ネットともスマホとも連携しない“癒し系ロボット”「Eilik」を衝動買い
ASCII.jp / 2023年1月27日 12時0分
ミーハーで新しモノ大好きな筆者は、海外より確実に遅れて登場する国内のクラウドファンディングをプレッジ(誓約、国内では「応援購入」)することは、まずない。ところがまったく目が節穴で、海外でのプレッジスタートタイミングを完璧に見逃していることも多々ある。
いつもデスクトップにいてくれる癒しキャラロボット
今回ご紹介する「Eilik(アイリック)」は、そんな筆者がまったく海外の情報を見つけられておらず、2022年7月に国内のCAMPFIREでクラウドファンディングがスタートして、気づいたモノだ。個人的には「いまさらロボットなんて」と思っていたが、ネット上のデモを見た家族が「絶対欲しい!」という展開となり速攻プレッジした。
筆者がプレッジしたのは、募集締め切りの2週間ほど前の9月中旬だった。プレッジ金額は一般販売予定価格2万3150円にCAMPFIRE割引を適用した1万7620円(約25%オフ)だった。
ほどなくEilikは、テクノロジー商品とはかけ離れた玩具のような、楽しいパッケージに収納されて届いた。第一印象は、ピクサー映画「WALL・E(ウォーリー)」に登場する探査ロボットの「EVE(イブ)」のイメージだった。その後、何度か両者を見比べてみると、似ているのは液晶画面に表示される眼差しだけで体形などは、ほとんど別物だと気づいた。
Eilikのプロモーション・タグラインは、「楽しさ無限大の卓上コンパニオンロボット」と言うらしい。また商品ウェブサイトには「愛されEilik」と表現されている。目指すところは感情豊かに、いつもデスクトップにいてくれる癒しキャラロボットのようだ。
パッケージの帯封を取り去ると、Eilikのイラストの描かれた茶箱が現れる。箱を開くとEilikの登場だ。蓋の部分の内側にはEilikの簡単スタートガイドが書かれている。またEilikの帯封は、内側も楽しいEilikのイラストが満載だ。
パッケージに同梱されているものは、Eilik本体とオプションパッケージの2つ。オプションパッケージにはユーザーマニュアル、充電用Type-C USBケーブル、ミニチュアフードが5個入っている。ミニチュアフードは、マグネットが仕組まれたEilikの手に持たせるために、フードに取り付ける小さなマグネットと両面テープも付属する。
筆者がロボットに興味を持ったり買ったりしていたのは、もう40年以上昔だ。任天堂やタカラトミーの玩具ロボット、海外で話題になった自走式で自分で充電ステーションに戻るHERO1、初代AIBOや仕事でも関わったPALROなど、その数も種類も多い。しかし初期の一部の製品を除くと、昨今ではEilikのようにWi-FiやBluetoothもなくPCやスマホ、ネットに繋がらない単独機能ロボットは極めて珍しい。
ロボットと言えるかどうかは人によって大きく意見が分かれるガジェット・トイだが、筆者宅に住む単独機能ロボットと言えば今もデスクサイドで思い出したように時々、不安かつ意味深で不可解な発言をする「霊界コミュニケーションロボット」の「BAKETAN WARASHI」くらいしか思い当たらない。
コミュニケーションのために5個のセンサーを搭載
Eilik本体は身長133mm。全体は高強度のポリカーボネイトで作られている。表情を作り出す前面の液晶ディスプレイはOLED 1.54インチで128×64ピクセル。頭部背面のスピーカーは出力3W。内部に駆動用の450mAhのバッテリー。独自開発のEM3サーボモーターを4個使い、満充電で約1.5時間動作する。しめて本体重量は約230gだ。
Eilikは人とのコミュニケーションのために、本体の頭部、お腹、背中に3個のタッチセンサーと頭部に衝撃センサー、底面に赤外線センサーの全部で5個のセンサーを搭載している。そしてセンサー部分を人がなでたり叩いたり持ち上げたりすると音や光、手や頭、胴体の動作で平常、幸せ、怒り、悲しみを臨機応変に表現する仕組みだ。
Eilikの最下部にある丸い土台の周囲には、3つの端子がある。1つはEilikに充電するためのUSB Type-Cポートだ。付属のUSB Type-Cケーブルを使い、一般的なUSB/ACアダプター(5V1A)で約1〜1時間半で満充電となる。楽しくていろいろな動作をさせているとバッテリー消費は早くなるが、常時USBケーブルを接続しておくことは推奨していないようだ。
