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Intel B760チップセット搭載し、拡張や冷却も十分なMSI「MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4」レビュー

ASCII.jp / 2023年1月31日 11時0分

 CES2023(現地1月3日)にて、多くのメインストリームユーザーが注目していただろうIntel B760チップセットおよびそれを搭載するマザーボードが発表された。昨今、PCを買い換えたくても値段が……という方も多いだろう。第13世代CoreはこれまでハイエンドCPU、ハイエンドチップセットしか出ていなかった。ようやく登場したメインストリーム向け製品で、この敷居が引き下げられる。MSIからも数多くのマザーボードが発表されているが、今回はその中の1枚「MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4」を紹介しよう。

MSI「MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4」実売価格は3万5000円前後

 PCパーツが高価になっており、とくにLGA1700マザーボードでは最新プラットフォームにアップグレードしたくても、最上位チップセットのIntel Z790マザーボードはなかなか手が出せなかったという方も多いかもしれない。新たにリリースされたIntel B760チップセットは、ここを改善してくれるものとして期待されていた。

 Intel B760はメインストリーム向けチップセットと言ってよいだろう。Intel Z790と比べると機能はいくつか削減されている。主にPCI Expressレーン数やUSBなどのインターフェースだ。これがどのくらいなのか、自分の用途に足りるのかは理解しておきたい。

Intel B760チップセット

コストを抑えたいならB760チップセット。拡張プランも合わせて検討しよう

 それではMAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4を見ていこう。まず、本製品はMAGグレード。メインストリームゲーマー向けのモデルだ。MAGグレードのデザインだが、形状としてはほぼ共通でブロックタイプの大型ヒートシンクが特徴だ。その上で、カラーリングや主にチップセットヒートシンクやM.2ヒートシンクを中心にアレンジが加えられている。また、TOMAHAWKは伝統的にLEDレス。必要ならRGB LEDヘッダに機器を接続して利用するスタイルだ。

LEDがないのでシンプルかつ購入コストも低くなる

 MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4では、たとえば先にリリースされているIntel Z790搭載モデルの「MAG Z790 TOMAHAWK WIFI」と比べると、M.2スロットの削減に伴って中央M.2ヒートシンクが省かれているほか、各部ヒートシンク上のプリントパターンが異なる。ただ、大型のヒートシンクが熱源をカバーしているので冷却的には上位モデルと同等と言えるだろう。

 ゲーミングエントリーと言えるMAGグレードの本製品。ビデオカード用、M.2のPCI Expressの世代やDDRメモリの世代が気になるところだろう。

 MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4は、ビデオカード用PCI Express x16スロットがGen5対応、M.2スロットがGen4対応、メモリがDDR4といった組み合わせだ。次世代ビデオカードへの備えは万全。メインストリームユーザーには2、3世代、あるいはより長期間運用する方も多いが、MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4ならPCI Express Gen4の現在からGen5の次世代まで長く利用できる。ストレージやメモリについても、背伸びをするよりはコストパフォーマンスのよいゾーンを狙っている。あえて言うなら、メモリは移行期にあるので最初から余裕をもった容量選びをしておけば、より長く、コスパよく使えるだろう。

次世代ビデオカードに対応するので、長期にわたって使えるのもポイント

 PCBデザインは、旧Intel B660チップセット搭載モデル「MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4」と似ている。こまかなスペックを見ていけば異なるが、たとえばSerial ATAポート付近を少し切り取った形状など、共通点が多い。そして拡張スロットレイアウトも(一部PCIe世代は異なるが)同様だ。

 MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4の拡張スロットレイアウトは、x16(Gen5 x16)、x16(Gen3 x4)、x1(Gen4)という並びだ。ちなみに、MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4はx16(Gen5 x16)、x16(Gen3 x1)、41(Gen4)という並びで、第2、3スロットのレーン数と世代が異なる。ここは拡張プランに合わせてどちらがよいのか検討したい。x4カードは比較的高性能な(発熱も大きい)ものが多いため、ビデオカードから距離をおいて搭載したいだろう。逆にx1カードで間に合うならMAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4でよいし、そもそも3スロットあるいはそれよりスリムなビデオカードを組み合わせるなら第2スロットにx4カードを挿すことに問題はないだろう。

 M.2スロットについては、MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4の場合3スロット搭載している。そしてSerial ATA 3.0も4ポートだ。メインストリームユーザーであれば十分だろう。そもそもIntel B760チップセットがメインストリーム向け、そしてそれを搭載するメインストリーム向けマザーボードという点を考えれば、これを超えるスペックは追加チップによる実装となるためトレードオフが生じる。より多くのストレージを接続したい方は、素直に上位チップセットのモデルから選ぶのがよいだろう。

