2億画素カメラで夜景もすごい! Galaxy S23 Ultraのグローバル版でカメラを試す!
ASCII.jp / 2023年2月15日 12時0分
アメリカ・サンフランシスコで2月1日(現地時間)に発表されたGalaxy S23 Ultra。そのグローバル版をお借りしたので「2億画素カメラ」や「ナイトグラフィー」など話題の機能をさっそく試した。
フラッグシップならではの超高性能端末
スクエアなボディーのGalaxy S23 Ultraは、クアルコムのカスタムチップセットに2億画素カメラを搭載、スタイラスを内蔵したフルスペックのスマートフォンだ。本体内部の冷却機能も強化されており、ハイエンドゲームのプレイも楽にこなせる。また、写真のみならず動画撮影も得意とする高性能カメラを搭載し、夜間の撮影性能「Nightograpy」も強化された(“Nighto”が正式表記)。そしてスタイラス「Sペン」を使えばビジネスマシンやクリエイティブツールにもなるという「何でもできる」欲張りなスマートフォンだ。
背面デザインはシンプルそのもので、カメラとメーカーロゴ以外に目立つものはない。今回レビューしたモデルのカラーはグリーン。主なスペックはチップセットがクアルコムのSnapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy、ディスプレーは6.8型(3088×1440ドット)のDinamic AMOLED 2Xで、1Hzから120Hzの可変駆動に対応。カメラは2億画素、1200万画素(超広角)、1000万画素(光学3倍望遠)、1000万画素(光学10倍望遠)を搭載。フロントカメラは1200万画素。バッテリーは5000mAh、45Wの急速充電に対応する。
サムスンのスマートフォンはディスプレー側面をカーブさせた「エッジディスプレー」を代々採用してきたが、年々その角のカーブはゆるくなりつつある。ちなみに無印モデル「Galaxy S23」と「Galaxy S23+」はフラットディスプレーを採用している。Galaxy S23 Ultraのエッジディスプレーも湾曲具合はかなり小さくなっており、片手で持った時に手のひらに当たるディスプレー部分の面積も狭い。また、側面のフレームの厚みははこの形状のため従来モデルより広くなっており、本体はより持ちやすくなった。Sペンを使って手書き入力するときなども本体をしっかり保持できる。
Galaxy S23 Ultraが搭載するSnapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for GalaxyはGalaxy S23シリーズ用にカスタム化されたもの。Snapdragon 8 Gen 1との差はCPUが34%、GPUが41%、NPUが49%高速化されている。一般的なSnapdragon 8 Gen 2との差は明らかではないが、高速表示なディスプレー、カメラの高度なAI処理などGalaxy S23 Ultraの特徴的な機能を余裕をもってサポートしているようだ。背面中央には大型のべーパーチャンバーを内蔵しており放熱対策もしっかりされている。
バッテリー性能は前モデル「Galaxy S22 Ultra」と同じ5000mAh、45W充電に対応するが、数日使ってみたところGalaxy S22 Ultraより電池の持ちは長いと体感した。サムスンによるとオーディオ連続再生時間は99時間で22%増、ビデオ連続再生時間は26時間で30%増とのこと。チップセットの性能が上がるとともに、省電力性能もより高まっているようだ。
OSはAndorid 13、ユーザーインターフェースはOne UI 5.1を搭載。今回テストしたグローバルモデルはデュアルnano SIMカード+eSIMに対応。同時に利用可なSIMは2枚まで。eSIMはQRコードからの読み取りのほか、別の端末からの転送にも対応するが、今回はテストしていない。設定項目の中で独自のものはSペン関連の設定で「便利な機能」の中の「Sペン」からペンの抜き差しやボタンを押したときの操作設定ができる。また、メッセンジャー関連アプリは2つのアカウントを利用できるように、1つのアプリを複製するデュアルメッセンジャー機能を搭載する。
ベンチマーク測定はAnTuTuのスコアが1222380と高いスコアを記録した。なお、今回テストしたモデルはメモリー12GB、ストレージ256GB。モデルのバリエーションとしてはメモリー8GB、ストレージが512GB/1TBのモデルもある。
