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AIが検索サービスを使うようになる?

ASCII.jp / 2023年1月16日 9時0分

Rubaitul Azad | Unsplash

 近年、AI(人工知能)が注目を集めています。

 その中でも特に話題に上がっているのが、OpenAIが2022年12月にリリースした自然言語処理のAI「ChatGPT」です。

 それから1ヵ月後、マイクロソフトがOpenAIへ100億ドル(約1兆3000億円)の投資を検討しているという噂をBloombergが報じました。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-10/RO90TAT0G1KX01

 マイクロソフトは2019年にもOpenAIに10億ドルの投資をしていますが、今回はケタがひとつ違います。

 この噂が事実なら、その判断の裏にはChatGPTの存在があったことは間違いないでしょう。マイクロソフトはさっそく自社サービスのBingにChatGPTの機能を組み込もうとしているようです。

マイクロソフトを熱狂させたChatGPTとは

 ChatGPTは、OpenAIのWebサイトで公開されている質問応答型のチャットボットAIです。現在、サインアップすれば誰でも無料で使用できます。

https://chat.openai.com/chat

 チャットボットと言えば、今までもAmazonの問い合わせサポートチャットなどで実用化されていましたが、できることは限られていました。

 ChatGPTは人間のような自然な受け答えをしてくれますし、何を質問してもおおむね的確に回答してくれます。ただ質問に答えるだけではなく、何かをやってくれと依頼すれば、依頼に忠実に従って結果を返してくれます。

 たとえば、物語を作ってくれます。以下の例では、ちゃんと“子供向け”という注文に則した内容で生成されています。内容の修正を依頼すれば、それを反映した内容で作り直してくれます。

 ビジネスメールの作成を依頼すれば、指示した内容に沿って適切な文章を生成してくれます。

 Webアプリなどのプログラムコードを生成させることさえ可能です。

 ChatGPTの内部では、GPT-3というOpenAIの言語AIの技術が使われています。

 2020年にリリースされたGPT-3は、Web上から収集された45TBもの膨大なテキストで学習させたことで、膨大な知識を獲得しました。

 サードパーティの開発者はGPT-3のAPIを利用して、アプリケーションを開発できます。はたしてGPT-3を使ってどのようなAIアプリを作ればキラーコンテンツになるのか、試行錯誤が続いていました。

 そんな中、OpenAIは自らChatGPTをリリースして、チャットボットこそAIに適したキラーコンテンツの1つの形であることを示しました。

 というのも、自然言語で入力して、自然言語で応答するチャットボットは、人間同士がコミュニケーションするのと同じ方法でやりとりできるので、一番自然なインターフェースであるからだと言われています。

 ChatGPTのユーザー数はリリース後わずか5日間で100万人に達しました。

ChatGPTの抱える課題とは?

 しかし、ChatGPTは今のところ必ずしも完璧ではないようです。

 GPT-3は2021年までのデータで学習されているので、それ以降の出来事についてChatGPTは正しく回答できません。

 たとえば、2022年のワールドカップについて訊いてみても、「まだ開催されていない」という誤った回答を返しました。

 以下の例では、ChatGPTにお勧めのレストランを尋ねたら、あたかも実在するかのように店名を挙げてくれていますが、これらの店は実際にはどれも存在しません。

 このような、AIがあたかも事実であるかのようにデタラメな内容をでっちあげてしまう現象は、“ハルシネーション(幻覚)”と呼ばれて問題視されています。

 ChatGPTはRLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)という手法を用いて、人間のフィードバックによって訓練されており、ハルシネーションなどの好ましくない回答を軽減していますが、それでも完璧ではありません。

AIが自分でWeb検索して精度を高められる

 これらの課題に対処するために、ChatGPTは今後のアップデートで“AI自らがWeb検索して情報を調べてくる”エージェント能力を獲得するのではないかと言われています。

 エージェント能力というのは、AIが自らの判断で行動するようになるというような意味合いです。

 そうなれば、AIは自分の知らない新しい情報や、事実に基づいた知識をWebから調べてきて、正しい回答が可能になります。

 筆者の推測ですが、OpenAIはChatGPTにWeb検索能力を与えるために、マイクロソフトのBingと提携することにしたのかもしれません。

 このようなエージェントAIの実力を、先取りして試す方法があります。

 ここ数週間に注目を集めている、LangChainというPythonライブラリがあります。これを利用すると、GPT-3などの言語AIに、Web検索や外部データベース検索などの機能を接続できます。

 試しに、LangChainを使ってGPT-3にWeb検索能力(Googleカスタム検索)を与えた言語AIを作って、回答させてみましょう。

 LangChainはGoogle ColaboratoryなどのPython実行環境から試すことができます。

 2022年ワールドカップの優勝国を尋ねたところ、AIはGoogle検索をしたうえ、その結果の情報を踏まえて正解を回答することができています。

 このように、LangChainとGPT-3を組み合わせることで、次世代のAIと言われるエージェントAIの実力を先取りして体験できます。

 今回お見せしたのは一例に過ぎません。今後このような形でチャットボットAIは現在抱えている課題を克服していき、改善、進歩していくことが予想されます。

 

筆者紹介──うみゆき

Unity3D、Unreal Engineを主に扱うフリーランスエンジニア。任天堂株式会社を退職したのち、Steamにて個人開発アプリをリリースするほか、Cygameにて「プリンセスコネクト!Re:Dive」「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」、カバー株式会社にてvTuber用モーショントラッキングアプリ、スマホARアプリなどの開発に携わる。現在はジェネレーティブAIを活用したゲーム、アプリケーションを開発中。

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