拡張スロットの違いで、上位モデルと比較して購入するのもあり
Serial ATA 3.0ポートは4ポート

 さて、3つのM.2スロットは、すべてEZ M.2クリップが採用されている。ヒートシンクの着脱にはドライバーが必要だが、M.2 SSDを固定する部分、一般的に極小のネジを用いるためなかなかすんなりといかずイライラする部分が解消されている。

 そのほかDIYフレンドリーな機能としては、ビデオカード用PCI Express x16スロットの固定ラッチを大型化したXL CLIP、トラブルシューティングに役立つEZ DEBUG LEDが採用されている。

メインストリーム向けの12+1+1フェーズ構成に75A対応DrMOSの組み合わせ

 CPU電源回路を見ていこう。まず、CPU電源端子は8ピンのEPS12Vが2つ用意されている。たとえば最上位CPUのCore i9-13900K/KS/KFを組み合わせる場合でも余裕だ。

8ピンのEPS12Vが2つのCPU電源端子

 CPU電源回路の構成は12+1+1フェーズ。PWMコントローラはRenesas「RAA229132」。MOSFETについて見ていくと、VCORE用には75A対応のDrMOS「RAA220075R0」を採用しつつ、1フェーズはMonolithic Power Systems「MP87670」を組み合わせている。また、Duet Rail Power Systemとされ、フェーズダブラーを用いない形でPWMの1系統に2つ(フェーズ)のMOSFETをぶら下げている。

CPU電源回路の構成は12+1+1フェーズ
PWMコントローラはRenesas「RAA229132」
Vcore用にはRenesas「RAA220075R0」
残り1フェーズはMonolithic Power Systems「MP87670」

 電源フェーズ数はIntel Z790搭載モデルと比べれば減少、出力も抑えられているが、余裕という点では十分に設けられている。つまり1フェーズあたりの負荷は抑えられ、発熱も抑えられていると思われる。これに大型VRMヒートシンクが組み合わされているあたりが、スタンダードマザーボードと本製品のようなゲーミングマザーボードとの違いだ。ゲームプレイ中というのは、CPUにも比較的高負荷がかかり、それがプレイ中持続する。その上で、本製品がメインストリーム向けモデルであっても、最上位のCore i9を組み合わせることも想定される。本製品はそうしたハードな使い方も想定しつつ、メインストリーム向けの価格帯に向けたモデルだ。

大型VRMヒートシンクを組み合わせている
内側もヒートシンク構造

 では、ここで一度ベンチマークを用いて負荷をかけた状態のVRM温度を見てみよう。今回用いたCPUはCore i5-13600(未発売)。コア数はPコア6基、Eコア8基で合計14コア20スレッドという仕様はCore i5-13600Kと同様だが、PBPは65W、MTPが154Wで、Core i5-13600Kの125W/181Wといった仕様から大きく抑えられている。一応、Turbo時の最大クロックを100〜200MHz抑え、キャッシュも半分近くに抑えられている、DDR5メモリのサポートがDDR5-4800まで(本製品はDDR4モデルなのでDDR4-3200まで)といった仕様も異なる。ただ、消費電力が大きなCPUほど高性能でも比例はしないのがCPUのおもしろいところ。

 BIOSでのCPU設定は、CPUの定格である65W/154W設定と無制限(BIOS上では4096W)設定を用いた。組み合わせたCPUクーラーは28cmクラスのMSI「MEG CORELIQUID S280」。冷却性能については余裕を見ているが、実際、やや過剰な性能のクーラーを組み合わせたことで非常に静音性能にすぐれた構成となった。また、今回、VRMを冷却するケースファンは用いておらず、ビデオカードには MSI「GeForce RTX 3080 GAMING Z TRIO 12G LHR」を組み合わせている。

 各部の温度だが、CINEBENCH R23(Multi CPU:10分)、PCMark 10(Standard)で計測した。

 まずCINEBENCH R23。スコアは定格側がMulti CPU:17620、Single CPU:1893、PL無制限側がMulti CPU:21359、Single CPU:1866だった。温度グラフに移ると、まずCPU温度については、定格設定はなにかの間違いかというほどCPU温度が上がらず、MOSFET温度もおおむね40℃台前半で推移している。続いてPL無制限設定だが、さすがにこちらのCPU温度は73℃台まで上昇し、MOSFET温度も51.5℃まで上昇した。とはいえ10分間のCPUフルロードで50℃台前半であれば発熱は小さめと言えるだろう。このようにPL無制限はMulti CPUで2万点を超えるスコアで高性能かつMAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4のVRMなら余裕あり。一方、定格運用もグラフのとおりCPU温度上昇が小さくMOSFET温度も上昇せず、とても静かといったメリットがある。

