2023年のWindowsは大きな変化がある可能性 まさかのWindows 12が今年出る説!?
ASCII.jp / 2023年1月8日 10時0分
昨秋にWindows 11の「シーズン2」がリリース
今回は、今年2023年のWindowsについて考えてみることにしよう。まずは現状把握からだ。
Windows 11は昨秋にアップデートがあり、Ver.22H2となった。Windows 11としては2つ目のバージョンになるが、Microsoft Blog(https://blogs.microsoft.com/)では米国の連続テレビドラマ風に「シーズン2」という表現が用いられているケースもある。
ビルド番号としては、22621.963が昨年末に配布されている。
Windowsのプレビュー版は、毎年12月中旬ぐらいに配布が止まり、新年が明けてから配布が再開する(ホリデーシーズンのため)。記事執筆時点(1月4日)ではまだプレビューの配布はないが、そろそろ再開しているはずだ。Windows 10もVer.22H2の配布が昨年10月に始まり、昨年中に3回のアップデートが実施された。Windows 10/11の正式版のアップデート履歴に関しては、以下のページがある。
●Windows 10 リリース情報 https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/release-health/release-information ●Windows 11 リリース情報 https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/release-health/windows11-release-information
Windows 11では、メジャーアップデートは年1回となったが、毎月のアップデートでも小規模ながら機能が追加されることがある。
エクスプローラーのタブ機能は、Ver.22H2の最初のリリース(ビルド22621.521、9月20日)にはなかったが、ビルド22621.675(10月18日)に搭載された。タスクバーの右クリックメニューは、「タスクバーの設定」のみだったが、ビルド22623.755(10月25日)では「タスクマネージャー」が表示されるようになった。
毎月のWindows Updateの「累積アップデート」のタイミングで、ときどき新機能が有効になる。これらは、先行してWindows Insider Programのプレビュー版に含まれている。プレビュー版は、ベータチャンネルとリリースプレビューチャンネルが現行のWindows 11 Ver.22H2のベータプレビューを継続している。
これまでのところ、Betaチャンネルでプレビューが実施され、正式版には反映されていない新機能には、タブレット最適化タスクバーやタスクマネージャーのフィルター機能、Windows Studio Effects(AIチップ搭載機種のみ)などがある。
Windows Insider ProgramのDevチャンネルは、昨年5月にBetaチャンネルと分離し、ビルド25115からプレビューが開始された。原稿執筆時点の最新版は、ビルド25267で昨年の12月14日に配布が開始されている。プレビュー版に関しては、以下のページに履歴がある。
●フライト ハブ https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-insider/flight-hub/
まさかまさかの今年にWindows 12がリリースされる説 ただ、内部的に大きな変化が加わることは間違いなさそう
「Windows 12」でインターネット検索をすると、多数のサイトが出てくる。Microsoft自身が公式に発表したわけではないが、Windows 11のタイミングでメジャーアップデートの周期を3年にしたという。これを踏襲するならば、2024年、つまり来年に次の「Windows 12」が登場するサイクルだ。しかし、2年周期を検討していて、今秋にも「Windows 12」が登場するのではないかというウワサもある。
結論から言えば、Windowsの名前はあくまでマーケティング上の話なので、技術的な問題はあまり関係ない。Microsoftが変えたいと思うタイミングで変更されるだけのこと。つまり、Windows 12は、今年登場するWindowsの名前かもしれないし、来年登場するWindowsの名前かもしれない。あるいは以前のように数字以外の名前にするのかもしれないし、サーバーのように西暦を入れる可能性もある。
ただ、Windows 12が2年周期で今年登場するという話には、いくつかの根拠がある。基本的には次のWindowsとして想定されているのものが、現状のWindows 11と大きく異なるというのがその理由である。
1つは、Devチャンネルのビルド番号が現在のWindows 11 Ver.22H2と離れすぎているというもの。Windows 11 Ver.21H2は、ビルド22000として登場した。当時のWindows 10のビルド番号は19041。ほぼ3000離れている。Windows 11 Ver.22H2のビルド番号は22621で、Ver.21H1の22000とは621しか違わない。しかも、当時のDev Channelでのプレビューは22449から開始された。ここから考えると、Ver.22H2はVer.21H2と比較的近いものであることがわかる。
これに対して、Windows 11 Ver.22H2が出たあと、Devチャンネルのビルド番号は25115と一気に飛んだ。22000や22621からほぼ3000近くジャンプした形だ。少なくともDevチャンネルでプレビューされているWindowsは、現在のWindows 11とはかけ離れたものという推測が成り立つ。つまりWindows 12ではないかとなるわけだ。
