キャッシュレス決済時代、最後の「ミニ財布」を衝動買い
ASCII.jp / 2023年3月2日 12時0分
先々週、先週と変に筆者がこだわってしまったと変に筆者がこだわってしまった「キャッシュレス決済時代の小さな財布」「薄い財布」に皆さんを付き合わせてしまった。気になりだしたら納得するまで追求したいたちなので、財布に興味のない多くの読者の方にはご迷惑だったかもしれない。
三度目の正直となるか最後の「ミニ財布」
今回、やっと自分にとって「最後の財布」だと思える商品に出会った。洒落たニックネームを冠しているわけでもなく、ネットショップ上では単に「ミニ財布」とだけ書かれた素っ気ない商品だ。筆者はこの四半世紀で8個の財布を使っていたが、何と最初の2個で22年間を過ごしていた。
数年前にQRコードを採用したPayPayの登場で、キャッシュレス決済が注目され急拡大した。それ以来、今回の「最後の財布」に出会うまで、筆者はこの4年間で6個の財布を衝動買いし続けている。その内最初の3個は、半年から1年に1回くらいの頻度だった。
しかし後半の3個は、毎週1個という頻度で衝動買いしている状態だ。本命の財布がなかなか決まらないのは、筆者のブツに対する浮気性だけではなく、同時にキャッシュレス決済時代に最適化した財布選びが、難しいからだと思っている。
最後の財布を含めて、ここ2週間ほどで衝動買いした左から順に「小さい財布」「薄い財布」「ミニ財布」の3つは、普通に見ているとそれほど差がない、同じような小さな財布に見える。ただ先々週、先週と立て続けにこのコラムでご紹介した2つの財布は革質こそ似ているが、構造や狙いそのコンセプトは大きく違う。
最初の「小さい財布(縦65×横95×厚32mm)」はフットプリント(版サイズ)を小さくする目的で、クレカや紙幣、硬貨などの内容物を積み重ねて収納するために高さが増し、一見するとコロンコロンのメタボ系財布に見える。もう一方の「薄い財布(縦98×横95×厚7mm)」は収納物を重ねない工夫を凝らし、できる限り薄くするというアプローチのスキニーな財布だ。
好き嫌いはあるが、いずれもレガシーなサラリーマン長財布イメージを払拭しコンパクトでスタイリッシュだ。いずれも考案者が時間をかけて考えたギミックが盛り込まれていて、楽しい財布だ。しかしオフィスや自宅の普段使いの「カギ」の収納に関しては、優先度が低いのか両者とも最後まで突き詰められていない感じで残念だった。
キーホルダーの拡大延長版付きのシンプルな構造
今回、筆者が「最後の財布」として選んだのは、際立った工夫がある訳でもなく、うんちくや製作者の強い思い入れが、その外観や収納方法に現れている様子もない「ただ昔からありそうな気負わないシンプルな構造」の「ミニ財布(縦75×横105×厚10mm)」だ。いやひょっとすると、キーホルダーの拡大延長版と言った方が良いかもしれない。
小さい財布と薄い財布の両者で、筆者が一番気になった家のカギの扱いは素っ気ないほどシンプルに、ミニ財布の外側のキーリングに取り付けるだけ。キーリングを財布本体に固定しているナイロンテープが切れてしまう心配もあったが、筆者が何度も引っ張ってみた感じではそれほど気にすることも、なさそうだった。この無頓着さが、かえって気に入ってしまった。
制作者側から見れば、あった方が良いという判断から付けられたミニ財布内部の2番目のキーリングだが、筆者的には硬貨の残り数を見たり指先で摘まんで必要な硬貨を取り出す時に、極めて視界や実際の取り出しを邪魔する余分なオプションだった。
どうも外側の第1のキーリングとナイロン紐で繋がっているようだ。ちょうど同じミニ財布が別のネットショップで送料込み880円と破格で売られているのを見つけ、同じミニ財布の色違い(ブラウン)も購入した。これでバックアップができたので、この際、邪魔な内側の2番目のキーリングを上手く切り取ってしまうことを思い付いた。
切り取りそのものは容易だった。切り取った後が柔くなって解けてこないように、木や布用のホワイトボンドでしっかりと固めた。たったこれだけで、筆者のミニ財布は硬貨の残額を見たり必要枚数を取り出すことが極めて容易になった。
カギを探す必要もなく超快適
今のところ筆者の「ミニ財布(改)」には、クレジットカード2枚、紙幣が3〜4枚、硬貨が15〜20枚、楽に収納できている。自宅に帰った時には、玄関ドアを開けるのにカギを財布の内側をごそごそと探す必要もなく超快適だ。
普段、都内を徘徊する時は、プラスチッククレジットカードが2枚と紙幣、硬貨が入ったミニ財布とPayPay、モバイルSuica、Visaのタッチ決済が入ったスマホ、左腕にはSuicaの入ったPixel Watch、そして左手薬指にはVisaのタッチ決済が入ったEVERINGがある。
これなら行きつけの何十年もキャッシュレス決済御用なしの超美味しい中華料理屋さんも、手数料の有料化でPayPayとキッパリと縁切りした下町の昭和な喫茶店も快適だ。そしてVisaのタッチ決済では叶わない1万5000円以上の衝動買いも、一発で決済できるレガシーなプラ製VISAカードで完璧だ。
こだわりのない「ミニ財布」という名前は少し残念だが、内側の2番目のキーリングを取り払った現在は、キャッシュレス決済時代の財布に求める筆者のすべての要件を満足した仕様となった。次の衝動買いは、しばらく使ってみて思い付いた改善・改造を含めて同様のコンセプトで別注謹製品を作ることぐらいだろうか。
財布は内部に収納するモノの種類、その数、使うシチュエーション、個人の嗜好によって大きく変わる。なのでこのミニ財布がすべての人にマッチするとは到底思えない。残念ながらここ2週間ほどで衝動買いした3つの財布の総額はなんと2万5000円超になってしまった。近くフリマにでも出そうと考えている。
奇しくも最後の財布になった本革の「ミニ財布(改)」はその中でも圧倒的に安く、送料込みでたったの880円と言うのは、何かの皮肉なのだろう。結果的には単にコスパの良い財布と言える。負け惜しみではなく、ミニ財布(改)には2万5000円以上の価値を見出しているので、今までの無駄遣いを含めても十二分に満足している。
今回の衝動買い
・アイテム:ミニ財布 ・購入:Yahoo!ショッピング ・価格:1280円(1個目:黒)、880円(2個目:茶)
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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