最大32kbpsだけど月250円で使い放題(?)のSIM、mineo「マイそく スーパーライト」に早速加入した
ASCII.jp / 2023年3月14日 12時0分
特徴的なサービスを次々発表しているmineoから新プラン「マイそく スーパーライト」が登場した。「マイそく」は、MVNOでは弱点となる平日昼休みの時間帯の混雑を逆手に取り、昼休みは最大32kbpsでそれ以外の時間帯は使い放題となるプランだが、その新コース「スーパーライト」は常時最大32kbps! ただし、料金は月250円と非常に安価だ。実際に加入して何ができるか考えた。
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原則使い放題だが、通信速度はアナログモデム並の32kbps
月250円の安さと引き換えになるのは前述のとおりに速度だ。今回の「スーパーライト」の登場で、mineo「マイそく」は4つのコースになったが、なんとかスマートフォンで使える感じなのは、上から2つの「プレミアム」(最大3Mbps、月2200円)と「スタンダード」(最大1.5Mbps、月990円)までで、「ライト」(最大300kbps、月650円)は通常利用でもかなり制限が生じ、今回紹介のスーパーライトとなると、一般的な意味での「インターネット」は無理だろう。
また、4つのコースで共通なのが、平日昼12~13時までの時間帯は最大32kbpsとなる点。この最大32kbpsはほぼ何もできないくらいの速度だ。となると、逆にこの速度やサービス内容でどんなことをできるかを考え、有効に使うというほうが建設的だ。
「スーパーライト」の申込は新規のみ 既存ユーザーのプラン変更は現状では不可
ちなみに筆者はすでに「マイそく ライト」の契約をしていた。その回線を「スーパーライト」にプラン変更すればいいと思っていたのだが、実はそれは不可。現時点で「マイそく スーパーライト」を契約するには、新規加入しか方法がない。また、mineoは特定サイトを経由したり、ECサイトでエントリーパッケージを購入すると、契約事務手数料の3300円が無料できたのだが、「スーパーライト」だけはそれは適用できない。3300円がきちんとかかるようになっている。
考えてみれば、ここまで安い月額料金では、新規加入のコストがペイできないのだろう。実は、日本通信SIMの月290円から利用できる「合理的シンプル290プラン」でも同様で、しっかり初期費用の3300円が請求される。
そのこと自体は仕方がない話だが、「マイそく スーパーライト」の料金が月250円ということを考えると、3300円は約1年1ヵ月分の月額料金となる。長期利用を見込んでいるならともかく、8ヵ月以下の短期利用などを考えているなら、契約事務手数料を安くできる方法+「ライト」という選択肢も加えたい。
早速届いて実測 この速度は懐かしさを楽しめる(?)
その「マイそく スーパーライト」だが、今回はドコモネットワークを用いるDプランで申し込んだ。ドコモ/au/ソフトバンクからネットワークを選べるのは、あらためてmineoの長所と言える。
申込みから数日してSIMが届いたので使ってみると、やはり32kbpsは32kbps。普通の意味での実用性は乏しい。ウェブブラウザーを立ち上げるとオンラインにもかかわらず「オフラインです」の表示が出たり、タイムアウトになってしまうことも多い。
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32kbpsという数字だが、よく考えてみればインターネットの黎明期の一般ユーザーの速度だ。Windows 95よりも少し前、インターネットという言葉がメディアに出始めた頃のアナログモデムの速度は9.6kbps、高速な製品で28.8kbps、ISDNでも64kbps。筆者が1994年に初めてインターネットプロバイダーに接続したときのモデムは14.4kbpsのアイワの製品だったので、それよりは倍以上早いということになる。
では当時っぽいウェブサイトはないかということで、阿部寛さんのホームページを表示させてみたが、ページのデザインだけでなく、画像がじわじわと表示されるあたりに非常に懐かしさを感じた。これこそ昔の28.8kbpsのモデムで味わったインターネットの世界だ。
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懐かしさを感じるという楽しさはわかったが、スピードテストを実施すると、あまりに遅くて正確な数字は出ず、下り0.02Mbps、上り0.01Mbpsと表示された。
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ケータイで試してみる 通話はもちろん問題なし VoLTEでの通話には速度制限はないとのこと
今回Dプランで申し込んだので、フォーチャーフォン(ケータイ)はまずドコモの機種で試してみる。残念ながらLTE対応のものがなかったので3G機の「らくらくホン ベーシック3(F-08C)」にSIMを挿入したが、問題なく通話ができた。ちなみに5Gオプションを申し込んでいると3Gでの通信はできなくなるので注意が必要だ。
