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【先行レビュー】中身が激変、大きく進化したHomePod(第2世代)

ASCII.jp / 2023年1月31日 23時0分

大きく進化したHomePod(第2世代)とApple TV 4K

 アップルのスマートスピーカー、HomePodが第2世代となって再登場した。変わらない外見とうらはらに、音質は大きく進化。さすが、AirPods Pro(第2世代)を作ったメーカーが世に送り出したスマートスピーカーだと唸らせられる出来映えになっている。初代モデルは、ぜひ2台揃えてステレオペアで使いたい製品だったが、本機は1台でもステレオ感が強くなっている。温度/湿度センサーも備え、スマートホームのハブとしてお勧めできる製品になっている。

初代モデルは2年前に終売……からの復活!

 初代モデルの音質をご存知の方は、どのくらいいらっしゃるのだろうか? 初代モデルはUSで5年前、2018年2月に349ドルで発売されたが(その後、299ドルに値下げされた)、日本導入は1年半ほど遅れて2019年8月に3万2800円であった。1万円を切るGoogle HomeやAlexaなどに遅れての登場となったので、当時は「高価なスマートスピーカー」と認識されて、あまり多くの人に受け入れられなかったように思う。

 実際には、Siriを利用した音声アシスタントとしての機能に加えて、オーディオとしても高い機能を持っており、登場タイミングとマーケティングがちょっとマズかったのではないかと思っている。

 筆者は、USで発売時に現地で購入して使っているが、iPhoneなどのアップル製品を使っている人にとっては非常に便利なスマートスピーカーだと思っている。しかし、スタートでのマーケティングの失敗が響いたのか、2年前、2021年3月に終売となってしまった。

カタチが変わらない時こそ、中身が激変している

 その後、2年間も音沙汰なしだったので、もうHomePodは終わった製品なのかと思っていたら、2023年1月18日に、突然発売が発表された。発売日は2月3日。価格は299ドルとUSではリーズナブルだが、日本では4万4800円と従来モデルより値上がりしてしまった。

HomePod(第2世代)色は、ホワイトとミッドナイト。美しいデザインだが、タッチパッド部分にも、メッシュ部分にもホコリが溜まりやすいのは難

 発表された外見は、従来モデルとほぼ同じ。しかし、アップル製品の場合、外見が変わらない時の方が内容が激変していることがある。実際、今回もそうだった。詳しくは後述するが、完全に別製品かと思えるほど音質などは変化しているのだ。

 思えば、アップルはアップルミュージックという音楽サービスを提供しており、AirPods Maxや、AirPods Proという素晴らしいオーディオ製品を販売しているのだ。その技術を使えば、スマートスピーカーだって大きく進化させることができるのは当然のことかもしれない。

初代は、中央部直径3cmぐらいが光っていたが、第2世代は全体が光る

マイクとツイーターは減っているのに、音質は向上

 まずは仕様から確認しておこう。外観サイズは直径が同じで、高さが4mm低くなっている。正直、サイズ的には実物を見ても気がつかないほどの変化だ。ただし、細かい部分の形状はけっこう変わっている。

 まず、Siriが対応した時などに上面のアクリル部分全体が光るようになった。また、ボリュームボタンはアクリル表面にプリントされたので、電源が入っていなくても見えるようになった。

電源ケーブルが抜けるようになったので、設置の時に扱いやすくなった

 従来の電源ケーブルは基本的には抜けない構造だったが(正確には抜けなくはないけれど、ユーザーが抜き差しすることを前提にしていない)、第2世代では容易に抜き差しできるようになっている。また、初代は下面は凹面だったが、第2世代は平面になっている。

 内部構造的な話をすると、HomePodの音響の最大の特徴は20mmもの振動幅を持つ高偏ウーファーにある。この部分の構造が変わっているのかどうかは分からないが、第2世代のHomePodのウーファーも20mmの振動幅を持っていると発表されている。

 本体内部には、複数のマイクアレイとツイーターアレイが内蔵されており、HomePodが置かれた場所の周囲の形状を反響音から判断して、出力をコントロールする仕組みになっている。たとえばボーカルは直接伝えて、左右の音は左右の壁に反射させて伝えるという具合だ。

HomePod(第2世代)の内部構造。マイクアレイとビームフォーミングツイーターアレイが2個ずつ減っている

 このマイクアレイが初代は6つから第2世代では4つに、ビームフォーミングツイーターアレイは7つから5つに減っている。詳細情報は発表されていないが、音を聞いた感じからしても、数が減ったから良くないというものではないようだ。むしろ音質は非常によくなっているのだから。搭載されているチップセットはA8からS7に変更されている。

