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格安SIMの2023年は大きな変化はなさそうだが、世の中次第でその安さが再注目される可能性

ASCII.jp / 2023年1月1日 12時0分

 年始ということで、今年も格安SIMに関する1年の予想を示しておきたいと思う。2022年は筆者の予想どおりにはならず、関連サービスとの連携利用は少しはあったものの大きな変化はさほどなかった。スマートフォンの売り方も同様で、主要なMVNOの淘汰もない状況だった。さて、2023年はどうなるのだろうか。

筆者が2022年に注目した新プランがmineo「マイそく」。MVNOの仕組み上、どうしても混雑する平日昼休みの時間帯は速度制限され、それ以外は1.5Mbpsや3Mbpsで使い放題という内容だ

mineoの新スタイルの使い放題SIMが話題に

 まずは簡単に2022年のまとめをしたい。2022年は何もかもが進みが遅かったと言うことができそうだ。菅政権が変わって以降、それまでのような政治主導の料金プランやルール変更もなく、大きな動きとなるきっかけもなかった。

 関連サービスとの連携という意味では多少は進展があり、楽天モバイルで「1GBまで0円」がなくなった一方で、楽天ポイントの還元率が上がるなどの連携強化は進んだ。

 また、マイナンバーカードの普及のため、カードの申請やマイナポイントの取得について、キャリアショップが手助けをする例も進んでいる。役所とショップが協力して、街頭でマイナンバー受付窓口を特設している例も見かけた。これもキャリアが主導しているキャッシュレスサービスとの連携強化の1つと言うこともできるだろう。

 料金プラン自体には大きな変化はないと予想していたが、昼休みは速度制限され、それ以外の時間帯は1.5Mbpsや3Mbpsで使い放題というmineoの定額サービス「マイそく」が話題になった。筆者も便利に利用させてもらっている。

 ただ、後追いで同様のサービスを提供する格安SIMがなかったことや、最大1.5Mbpsの「マイそく スタンダード」以外のプランはやや使い道が見つけにくいことから、刺さった人には刺さったものの、そうでない人にはそうでもなかった、ややニッチなサービスだったのかもしれない。

2023年も大きな変化はないのでは!? MVNO側でなにかしても大きくは動かない

 続いて、2023年の予想だが、基本的には大きく変わりそうもない。政治による変化が起こりそうなこともなく、しかも格安SIMに移行するような人は一巡してしまったようにも思えるからだ。

 いくら安くて良いサービスを出したとしても、相変わらず「安いサービスには落とし穴がある」のような空気が感じられ、「安いサービスはつながりにくい」といった内容の記事もよく見かけられる。

 主要キャリアとMVNOの格安SIMとのサービスの違いは、一般の人が理解するには難しく、「つながりにくい」といった表現から、「エリアが狭い」や「スマートフォンの性能が悪くて、まともに使えない」と考えてしまうこともある。また、回線と端末の分離を政府が言っても、格安SIMと低価格スマートフォンと混同し、安く回線を使うには「安物のスマホ」を使うことを強いられるという誤解もまだまだある。そして継続して使う方法が提供されているとは言え、キャリアメールの壁はいまだ大きい。

2021年末にスタートした乗り替え後もキャリアメールを使えるサービスだが、2022年の格安SIMに大きな影響を及ぼした感じはない

 そんな状況ではなかなか3大キャリアの通常プランからの大きな移行は望めそうにない。動いたとしても同じキャリアのオンライン専用プランかサブブランドに行くくらいだろう。

 そうした状況でもじわじわと浸透しそうなのがドコモショップで扱っているエコノミーMVNO。2022年12月にLIBMOが増えて3社になり、店頭スタッフの詳しい説明があれば移行もありそうだ。ただし、現在のドコモショップは予約なしでは対応してもらえないなど予約優先の営業をしており、言わないと出てこないエコノミーMVNOのSIMをわざわざ選ぶ人がどのくらいいるかを考えると、画期的に伸びることはなさそうだ。

 また、MVNO側も変化があるかもしれない。たとえばmineoは、2020~2021年あたりのプラン値下げが相次いだ時期に、低容量よりも10GBや20GBがオトクになる形に移行した。「マイそく」も話題だが、通信量が増加傾向の今こそmineoのオトクさが目立ってきている感じだ。今後、他サービスもユーザーのターゲットを絞った料金体制にシフトする可能性はありそうだ。