CINEBENCH R23、定格設定の温度推移
CINEBENCH R23、PL無制限の温度推移

 続けてPCMark 10。スコアから紹介すると、定格側はOverallが8531、Essentials:11102、Productivity:10447、Digital Content Creation:14527、PL無制限側はOverallが8847、Essentials:11322、Productivity:11214、Digital Content Creation:14799。当然だがこちらもPL無制限のほうが高スコアだ。温度について見ていくと、まずMOSFET温度に関しては40℃前後。なんならPL無制限のほうが低いが、これは検証が夜までかかり室温が低下した(ただし20℃程度はあった)ことも影響している。CINEBENCH R23のように最大負荷が継続するテストではなく、負荷に波があることもあり、温度が上昇する瞬間もあれば負荷が抜けて冷却できる瞬間もある。一般的なアプリケーション使用時のMOSFET温度はほとんど気にする必要がなさそうだ。こうした理由もあり、CPU温度やGPU温度といった大消費電力パーツの温度も、定格、PL無制限とも似たようなグラフ形状だ。ただ、CPU温度を見ると、波の振幅がPL無制限のほうがやや密になっているように感じられる。このあたりも低消費電力(かつ若干キャッシュ容量を減らしクロックを抑えた)CPUに、高性能CPUクーラーを組み合わせたことのメリットと言えるだろうか。

PCMark 10、定格設定の温度推移
PCMark 10、PL無制限の温度推移

 参考までに、今回の構成における3DMarkとFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークのスコアも掲載しておこう。

 3DMarkに関しては、すべてPL無制限のほうが高スコアだが、とくにTime Spy系やFire StrikeのようにCPUテストのあるものは顕著にスコアが向上した。一方、実際のゲームがベースのFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークも、3つの検証設定中、2つに関してはPL無制限のほうが高スコアだった。CPU性能が高いほどスコアが引き出せることに間違いないだろう。ただしフルHDのように、誤差に埋もれてしまうこともあるようだ。

 なお、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク時のMOSFET温度は定格時が最大46℃、PL無制限時が43℃。こちらも室温(あるいはケース内温度)の影響のほうが大きいが、ゲームを含めた一般的な用途においてはMOSFET(VRM)の温度は適正に保たれそうだ。

USB 3.2 Gen2x2 Type-Cも搭載

 インターフェースでは、まずUSBがUSB 3.2 Gen2x2 Type-Cが1基(リア)、USB 3.2 Gen2が4基(リア)および同Type-Cが1基(フロント)。ネットワークは無線LANがWi-Fi 6E、有線LANが2.5GbE(Realtek RTL8125BG)。オーディオチップはRealtek「ALC897」だ。

USBも豊富で、USB 3.2 Gen2やUSB 2.0は各4ポート。USB 3.2 Gen2x2 Type-Cも1ポート搭載する
フロントはUSB 3.2 Gen2 Type-C対応
有線LANはRealtek「RTL8125BG」
オーディオはRealtek「ALC897」

 なお、リアのUSB 2.0についてはGenesys Logic「GL850G」ハブチップを介して実装。同様にリアのUSB 3.2 Gen2についてはGenesys Logic「GL3590」ハブチップを用いているようだった。

USB 2.0ハブチップのGenesys Logic「GL850G」
USB 3.2 Gen2ハブチップのGenesys Logic「GL3590」

 オーディオ回路は、デジタル/アナログ分離、左右チャンネル層を分離、デポップ機能などを備え、HDオーディオにも対応するAUDIO BOOST仕様だ。

ハイエンドからエントリーまで、第13世代Core移行を助ける高コスパマザー

 MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4の価格は3万5000円前後。登場間もない現在(執筆時点)でも上位チップセットのMAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4と比べて1万円ほど安い。第13世代Coreのプラットフォーム価格に手を出しづらかったという方にとって、無視できない価格差だ。全体的なコストを下げることもできるし、ゲーミングPCであれば差額をビデオカードに投資できる。たしかにIntel Z790と比べれば機能を抑えたIntel B760だが、メインストリームのニーズであれば拡張性(拡張カードやストレージ)の点で問題ないだろう。

Intel Z790モデルとの価格差を別パーツに割り振ってパフォーマンスを上げるのも手

 また、MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4はメインストリーム向けのIntel B760チップセットを搭載するマザーボードだが、組み合わせるCPUやGPUはハイエンドでもよい。その意味で、MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4のターゲットはメインストリームにとどまらない。エントリーでもよい。第13世代CoreのPCを組みたい幅広い層がターゲットだ。MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4ならDDR4メモリを使い回せるコストパフォーマンスのよさもある。ハイブリッドアーキテクチャ以前のCoreからの買い換えなら、コストを抑えつつ最新アーキテクチャによるCPU性能の向上を実感できるのでオススメのマザーボードだ。

MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4詳細ページ 購入する MSIサイト

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