楽天モバイル「Rakuten UN-LIMIT VII」を固定回線で使うのはどうなのか
ASCII.jp / 2023年2月12日 12時0分
楽天モバイルから、自宅で固定回線的に使うホームルーターの新サービス「Rakuten Turbo」が登場した。しかし、Rakuten Turboの月額料金が最初の3年が3685円(4年目以降は4840円)で、端末代金も別途必要なのに対し、通常の「Rakuten UN-LIMIT VII」はどれだけ使っても3278円と安価。
実際、登場当初から固定回線代わりに使うという人は少なくなかった。そこで、筆者が昨年11月下旬から年末にかけて約1ヵ月実践してみた状況について紹介したい。
Rakuten UN-LIMIT VIIは固定回線として、ほぼ問題なく使える
最初に結論から言えば、「Rakuten UN-LIMIT VII」を固定回線として使うことはでき、光回線と比べて、大きな違いなく使える部分もあった。
参考までに言えば、今回比較した光回線が「楽天ひかり」だったこともあってか、速度や混雑の傾向がRakuten UN-LIMIT VIIとあまり変わらない印象があった。光回線でも混雑のせいか、夕方は速度低下が起きており、いつでも爆速というわけではなかった。
速度についても測定サイトの数値と実際の使い心地はリンクしないのは常なので、困ることはあまりなかった。モバイル回線で気になったのは、Googleマップをスクロールした際の地図表示が遅いこと。特に航空写真での差が目立って遅く感じた。ただし、これはPCのウェブブラウザーから表示した場合で、スマートフォンのGoogleマップアプリからだと差はわからなかった。
あとはやはり大容量データのダウンロードで、測定サイトの数字そのままの差を感じてしまうくらいだが、個人的にはクラウドストレージをメインに使っておらず、この期間にWindowsのメジャーバージョンアップや新規マシンのクリーンインストールをすることもなかったので特に不満は感じなかった。
通信量については1日に10GBを少し超える日がときどきある、という程度で推移していたが、後述するが途中まで速度制限もなく、ほぼ快適に利用できた。以前は1日10GB制限があったようだが、すでに撤廃されているということでそこは安心していた。
つまり、多少の制約を感じながらも、月3278円の固定回線は「使える」という認識だったのだ。
しかし、200GBを超えたあたりから様子が変わってきた
ところが、問題は12月下旬になるころから発生した。ちょうど月間通信量が200GBを超えたあたりで突然、通信断が発生したのだ。速度制限でなく、流れない状態となったのだ。
使っていたルーターは「NCP-HG100/Cellularモデル」。これはソニーのスマートホームサービスなどで提供されるLTE通信機能付きの多機能ルーターで、楽天モバイルの周波数帯であるバンド3のLTEにも対応している。ネットオークションや中古店で出回っており、今回使ったものは未使用に近いものを専用カメラとセットで2000円で購入した。
念のため再起動すると何事もなかったかようの接続してデータが流れてくる。しかし、数時間するとまた切断される。
そこで、ルーターの故障を疑い、今度はLTEのバンド3に対応したUQ mobileの「Speed Wi-Fi HOME 5G L12」にSIMを差し替えてみた。こちらも設定して接続して、しばらくは問題なく通信できたが、数時間すると接続が切れてしまう。本体ステータスではLTEの電波強度も十分で、通信断となっている状態でも特に問題を示すようなことはなかったものの、どうしても通信が途絶えてしまうのだ。
Speed Wi-Fi HOME 5G L12も再起動をすれば問題なくデータ通信を再開することができるが、基本的な症状はNCP-HG100/Cellularモデルと同じ、安心して通信できない状態となっていた。
念のため、2台とも故障という可能性を潰すためにmineoや、ほかのSIMで使ってみたが、長時間安定して通信ができたので、ルーターの故障ではないようだ。
結局、20日程度でRakuten UN-LIMIT VIIの固定利用は終了
200GBオーバーという通信量が多かったのかもしれず、また動作保証のない他サービス用の据置型ルーター2台という状況なので、このような状況になっても文句は言えないが、通信制限がされた可能性は考えられる。残念ながらそこでRakuten UN-LIMIT VIIの固定回線的な利用は取りやめた。
楽天モバイルの説明でも、Rakuten UN-LIMIT VIIが「無制限」の注釈に「データ無制限は楽天基地局接続時となります。公平なサービス提供のため速度制御をする場合があります」(https://network.mobile.rakuten.co.jp/guide/area-speed/)と記されている。今回の場合は速度制限でなくて接続断なので少し違うとは思うが、制限のうちだと思われる。
そして、月をまたいで1月になって試してみたが、接続断なしに連続して通信ができたことから、やはり12月の接続不安定は使いすぎの速度制限の可能性が高い。
Rakuten UN-LIMITの速度制限の詳細な条件について公開していないので、実際に筆者のようになるとは限らず、あくまで“こういうこともあった”という事例にすぎないが、もう少しデータ容量が少なければ大丈夫だった可能性は高いものの、モバイルらしくない使い方にはなんらかの制限はありそうだ。
「Rakuten Turbo」と区別をつけている可能性
制限を受けたことが考えられる理由のひとつは、新たに登場した固定回線用としての「Rakuten Turbo」との関係だ。楽天モバイルでも無制限の通信ができるのなら、動作保証のある据置型ルーターが有料で提供される以外に、Rakuten Turboの意味がないからだ。
であれば、Rakuten UN-LIMIT VIIとRakuten Turboではなんらかの区別が必要と言える。データ通信容量もそうで、利用場所や実際のパケット通信の傾向から固定回線としての利用がされているようなら、区別がされたとしても不思議ではない。
キャッシュバックや加入特典なども含めて 固定回線のコストは考えるのが良さそう
Rakuten UN-LIMIT VIIは使い放題の固定回線として使う場合、必ずしも驚くほど安いわけではない。
たとえば、他社のモバイル回線を使った接続サービスは月5000円前後で楽天モバイルよりも高いが、加入時のキャッシュバックや特典、同時利用するスマートフォン回線の割引などを考慮すれば、2年間の総コストはRakuten UN-LIMIT VIIよりもオトクになることも多いからだ。さらに、条件次第では光ファイバーのほうが出費が下回るケースも考えられる。
楽天モバイルを使い倒して制限(?)を受けてしまった筆者が言うのものなんだが、やはり、常識の範囲内で使うことが重要かもしれない。安心して使える格安な固定回線が必要ならば、代理店やキャンペーンごとに異なる加入特典などを考慮し、トータルで安くなる方法を考えるのが良さそうだ。
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