CORSAIRの高級ロープロファイルゲーミングキーボードは“買い”か?
ASCII.jp / 2023年1月4日 12時0分
「K100 AIR WIRELESS」はCORSAIRが手掛ける、高さが11mm~17mmと、極めて薄いボディーが特徴的なロープロファイルのメカニカルキーボードだ。キースイッチにはCHERRY MX ULTRA LOW PROFILE タクタイルを採用し、薄さからは想像できないしっかりとしたクリック感のあるタッチを実現。Nキーロールオーバーや100%アンチゴーストなど、ゲーマーをサポートする機能をしっかりと組み込んだハイエンド仕様となっている。
なお、価格は4万9980円(税込)となっている。
K100 AIR WIRELESSを見ていくうえで、この値段が衝撃的であり、購入の決心を鈍らせる要因の1つだろう。同価格帯だと、コンセプトは異なるがSteelSeriesの「Apex Pro TKL 2023 Wireless」(参考価格4万7820円)があり、その下が同じくSteelSeriesの「Apex Pro Mini Wireless」(参考価格4万3090円)などが存在する。ゲーミングキーボードもとんでもない価格のものが平気で登場する時代となったと考えさせられる。
では実際に、インパクト溢れる価格に見合ったものかどうかが課題となるだろう。先に述べると、“欠点のない素晴らしいキーボードであるが、何を求めるかによって評価は異なる”という、あまりにも逃げの姿勢ではあるが、そのような結論を導き出した。
というのも、「結局それってゲームをするうえでなんの役に立つの?」という要素をどう考えるかによって、その評価が変わってくると思えたからだ。マルチポイント機能や質感の高さなど、正直にいってゲームに関係ないところをこだわることに対して、筆者は懐疑的であり、純粋にただゲームとプレイヤーをつなぐ存在であるデバイスという見方をしたとき、K100 AIR WIRELESSに5万円弱を出すことには躊躇してしまう。
一方で、「キーボード」として見たとき、性能の高さと取り回しのよさ、質感の高さが評価ポイントとして、ほかのキーボードよりも大きな加点をしてくれる。「ゲーミングデバイス」としてのキーボードと「文字入力デバイス」としてのキーボード、2つの視点で見ていくと、その評価が大きく変わってくるように感じた。
スタイリッシュでハイソサエティなビジュアルは、その値段を感じさせる
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前置きが長くなったが、まずは筆者がもっとも感動した見た目についてチェックしていこう。
まずパッケージから取り出して浮かんだのが、「高級」の2文字だった。なんだかいい匂いがしそうな高級感溢れるボディーは、フレームにアルミニウムが採用され、ひんやりした金属感のあるマットな質感になっている。高級ホテルや高級オフィスビルなどで、やたら各部の質感がよくてビビったことはないだろうか、あの感覚だ。
また、高さが11mm~17mmという驚異的な薄さから成るスタイリッシュでハイソサエティな造形も、その高級感を後押ししている。左Ctrlキーの横にひっそりと佇むCORSAIRの文字や、キートップの樹脂と思われるサラサラとした感覚も心地よく、手触りもいい。
筆者のような一般庶民が触れることが畏れ多く感じてしまうような、一目見て上質であると感じるデザインになっていることが、K100 AIR WIRELESSを手にとった第一印象であった。
素晴らしいタイピング感と、圧倒的なレスポンスのよさ
とはいえ重要なのは機能だ。実際に1つ1つの機能を見ていこう
まず、その驚異的な薄さについて改めて確認したい。K100 AIR WIRELESSは、高さがおよそ17mmと、ロープロファイルキーボードの中でもとくに薄い。同じロープロファイルキーボードであるRazerの「DeathStalker V2 Pro」(26mm)、ロジクールの「G913」(22mm)と比較すると、その薄さがよりわかるだろう。これらの他社製ロープロファイルキーボードは、キーキャップとキースイッチのクリアランスが空いているため、なんとなく浮ついた印象を受けるが、K100 AIR WIRELESSはそれがなく、まるでノートパソコンのキーボードのような見た目になっている。
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それにも関わらず、キータッチはかなり優秀だ。CHERRY MX ULTRA LOW PROFILE タクタイルキースイッチは、しっかりとしたクリック感を確保し、キーストローク1.8mm・アクチュエーションポイント0.8mmと、かなり短い仕様ながら、それを感じさせないしっかりとした押し心地になっている。
なお、DeathStalker V2 Pro(2.8mm ・1.5mm※クリッキー)やG913(2.7mm・1.5mm)と比較しても、その圧倒的なアクチュエーション距離の短さによる素早いレスポンスは、本モデルの最大の特徴といえる。
