AndroidアプリがWindowsで動く、「Windows Subsystem for Android」は今どうなってる?
ASCII.jp / 2023年2月19日 10時0分
Windows 11でAndroidアプリを動かすWindows Subsystem for Android(以下、WSA)は、昨年8月に日本国内でもプレビューが開始された。その後、10月に配布されたVer.2209.40000.26.0で、Ver.1.0のレベルに到達したことがTwitterで告知されている。
以下の表は、WSAのこれまでの経過とバージョンを示したものだ。
現在は、Windows Insider Programのプレビュー版Windows 11(以下、インサイダープレビュー版Windows)では、2月9日に配布されたWSA Ver.2301.40000.4.0にアップデートできるが、通常版のWindows 11 Ver.22H2では、WSA Ver.2211.40000.11.0までとなる。つまり現状で、WSA Ver.2301.40000.4.0はプレビュー版、WSA Ver.2211.40000.11.0が安定版と考えられる。
なお、現在配布中のバージョンでは、WSA Ver.2209.40000.26.0以前にあったCPUの制限が取り払われており、Atom系CPUにもインストールが可能になっている。現在の動作条件としては、Windows 11の動作条件に加え、
メモリ:最小8GB、16GB推奨 CPU:x64またはARM64 仮想マシン:仮想マシンプラットフォームが有効化されていること ストレージ:ソリッドステートドライブ、SSDを推奨
となっており、特にCPUなどに制限はないようだ。少なくともWindows 11の動作条件を満たしているCPUで、仮想マシンプラットフォームが起動できないCPUは存在しないはずである。
なお、WSAではWindows Insider Programとは別にプレビュープログラムが実施されており、メールアドレスを登録することで参加できる。ただし、プレビュー版はMicrosoftストア経由で配布されているため、Microsoftストアに登録したメールアドレス(通常はMicrosoftアカウント)を登録する必要がある。
今のところほぼ毎月のようにWSAのアップデートが公開されている。今後実装が予定されている機能としては、「ファイル転送」(現在はADB経由)、「ショートカット」、「P-in-P」(別ウィンドウに動画を再生)、「ローカルネットワークアクセス」などがある。
Amazonのアプリストアからアプリをインストールする
WSAでアプリのインストールする場所として用いられているのが、「Amazonアプリストア」だ。Amazonのアカウントは国ごとに独立している。このため、Amazon.comとAmazon.co.jpは別アカウントだが、同じアドレスを使うことができる。このあたりはGmailアカウントと異なる部分だ。
Amazonの通常利用では、Amazon.comかAmazon.co.jpかどちらのURLでページを開くかでアカウントが切り替わる。WSAのアプリストアでは、Windowsの言語が「日本語」の場合、Amazon.co.jpへのログインとなり、「英語(米国)」/「English(United States)」の場合には、Amazon.comへのログインとなる。アプリストアもAmazon.co.jpとAmazon.comでは異なり、表示されるアプリも違ってくる。
ただし、Amazon.comでアプリストアに一度ログインしたら、Windowsの表示言語を日本語に戻してもプレイストアのログイン先は、米国アカウントのままになる。また、Windowsの設定にある「国または地域」(「設定」→「時刻と言語」→「言語と地域」→「地域」の設定とも関係ない。また、アプリストアで新規に米国アカウントを作ることもできる。
米国Amazon.comのAndroidアプリには、日本では見かけないようなものも多数ある。なかには、アプリ内の言語切り替えで日本語を表示可能なものものある。ちょっとした息抜きに試してみるのもいいかもしれない。
WSAとファイル転送
WSA側からファイルを転送するには、「Android用Windowsサブシステム設定」のシステムにある「ファイル」を開き、該当のファイルを表示させてクリックすれば、ファイルが自動的に自分のダウンロードフォルダにコピーされる。左側にある「Subsystem for……」を選択すると、画像や音楽用のディレクトリがある「/sdcard」以下を見ることができる。
しかし、Windows側からファイルを転送するには、Android SDKに含まれる「Platform-Tools」を使う必要がある。この中にあるADB(Android Debug Bridge、adb.exe)を使って、WSAと接続する。ただし、事前に開発者モードを有効にしておく必要がある。それには「Android用Windowsサブシステム設定」の「開発者」にある「開発者モード」をオンにする。
Platform-Toolsは、以下のURLから入手できる。
●SDK Platform-Tools リリースノート https://developer.android.com/studio/releases/platform-tools?hl=ja
adb.exeが動作するようになったら、pushサブコマンドでファイルをAndroid側に転送できる。このコマンドは、ちょっとクセが強く、ワイルドカードはサポートしていないが、フォルダーをまとめて転送できる。コマンドとしては、以下の書式になる。
adb.exe push <Win32側パス> <Android側パス>
このとき、<Win32側パス>にフォルダーを指定すると、<Android側パス>の下にサブフォルダーとして転送される。転送先がフォルダーになってしまうのがちょっと面倒だ。<Win32側パス>にファイルを指定することもできるがワイルドカードは使えない。
このpushサブコマンドでは、ローカルのパス区切りは「\」だが、Android側のパス区切りは「/」になる点に注意してほしい。Android側はLinuxなので、ファイル名の大文字小文字が区別される点にも気を付けたい。
PowerShellなら、以下のコマンドを使うことでカレントディレクトリにあるMP3ファイル(拡張子がmp3のファイル)をすべてAndroidの“/sdcard/Music”に転送できる。
adb.exe connect 127.0.0.1:58526 Get-ChildItem *.mp3 | %{ adb.exe push $_.FullName /sdcard/Mu
音楽ファイルを試しに転送し、アプリストアから「音楽プレーヤー」を適当に入れてみたが、一応、再生は可能だった。もっとも、そんな使い方が有効とは思えないが……。
WSAも通常版Windowsで実行できるようになり、CPU制限もなくなったようである。Androidアプリを実用的には使えるというレベルには達している。ただ、ときどき反応がなくなり、設定アプリなどが起動しなくなることがある(Windowsの再起動で復活はする)。感覚的には数年前のAndroidスマホという感じで、品質はもう一歩といったところか。とはいえ、多くのアプリがWindows上にもあるので、WSAに高い信頼性を必要とする場面はそうそうないと思われる。
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