驚くほどの進化! これぞAirPods Pro(第2世代)を作ったメーカー

 電源に繋ぎ、iPhoneを近づけることで初期設定が可能になる。カメラの画角に、HomePodの上に表示されるグラフィックを入れることで同期できる。

新品(もしくはリセット状態)のHomePodにiPhoneを近づけると、設定をするためのポップアップウインドウが立ち上がる

 早速音楽を再生してみて、驚いた。初代のHomePodと比べ物にならないぐらい良い音質なのだ。

 初代の音質を説明しておこう。低音重視で、イメージとしてはアメリカの広い家で、ホームパーティの時にクラブミュージックをかけるのにいいような感じ。腹に響くような重低音が楽しめる。反面、繊細なボーカルを楽しんだり、小さなボリュームで聞くと表情に乏しい面があった。

 第2世代は、まったく違うレベルの音質になっている。まず、全体に音がクリア。初代は低音の強さに引きずられて、全体に少しこもったような印象があったが、第2世代は、まったくレベルの違うスッキリしたクリアな音質になっている。5年分の進歩はすごいと感動してしまう。

初代モデルとは比べ物にならないほど音質がいい。単体でも十分に空間オーディオ感があるが、2台でステレオペアを組むとさらに効果的

 楽器の音の分離が良くて、それぞれの楽器がちゃんと別のところから聞こえてくる感じがする。小さな音でもキレイにすっきり聞こえるし、ボーカルにもツヤ感がある。そして、低音は初代HomePodと同じく迫力がある。

Apple TV+の「グレイハウンド」を視聴した。ドルビーアトモス対応し迫力ある低音を含め、テレビ単体のスピーカーとは比べ物にならないほどの迫力を得られる

初代と違って、1台でも十分にステレオ感がある

 また、初代は単体ではステレオ感が少なかったので、2台買ってステレオペアにするのがお勧めだったが、第2世代は単体でもそれなりにステレオ感がある。これなら、必ずしも2台買わなければならないという感じでもない。

 もちろん、2台並べてステレオペアとして設定すると、さらに迫力と広がりのある音が楽しめる。目をつぶるとボーカルが目の前に迫ってきて、背後にベースやドラムがあることが感じられる。ステレオペアで聞いて特徴的なのは、ボーカルやギターなどの中高音がクリアでツヤ感があること。他の音より際立って目の前にある感じがする。これなら、日常的に音楽を聞くのにも、Apple TVと接続して映画を楽しむ時用のスピーカーとして使うにも最高だ。

 先ほども述べたが、初代と違って、1台でも十分に使い物になる。しかし、ステレオ感、空間オーディオ感を重視するなら、2台買って空間オーディオを構成したい。ライバルとなるウーファー別体式のオーディオ性能重視のスマートスピーカーと較べても、8万9600円の価値は十分にあると思う。

スマート家電のハブにもなる

 また、筆者の家にはそれほどスマート家電があるわけではないから活用はできないが、スマート家電の音声コントローラーとしての機能も充実してきている。「Hey Siri」と声をかけエアコンをつけたり、照明を点灯することもできる。

HomePod(第2世代)と、HomePod miniには、温度と湿度のセンサーが内蔵されている。スマート家電のハブとして活用するための機能だ

 新たに温度計と湿度計が装備されたのも(HomePod miniにもセンサーが搭載されており、HomePod 16.3ソフトウェアアップデートで利用できるようになった)スマート家電のハブとして活用するためだ。これで、「気温が25度以上になったらブラインドを閉める……」というような設定も可能になる。

 飛躍的に音質の向上したHomePodは、すべてのiPhone、iPad、Macをお持ちにの方にお勧めできるスマートスピーカーになった。

 

筆者紹介――村上タクタ  趣味の雑誌を30年間に600冊ほど作ってきた編集者・ライター。バイク雑誌「ライダースクラブ」で仕事を始め、ラジコン飛行機雑誌「RCエアワールド」、海水魚とサンゴ飼育の雑誌「コーラルフィッシュ」、デジタルガジェットの本「flick!」の編集長を約10年務めた後退職。現在フリーランスの編集者・ライターであり、ウェブメディアThunderVoltの編集長。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー、mmhmmヒーロー。iPhone、iPadなどのデジタルガジェットや、バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。

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