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値ごろ感が出始めた「ポメラ DM250」を衝動買い

ASCII.jp / 2023年2月11日 12時0分

ネット上では最新のポメラ DM250が早くも3万円台で見かけるようになったのでそこまで安くはなかったが、ヨドバシカメラのポイント利用で衝動買いしてしまった

 2022年の夏(7月29日)に6万280円で発売されたキングジム「ポメラ DM250」が、年が明けからいくつかの販売店で4万円を切った30%以上のディスカウント価格で販売されているのを見かけた。そこまで安くはなかったが、ヨドバシカメラの店頭で4万5630円で衝動買いした。ポイント付加が4563円なので実質的には4万1067円、ポイントを数千円近く持っていたので大きな気持ちになって衝動買いした。しかし、最近はまたなぜか5万1780円まで価格が上がっている。どうもこの手の価格変動にはついていけない。

3世代を通じて外形サイズがほぼ同じため 最新モデルも初代モデルのケースを利用可能

 家に持ち帰ってDM250をパッケージから取り出して見てみた第一印象は、「99%はDM200と同じ」印象。しばらく使ってみて筆者が気づいたのは、電源ボタンの位置が大きく左に寄ったことくらいだった。見掛けはほとんど変わっていないほど、実は大きな変化や改善があると考えるのがポメラニアンの思考だが、あいにく親指シフトにも搭載辞書にもあまり関心のない筆者には猫に小判状態だ。

実測重量はDM100(436g)、DM200(576g)、DM250(615g)と重量化の一途となったDM250は筆者のサブモバイル、LIFEBOOKムサシと10gほどしか差がない

 実際に手に持った感じはDM250が一番重く感じたので、早速キッチンばかりで重さを測ってみた。実測値はDM100が436gと圧倒的に軽い。そして先代DM200が576g。今回のDM250が615gと最重量級だった。筆者のサブモバイルPCである富士通LIFEBOOKムサシの実測が626gしかないので、その差はなんとたったの11g。版サイズが大きな分、手に持った感覚はムサシの方が圧倒的に軽く感じる。

筆者のサブモバイル、LIFEBOOKムサシとDM250

 筆者はポメラニアンほどディープな使い方をするわけではなく、文字入力に独自の哲学を持っている訳でもない。単にミーハーで、昔からこのサイズのシンプルなテキスト入力装置が好きなだけだ。

2桁番号のモデルも使っていたが、今も持っている筆者の3桁番号のポメラDM100、DM200、DM250。一番愛着のあるのはDM100だ。3桁番号モデルは類似性が高い。特にDM200とDM250の外観差はマイナーだ

 今までDM100、DM200を経由して第3(2.5)世代にあたるDM250にたどり着いた。そんな筆者から見ると、3世代を通じてもっとも素晴らしいのはその外形サイズがほとんど変化していなことだ。おかげさまで初代のDM100の時に手に入れて、長く気に入っているバンナイズのポメラケースを今も愛用できている。

重量はどんどん増えても、3桁番号モデルになってから外形サイズはほとんど差がないので、初代の時に買った愛用のケースが最新モデルでも使えてうれしい

 今回のDM250は、ネット上の先人ポメラニアン達の評価を見ても、期待通りで素晴らしいという感想が大半だ。そして筆者もそのことに関して、異を唱える気はまったくない。ただ時にはお世話になることのあるアウトライン入力以外は、やはり筆者には豚に真珠状態なのだ。

アプリとしては「アイデア・プロセッサー」と呼ばれていた35年以上昔のMacintosh Plusでも使っていたが、令和時代に標準搭載しているポメラはある面貴重な存在だ
個人的には、シナリオを書く機会は海外でのIT系イベントの寸劇用に今までに2回か3回しかなかったが、標準搭載するポメラ DM250はもはや超ニッチ超専門職向けハードウェアかも

目玉機能は「シナリオモード」 極めてニッチなセグメントに鋭角に切り込んだ

 店頭でDM250のそばに置いてあったパンフレットを見ていちばん戸惑ったのは、DM250の目玉機能が「シナリオモード」だったことだ。実際にシナリオモードを使ってはみたが、単に縦書きのアウトラインモードという印象だった。DM250の販売目標は8000台くらいと聞いた。だとすると、かなりの人数がこのシナリオモードを多用するシナリオライターさん系なのかもしれない。やはり筆者は、確実に対象セグメント外の層のようだ。

