1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

触感を共有する技術も! ドコモが「docomo Open House'23」で新時代に向けた技術を公開

ASCII.jp / 2023年2月13日 10時0分

 ドコモが2023年2月2日~3日に、ドコモの研究開発や最新技術を紹介する「docomo Open House'23」を開催した。同イベントに出展された技術の概要は、2月28日まで公開されている特設サイトで見ることもできる(ドコモ特設サイト)。

 筆者は2月1日に報道向けに実施されたプレスデーに参加し、主要な展示をリアルで取材することができた。ここでは注目すべき最新技術を中心にレポートする。

リアルな触覚を伝送する「FEEL TECH」

 まずは、ドコモが慶應義塾大学、名古屋工業大学と一緒に開発した「FEEL TECH」。触覚を信号化して伝送し、それを再生できるというもの。ドコモはすでに人間の感覚をネットワークで拡張する「人間拡張基盤」を開発しているが、受け手の感じ方に合わせて触覚の共有する技術は世界初とのこと。

奥にある手の模型に付いた装置などで触覚をデータ化して伝送。それを手前のデバイスで受信する仕組み

 会場では実際にデモを体験することができた。まず、球体の触覚デバイスを持って、自分の触覚の感度を測定。球体は2つに分割でき、それぞれを軽く握るように持つ。映像に合わせて動作をすると、実際に映像に映るものに触れているかのような手応えが感じられる仕組みだ。

まずはデバイスを手にして、自分の感じ方を測定する
デバイスの中には振動体が入っている
映像と同じように動かすと、実際に石を叩いているような手応えを感じられた
さまざまな触感を疑似体験できた。手に伝わるのは振動のみだが、映像を見ることで錯覚を起こすようにも感じた

 今回のデバイスは、手のひらだけで感じる仕組みだったが、グローブ型のデバイスで、指先で感じるようにすることもできるとのこと。将来的には、医療や伝統工芸など、感覚を重視する技術での応用、エンターテイメント分野での新しい表現としての利用などが期待される。

1万人が同時に接続できる メタコミュニケーションサービス「MetaMe」

 ドコモはOpen House'23の開催に合わせて、バーチャル空間で「超多人数接続」や「価値観理解」「行動変容」などが可能になる、コミュニケーション活性化技術を開発したと発表。その技術を用いたサービス「MetaMe(メタミー)」のベータ版を2月中に先行提供する。

「MetaMe」は「Identity World」と「Community World」で構成される
「MetaMe」の特徴は3つ

 「MetaMe」は、自分のアバターを作ってバーチャル世界に入り、ほかのユーザーと交流できるというもの。同様のサービスはすでに多数あるが、1つの空間に同時に1万人(100人×100サーバー)も接続できることや、自分の価値観が伝わりやすい仕掛けなどによってコミュニケーションを活性化できることに優位性があるという。

ユーザーの価値観を表すオーラが表示されたり、ユーザーの気持ちを理解して行動してくれるペットがいたりするので、趣味や興味が合う人を探しやすいことが特徴

 3月には、実証実験の1つとして、約1万人のユーザーが集まるサウナコミュニティ「メタサウナ」の開催を予定。イベントの詳細は未定だが、実際に多くのユーザーが同時に接続し、スムーズにバーチャル空間を移動するデモを見ることもできた。

3月に1万人規模が集まるバーチャルイベントを開催予定
多人数が接続した状態のデモも体験できた。アバターにある色の輪は“価値観オーラ”というもの

断熱と電波品質の改善を両立する「電波の窓」

 ドコモがYKK APと開発を進める“電波の窓”も注目を集めていた。近年、住宅やオフィスの高断熱化に伴い、窓ガラスが多層化し、「Low-E(低反射)」という特殊な金属膜の使用などによって、電波が通りにくくなってきている。

 そこで、高性能の断熱材であり、なおかつ電波を通しやすい性質を持つ「エアロゲル」素材を用いて“電波の窓”を試作。1月30日から実証実験が開始されている。

“電波の窓”の仕組み
会場ではLow-Eガラスとエアロゲルの電波の通り方の違いを見せるデモも行なわれた
エアロゲルは空気に近い誘電率があり、電波を通しやすい
送受信の感度の違いを視覚的に確認できた

 この技術は、現在の5Gの次の「5G Evolution」や「6G」において、住宅やオフィスビルなどで、断熱と電波のつながりやすさを両立させるものとして普及させることをめざしているという。

電波を曲げて下に向ける「透過型メタサーフェス」

 高層ビル街で、建物の近くにいると、電波を受信しにくくなったり、圏外になったりすることがある。5Gのミリ波や、さらなる高速化を目指す「5G Evolution」や「6G」などで用いられる高周波数帯は障害物を回り込みにくい性質があり、より減衰しやすい特徴があるという。

 そこで開発されたのが、建物内に設置した基地局から窓を通して電波を飛ばす技術。窓ガラスに「透過型メタサーフェス」というフィルムを貼ることで、電波を曲げて建物の足元に通信エリアを形成することができるという。すでに昨年10月~11月に実証実験が行なわれている。

透過型メタサーフェスによって、ビルの足元に通信エリアを形成できる

 新たに開発された「透過型メタサーフェス」は、透明化処理が施されていて、景観を損ねないことが利点。屋内側から貼れるので取り付けも簡単だという。

右が今回の実証実験で使用された「透過型メタサーフェス」。模様が薄く、窓からの採光や景観を犠牲にせずに利用できる

室内全体を高周波帯のエリア化ができる 「5Gマルチセクタアンテナ」

 5Gのミリ波など高い周波数の電波は直進性が強く、減衰しやすい特徴を持つ。そのため、全方向に電波を届けるには4つ以上の基地局が必要になる。これを1つの基地局で対応できるようにしたのが「5Gマルチセクタアンテナ屋内基地局装置」だ。

実験に使われた装置
12方向に電波を飛ばせる

 マルチセクタアンテナとは、360度全方向の空間を複数(マルチ)のエリア(セクタ)に分けて、1台のアンテナからそれぞれのエリアに同時かつ独立して電波を送受信するもの。

従来のアンテナを用い電波が届く範囲
マルチセクタアンテナによって室内全体を通信エリアにできる

 今回の5G基地局に実装する装置の開発と実験は、横浜国立大学、ドコモ、日本電業工作、富士通が共同で行なっている。1月27日に実施された実証実験では、回路規模を従来の約1/10に低減し、低消費電力・小型化を実現することに成功したという。

基地局、アンテナともに、かなり小型だ

【まとめ】商用化が近づいている技術も

 今回出展されたのは20の技術。国内手術支援ロボット「hinotori」は遠隔操作と5Gによる高画質映像の伝送で、ガンの治療など、高度な治療にも対応できるとのこと。室内光で発電してモバイルバッテリーに蓄電する技術はシンプルに便利で、商用化も近そうだ。

 ほかにも興味深い展示が多かったので、ぜひ特設サイトをチェックしていただきたい。

ドコモと神戸大学などの共同で開発が進められている国内手術支援ロボット「hinotori」
室内光用の発電パネル。モバイルバッテリーに充電される仕組み

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください