アップルの新アプリ「フリーボード」は無限の可能性を持つツールだ!
ASCII.jp / 2023年1月5日 12時0分
「フリーボード」(英語名 Freeform)が、12月13日にリリースしたiOS 16.2、iPadOS 16.2、macOS Ventura 13.1で使えるようになった。「フリーボード」はアップルが2022年6月の世界開発者会議「WWDC」で発表したアプリ。フリーボードは、手書き、テキスト、ふせん、写真、などのあらゆる情報を書き込めるドキュメントアプリの一種。ただし、ドキュメントの広さには(ほぼ)制限がなく、(ほぼ)無限に拡大、縮小できる。このアプリは、従来の「書類」の概念を打ち壊す、無限の可能性を持ったクリエイティブアプリになりそうだ。
自由で無限、最高のクリエイティブツール
フリーボードの事を言葉で説明するのは難しい。いうならば「自由に何でも書き込める」アプリだろうか。iPadやiPhoneであれば手書きでも書けるし、テキストデータを打ち込むこともできる。ふせんを貼ることもできるし、写真や、動画、音声ファイルなどを貼り込むことができる。画面はほぼ無限に拡大、縮小できる。
使用感としては会議の時に使うホワイトボードに近い。文字を貼ることもできるし、付箋や写真を貼り込むこともできる。ビデオ会議の最中にクラウドで共有すれば、まさにオンラインのホワイトボードのように使うことができるだろう。これは推測に過ぎないが、この2〜3年でビデオ会議が急速に一般化したことに対応して、「ビデオ会議用のホワイトボード」として開発されたのではないかと思う。しかし、実際に使ってみると、そだけに留まらないクリエイティブのためのツールとして使うことができる優れたアプリケーションだと感じた。
ちなみに、iPhone、iPad、Macをそれぞれ、iOS 16.2、iPadOS 16.2、macOS Ventura 13.1にアップデートすると、自動でインストールされる。このアプリ自体にデバイスの制限はないので、それぞれ最新OSにアップデート可能なデバイスであれば、フリーボードをインストールできるようだ。ちなみに、Apple Pencilで手書きを利用できるiPadで使うのが一番便利。iPhoneでは手書き入力は指でのみ可能。iPadの場合は、設定次第で指での手書き入力をオン/オフできる。Macでは手書き入力はサポートされない。
まずは、何でもいいから思いついたことを書き留めてみてもらいたい。
このアプリは、やはり手書きが使えるiPadで使うのが一番相応しい。手書きのメモの横にテキストを打ち込むことができる。付箋を貼れる。写真を貼れる。資料のリンクを貼っておくこともできる。
さらに、考えのおもむくままに無限に拡張することができる。
30~40年前にパソコンを使い始めて以来「ドキュメントを作る」という作業は、無意識のうちにA4サイズのドキュメントに、左上から文字を打ち込んでいく、行が作られていくイメージがあった。しかし、フリーボードにそんな制限は何もない。思いついた場所から、ドキュメントは無限に広がっていくのだ。書き始めの時に、ドキュメントのフォームを考えなくていいというのはこんなに自由なのかと驚いた。
もちろん、従来から、アドビのイラストレーターなどは同じように使えたかもしれない。しかし、それらはどちらかといえばプロ向けのクリエイティブツール。対して、フリーボードはiPad、iPhone、Macを持っていれば誰でも使えるプリインストールアプリだ。
使ってみた感触としては、MetaMoji Noteに非常に近いのだが、それよりもさらに自由な感じがする。MetaMoji Noteは、使い勝手にMetaMojiならではの微妙なクセがあったが(その代わり手書き文字入力は非常に優れている)、フリーボードはアップル一連のアプリと同じ使い勝手で動作する。
なんといっても、敷居は非常に低い。これから、学校でiPadを使う子供たちだって使い始めるだろう。
思考を妨げない自由な使い勝手
まずは、思考を妨げる要素がないのがいい。
新規書類を作る時に、紙の大きさとか、向きとか、そういうレガシーなことを考えなくていい。とりあえず、今書きたいことを書けばいいのだ。書く場所はどんどん広がるし、スペースがなければ、拡大したり、文字を移動させたりしてスペースを作ることもできる。
また、同じiCloudのデバイスであれば、ドキュメントの内容は同期されるので、iPadで手書きで大ラフを作り、そこにMacでテキストを打ち込んだり、写真を入れ込んだりして、外出先ではiPhoneで参照したり、細部を修正したり……ということが可能だ。
