高尾山再び!Ryzen 6800U搭載の「GPD WIN Max2」を遊んでみた
ASCII.jp / 2023年2月25日 11時0分
コンパクトかつゲーム用途に長けたUMPC「GPDシリーズ」を精力的に世に送り出しているメーカー、「天空」。今回はGPDシリーズの「GPD WIN Max2」をお借りすることができたので使用感や性能をレポートしようと思う。
GPD WIN Max2は、AMD「Ryzen 6000シリーズ」の上位モデルAMD「Ryzen 6800U(8コア/16スレッド)を搭載したUMPCで、ディスプレー直下にゲーム用途としてフル活用できるアナログスティックやABXYといった、お馴染みのゲームパッドが配置されている。
また、画面サイズは10.1型でIPSパネルを採用。最大解像度は1920×1200ドットで、タッチ操作に対応しているので画面を触って各種操作ができる。
そして、ゲームパッド部の手前には英語配列のキーボードが配置されているため、普通にスペックの高いノートPCとしても活用することが可能だ。
メモリーは32GB(LPDDR5-6400)を搭載し、ストレージはCドライブが300GB、Dドライブが2TBといった具合で、UMPCとして見ればかなりハイスペックだと言っていいだろう。というか、ややオーバーパワー気味で熱暴走などが生じないか気になってしまうぐらいだ。
ちなみに、本機はWi-Fi 6やBluetooth 5.2といった通信規格にも対応しているのだが、別売りの4G LTEモジュールを背面に取り付けることで場所を選ばず通信ができるようになる。移動中などにクラウド上にあるデータを調整したりといったことが手軽にできると考えれば、やはりビジネス用途にも十分耐えうる製品だと言っていいだろう。
GPD WIN Max2の外観をじっくり見てみよう
GPD WIN Max2の基調色はツヤのないアイアンブラックで見た目はかなりシック。本体サイズは約227(W)× 160(D)×23(H)mmと、A5サイズより少し大きい程度なのでバッグや鞄にも収めやすいだろう。
ディスプレーを展開するとゲームパッド、タッチパッド、キーボードが配置された盤面が現れる。
ゲームパッド部はXinputに準拠しており、ゲームを遊ぶときのコントローラーとして活用できる。ちなみに十字ボタンとタッチパッドの間にあるスイッチを切り替えることで、ゲームパッドではなくマウスの代替としてカーソルを操作することも可能だ。
アナログスティックは耐久性を考慮しているためか、少し固めとなっている。気になるドリフト問題だが、ホールロッカーを採用することで摩耗によるドリフト現象はほぼないとのこと。
ボタンの押し具合はXboxやPlayStationのコントローラーより僅かに固くクリッキーな感触だ。ABXYといったボタンのサイズはNintendo Switchのものより若干小さいため若干操作がおぼつかないが、慣れてしまえば問題なく扱えるだろう。
ちなみにゲームパッド部分にはダストカバーを取り付けることが可能だ。ゲームをしないときはこのカバーを装着することでホコリから守ることができる……のだが、外出時にゲームパッド部が見えているのが恥ずかしいという繊細な人にはありがたいカモフラージュとなるだろう。
ディスプレー下部には、最大解像度1612×1212ドットに対応したウェブカメラが内蔵されている。なので、オンラインミーティングなどに本機を使うことも可能だ。ただ、カメラの角度はディスプレーの角度に依存してしまうので扱いやすさはやや微妙。まぁあるだけでもありがたいのだが。
ゲームパッド部に挟まれるような形で配置されているのがタッチパッドだ。このタッチパッドはゲームパッドをマウスモード、ゲームパッドモードのどちらにしても利用することができる。併用することはあまりないと思うが豆知識ということで。
その手前側にはコンパクトなキーボードがある。こちらはテンキーレスのコンパクト設計で、内蔵されているLEDの調光が2段階でできる。入力時の感触はしっかりとした抵抗を感じられ、安物にありがちなペコペコした感じは一切ない。
続いて左側面を見てみよう。こちらにはSDカードとmicroSDカードを挿入するためのスロットが1つずつ配置、さらにBIOSをリセットするための穴とスピーカーがある。SDカード関連のスロットが2つというのに最初は疑問に思ったのだが、アダプター不要でどちらのカードも使用できると考えれば十分なメリットなのかもしれない。