 スマートフォン販売については、新規契約時にスマートフォンの大幅割引を実施しているサービスが減少傾向で、現在はそれを売りにしているのはOCN モバイル ONEとIIJmioくらいだろう。実店鋪ではBIGLOBEなども例があるが、条件は年々渋くなっているような印象もあり、見直される時期にきているのかもしれない。

OCN モバイル ONEとIIJmioはMNPでの新規契約でスマートフォンを大幅割引された価格で提供。引き続き人気となっている

3大キャリアが新しいプランを出してくる可能性

 昨年12月にauが、初めてスマートフォンを使うユーザー向けの「スマホスタートプラン」を拡充。22歳以下や従来型ケータイからの移行などいくつかある条件を満たせば、月1078円から利用できる。

 auにとっては、UQ mobileでも安く提供しているため、auで似たような金額で提供しても大丈夫なのかもしれない。料金が大きく抑えられるのは最初の1年間限定なので、将来的に元を取ることも可能。しかも、以前のようにスマートフォン本体の大幅値引き提供もないので、安いプランを提供する原資はあるはずだ。

 ソフトバンクも22歳以下なら20GBを月1078円で利用できる「スマホデビュープラン+ベーシック」を用意しているほか、ドコモも若年層向けの安いプランを用意している。顧客獲得への投資で一時的に安くしているとも言え、3大キャリアが年齢や期間を定めてMVNOの格安SIMなみに安く提供する例は、これからも進んでいく可能性はある。

デュアルSIM化はeSIMの対応と 再び障害が発生するかどうかで受け止められ方が変わりそう

 続いて、KDDIの大規模通信障害に端を発する回線の二重化などの動き。1台の携帯電話に2つの電話番号、しかも違う会社の回線を使う状況など、そもそも想像もできない人は多く、一般利用に浸透するとは思えないが業務利用などでは進みそうだ。

 しかし、デュアルSIMを実現するにはスマートフォンの対応が大前提。現在普及しているスマートフォン、つまりiPhoneでデュアルSIMをするにはeSIMの利用が必要なのに、楽天モバイル以外のキャリアのeSIM対応は正直積極的とはいいがたい。

 そのeSIM対応も、たとえば日本でも新型iPhoneでeSIMしか使えない仕様になったりすると、状況は一気に変わるかもしれない。また、あってはならないことだが、昨年のように長期間に渡る障害が続けば利用者が増える可能性は高まる。

楽天モバイルはさらなるサービス変更の可能性 今春も新プランはあるか?

 新プランで「1GBまで0円」がなくなった楽天モバイルは、ユーザーの大量離脱があったとされるが、普通に1GB以上使っていたユーザーにとってはあまり関係ない話。エリアは充実するようになっており、通話無料ということからも、オトクなキャリアということに変わりはなく、今後のエリア次第で使い勝手はどんどん良くなっている感じだ。

 しかし、その通話無料についても変更がないとも限らない。昨年12月に話題になった通話アプリのRakuten Linkの規約変更で、利用料についての項目が新設されたことは、今後の布石と考えることもできるからだ。

 というわけで、今後は通話料が別立ての新プランの登場もあり得る。また、月間の支払い額が少ないユーザーには通話料が課金されたり、楽天の会員ランクで無料通話に変化があったりすることもありえそうだ。

2023年はあまり変化のない年になりそうだ

 そのほかは5Gの普及にしても端末販売にしても、2022年と同様にあまり大きな変化はないと思われる。iPhoneは円安傾向によって国内価格が大きく値上がりし、買い替えペースもかなり鈍っている印象だ。この機会に普及価格帯のAndroid機へ変更する人もあるかもしれないが、それも必ずしも大きな流れにはならないと思われる。

 1つだけ動く可能性があるとすれ世の中の先行き不安感から、より安いサービスにシフトする動きが再び出てくること。サブブランドやオンライン専用プラン、そしてMVNOの格安SIMがあらためて注目されるかもしれない。年頭からあまりおめでたくない予想となってしまったが、2023年もどうぞよろしくお願いします。

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