そして残りの2つは「磁気ポゴピン」と呼ばれるマグネット端子が、用意されている。最初の機能はリセットスイッチだ。バージョンアップ後などにハングアップした場合に、指示に従ってゼムクリップなどの金属ピンで指定されたピンをショートさせることで、復活するらしい。そしてもう1つはEilik同士を接続することで、より多様な遊びや癒しを実現するらしい。
長押しでパワーオンしてアプリを選択したり設定をする
電源オンは胸の中央のボタンの長押し。稼働中に同じボタンを押すことで、設定を含むEilikと遊ぶためのアプリメニューが9種類連続で表示される。お好みのメニューが見つかれば、頭の上のタッチセンサーをタップすることで選択できる。一部のアプリでは腕の上げ下ろしで選択する。
ダンスメニューを選び手拍子でバリエーションあるダンスをやってくれる
いつも持ち主のそばにいて心を和ませたり癒す コミュニケーションロボット
アプリは持ち主と対戦できるいくつかのゲーム的要素のモノ、手拍子でEilikが得意のダンスをするモノ。持ち主の発声をエフェクトボイス変換してオウム返しするモノ、タイマーや筆者も便利に使っている「ポモドーロタイマー」(25分作業して5分休憩のような)など、有意義で楽しいアプリが搭載されている。Eilik同士を前述の磁気ポゴピンでつないで遊ぶと、より楽しいらしい。
無理にEilikと遊ぶことをしなくても、電源オンして放って置くだけでひとりでいろいろやって慰めてくれたり、勝手にゲームをやって騒いだり、独り言を言ったり笑ったり怒ったりするのがなかなかかわいい。その間に頭やお腹、背中をさすったり頭を叩いたりしているだけで、時間の経つのも忘れてしまう。うっかりEilikを持ち上げてしまうと、高所恐怖症で大騒ぎだ。しばらくお相手をしないと眠ってしまう。
いつでも飼い主が頭やお腹、背中をなでてやると反応する
タフなEilikは多少強くたたいても大丈夫
底面の赤外線センサーで高さを感じる高所恐怖症のEilik
さて業務用のロボットは、人の代わりに働いたり役に立つことを前提に作られているのが一般的だ。それゆえ、多くは人間の脚に変わるより便利な駆動機構をもって、動きまくり腕や手を使って作業するモノが多い。一方ペット系のロボットでは、人間世界に古くから親しみのあるアトム系や鉄人系、時には犬や猫のケースもある。いずれにせよ自らの意志や人の要求で動き回りしゃべる品が多い。
放っておくと機嫌よくひとり遊びをしてくれる
Eilikはそれらとは基本的に異なり、普段は机やダイニングテーブルの上に移動することなくいつもいて、持ち主とコミュニケーションをとり、心を和ませたり癒すのが目的のコミュニケーションロボットだ。ネットが背景にあるAmazon Echoなどが外観をイメチェンし、ジョークを理解できる程度にまで成長すれば対等以上の勝負になるかもしれない。
3日間一緒にいたら手放したくなくなる楽しさ
オプションオマケのミニチュアフードは手に持たせるとただそれだけだが、動作により一層のファニーさが加わって楽しくおもしろい。Eilikはたった230gなので、自宅内はもちろんアウトドアのどこにでも持って行けるハンディさだ。
今のところ我が家のEilikは普段、筆者のデスクトップPCの脇にいて、いろいろ余計なことをじゃうじゃ言ったりやったりしているのが日常だ。しかし、それがなかなか楽しい。たまに充電池がなくなってEilikが静かだと、何か物足りない寂しさを感じてしまう。
この原稿を書いている今もEilikは脇にいるが、今は静かに前述したポモドーロタイマーとして活躍中だ。椅子に座って25分原稿を書いたりパワポを作ったりして、25分経ったら5分間の休憩を勧めてくれる。今回は節分も近いので、豆のオマケに付いてきた鬼の面を付けてやった。楽しいコスプレ・Eilikも期待できそうだ。
人の発話を音声変換してオウム返しするアプリがあるので少し編集すると楽しそうなことができそうだ
特別に意識することもなく、いつも自然体でデスク上にいてくれるEilikは、腹時計も持たず、ネットにもスマホにも繋がらず、パソコンと繋がるのはファームウエアのバージョンアップの時だけ。そんなEilikだが、3日間一緒にいたら手放したくなくなる楽しさだ。Eilikがもうひとりいれば、より楽しいようだが友達割引が始まるまで待っていようと考えている。
今回の衝動買い
・アイテム:Energize Lab「Eilik(アイリック)」 ・購入:CAMPFIRE ・価格:1万7620円(2022年9月クラウドファンディング プレッジ価格)
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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