ホグワーツ・レガシーを4K ULTRA画質でも平均90fps弱で快適にプレーするPCを自作する
ASCII.jp / 2023年3月13日 11時0分
ワーナー・ブラザーズ ゲームから「ホグワーツ・レガシー」がリリースされた。今回は、注目を集める同タイトルを快適に楽しむためのゲーミングPCの作例をご紹介しよう。
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PCゲームを楽しみたい方は、まずお目当てのタイトルの推奨スペックを確認するのが鉄則だ。メーカーが検証を行なった範囲でのデータだが、およそどの程度のスペックを必要とするのかが把握できる。ホグワーツ・レガシーの推奨スペックも4つ掲載されている。中でもいわゆるゲームが快適に楽しめる目安の推奨スペックが「推奨/高品質仕様」。1920×1080ドットで高画質設定を60fpsで楽しめるスペックはというと、6コア12スレッドで3GHz台のCPU、16GBメモリ、GPUはGeForce GTX 1080 TiまたはRadeon RX 5700 XTまたはArc A770といった内容だ。
ただし、企画記事である今回は、4つの推奨スペックのうちもっとも高画質な「4K ULTRA仕様」を目指してみよう。3840×2160ドット(4K)でウルトラ画質設定を適用しつつ60fpsを満たすといったものだ。そのスペックはCPUもGPUも要求が高めである。
さて、今回のパーツ構成を紹介していきたい。ここで注意点だが、先のとおり推奨スペックは、現行CPU&GPUではなく若干古いもので構成されている。これらを適宜現行パーツに置き換えていこう。
CPU Intel Core i7-13700K
たとえばCPU。パフォーマンスという点では数世代前の7グレードよりも現行5グレードのほうが高性能といったことが生じえるが、そのまま7グレードの製品を選択した。「Core i7-13700K」だ。コア数でいえば、Core i7-10700Kは8コア16スレッド、Core i7-13700KはPコア8基、Eコア8基で16コア24スレッド対応と大幅に強化されている。マザーボードはCPUに合わせて選ぶことになるが、今回は高機能なIntel Z790ではなく手頃なIntel B760チップセットから選択している。「MAG B760 TOMAHAWK WIFI」だ。
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マザーボード MSI MAG B760 TOMAHAWK WIFI
MAG B760 TOMAHAWK WIFIは、LEDイルミネーション非搭載でヒートシンクや基板をブラックに染めたシブめのデザインが特徴。拡張性にすぐれたATXフォームファクタを採用し、PCI Express 5.0 x16スロットや4本のDDR5メモリスロット、3つのPCI Express 4.0 x4対応M.2スロットなどを備える。なお、さらにコストを抑えたい方にはDDR4メモリをサポートするMAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4もある。基本的なスペックは本製品と同じなので、適宜置き換えていただければよいだろう。
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高性能CPUを扱うためのCPU電源回路は12+1+1フェーズ構成。過剰というほどではないが75A SPS(DrMOS)を用いて余裕を持たせており、Core i7-13700Kのパフォーマンスを引き出すことができる。また、ゲーミングに求められるインターフェースでも、2.5GbEやWi-Fi 6E、USB 3.2 Gen2x2 Type-Cなどを備える。
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メモリ Crucial 32GB Kit DDR5-5200 UDIMM
続いてメモリ。DDR5対応のマザーボードを選んだので、DDR5メモリから選ぶことになる。今回は発売間もないCrucial 32GB Kit (2x16GB) DDR5-5200 UDIMM(CT2K16G52C42U5)を組み合わせた。DDR5メモリはDDR4メモリと比べるとまだ同じ容量で2倍ほど高い。CPUのCore i7-13700KとしてはDDR5-5600までサポートしているが、今回は容量重視、16GB×2枚を維持しつつDDR5-5200にクロックを落としてコストを抑えてみた。2000円ほどの価格差だが、どうしても予算を抑えなければならないような時にはこうした手法も検討してみよう。
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ビデオカード MSI GeForce RTX 4080 16GB GAMING X TRIO
では肝心のビデオカード。推奨スペックではGeForce RTX 3090 TiまたはRadeon RX 7900 XTとされている。今回はGPUにGeForce RTX 4080を選択。GPUも1世代更新されたことでGeForce RTX 3090 Tiの性能をひとつ下の80番台で超えてくる。消費電力も90番台と比べれば多少マイルドになるので、よほどの価格メリットがなければ流通在庫や中古のGeForce RTX 3090 Tiを求める理由はないだろう。さて、今回用意したのは「GeForce RTX 4080 16GB GAMING X TRIO」だ。