もう1つは、昨年10月のイベントでWindows 11とは異なるデスクトップデザインのWindowsが使われたというものだ(記事冒頭の画像)。
基調講演のビデオがYouTubeに残っているが(下動画)、タスクバーと画面の端の間に空いた領域があり、俗に「フローティングタスクバー」などと呼ばれている。また、システムトレーがタスクバーと分離されて、画面の上部に配置されている。スマートフォンの画面のように画面上部に通知やシステム状態、日時などの表示がある。また画面上部中央には、現在タスクバーにある検索ボタンに似たものも配置されている。
最近のBeta/Devチャンネルでは、タスクバーの改修が行なわれている。1つは廃止されたタブレット用タスクバー、もう1つはシステムトレーの改修だ。特に最近のDevチャンネルプレビューでは、検索ボタンがデスクトップに「フローティング表示」されてしまうというバグまで見つかっている。こうしたことから、デスクトップが大きく変更されるのではないか? と考えることができる。
これまでのWindowsでは、メジャーバージョンアップのときのみ、デスクトップのデザインが大きく変わっている。実際問題として、デスクトップが変わって操作も違っているものを、同一バージョンにしていいものかと感じる。そしてこれは、Windows 12の意図的なリークなのではないかという深読みした説もある。
さらに、AndroidやiOSなどスマートフォン系OSが1年ごとのメジャーアップデートなのに対し、3年周期ではWindowsだけが遅れているように見えるという考えもある。Ubuntu Linuxのように半年でバージョンアップ、2年ごとに長期サポート版というサイクルもあれば、ChromeOSのように短期間でアップデートを繰り返す「ローリングリリース」という手法も存在する。macOSも含めて、多くのOSがWindowsより短期間でバージョンアップしている。
また、Devチャンネルのプレビュー版については、SDKのプレビュー版の登場頻度が高く、これが新しいプラットフォームになる理由と考える説もある。
実際、Windows SDKのプレビュー版は、昨年の6月からDevチャンネルのプレビュー版が出るたびに同時に配布がされている(前掲のフライトハブ参照)。
SDKはWindowsシステム側の新機能(必ずしもユーザーに見えるものとは限らない)に対応するため、SDKのプレビュー版は対応するWindowsのプレビュー版以降にしかフルインストールできないことがある。SDKが作られるということは、なんらかの新機能がWindowsに追加されている、あるいは改良があるということでもある。つまり、高い頻度でSDKのプレビューが配布されるのは、システム側の改良が多数あるからだ。
試行錯誤している説、サポート期間で2年に1回は無理説も どちらにしても新バージョンを「12」にするかはMS次第
もちろんこれらの推測には反論もある。現在のプレビュー版は、複数の改良を同時に配布でき、Windows Insider Program登録者によって、異なる新機能を見ることがある。「フローティングタスクバー」は、こうしたバリエーションの1つにすぎないのではないかという説だ。
筆者は見ていないが、似たようなデスクトップが配布されていたという主張があり、すでにプレビューされたものという見方もできる。Microsoftがイベントで見せたデスクトップは、配布中のプレビューの1バージョンにすぎず、それがたまたま、大きな変更を持ったデザインだったのだという説だ。意図的なリークなどではなく、たまたま出したのが「レア」な改良案を含むもので、すでにプレビューしていたものだったから、作業時間の関係などで特にビデオを修正しなかったのではないかという推測である。
特に現在のWindows 11に関していえば、タスクバーの改良が続き、プレビューが出たり、取りやめになったりを繰り返し、試行錯誤している状態である。中でもタブレット用タスクバーは、タブレットモードの廃止後、いまだに方針が決まらない感じがある。ビデオに映ったのは、タブレット用デスクトップのプロトタイプだったと考えることもそれほど無理な見方とは言えない。画面の上部にステータスなどを配置し、下部にラウンチャーアイコンを置くデザインは、スマートフォンに似ており、他のOSのタブレットにも見かけるデザインだ。
また異なる視点では、ビジネス向けのWindows 11 エンタープライズエディションのサポート期間は、一般消費者向けが24ヵ月であるのに対して、36ヵ月(3年)に設定されているのに、2年に1度のペースでWindows 12にバージョンアップしてしまうのは、企業ユーザーの負担が大きすぎ、想定が難しいという説もある。
SDKに関しては、ビルド番号が大きく異なるため、大きく変化して当然とも言える。つまり、次の23H2では、内部的な改良が多数あるということしか示していないという主張だ。
というわけで、今年に予定される次のバージョンアップは、大きな変化をともなうことはまず間違いないと考えられるが、その新しいバージョンがWindows 12と命名されるとは限らない。
見た目が大きく変わるものでなければ、Windows 11を名乗るだろうし、デスクトップが完全に異なるならば、Windows 12になるかもしれない。しかし過去にもMicrosoftは、Windows 10Xのように発表したものの計画を変更してきた過去がある。実はWindows 12として出すつもりで開発しているのだとしても、状態によってはWindows 11のままになる可能性だってあるのだ。
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