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ドコモ「dポイント」楽天ポイント追い出して経済圏拡大?

ASCII.jp / 2023年1月23日 9時0分

NTTドコモ

 ここ数年、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクは通信料以外の収益源を確保しようと、経済圏の拡大に躍起になっている。その動きは楽天が携帯電話事業に参入して以降、さらに加速している。

 NTTドコモは、共通ポイントプログラムである「dポイント」の拡充に注力している。dポイントクラブは2015年12月にサービスを開始するなど、どちらかといえば後発の部類であったが、いまでは9200万人まで会員数を拡大。ドコモユーザー以外も所有するポイントサービスに成長した。

 直近1年間のdポイント利用数は約2900億ポイントで、NTTドコモのコンシューママーケティング部 シニアマーケティングディレクターの西井敏恭氏は「自社ではなくdポイント加盟店など提携先での利用が約8割に達している」と語る。

 過去のポイントサービスでは携帯電話の機種変更などポイントの用途は限定されていたが、提携先を増やし、決済やポイントを利用できる場所を440万ヵ所まで拡大することで、ユーザーの利便性、さらには提携先への送客・消費喚起を高めることに成功している。

 実際、筆者の生活圏でも、マクドナルドや松屋のセルフオーダー機でdポイントカードの提示を求められる。ドラッグストア「ココカラファイン」では、数ヵ月前まで楽天ポイントの対象だったのだが、楽天ポイントは非対応となり、dポイントとココカラファインのポイントサービスのみが対応となった。つまり、楽天ポイントはdポイントに押し出されてしまったのだ。

課題は「わかりにくさ」と「認知度の低さ」

 順調に拡大しているdポイントのようだが、課題も多い。やはり、そのひとつには「わかりにくさ」というのがあるようだ。

 NTTドコモでは、まず、ポイントを貯める上で「わかりにくさ」を解消しようと、2022年6月にポイントプログラムのリニューアルに着手した。西井氏は「複雑な条件なしにランクで決まる制度にした」という。これにより、過去3ヵ月間のポイント獲得数でランクが決まり、最上位の5つ星となれば、ポイント還元率が通常の2.5倍になるように設定された。

 西井氏は「通信契約があれば、2つ星にアップする。ドコモのサービスや決済を組み合わせることで、さらにポイントをためやすくなる」という。

 NTTドコモが感じている、もうひとつの課題が「認知」だ。

 dポイントサービスのヘビーユーザーは、メリットを感じて熱心にポイントを貯めて使ってくれるが、「それ以外のユーザーには浸透していない」(西井氏)という。

 同社の調査でもロイヤルユーザーの数は増えているが、認知していないユーザーの数に変化が見られない。ポイントサービスに興味のない人をいかに振り向かせ、dポイントを利用してもらうかが喫緊の課題なのだ。

まずは使える加盟店が多いことを認知させることが大事

 ちなみに、同社の調査ではロイヤルユーザーの割合は楽天のポイントサービスよりも低い数値となっている。楽天ポイントを熱心に利用しているユーザーは楽天経済圏にどっぷり漬かり、様々なサービスを利用して満足度も高い。NTTドコモとしてはロイヤルユーザーのさらなる拡大も意識しないといけない。

 西井氏は「これまで(dカードやd払いなど)事業それぞれでやってきたユーザーへの案内をまとめて案内できるような体制を整えていきたい」と語る。

 現在、dカード(クレジットカード番号での決済とiD決済)、さらにd払いの合計が1万円以上となると、総額5億円分のポイントバックが受けられるキャンペーンを展開しているが、これも、これまでNTTドコモ内で分かれていた決済事業を横串で一緒にアピールできるようにした仕組みとなっているのだ。

 共通ポイントとしては楽天ポイントがリードしている一方で、auはpontaポイント、PayPayも共通ポイントサービスを準備するなど、いかに経済圏を広げていくかが重要となっている。

 その点、西井氏は「楽天はグループでサービスを持っている。一方、NTTドコモはECが弱く、使い勝手が悪いと思われている。ただ、dポイントとしてもメルカリやじゃらんなどと提携するなど、数は多いがユーザーには伝わっていない気がしている。

 まずは使える加盟店が多いことを認知させるのが大事であり、またドコモのECサービス自体も使い勝手が良くなるよう、サービスの見直しをする必要もあるかもしれない」と語る。

楽天を追い出すのが経済圏拡大の近道か

 経済圏で見ると、楽天はグループ内に銀行や証券、カードの会社を保有しているのに対して、NTTドコモは銀行は三菱UFJ銀行と提携して「dスマートバンク」というアプリを提供。投資に関しても「THEO+ docomo」といったかたちでSMBC日興證券と組むなど、外部との提携に留めている。

 西井氏は「経済圏が弱いのは事実であり、強化していかなければならない。しかし、顧客視点でマーケティングしていくなかで『経済圏で囲い込まれるよりも、使えるところで使えたほうがいい』のではと考えた」と語る。

 NTTドコモという巨大な顧客基盤で、すでにユーザーは充分、囲い込めているだけに、外部と提携することで、経済圏を拡大するという方向性のようだ。

 ココカラファインのようにあらゆるところで楽天を追い出すことが、ドコモ経済圏が拡大する上での近道と言えそうだ。

 

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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