さらには、地図アプリのURLや、音楽ファイル、動画ファイルなども貼り込めるので、作業のプラットフォームとしても使うことができる。
先にも書いた通り、iPadとApple Pencilに最適化されたツールだとは思うが、このフリーフォーマットのアプリをMacやiPhoneで開けるというのも意義深いと思う。Macで使うと、文字入力や他のファイルの貼り付けなどを快適に行うことができるし、印刷したりするのに便利だろう。また、iPhoneで開けると、ちょっとした思いつきをメモして、ドキュメントのソースにしたり、一部分を修正したりするのに便利。
最強のコラボツール。ビデオ会議時のホワイトボードに最適
さらに素晴らしいのが、他のアップルデバイスユーザーと共有できることだ。
試しに使ってみると、同期タイミングに少しバラつきがあるが、同時に多人数で同じファイルで共同作業をすることもできる。オンラインミーティングを実施しながら使えば、まさに超進化したホワイトボードとして使うことができるだろう。
参加者がアップルデバイスのユーザーであれば、フリーボードのボードをメッセージに貼ることで複数人での作業を開始することができる。画面右上の共有アイコンから、メール、メッセージなどさまざまな方法で、iCloudアカウントを持っている人に対して共有することができる。リンクを生成することも可能だ。
複数人でビデオ会議しながら、アイデアリストを作り、資料を貼り込み、移動して整理し、アウトプットを作るために情報を絞り込んでいく。そんなクリエイティブなコラボレーションに最適なツールだといえるだろう。
また逆に、フリーボードを使いながら話がしたくなったら、右上にボードを共有している人のアイコンが表示されているので、それをタップすればいい。そのままメッセージを送ったり、音声通話、ビデオ通話をすることができる。
絵を描くのはあまり得意ではない……という人にけっこう便利なのが、豊富に用意されている図形。基本図形に始まり、人物、食べ物、教育、アート、科学、活動、旅行……などのカテゴリーに分けて単色の図形が用意されているので、これを色を変えて配置するだけでも、かなりビジュアル的な表現を強化することができる。
気の早い話だが、ぜひWindows、Android版を!
ホワイトボードのような使い勝手でテキストや手書き図版を共有することは、従来の多くのアプリでできたことかもしれない。しかし、このアプリの使い勝手の良さは新たな可能性を開いてくれそうだ。また、今後、iPad、Mac、iPhoneなどのアップルデバイスにプリインストールされるということで、アップルデバイスを利用する人たちの間で、アイデアを紡ぎ出したり、それを共有する方法として一般的になりそうだ。
筆者はこの記事を書くためにしばらくフリーボードを使ってみたのだが、非常に快適で、これから記事のアイデア出しや、取材資料をまとめる作業、ページのラフなどはすべてこのフリーボードを使うことになりそうだ。
数少ない……が、非常に大きな欠点になるのが、アップルデバイスとしか共有できないということだ。オンラインのビデオ会議中のデジタルホワイトボードとして非常に便利なアプリなのに、参加者が100%アップル製品ユーザーでないと使うことができない。
今後、WindowsやAndroidユーザーに、アップル製品の便利さを喧伝するためにも、ぜひWindows版、Android版のフリーボードも提供して欲しい。それほどアップルらしい、アップルならではの秀逸な出来のアプリケーションだ。
筆者紹介――村上タクタ 趣味の雑誌を30年間に600冊ほど作ってきた編集者・ライター。バイク雑誌「ライダースクラブ」で仕事を始め、ラジコン飛行機雑誌「RCエアワールド」、海水魚とサンゴ飼育の雑誌「コーラルフィッシュ」、デジタルガジェットの本「flick!」の編集長を約10年務めた後退職。現在フリーランスの編集者・ライターであり、ウェブメディアThunderVoltの編集長。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー、mmhmmヒーロー。iPhone、iPadなどのデジタルガジェットや、バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。
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