BTOが苦手なら13400F&RTX 3060のサイコム製鉄板ゲーミングPCで決まり
ASCII.jp / 2023年1月18日 11時0分
2023年、1月頭にラスベガスで開催した「CES 2023」では、PC関連の発表が多数あった。インテルはデスクトップPC向け第13世代インテルCoreプロセッサー(開発コードネーム:Raptor Lake-S)に、プロセッサーのベースパワーが65W以下のモデルを多数追加した。
特に「Core i9-13900」や「Core i9-13900F」、「Core i9-13900T」は合計24コア/32スレッドのCPUでありながら、電力設定が抑えられている点が面白い。また、筆者が個人的に惹かれたモデルはCore i5シリーズで、その中でも最下位の「Core i5-13400F」は特筆すべきモデルだろう。
昨年発売したCore i5-13600Kと比べると、Eコアが8基から4基に半減。Pコアの数は6基と同じだが、動作クロックがターボブースト時で5.1GHzから4.6GHz、ベースクロックで3.5GHzから2.5GHzに引き下げられている。このほか、iGPU機能がないF型番だという点も特徴になる。
とはいえ、ゲーミングPC用のCPUとして考えてみると、多くのゲームは8スレッドほどあれば十分で、そこまでコア数の多いCPUが要求されないという現実がある。また、動作クロックが下がっていると言っても、ターボブースト時で4.6GHzは決して遅くはない。
つまり、ゲームで重要な動作クロックは低いわけでもなく、コア/スレッド数も余裕があるCPUという位置付けで、Core i5-13400FはミドルクラスのゲーミングPC用CPUとして最適に思える。さらに、ビデオカードを組み込む前提のゲーミングPCではCPU内蔵GPUが不要なので、F型番はコスパが良い。
この絶妙なCPUを標準搭載したゲーミングPCが、サイコムの「G-Master Velox Intel Edition」だ。
カスタマイズできるPCパーツを厳選した鉄板モデルとして誕生
サイコムは様々なジャンルのBTOパソコンを数多く手がけている。CPUだけではなく、ビデオカードまで水冷化したデュアル水冷PC、無響室で正確に騒音値を測ってチューンした静音PC、ハイエンドPCパーツにこだわったゲーミングPC、クリエイターなどに向けたプロフェッショナルPCと、個性豊かなBTOパソコンが多い。
そして、カスタマイズできるPCパーツの種類が豊富だ。例えばSSDであれば、同じ容量でもメーカーやシリーズの異なる製品が複数並んでいるほど。PCパーツにこだわった自作PCに近い構成を、プロの美しい組み立てで手に入れられる。
ただし、この「カスタマイズできるPCパーツが豊富」という点が裏目に出ることもある。例えば、PCに詳しくない人にとっては何を選んでいいのかわからず混乱してしまうこともある。G-Master Veloxシリーズはそうした人でも安心して購入できる、鉄板構成のゲーミングPCとして誕生した。
BTOでカスタマイズできるPCパーツをサイコムが厳選し、例えばメモリーなら容量を見るだけでよく、かなり選びやすくなっている。SSDも2メーカーに絞られているため、こちらも製品選びで悩むことはないだろう。
その一方で、CPUはゲーミングPCとして十分な性能を備えるミドルクラスからハイエンドまでずらりと並んでいる。この絞るところは絞り、幅を持たせたほうがいいところはラインアップを豊富に取り揃えている点は、購入者にどう選んでもらうかしっかり考えられているようで好感が持てる。
また、ミドルクラスのゲーミングPCとして、標準構成のままで不満なく使えるところもうれしいところ。カスタマイズするにしても最小限でいいので、初心者でも安心して購入できるだろう。G-Master VeloxシリーズにはCPUの違いで2つのモデルがあるが、今回は筆者が気になっているCore i5-13400Fを標準搭載している、G-Master Velox Intel Editionについて紹介していこう。
なお、今回お借りした試用機では標準構成とは異なり、SSDが500GBから1TBになっていた。近年のゲームタイトルは容量がどんどん大きくなってきているので、1TBぐらいあると安心だ。とはいえ、ほとんどのゲーマーは遊んでも1シーズンで1~3ゲームほどだろう。また、足りなくなれば遊んでいないゲームはアンストールすればいい。となると、標準構成の500GBでもこと足りるということだろう。このあたりの絶妙な判断も「厳選」という感じがする。
