40〜60万円で狙う「機能性重視」のスタイリッシュ・メカニカル
ASCII.jp / 2023年3月11日 12時0分
2023年の幕開けからすでに3月——この事実を意識して「時間が経つのは早い!」と焦りを覚える人もいるだろう。そんな人は今年こそ「時間」との向き合い方を見つめ直し、このウサギ年をさらなる跳躍、飛躍の年にしてほしい。
新たな1年を彩り豊かにするために、メンテナンスを怠らなければ末長く使える機械式、それも一般に入門クラスとされる10〜30万円より「やや上の40〜60万円」の機種をオススメしたい。 この価格帯には数々の実績を誇る一流ブランドが、多様な機能性にフォーカスした結果、ポテンシャルを備えた実力派が数多く潜んでいるからだ。そこで今回は、毎日ヘビーローテーションで使ってもサマになる注目すべき機種を厳選して紹介する。
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腕時計の「本質」だけを残した潔くも使いやすい3針モデル ノモス グラスヒュッテ/クラブスポーツ ネオマティック ペトロール
ノモス グラスヒュッテは名称が表す通りドイツ・ザクセン州の町、グラスヒュッテに拠点を置く時計ブランドで、ドイツをはじめとする欧州各国や、日本でも時計に少しでも興味がある人なら一般的に「ノモス」だけで通じる。それだけ幅広く支持され、認知されているのだ。その訳は「ドイツ工業製品の魅力ここに極まれり」といった高度な機能性と、簡潔にしてスタイリッシュなデザインの融合、そしてそれを良心的な価格で提供していることである。
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同社は1990年に前身となる旧東ドイツ時代のブランドを再興するかたちで始まり、ドイツ時計の中枢といわれるグラスヒュッテで目覚ましい発展を遂げた。2005年からは一流ブランドであることの指標となる自社製ムーブメントの開発に着手し、2014年にはもっとも難易度の高い、調速機構の要となるエスケープメント(脱進機)の開発にも成功。直後にはその「ノモス・スウィングシステム」を搭載した厚さわずか3.2㎜の自動巻きムーブメントDUW 3001を完成させ、主要なラインアップに順次採用した。
そのひとつが、カジュアルなデザイン性が際立つラウンドモデルのクラブコレクションだ。「クラブ スポーツ」は2018年から展開しているバリエーションで、同社で初となる堅牢なスチール製ブレスレットを採用し、防水性能も水泳などが可能なレベルを担保。スポーツシーンでも役立つ機能性やタフネスが身上となっている。
クラブ スポーツの最新作となるのが、従来のモデルより5㎜小ぶりな37㎜径のケースを採用した「ネオマティック ペトロール」。小型化に際しデイト表示を排したダイヤルはよりシンプルで一瞬の視認性に優れ、37㎜径のケースは薄型ムーブメントによって実現した8.4㎜という薄さと相まって絶妙なフィット感をもたらす。
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いい意味で装飾性には乏しく一見ごく普通の3針モデルのようにも見えるが、その実外装から内部機構に至るまで、あらゆるディテールにドイツ時計の真髄である「使い勝手のよさ」を極限まで追求するクラフツマンシップがあふれており、これは日本でいうところの、いわゆる「用の美」。
実用品の本当の意味での美しさは、その奥に息づく技術や知見がものをいう。
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ノモス グラスヒュッテ/クラブスポーツ ネオマティック ペトロール Ref.746 46万2000円
●主な仕様 駆動方式:自動巻き(連続駆動時間約43時間) ケース径:37mm ケース厚:8.4mm ケース素材:スレンレススチール ブレスレット素材:ステンレススチール 風防素材:サファイアクリスタル(内面無反射コーティング) 防水性能:20気圧防水
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本格ダイバースペックを端正な独自デザインに昇華! ベル&ロス/BR 03-92 ダイバー ホワイト
ダイビングに特化した機能を備え、これを主軸に価値をアピールするダイバーズウオッチはともすれば海岸に行くのは好きだが潜るのはまっぴら、と考える都会派(?)の諸兄に敬遠されるふしがあるのかもしれないけれど、ちょっと待った。優秀なダイバーズウオッチはむしろ水中より陸上で瞠目するようなポテンシャルを発揮することがある。
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その理由は明快だ。常に生命の危険をともなうダイバーズウオッチは機能性や操作性、耐久性などが標準的なモデルより高度に設計されている場合が多く、日常では求められる要素のハードルが下がって相対的にハイスペックとなるからだ。