Sペンで自在な手書きやリモコン操作
Galaxy Noteシリーズの特徴だった専用のスタイラス「Sペン」の機能をGalaxy S23 Ultraは引き継いでいる。SペンはBluetoothとバッテリーを内蔵しており、本体に挿入していると自動的に充電される。ただし、Bluetoothを使うのはSペンをカメラのリモートシャッターなどリモコンとして使うときのみで、本体に手書きする際は充電は不要だ。
このSペンはワコムの技術を採用している。Sペンは本体の左下に収納されており、ペン部分を中に押すとばねである程度飛び出し、あとは手で引き抜いて使用する。
SペンはGalaxy Note 20 Ultraなど過去のNoteシリーズや、Galaxy S22 Ultraで使われていたものとサイズはほぼ同等。しかし、本体のサイズは微妙に異なり、別モデルのSペンを本体内に収納することはできないので注意が必要だ。Sペンそのものはほかの機種やワコム対応のものならほぼ使える。海外ではペンメーカーLAMYのSペンなども販売されている。
Sペンを抜くと自動的にSペンで使えるメニュー「エアコマンド」が表示される。ノート(Samsung Notes)作成や、画面をキャプチャーしてすぐに手書きできる「キャプチャ手書き」、ブラウザーなどで意味の分からない英単語上にペンを置くと翻訳してくれる「翻訳」など、Sペンを使うことでGalaxy S23 Ultraがさらに使いやすくなる。
画面ロック中でも、Sペンを抜くとすぐに画面に文字が書ける「画面オフメモ」も便利な機能だ。いちいちロックを解除したり、メモアプリを起動することなくメモが書ける。書いたメモはSamsung Notes(日本モデルではGalaxy Notes)に保存される。これらの機能はGalaxy Noteシリーズのユーザーならおなじみのものだ。
ほかにもSamsung Notesでは、日本語を含む手書き文字のテキスト化にも対応。年々精度を高めているようで、日本語でかなり乱雑に書いた文字もテキストにしてくれる。今回はイラスト描きは試していないが、4096段階の筆圧に対応しており、本格的なスケッチを描くことが可能だ。
Galaxy初の2億画素カメラを採用 SUPER RAWモードを搭載
Galaxy S23 Ultraの最大の特徴は、2億画素のカメラをGalaxyシリーズで初めて搭載したことだろう。Galaxy S23 Ultra発売時でも他社も含め2億画素カメラ搭載モデルはまだ数機種しかない。これだけのカメラを搭載しながらカメラ部分に「200MP」といった表記が一切ないのは、高性能なカメラを意識なく使ってもらおうというサムスンのメッセージが感じられる部分だ。
カメラのUIはGalaxyシリーズでおなじみのもの。標準では「ポートレート」「写真」「動画」「その他」と4つのモードが並ぶ。写真モードでは画面上部に「設定」「フラッシュ」「タイマー」「解像度」「モーションフォト」「フィルター」のアイコンが並ぶ。解像度から2億画素「200MP」と5000万画素「50MP」をワンタッチで切替できる。望遠は画面下部の倍率ボタンを長押しすると、細かい倍率と100倍までが表示される。もちろん倍率はリニアに0.1倍単位で細かく調整できる。
動画モードでは画面上部に手ぶれ補正ON/OFFアイコンが追加される。動画の解像度はHD 30fpsから8K 30fpsまで対応。Galaxy S22 Ultraでは8K 24fpsが最大だったので、動画性能も高まっている。
その他のモードにはプロ(写真)、プロ動画、ナイト、食事などのほか、ショートムービー撮影にも適したシングルテイク、前後カメラを同時に使うディレクターズビューなどが含まれる。RAW撮影はプロモードからできるが、EXPERT RAWモードを標準搭載したことでRAWファイルの扱いが簡単になった。カメラ全体の設定には最近の中国メーカースマートフォンにならい「透かし」のオンオフもできるようになっている。
その他のモードの中で特筆すべきは「EXPERT RAW」モードの標準搭載だ。EXPERT RAWモードでは1200万画素または5000万画素でRAW+JPEGの撮影が可能。撮影後にプレビューを開くと画面左下にAdobeのLightroomのアイコンが現れる。これをタップするとLightroomが起動し、撮影したRAW画像をアップロード(あらかじめLightroomのインストールとアドビアカウントでのログインが必要)できるのだ。そして、そのままLightroomからRAW編集ができる。RAW画像の利用をより手軽なものにしてくれる機能と言えるだろう。