 極めてニッチなセグメントに鋭角に切り込んだポメラ DM250というデバイスを、筆者は明らかに勘違いして衝動買いしたイメージだ。DM100、DM200、DM250と世代が変化するたびに、ポメラはよりニッチで専門的なセグメントに目標を変化させてきている。明らかに「どこにでも持ち歩いてその場でテキスト入力ができてパソコンやスマホ、クラウドとのデータ共有を簡単にできる」という考え方とは、少しずつ遊離してきているのがわかってきた。

 過去のDM100、DM200は言うまでもなく、とてもPCやスマホとフレンドリーでクラウドとの相性が良いとは言えないのは確実だった。DM250は新しく刷新した専用アプリ「pomera Link」によって、DM250とスマホ間での直接ファイルの送受信ができるようになり、少なくともスマホとの関係性はかなりスマートになったと理解していた。

 前作のDM200に続いてWi-Fi機能を搭載したDM250は、スマホとのやり取りをメニュー内の「ツール」で実施する。ツールのメニューを開くと中には電子辞書やカレンダー、スタイルの3点を除き、ポメラ DM250の通信機能の活用やテキストデータを外部のデバイスとやり取りするためのメニューがいくつか表示される。

ポメラ DM250の他デバイス連携機能は「ツール」の中に集約されている「QRコード」「アプリ接続」「アップロード」「PCリンク」の4つ

 QRコード、アプリ接続、アップロード、PCリンクの4つの機能がそれらだ。QRコード変換によるテキストデータのスマホへの読み込みは、初期のポメラから採用されていたユニークな機能だ。ポメラ内のテキストファイルをQR化して、スマホにインストールしたアプリで読み込む仕組みだ。世代と共に成長もしており、着想はおもしろいが手続きはユニークで人によっては面倒だ。

新モデルが登場するたびに刷新、機能強化されてきたテキストを複数のQRコード化してスマホに転送する着想は超ユニークで楽しいが、令和の今は疑問に思う人も少なくはない

 そして「QRコード」は今回のDM250でもサポートされている機能だが、スマホ側のアプリとして「pomera Link」を事前導入することが前提だ。今回刷新されたスマホとポメラ DM250とのデータ共有を実現する「アプリ接続」も、pomera Linkをスマホ上で使用することが前提だ。今回、筆者はメインスマホのGalaxy Z Fold4に導入した。

ポメラ DM250では、より刷新されたpomera Linkでスマホとのデータ共有が可能となったはず
ポメラ側で「アプリ接続」を起動すると、スマホ側でWi-Fi接続するよう指示される。画面が表示された「DIRECT-pomeraDM250」とWi-Fi Direct接続。アプリ接続中はポメラ側は使用不可となる

DM250とスマホ間でファイルを送受信する 「アプリ接続」が筆者の想定外で超ショック……

 ポメラ DM250で「アプリ接続」を実行すると、スマホ側でWi-Fi接続設定を求められる。無事ポメラとスマホが「Wi-Fiダイレクト」接続されると、スマホ側のアプリ画面でポメラ内部メモリーに収納されたテキストフィルとスマホ側に収納されたポメラのテキストファイルを切り替えて表示できる。アプリ接続中はポメラ側は一切の操作が不能となり、すべてのファイル操作はスマホ側ですることとなる。残念ながらポメラ内部のSDカードの内容は対象外だ。

 ごく普通のファイルマネージャー的操作を想定していた筆者は、扱えるテキストファイルがポメラ側で作られたファイルに限られることが想定外だった。ほかのパソコンで入力編集してスマホ内部にある任意のテキストファイルも、アプリ接続でポメラ側に送って編集操作ができるものと思っていたが、これがまったくできない。できるのはポメラで作ったテキストファイルと、スマホ上のpomera Linkアプリの中で入力したテキストファイルだけのようだった。これは超ショックだ。

スマホ側アプリ画面にはWi-Fi Direct接続中のDM250内部のファイルと、スマホ側のアプリで扱えるファイルだけが見える

 ポメラで作成したテキストファイルをスマホやパソコン側に転送するには、ツールの「アップロード」機能でも使える。これは以前からあるGmailの機能を利用して、ポメラで作成したテキストファイルをGmailの本文として送る仕組みを利用しているものだ。

 ただしグーグルは2022年5月30日以降、ユーザー名とパスワードだけでGoogleアカウントにログインするサードパーティ製のアプリとデバイスのサポートを中止した。なので、まずはGoogleアカウントにログインして2段階認証のパスワードを発行して「アップロード」機能の中でパスワードとして入力する必要がある。これは一回きりの作業で2度必要はない。

 2段階認証によるパスワードを設定後は、アップロード機能を利用することによってポメラで作成したテキストファイルをGmail本文として自分宛に送れば、テキストファイルのパソコン側への転送問題は解決だ。ふだん超ナチュラルなDropboxやOneDrive、Googleドライブなどを意識せずに使っていると、太古の日本語ワープロの世界に引き戻された様な錯覚に陥る。しかし、ないよりはマシなので文句は言わないでおこう。