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GeForce RTX 4080 16GB GAMING X TRIOはトリプルファンを搭載するブラック/ガンメタリックカラーのカードだ。ひかえめだが爪痕のようなデザインのLEDイルミネーションも搭載している。長さは実測335mm(ブラケットの突起は含まず)で、厚みは実質4スロット専有する。このあたりがまずこれを搭載するケースを選ぶ際に覚えておきたいスペックだ。
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電源 MSI MPG A850G PCIE5
また、GeForce RTX 4080 16GB GAMING X TRIOの仕様を見ると、電源出力は850W以上推奨(最低でも750W以上)を求めており、電源端子は12VHPWR(16ピン)だ。従来の6+2ピンPCI Express補助電源端子からの変換ケーブルも付属するが、そうした旧規格電源を利用する場合はできるだけ大出力で信頼のおける製品を組み合わせよう。まず何よりも電源本体側がPCI Express補助電源ケーブル用端子を3系統備えるものでなければならない。まあ、こうしたややこしいところがあるので、もし新規に組むなら12VHPWR対応のATX 3.0電源を買ってしまったほうがよいかもしれない。MSIなら「MPG A850G PCIE5」やその大出力モデル「MPG A1000G PCIE5」あたりが候補になってくるだろう。
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ケース MSI MPG VELOX 100P AIRFLOW
ケースはMSI「MPG VELOX 100P AIRFLOW」を選択した。前面、天板、右側面前方にメッシュを用いたエアフロー重視のケースで、ファンも標準で4基搭載。気になるビデオカードの対応も長さ380mまでと余裕がある。CPUクーラーも空冷なら高さ175mmまで搭載可能だ。LEDイルミネーションはリアファンがひとつ、そして電源カバー部にLEDストリップを用いている。基本的には本体のLEDはひかえめで、ほかのパーツで照らし出そうというタイプだ。
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CPUクーラー MSI MEG CORELIQUID S360
CPUクーラーは簡易水冷CPUクーラーMSI「MEG CORELIQUID S360」を選んだ。ここをハイエンドとした理由は、快適さを重視したためで、冷えることがまず重要。第13世代CoreはPower Limitを開放することでパフォーマンスもブーストする。また、静かさとの両立を目指すなら36cmクラスがよいだろう。今回のケースMPG VELOX 100P AIRFLOWは、前面または天板部に36cmクラスのラジエータを搭載できる。MEG CORELIQUID S360の水冷ヘッドには6cm径ファンが搭載されており、水冷の弱点であるCPUソケット周辺パーツの冷却が可能だ。LEDイルミネーションは水冷ヘッドの上部に2.4型LCDがあるのみ。また、マザーボードとUSB接続することでLCDの表示情報のカスタマイズや、画像ロゴの表示などができる。
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ストレージ Seagate FireCuda 530 SSD 1TB
後回しにしてきたストレージだが、今回はSeagateの「FireCuda 530 SSD 1TB」を用意した。
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ディスプレイ MSI Optix MPG321UR-QD
なお、4Kでホグワーツ・レガシーを楽しむなら4Kディスプレイも必要だ。MSI「Optix MPG321UR-QD」を用意している。スペック的には4K/144Hz対応。映像入力端子はDisplayPort 1.4a、HDMI 2.1×2およびUSB Type-C(DP Alt mode)を備え、DP接続とHDMI接続どちらでも最大3840×2160ドット、144Hzをサポートしている。もちろんPCだけでなく据え置きゲーム機と接続すれば4K/120Hzで利用できる。
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各種ベンチマークはいずれも高スコア
それでは今回組んだPCの、基本的なパフォーマンススコアを提示しておこう。CPU性能はCINEBENCH R23で計測。Multi Coreのスコアは28273pts、Single Coreのスコアは1985ptsだった。8基のPコアだけでなく8基のEコアが追加されたことでマルチスレッド性能は非常に高く、一方で2000ptsに迫るシングルスレッド側のスコアもゲームにおいてはメインスレッドの処理で効果を発揮する。
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PCMark 10でシステムパフォーマンスを見ると、3つのシナリオはどれも10000ポイント超で、ゲーミングはもちろんさまざまな用途で高パフォーマンスを発揮する高性能PCであることを示している。とくにCPU・GPUに対する要求が高いDigital Content Creationの高スコア(16715)は見ものだ。映像配信、映像編集を考えている方はここをポイントにしていただきたい。
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3DMarkの各スコアは以下を参考にしていただいて、よく比較に用いられるところではTime Spy Extremeが13059、Time Spyが25599、Fire Strikeが49694ポイントだった。これも非常に高いスコアである。
ホグワーツ・レガシーは4K ULTRA設定でも平均90fps弱に!