手前側は指紋認証にも対応した電源ボタンとスピーカーが配置されている。指紋認証に対応なんて若干仰々しい感じはあるのだが、パスワードやPINコードをいちいち入力しなくて済むのは面倒くさがりな筆者にとってありがたく感じた。
右側面も見てみよう。こちらはUSB 3.2 Type-Aポートが2つ配置されていた。手持ちのUSBストレージやマウスなどを接続するときに重宝するだろう。
続いて後部。左から3.5mmイヤホンジャック、USB 3.2 Type-Aポート、HDMI 2.1、Thunderbolt 4(USB 4)とUSB 3.2 Type-Cといった感じで配置されている。これらのポートの真下にはゲームパッド部の保護と隠蔽を目的としたダストカバーが2枚収納されている。普段はダストカバーをしておき、ゲームを遊ぶ際にはここに収めておくというのがベターだろう。
そして、両端にはL1、L2、R1。R2といったボタンが並んでいる。L1とL2は普通の押しボタンタイプで、L2とR2はトリガータイプということでFPSやTPSといった3Dシューターはもちろん、レーシングゲームも楽しむことができる。
なお、LRボタンの硬さはほかのボタンと比べると柔らかめなので、最初は押している感覚が掴みにくいので使いながら慣れる必要がある。
底面部は、ショートカット用の背面ボタンと給気口、M.2スロットと4G LETスロットが配置されている。背面ボタンは付属ソフトを使うことでどのボタンかキーとして利用するかの割り当てが可能。一応簡単なマクロも組めるようだが、ゲームによってはマクロを禁止しているケースもあるので、単一ボタンの割り当て程度にとどめておくべきだろう。
Ryzen 7 6800Uのパフォーマンスはいかに?
ここからはGPD WIN Max2に搭載されているRyzen 7 6800Uの性能を確認するため、いくつかのベンチマークを行なった。
今回のテストで使用したゲームタイトルは、『Apex Legends』と『ストリートファイターV チャンピオンエディション』、『ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク』、『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク』。加えて、ゲーム用ベンチマークソフトの「3DMark(Version 2.25.8056)」と、PCの総合スコアを測る「PCMark 10(Version 2.1.2574)」も使った。
さて、ベンチマークについて紹介する前に書かなければならない事項がある。それは、本機を使用してゲームを遊んでいると割と頻繁に発生するクラッシュについてだ。
内蔵GPUを酷使しているとクラッシュしてブラックスクリーンになり、電源ボタンを押してマシンを再起動するしかない状況に陥りやすい模様だ。ゲームによっては描画設定を下げることで回避できることもあるのだが、タイトルによっては解像度を下げてグラフィック周りを低負荷状態にしてもクラッシュすることがある。
電源をはじめとして様々な設定を見直したりしたのだが、原因は判明せず。ベンチマークソフトは回るのにゲームが止まるという謎の現象に悩まされたことは付け加えておきたい。
まずは、ベンチマーク計測ソフトの定番である3DMark(Version 2.25.8056)で計測。Fire StrikeとTime Spyはまずまずの結果。Night Raidでも計測をしようとしたのだが、こちらはクラッシュしてしまった……。一応ポテンシャル的には十分にゲームが遊べるレベルなのは確かなのだが……。う~ん、個体差か。
続いてベンチマーク計測を行なったのが、Apex Legendsだ。こちらは標準解像度である1920×1200ドットでグラフィック設定を最低レベルに引き下げてもブラックスクリーンになるのは変わらず。なので、解像度を1280×720ドットまで下げてみたものの、こちらは1分ほどでブラックスクリーンになってしまい計測ができなかった。
ただ、こちらについてはGPDの公式YouTubeチャンネルにGPD WIN Max2で動作している様子が掲載されている。そちらを見る限り、フルHD解像度かつ中程度の画質に設定すればディスプレーリフレッシュレートの上限である60fps前後をキープして遊べる模様だ。