アクチュエーションポイントがあまりにも浅いと、一般的なゲーミングキーボードと感覚がかなり異なるため、誤入力の心配などがあるかもしれないが、実際にそのようなことは、しっかりとしたクリック感があることによって起きにくくなっている。
筆者は普段の原稿執筆でもK100 AIR WIRELESSを使用してみたが、感覚としてはノートパソコンのキーボードに近い。ただ一般的なノートパソコンのキーボードとの決定的な差は、そのしっかりとしたクリック感による安定したフィードバックだ。パンタグラフキーボードのペコペコとした感覚が苦手な筆者にとっては、かなり快適で感動的な体験であった。
多彩な接続方法とスムーズなマルチポイント切り替え
K100 AIR WIRELESSは、名前のとおりワイヤレス接続に対応している。具体的には、付属のSLIPSTREAMワイヤレスアダプタ(レシーバー)を用いた無線接続と、Bluetooth無線接続、そして有線接続の3種類の接続だ。
有線接続時には「CORSAIR AXONテクノロジー」8000Hzでのポーリングレートに対応するほか、レシーバー試用時には「SLIPSTREAMワイヤレステクノロジー」による1ms未満の超低遅延接続も実現している。これらが実際にどのように機能しているか実感する機会は少ないと思うが、とにかく最新技術が詰め込まれているので、素早い入力ができるということだ。
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また、Fnキー+各マクロキーによって、レシーバー接続と3つのBluetoothのマルチポイントにも対応している。ここで特筆すべきは、その切り替えの早さだ。1秒前後で切り替わるため、複数のパソコンやタブレットなど、1つのキーボードで操作したいユーザーにとってはとても魅力的なキーボードである。
制御ソフトで色も機能も自由にカスタム
また、CORSAIRの提供している専用の制御ソフト「iCUE」を使うことで、K100 AIR WIRELESSを自分好みにカスタムして使うこともできる。
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例えば、本体上部に設置された「ボリュームアップ、ボリュームダウン、ミュート、再生、停止、進む、戻る」などのマルチメディアボタンに、ほかのキーやマウス操作、マクロなどを自由に割り当てることができる。テンキー上部に4つ設けられたマクロキーも同様だ。筆者はゲームのスクリーンショットやクリップの録画などを割り当てて活用していた。
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そのほか、CORSAIRの特徴の1つである、ライティングのカスタム設定も非常に豊富だ。一般的なウェーブ状の光り方や、上部から光が降ってくるようなものなどのプリセットはもちろんだが、光り方を最大20のレイヤーとして保存することで、誇張抜きで無限に思えるカスタム性を誇っている。当然シンプルなライティングにすることもできるので、シンプルな見た目と合わせて、オフィスなどで使用したいユーザーにもうれしいポイントかもしれない。
価格をどのように考えるか
述べてきたとおり、所持欲を満たしてくれる高い質感と、CORSAIRの技術と制御ソフトによるカスタム性の高さが相まって、欠点が見つからない上質なキーボードであることは間違いない。
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ただし、筆者のようにゲームに特化したキーボードを探しているとなると、度々比較対象として挙げてきた他社のロープロファイル製品に目を向けてみると、それらと比較して、どのような差額分の優位性を持っているのか、正直に言って見出すことはできなかった。
昨今の原材料・配送コストの高騰、数世代前のモデルであることを考慮する必要はあるが、DeathStalker V2 Pro(3万0880円)とG913(3万1680円、いずれも公式ストア価格)比較して約2万円の差額があるわけで、いくら多くの機能をハイエンドなものとして盛り込んでいるとはいえ、やはり手が出しにくいといわざるを得ない。
逆に言うと、こだわり抜かれた上質なキーボードを触りたいんだというユーザーや、よほどこのキータッチを気に入るとかでない限りは、ほかの選択肢で十分であるという結論に至っても仕方がないということだ。なぜなら、ゲーミングデバイスとして見たときに、いくら質感が高くとも、ゲームに勝てるわけではないからだ。
しかし、ゲームでも仕事でも使う高級キーボードで、ゲームに対する機能も現行最高レベル、しかもロープロファイルがいいという人にとっては、これほど最適なキーボードはないともいえるだろう。仕事やゲームの相棒として使うキーボードを、長年親しんで使いたいという人は、高額ではあるが、K100 AIR WIRELESSを検討してみてはいかがだろうか。
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