それでは本題のホグワーツ・レガシーの計測に移ろう。今回は4K ULTRA仕様を目指したわけだが、4KはよいとしてULTRA画質とはなんぞや、という点にまず触れておこう。ホグワーツ・レガシーの画質プリセットは、自動的に適用される「推奨」のほかに「低」「中」「高」「最高」があり、ウルトラというのは用意されていない。ウルトラ画質というからにはここの設定は「最高」を選んだ。また、これと連動しないところでレイトレーシング設定がある。「レイトレーシング反射」「レイトレーシングシャドウ」「レイトレーシングによるアンビエントオクルーション」という項目があり、それぞれデフォルトではオフとなっていたが、ウルトラ画質というからにはオンでいこう。また、その下に「レイトレーシング画質」というプルダウンがあり、ここも「低」「中」「高」「最高」が用意されている。ここも「最高」とするのがウルトラ画質にはふさわしいだろう。
ひとつ悩ましいのがDLSSに関する設定だ。DLSSは実際の解像度よりも少し低解像度でレンダリングを行ない、それを高画質化技術によって実際の解像度までアップスケーリングするものだ。厳密にいえばDLSSオフのほうがわずかに高画質といえるかもしれないが、現状、映像として見るかぎりほとんど区別がつかないまでにDLSSの技術は向上している。今回はDLSSオンとして計測した。
こうした4K ULTRA仕様だが、4K(3840×2160ドット)のほかに、2560×1440ドット、1920×1080ドットといった一般的な解像度でも計測した。計測を行なったのはプレイスタートから「ホグワーツへの道」「ホグワーツへようこそ」をクリアしたあとのシーン。中庭に出られるようになるので、そこを1分間周回することとした。全体的なグラフィックス負荷はそこまで高くないと思われるが、池の水の反射や屋内外の行き来でレイトレーシングが用いられる。それなりにMOBも登場するシーンである。
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ではまず1920×1080ドット。平均は168.5fpsでP1(99パーセンタイル)が108.9fpsだった。このくらい高いフレームレートが出ていれば、今回用いたOptix MPG321UR-QDのようなゲーミングディスプレイとの組み合わせでなめらかな映像が楽しめる。続いて2560×1440ドット。平均は143.3fpsでP1が96fpsという結果で、フルHD時と比べれば低下するがまだまだ余裕といえる。最後に3840×2160ドット。平均は87.5fpsでP1が64.3fpsだった。平均100fpsを割り込んだものの依然、十分なフレームレートが得られている。さらにポイントとなるがP1の数値だ。ホグワーツ・レガシーは60fps得られると快適といえるが、1分間の計測における99%のシーンで60fps超を得ていたことになる。一般的な60Hzのディスプレイでもほとんどカクつくことがないといえる。また、Optix MPG321UR-QDのようにG-SYNCに対応するディスプレイであれば、ごくまれに60fpsを割り込んだようなシーンでもテアリングのないスムーズな映像となり、違和感を覚えることなくプレイできる。
予算はかかるが最高のプレー環境を手に入れたい
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今回は注目最新タイトルのホグワーツ・レガシーを4K ULTRA画質で楽しめるPC作例を組んでみた。ハードウェア要求はかなり高く、今回のパーツ構成もハイエンド・ゲーミングPCだ。
予算規模も40万円強になるだろうか。もちろんその中心はビデオカード。ここに予算を集中投入するためにほかのパーツはある程度コスパのよいものを選んでいる。その選び方、考え方については各パーツで紹介したとおりだ。もちろん、ゲーミングPCであるからには見た目も重視、信頼性も重視する必要があるが、そこはMSIのゲーミングモデル中心の選択なので太鼓判を押したい。今回の作例が、ホグワーツ・レガシーの快適なプレイの参考になれば幸いだ。
MSI MAG B760 TOMAHAWK WIFI詳細ページ 購入する MSIサイト
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