コスパ抜群のCore i5-13400Fを実用性抜群の空冷クーラーで運用
G-Master Velox Intel Editionの構成について、性能を大きく左右するキーパーツを中心に詳しく見ていこう。
まずは冒頭でも触れた通り、最も気になっているCore i5-13400Fから。インテルCPUは前世代の第12世代インテルCoreプロセッサー(開発コードネーム:Alder Lake-S)から、Pコア&Eコアのハイブリッドデザインを採用した。
しかし、あくまでそれは上位モデル用という位置付けで、Core i5以下でPコア+Eコアという構成だったモデルは、末尾にKが付くモデルだけだった。しかし、第13世代からはCore i5の無印(&そのF型番やT型番)モデルでも、Pコア+Eコアという構成になった。
前世代の「Core i5-12400F」(6コア/12スレッド)と比べると、10コア/16スレッドになっているので、マルチスレッド性能が大幅に向上している。では、価格面ではどのくらい変わるのか? BTOメニューでは従来のCore i5-12400Fとの差額は8020円高価になる。Eコアが追加され、動作クロックも上がっていることを考えればリーズナブルだ。
一方で、Core i5-13600Kとの差額を見ると2万4640円、Core i5-13600KFでも1万9010円も安い。もちろん、CPUは高性能であればあるほど快適度が上がるわけだが、ゲーミングPCのコストパフォーマンスで考えれば、Core i5-13400Fはかなり「ちょうどいい」ポジションだ。
また、65Wという電力制限を緩めた場合、どのくらい性能が向上するかという点も気になる。CPUは温度が高くなりすぎると動作クロックが低下するが、これとは別に長時間高負荷がかかる場合は電力効率を重視し、動作クロックを下げることがある。
となると、65Wという制限はかなり厳しいものだが、これをCore i5-13600Kなどと同じ125Wにまで上げれば、性能向上が見込めるのではないか、という期待がある。ただし、この制限を緩めるとCPUの発熱は当然増える。
しかし、G-Master Velox Intel EditionのCPUクーラーは、Noctuaの「NH-U12S redux」だ。巨大なヒートシンクを備えるサイドフローモデルで、空冷ながらも高い冷却性能と静音性を兼ね備えている。それだけに、冷却面での不安はない。
性能がどう変わるのか、温度はどこまで上昇するのかといったテストは、次回の性能チェックで確かめていこう。
ゲーミング性能を高めるビデオカードやメモリー、SSD
グラフィック性能を大きく左右するビデオカードには、GeForce RTX 3060を搭載したASUSの「PH-RTX3060-12G-V2」を採用。多くのゲームをフルHD(1920×1080ドット)~WQHD(2560×1440ドット)の解像度で、高画質設定にして遊べるだけの実力がある。画面の美しさは世界観の再現性を大きく左右し、没入感に直結する。つまり、それだけゲームをさらに楽しめるということだ。
もちろん、BTOメニューにはもっと性能が高いGeForce RTX 3070 Tiや、最新世代のGeForce RTX 4080などを搭載したビデオカードもある。ゆえに、より上のゲーミング性能が欲しい人はそちらを選ぶといいだろう。
ただし、高性能なビデオカードはそれだけ価格も高くなる。コスパ重視で考えるなら、性能と価格のバランスに優れたGeForce RTX 3060は、フルHD&WQHDゲーミングではちょうどいい選択肢と言える。
メモリーは最近DDR5モデルでも徐々に値下がってきているものの、まだまだその効果に見合うアプリは決して多くない。となると、G-Master Velox Intel Editionのようなミドルクラスのコスパ重視構成であれば、価格の安いDDR4で大容量メモリーをより安く搭載するほうが理にかなっている。
G-Master Velox Intel Editionは標準でDDR4-3200の8GB×2なので、ゲームで困ることはまずないはずだ。とはいえ、写真や動画の編集などもやってみたいというのであれば、BTOオプションで16GB×2、もしくは32GB×2を選んだほうがいいだろう。
