフォンブランドでもある。スマホ好きの人ならスタジアムのピッチにvivoのロゴが目立っていたことをご記憶のことだろう。相当な金額が予想されるが、その価値はあると踏んでいるようだ。
ちなみに、そのvivoは4年前のロシア大会でもスポンサーだった。スタジアム前に大型のブースをもうけたり、公式ソングLive it Upのパフォーマンス中に90秒のロゴ表示、スタジアム内に設置した画面に当時のフラッグシップ(「vivo Nex」)を宣伝するなどのブランディングを実施した(https://www.vivo.com/en/aboutVivo/discover?id=22)。
vivoのスポンサー活動は、欧州など数ヵ国への参入とタイミングを合わせたものだ。UEFA EURO 2020(実際の開催は2021年)でもスポンサーに、次回のUEFA EURO 2024まで公式パートナー契約を結んでいる(https://www.uefa.com/uefaeuro/history/news/0262-10a7e6283cfe-39c5c148caf4-1000--vivo-becomes-official-partner-of-uefa-euro-2020-and-2024/)。
今大会では、9月にFIFAとWorld Cup Qatar 2022でのスポンサー契約を発表した。その際、中国で折りたたみできる「vivo X Fold+」のローンチに合わせて、World Cup初の折りたたみ式の公式スマートフォンになることを発表した(https://www.vivo.com/en/about-vivo/news/fifa)。
なお、毎年欧州で開催されるUEFA Champions Leagueの公式スポンサーにはOPPOのロゴもある。
初の5Gワールドカップという側面も 8つのスタジアム周辺に5000もの基地局を設置
スポーツイベントやコンサートなどでは、モバイルネットワークの実力も試される。今回のワールドカップでは、この地域の大手オペレーターOoredoo(大会の公式中東・アフリカ通信オペレーター)が、イベント来場者に期間限定で無料のSIM「Hayya SIM」を提供した(https://www.qatar2022.qa/en/hayya-card-benefits)。eSIMと物理SIMがあり、空港の自販機などさまざまな場所で入手できるようになっていたようだ。
Ooredooによると、試合に使われた8つのスタジアムとその周辺は、4Gと5Gの基地局が合計5000以上設置され、1130以上のマルチビームアンテナを使って、355km以上のRFケーブルと202km以上の光ファイバーを接続したという。
11月20日の開会式ではデータトラフィックが36TBに達した。スタジアムで最も使われたアプリは「Snapchat」、次が「Instagram」「WhatsApp」の順だったそうだ。開会式の間に62万の音声通話があったが、通話成功は99.98%を維持。同社の5Gネットワークのピークレートは2Gbpsだったと報告している
期間中、8つのスタジアムに246万人が来場したが、スタジアムの中と周辺では533TBのモバイルデータ、136TBのWi-Fi経由の通信が行き交ったそうだ。音声通話は750万、このうち63%をVoLTEが占め、ドロップ率は0.03%だったという(https://www.ooredoo.qa/web/en/press-release/ooredoo-registers-record-breaking-data-traffic-hundreds-of-thousands-of-voice-calls-in-first-48-matches-of-fifa-world-cup-qatar-2022/)。
最後に、今回の大会では公式球にセンサーを内蔵し、カメラと連動してオフサイドを半自動で判定するなど、テクノロジーでも最新の事例が生まれている。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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