以下はGalaxy S23 Ultraのカメラでの作例だ。標準は1200万画素で撮影される。2億画素のセンサー上の画素16個(4×4)を1画素にするピクセルビニングを行ない、より明るく鮮明な画像を撮影できる。明るい風景などは2億画素にして撮影すればより鮮明に、かつ写真の一部を切り抜いても高画質な画像が得られる。
以下は街中で撮影したものだ。
強力な夜間撮影性能
Galaxy S23 UltraのカメラはNightograpy=夜間撮影が強化されている。前モデルのGalaxy S22 UltraとGalaxy S23 Ultraを比較すると、2億画素以外の性能は変わっていないように見えるが、チップセットのISP性能とAI処理能力が高まったことで、Galaxy S23 Ultraのナイトモード撮影性能はさらに高まっているのだ。
まずはGalaxy S23 Ultraでのナイトモードのオンとオフを比較しよう。ナイトモードオフの写真はこれでもだいぶ明るく見えるが、実際の風景はもっと暗い。暗い場所でもある程度明るく写してくれるのが最近のスマートフォンのカメラ性能だ。
ナイトモードをオンにすると全体が明るくなり、より「映える」絵になる。もちろん暗い写真のほうを好むケースもあるだろうから、この辺りはシーンに応じて様々な撮影を楽しめばいいだろう。
実は前モデルのGalaxy S22 Ultraからナイトモードは強化されている。それではGalaxy S22 UltraとGalaxy S23 Ultraのナイトモードはどれくらいの違いがあるのだろうか? 両者同じ場所で撮影してみると、Galaxy S22 Ultraのほうが夜空がやや明るく写っているようにも見える。しかし、木や草を見るとGalaxy S23 Ultraのほうがしっかりと緑色が表現されている。両者を比べるとGalaxy S22 Ultraのほうが力技で明るくしている、という印象を受ける。2億画素をピクセルビニングするGalaxy S23 Ultraのほうが夜間撮影性能が高いことがわかるだろう。
さらにGalaxy S23 Ultraはフロントカメラでのナイトモード性能も高まっている。こちらもGalaxy S22 Ultraと比べてみよう。真ん中がGalaxy S23 Ultraのフロントカメラのナイトモードで、実際は左の写真のように真っ暗な場所でも自然な色合いで撮影されている。一方、右のGalaxy S22 Ultraのナイトモードは全体を明るく補正しているがやや不自然だ。フラッシュを使ったように見えるがどの写真もフラッシュなしでの撮影だ。
最後にちょっと面白い機能を紹介しよう。EXPERT RAWモードでは星空撮影ができる補助機能がある。EXPERT RAWモードを起動し、画面上の右から2番目のアイコン(星座を模しているようだ)をタップ。すると天体写真メニューが表示されるので「スカイガイド」を選ぶと、その方向に見える星座を画面上に表してくれるのだ。あとはシャッター時間を4分または10分から選べば長時間露光で星・星座を撮影できる。
そして撮影後のRAW画像をLightroomで美しく加工できるというわけだ。三脚利用は必須だが、星を手軽に撮影できるスマートフォンはなかなかないだろう。
【まとめ】カメラ性能を底上げしたGalaxy S23 Ultraは 早くも2023年のベスト端末か
昨年発売されたGalaxy S22 UltraはSペンを内蔵しナイトグラフィーを強化するなど、スマートフォンとしてほぼ完成形といえる製品だった。しかし、Galaxy S23 Ultraでは2億画素カメラを搭載することで、その夜景撮影性能を向上させ、もちろん晴天下でも美しい写真を撮影できる。またLightroomとの連携や8K 30fp動画を撮影できるなど、カメラの使い勝手がさらに高まった。
大型サイズながら持ちやすくなったボディー形状の変更など、細かい改良点も見逃せない。2023年はまだ始まったばかりだが、Galaxy S23 Ultraはこれから出てくる新製品を気にすることなく、数年満足できる製品に仕上がっている。
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