体感速度に大きく影響するストレージは、PCIe 4.0×4接続のNVMe対応 M.2 SSDとなる、Crucialの「P5 Plus CT500P5PSSD8」が標準。順次読み取り速度は最大6.6GB/s、順次書き込み速度は最大4GB/sという高速なモデルなので、アプリの起動速度もデータ転送でも頼りがいのある存在だ。
容量は500GBだが、最近のゲームはインストール容量が数十GBということもザラにある。それゆえ、多くのタイトルを常にインストールしておきたい人なら、1TBや2TBといった構成にカスタマイズしよう。また、アドビのソフトなど、クリエイティブな用途でも容量は大事なので、写真や動画の編集なども考えているなら容量はアップしておこう。
エアフローや換装・増設でもメリットがある美しい組み立て
サイコムのBTOパソコンは仕上がりが本当に美しい。裏配線を駆使して、PCケース内のケーブルを可能な限り見えないように組み立てている。ケーブルレイアウトの良し悪しは気にしない……という人もいるが、キレイに組み立てられていると様々なメリットがある。
1つは適切なエアフローだ。不要なケーブルは空気の流れを阻害することもある。暖かい空気がこもれば当然CPUなどの温度が上昇し、性能が低下する恐れがある。そして、ファンの回転数の上昇にともない騒音値も大きくなる可能性がある。
また、メンテナンスの際に見やすく、PCパーツの増設や換装などがしやすいという点もメリットだろう。もちろん、強化ガラスのサイドパネルを採用したPCケースだと内部が丸見えなので、美しく組み立てられているほうが当然見た目も良い。
もちろん、不要なケーブルを裏側に押しやって、見えるところだけをキレイにしているわけではない。ケーブルがぐちゃぐちゃにならないように束ね、きちんとまとめられている。
ちなみに、裏面の左上にある四角いパーツは、NZXTのPCケース「CA-H510I-W1」に標準装備しているLED&ファンコントローラーだ。LEDパーツ(2系統)やファン(3系統)を専用ツール「CAM」で操作できる。
背面インターフェースはそれほど多くはないが、それでもUSB Type-Aは6基(USB 2.0が2基、USB 3.2 Gen 1が4基)、GbE有線LAN、PS/2などを装備。ディスプレー出力はビデオカードにもよるが、標準であればDisplayPort 2.1に、HDMI 1.4aが3基利用できる。
なお、フロントインターフェースはUSB Type-A(USB 3.2 Gen 1)とUSB Type-C(USB 3.2 Gen 2)、ヘッドホン出力のみとなる。さすがにもう少し欲しい気もするが、背面と合わせて使えば決して「足りない」ということはないだろう。
カスタマイズが必要最小限でも大満足の1台に
BTOパソコンは、好みのスペックにカスタマイズできるという点が最大のメリットだ。特に、サイコムの製品は選択できるPCパーツの種類が多く、メーカーやシリーズまで選べ、自作PCに近いコダワリ構成にできるところが魅力となっている。
しかし、選択できるPCパーツの種類が多すぎるせいで、逆に何を選んでいいのかわからないという状況になってしまう人もいる。そうした人にとっては、「なにも選ばずに」満足できる標準構成で20万円を切っているG-Master Velox Intel Editionは、理想の1台と言えるだろう。
もちろん、まったくカスタマイズできないのではなく、CPUやビデオカードを高性能モデルに変更したり、メモリーやSSDを増量するといったこともできる。そして、PCパーツはサイコムによって厳選されたものなので、怪しい安価なものが使われることはない。
安心できる構成で、性能面でも満足でき、見た目まで美しいBTOパソコン。ゲーミングPCが欲しいけれど、どれを買えばいいのかわからない……と悩んでいる人にこそ選んで欲しいモデルだ。
【2023年1月19日14時36分追記】
サイコムによれば、現在G-Master Velox Intel Editionは人気のあまり生産終了になったとのこと。そこで、PCケースのみをFractal Designの「Pop Silent White TG Clear Tint」に変更した、後継モデル「G-Master Velox II Intel Edition」を発売した。直販価格は19万2670円(配送料込み)となるが、発売を記念して2023年1月31日まで1万円引きの18万2670円になる。気になっている方はこの機会をお見逃しなく!
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