ベル&ロスは1994年にフランス・パリで創業したウオッチブランドで、現在は製造拠点をスイスのラ・ショー・ド・フォンに置き、極めて先鋭的なモデルを作り続けている。当初から一貫して航空業界との関わりを主要なテーマとして掲げ、コクピット計器の要素を取り入れたスクエア型のBRコレクションは同社の屋台骨。そのBRコレクションの一翼として2017年に誕生したのが、ダイバーズの「BR 03-92 ダイバー」である。同社は創業まもない1997年より海洋の専門家を迎えて本格的なダイバーズウオッチを展開しており、その技術やノウハウを看板コレクションに集約した格好だ。
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潜水用時計の国際規格ISO6425に準拠した300mの防水スペック、深海でも容易に時刻を確認できる視認性の高いダイヤル、経過時間(=酸素の残量)の誤認を防ぐための逆回転防止ベゼルなどを網羅しつつ、このモデルがその他多くのダイバーズと一線を画しているのは、BRのコードである均整のとれたスクエアケースだ。いわば、「海」と「空」の華麗な邂逅。相反する分野のコンセプトが違和感なく融合しているのは、なんといってもバックボーンが美と調和、そして自由を愛する国、フランスだからであろう。
最新作となるホワイトダイヤルはとりわけ過酷な氷海での潜水をイメージしたもので、ホワイトと銘打ってはいるものの実際の文字盤の色みは淡麗にして瀟洒(しょうしゃ)なトーンのオパールセント・シルバー。マット仕上げに独自のメタライズ加工が施されており、その繊細なきらめきははっとするほどクールな印象を与える。街映えだって完璧だ。
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ベル&ロス/BR 03-92 ダイバー ホワイト Ref.BR0392-D-WH-ST/SRB 55万円
●主な仕様 駆動方式:自動巻き(連続駆動時間約40時間) ケース幅:42mm ケース厚:12.05mm ケース素材:スレンレススチール ストラップ素材:ラバー(シンセティックファブリックストラップ付属) 風防素材:サファイアクリスタル(無反射コーティング) 防水性能:300m防水
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航空時計の名門による、スマートなレフティデザイン ジン/356.EURO FLIEGER.Ⅲ
1961年にドイツ・フランクフルトで創業したジンの正式名称は「ジン特殊時計会社」。立ち上げたのはドイツ空軍のパイロットとして活躍したヘルムート・ジンで、つまり彼による、特殊な使途に特化した時計の企業という意味だ。
ただこの「特殊」がいよいよ具体性を増したのは、1994年に工学士のローター・シュミットが経営を引き継いだ後のことで、当初はヘルムート・ジンが実地体験で学んだ様々な知見を盛り込んだ、つまり凡百のブランドには決して真似のできない航空計器や航空時計がメインだった。そこから現在まで一貫して続く根幹、アイデンティティといえば創業者が蒼穹を駆け巡りながら思い描いた「究極の航空時計」なのだ。その系譜を継ぐ新作がこのほど、日本限定で発売された。
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「356.EURO FLIEGER.Ⅲ」は2000年に発表された「356.EURO FLIEGER」、2007年の同「Ⅱ」に続く第3作で、NATO軍が配備するユーロコプターの機体に搭載されたジン社製オンボードクロックの意匠を取り入れたもの。真っ先に目をひく特徴は視認性を高めるビビッドなイエローカラーで、このモデルでは指針やインデックス、そして本作で新規に設けられた3時位置のスモールセコンドにも大胆にフィーチャーされている。このスモールセコンドはユーロコプターの実機と同じく、コクピット内のブラックライトをあてると発光する仕組み。平常時においても鮮やかな色調の素地が表示を目立たせ、的確な「秒」の視認を促す。
このモデルのさらなる特徴は初代から受け継がれる、リューズとプッシュボタンを通常とは反対に配した特殊設計だ。一般的な時計では左利きのために講じたレフティ(左利き)仕様とされることもあるが、このモデルでは利き腕を限定するのではなく、あくまで操作性の向上や誤作動を防ぐために採用されているという。
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ともあれ、このいかにもマニアックなレイアウトが、くだんの配色と相まって(デイリーユースの視座では)スタイリッシュというほかない。航空時計の本家によるこの腕に載せる計器は、信頼性の高い自動巻きCal.SW500を搭載し、防水機能は10気圧(水深100m相当)を誇る。空を飛ばずとも日常を勇猛に前進するオーナーの、心強いイクイップメントとなりそうだ。
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ジン/356.EURO FLIEGER.Ⅲ Ref. 356.EURO FLIEGER.Ⅲ 44万円
●主な仕様 駆動方式:自動巻き(連続駆動時間約46時間) ケース径:38.5mm ケース厚:15.5mm ケース素材:スレンレススチール ストラップ素材:カウレザー 風防素材:強化アクリル 防水性能:10気圧防水 日本限定100本
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