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続いては、auの製品となるがLTE対応でAndroidベースのフィーチャーフォン「GRATINA KYF39」で試した。SIMロック解除していれば、ドコモ回線でも利用でき、APN設定をしたところデータ通信も可能で、ケータイ向けのウェブサイトの閲覧も可能だった。しかし、さすがに32kbpsでは遅く、この小さな画面でもサクサクとは表示はされない。
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次に、ウェブサイトが難しいならメールも試した。KYF39はキャリアメールの機能とは別に「PCメール」としてPOP3やIMAPのメーラー機能も内蔵している。これを設定したところ、サーバーのやりとりに少し時間がかかるものの、メールの送受信も可能だった。
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mineoでは「マイそく スーパーライト」の登場に際して、「ガラホ端末」の動作確認リストも公開。対応端末であれば、VoLTEでの通話も可能で、音声通話用の通信は速度対象外とのことなので、問題なく通話が可能だ。ただし、mineoの通話(通話料)はちょっと複雑なのでやや注意が必要だ。
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まず、mineoの基本的な通話料は30秒あたり22円。しかし、「mineoでんわ」(基本料無料)を申し込むことで、半額以下の30秒あたり10円にすることができる。この「mineoでんわ」の適用には専用アプリが必要で、フィーチャーフォン向けにはアプリがないので、mineoでんわは原則利用できないことになる
おトクに通話をするには、「マイそく スーパーライト」に合わせて発表された「10分通話パック」(月額110円)、もしくは1回10分まで定額の「10分かけ放題」(月額550円)とかけ放題の「時間無制限かけ放題」(月額1210円)という3つのオプションがあり、いずれもアプリは不要。
「10分通話パック」は月110円で440円分(30秒あたり22円なので最大10分)の通話が使えるとするが、定額分を超えると30秒あたり22円となる(なお、「10分かけ放題」は1回10分を超えた分は30秒11円)。
こちらからよく電話をかける人であれば、「10分かけ放題」か「時間無制限かけ放題」を追加すればよく、月1460円でかけ放題の回線が持てるのはメリットがあるが、これらの通話定額を申し込んでおらず、突発的に長時間の電話をかけてしまうと割高になる。1時間の場合は2640円。スマートフォンであれば「mineoでんわ」さえ申し込んでおけば1200円で済むが、フィーチャーフォンのユーザーが使う場合は、この点は注意が必要だろう。
IoT機器の遠隔操作に有効
実は筆者が最も有効だと思っている使い方がIoT機器の遠隔制御用だ。今回はLTE対応のモバイルルータ「Aterm MR04LN」とスマートプラグ「Meross」で試した。
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その結果は特段遅延などもなくスイッチのオン/オフができた。ただし、初期登録時は32kbpsなので少し時間がかかる。登録だけはもう少し早い回線に接続したほうがいいかもしれない。
こうした使い方でも「マイそく スーパーライト」は音声通話回線のみでの提供となる。もし、遠隔地にモバイルルーターなどに入れて置いておく場合、何らかの対策をしておかないとSIMの盗難などがあった際は通話で使われてしまう恐れもある。データ専用で申し込めないのはちょっと惜しい気もする。
実際、法人向けにIoT機器の制御用として低速で安価なLTE通信のサービスはいくつかある。IoT向け回線にくらべると個人でも申込みしやすいため、活用しやすいことも多いだろう。
用途は限られるが、活用方法はいろいろある
試す前からわかってはいたことだが、間違っても「マイそく スーパーライト」をスマートフォンで普通に使おうなどと思ってはいけない。スマートフォンで使うなら、通話がメイン、かろうじて考えられるデータ通信の使い方はメールの着信通知が来たときに、公衆Wi-Fiの電波が捉えられるところまで移動してメールの読み書きをするといったところだろう。
それよりも、フィーチャーフォンで音声通話を活用するか、デュアルSIMのスマートフォンでの音声専用回線にするか、IoT機器の制御などに向いていると思われる。このほかにも低速でも安価なSIMの利用法はあるはずで、これまで通信手段のなかったところに、低速でも通信手段を用意できるという意義は大きいはずだ。
なお、このようなサービスではKDDIのpovo2.0ならもう少し早い速度、さらに安価に利用できそうだが、ドコモ/ソフトバンクネットワークが必要な場面に「マイそく スーパーライト」が生きてくる。この安価なサービスの活用法をいろいろ考えてみるのもおもしろいかもしれない。
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