なんちゃってGmail機能で、本文としてポメラのファイルをパソコンに送るには「アップロード」機能を利用する。グーグル側の規制が厳しくなったので、初回のみアカウントのセキュリティにアクセスして「アプリパスワード」を振り出してもらう必要がある
ポメラ DM250と外界とのやり取りではGoogleドライブやOneDrive、Dropboxなどのクラウド系でアクセスするのは超ストレスだ。思い切り昭和だが「PCリンク」機能でUSBケーブル接続が努力不要で一番簡単だ。ポメラのスクショも内蔵SDカードに蓄積できる。有線接続ならパソコンからSDカードの読み書きもできる

パソコンとポメラをUSBケーブルで有線接続 「PCリンク」が一番ストレスが少なく確実だった

 そしてさまざまな外部デバイスとの文書共有にトライしてみると、ことポメラに関しては「PCリンク」と名付けられたパソコンとポメラをUSBケーブルで有線接続し、パソコンからポメラをUSBドライブとして見る手段が、一番ストレスが少なく確実な方法だと悟ってしまう。前述のアプリ接続と同じくUSB有線接続の間は、ポメラは一切の操作が不可能となる。ただしパソコン側からは、極めて見慣れたエクスプローラー感覚で、ファイルの移動やコピー削除などが気持ちよいほど簡単にできる。やっぱりWindowsは素晴らしい。

 それほど興味があった訳ではないが、最後に残ったBluetoothキーボードという機能も試してみた。読んで字のごとく、これはポメラをスマホなどのほかのデバイスの外部キーボードとしてBluetooth接続して使用する仕組みだ。今回はGalaxy Z Fold4を使用した。ペアリングはごく一般的で即接続できた。

本末転倒だが、DM250をGalaxy Z Fold4の外付けBluetoothキーボードとして接続して使用するのが、もっとも筆者の考える先進的な使い方だ

 実際に、折りたたみ画面を開いた状態のGalaxy Z Fold4でJota+エディターを起動して、ポメラのキーボードで作業すると極めて快適だ。これなら情報共有のクラウド環境も、最前線のスマホと同じで極めてまともだ。しかし両者の総重量900gは、誰でも即時にウエルカムできる重さではなさそうだ。

筆者のような原稿書きスタイルだとポメラ以外に、記事内で引用する画像のサムネイルをプリントした紙コピーが必要で、それをスマホで代用できるなら使えそうだ。ポメラ+スマホ=パソコンだ

 演出家でも脚本家でもブロガーでもない筆者が、原稿書き用デバイスとしてポメラを本気で活用するなら、事前に原稿内で参照する写真のサムネイルファイルの印刷物を、原稿入力時に並列して見ることができるようにプリントアウトして、ポメラと一緒に持ち歩くことが必要になるだろう。もちろん、スマホでクラウド上に保管した写真ファイルを表示しながらでも大丈夫だ。

 ポメラDM100、DM200、DM250とずっとポメラを買い続けてきたが、ことクラウド対応に関してはことごとくその期待を裏切られてきた。しかし、どうもこれは期待する方が間違っているようだ。元々ポメラはその世界を期待する人とは異なる、レガシーでクローズなユーザー層をターゲットにしているらしい。やっと今ごろになって、筆者にもそのことが理解できるようになってきた。

きちんとしたカナ漢字変換さえ搭載してくれれば、世界でもっとも欲しいFreewrite Travelerテキスト専念SNS邪念排除型モデル

 とは言え、今回のポメラの型番がDM250なんていう中途半端な番号ゆえ、筆者の期待は次期DM300にすでに向けられている。その時は仕組みはおもしろいが、Gmailのコバンザメアップロードやポメラの閉じた世界だけを対象とした「アプリ接続」のようなファイル共有・交換ではなく、Freewrite Travelerのようなナチュラルなクラウド対応を期待したい。8000台より減りそうなDM300では期待薄だが、それでも期待したい。

やっぱりDM300では、しごくまともなクラウド対応を期待したい。販売目標がDM250と同じ8000台では望み薄だが……

 さて、そろそろこの原稿をアップロード機能を使いGmail本文としてパソコンに送って、最後の仕上げをして入稿しよう。でもやっぱり「クラウドでとびてえな〜」と思って、ポメラ DM250の裏側におまじないのステッカーを貼り付けた。

 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:キングジム「ポメラ DM250」 ・購入:ヨドバシカメラ マルチメディア上野 ・価格:4万5630円

T教授

 日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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