ゲームパッド搭載機ということで、格闘ゲームのストリートファイターV チャンピオンエディションだ。こちらは最大解像度の1920×1200ドットかつ最高画質に設定したままだと上述したブラックスクリーンに陥るのだが、画質を低く下げることで安定して遊ぶことが可能だ。こちらも基本的に60fpsでの動作なのだが、エフェクトが重なったタイミング(技の演出中など)でやや下がるケースが見られた。
ゲームパッド部との相性も悪くなく、リュウのケツ蹴りアッパー昇龍拳や波動拳キャンセル真空波動といった基本的なコンボは問題なく出せた。
出先で有名プレイヤーの対戦模様をリプレイで観戦できるのもあり、カジュアルゲーマーだけでなくプロゲーマーが試合前に相手のプレイをチェックするのにも良いかもしれない。
続いて、ベンチマーク計測ソフトの定番であるファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレとFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでも計測してみた。
FFXIVのベンチマークはノート向けの設定と最高品質でも無事計測を終えることに成功。高望みの設定でなければ問題なく遊べるだろう。
FFXVはどうかというと軽量品質と標準品質で計測に成功。快適とは言えないが遊ぶことは可能といったところだろうか。
最後はゲーム用途ではなく、画像作成やオンラインミーティングなどでどれくらい快適に本機を扱えるか確認できる「PCMark 10(Version 2.1.2574)」でもテストした。
「Productivity」と「Digital Content Creation」は全世代のRyzen7 5800Uよりも着実にパワーアップ。「Productivity」は伸びなかったが、これだけのパフォーマンスを発揮するのであればゲーム用途以外でもしっかり役立つはずだ。
やっぱり外に持ち出してこそ意味がある!
ゲームが遊べるUMPCということで、外に持ち出さないとその恩恵は受けられないはずだと筆者が勝手に解釈したわけで、さっそくカバンにGPD WIN Max2を詰め込み電車で移動。
そう、目指すは高尾山のリベンジだ。
前回訪れたときは梅雨時で、雨が降ったり降らなかったりという微妙な天気なうえに、湿度が非常に高く体からエネルギーが溶け出すような悪条件だった。今回は気温こそやや低めであるが、まずまずな晴れ模様が広がっているので期待ができそうだ。う~ん、ワイルドゲーミングといった感じだ。
GPD WIN Max 2は本体重量が約1kgほどで、ほかのゲームがメインとなっているハンドヘルドゲーミングPCと比べると若干重めだ。しかし、この程度の重さであれば登山でも特に負担となることもなく持ち運びが可能。
そのまま20分ほどゲームをしたり休みながら道をひたすら進みつつ、ようやく山頂へと到着……も、ゲームが良いところなので景色を見ている暇なんかない。
「ミシュラン三ツ星の山頂に来てまでコイツは何をやっているんだ……」という冷ややかな目を送ってくる登山客の目にも負けずゲーム! なんか富士山がどうのこうのという会話が聞こえてくるけど、今それどころじゃないんですって!
以上、ゲームもバリバリ遊べるスペックを持ち4G LTEにも対応して場所を選ばず活用できるGPD WIN Max2を見てきた。
今回お借りした本機は、おそらく個体差の問題で負荷がかかると電源が落ちてしまうトラブルが生じていた。だが国内外を含めて情報を集めたところ、筆者のような症例は見つけられなかったので本当に筆者の運がただ悪かっただけなのだろう。
ちなみに海外のRedditなどにはGPD製品用のスレッドが存在しており、そこでマシントラブルについて問い合わせるとスタッフが対応してくれたり、Discordのサーバーでユーザーと直接やり取りをするなど手厚いコミュニティーサポートが行なわれている様子だ。もし読者自身がトラブルに遭遇した場合は、こういった場所でコンタクトを取ると良いかもしれない。
スペック的にゲームもできるハンドヘルドPCとしては結構なポテンシャルを持っている本機。ゲームも遊べて普段使いもこなせるマルチなマシンが欲しいと思っていた人には丁度いいのではないだろうか?
気になるお値段は実勢価格で16GBメモリー搭載モデルが16万3400円、32GBメモリー搭載モデルが18万1900円(どちらもLTEモジュールなしでの値段)とやや強気。それでも、ゲーム以外にも活用できるコンパクトなノートPCであると考えればお手頃だと言えるだろう。というか割と普通に欲しいですこれ。
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