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要介護化を防ぐアプリ「うごくま」搭載のかんたんスマホ3はウォーキングを習慣化する

ASCII.jp / 2023年3月23日 10時0分

 Y!mobileから3月9日に「かんたんスマホ3」が発売された。主に高齢者層をターゲットとする「かんたんスマホ」シリーズは、2018年8月に初号機が発売された。その後、2020年8月に「かんたんスマホ2」、2022年3月に「かんたんスマホ2+」がリリースされ、いずれも好調な売れ行きを記録している。

 最新の「かんたんスマホ3」は従来モデルで評価された使いやすさを継承しつつ、新たにフレイル対策サポートアプリ「うごくま」を搭載したことを特徴としている。この「うごくま」の開発に携わった方々にお話を聞くことができた。

左から開発リーダーの山田聖人さん、アプリの開発マネージメントを担当された太田啓介さん、キャラクターをデザインされた根本慧さん、アプリのUIなどを担当された上野直哉さん、セリフなどを担当された治田侑大さん
かんたんスマホ3の最大の特徴はフレイル対策サポートアプリ「うごくま」を搭載していること
カラバリはシルバー、グリーン、マゼンタの3色。価格は3万4920円(970円×36回、1455円×24回)

「うごくま」はウォーキングを 楽しく習慣化できるアプリ

 フレイルとは、加齢によって心身の働きが弱くなった状態のことを指す。健康と要介護の中間で、フレイルにならないためにはウォーキングが効果的であることが実証されている。「うごくま」は、かんたんスマホのユーザーであるシニア層がウォーキングを習慣にできるようにするために開発された。

健康寿命を伸ばすことが社会課題となっている
フレイルは、要介護になる手前の段階。コロナ禍によって外出の機会は減り、フレイルの兆候が現れる人も少なくないようだ

 グーグルやキャリアの標準アプリではなく、スマホに独自に搭載されるアプリはメーカー主導で作られることが多い。しかし、「うごくま」は、ソフトバンク主導で作られている。端末メーカーの京セラは他キャリアのシニア向けスマホも手がけているが、フレイル対策サポートアプリを搭載しているのは、このかんたんスマホ3だけだ。

 「うごくま」は、わざわざアプリを起動せずとも、ただスマホを持ち歩くだけで、歩数、消費カロリー、距離が記録される。技術的には、スマートウォッチと連携させたり、さらに多くの情報を表示させたりもできるが、ユーザーの使いやすさを重視して「あえてこの3つに絞った」と言う。アプリを起動すると、歩数などが確認でき、キャラクターが話すメッセージも表示される。ウォーキングを続ける励みとなるコメントのほか、ユーザーに向けた質問やクイズなども表示されて、コミュニケーションを楽しめる趣向だ。

アプリを起動すると、キャラクターが表示され、話しかけてくれる
質問には選択肢から選ぶだけで回答できる
クイズも楽しめて、フレイル対策のアドバイスも表示される

 10問の質問に答えるだけで、フレイルのリスクをセルフチェックできる「生活チェック」機能も備えている。

このような質問に回答していくだけ
診断結果はS、A、B、C、Dの5段階で表示される
日常的に出歩く習慣がない場合、AまたはBになる人が多いらしい。人数の分布が表示され、生活改善に向けたモチベーションも上がる

 「うごくま」アプリの監修は、フレイルの専門家である筑波大学の山田実教授が担当されている。うごくまのセリフは、治田さんが素案を作成した上で、山田教授にチェックしてもらっているとのこと。

セリフを担当している治田侑大さん。「ユーザーの私生活に寄り添うパートナーとして、雑談のようなさりげない語りかけになるように心がけています」

うごくまのキャラクターはクマではない!?

 「うごくま」のキャラクターをデザインしたのは根本慧さん。「うごくま」という名前だが、「クマとは断定していない」とのこと。「ユーザーの方にはクマと思っていただいても、犬と思っていただいても構いません。女性であってもいいし、男性であってもいい」(根本さん)。うごくまのコメントは文字だけで表示され、音声には対応していない。「ユーザーにとって理想的な相棒であってほしいので、キャラの個性をこちらが決めることでガッカリさせたくないんです」(根本さん)という意図があるようだ。

キャラクターをデザインした根本 慧さん。アプリのデザインディレクションも担当
根本さんがデザインして、ボツになったキャラクター。ユーザー調査などを経て、現行のキャラクターに決まった
最初はこのような落書きから打ち合わせを重ねたとのこと

 「うごくま」アプリは、操作のしやすさにも徹底的にこだわっている。たとえば、設問に対する選択肢など、タッチする部分は丸く囲んでボタン状になっている。シニア層にとって、わかりやすいデザインになっているわけだ。

シニア層や初めてスマホを使う人にわかりやすいデザインになっている

自治体との実証実験で効果を実感

 かんたんスマホ3への実装に先がけて、ソフトバンクは自治体と連携して「うごくま」アプリの実証実験も行った。2022年には鳥取県江府市と埼玉県ふじみ野市で行なわれ、今年に入ってから、東京都東村山市での実証実験も開始されている。

「うごくま」アプリの実証実験は昨年から行なわれている

 埼玉県ふじみ野市の実証実験では、参加者の71%がウォーキングの習慣化について、前向きな気持ちになったと回答したとのこと。参加者の声もアプリ作りに反映しているという。

目標を達成すると獲得できるどんぐりが好評で、コメントのバリエーションを増やすなど、実証実験に参加した人の声も活かされている

 実証実験では、参加者は自分のスマホに「うごくま」アプリをインストールしている。つまり「うごくま」アプリは、かんたんスマホだけでなく、ほかのAndroidスマホやiPhoneでも使える仕様になっているそうだ。ただし、一般ユーザーがアプリストアから入手することはできず、実証実験に参加した場合に限り、招待コードを用いてインストールできる仕組みになっている。

 アプリのUIを担当した上野さんは、「うごくま」のプロジェクトがスタートした2018年10月から開発に携わっている。ひと口にシニアと言っても、ユーザーのライフスタイルや健康状態などはさまざまだ。シンプルな操作性を実現する上で、最も重視したのは「ペルソナ」だと言う。ペルソナとは仮説のユーザー像といったものだが、「さまざまな仮説を立ててアプリを設計し、高齢者の方に使っていただいたりする過程で、まさにペルソナに合致する方に出会えました。以降、より具体的なイメージを持って開発を進めることができました」(上野さん)と言う。

アプリのUIを担当した上野直哉さん。「シニアの中には、すでにウォーキングを習慣化されていて、スマートウォッチなどを使っていらっしゃる方もいる。うごくまは、そういう方々ではなく、ウォーキングが良いとわかっていても、なかなか習慣化できない人に向けて開発しました」

 「うごくま」は季節によって背景が変わったり、セリフが追加されたり、これからも進化を続けるとのこと。アプリ開発マネージメントを担当し、鳥取県江府市での実証事件も担当した太田啓介さんは「かんたんスマホ3を使っていただいたユーザーの声も聞いて、これからもバージョンアップさせて、よりよいものにしていきたい」と言う。

アプリ開発マネージメントを担当する太田啓介さん。「あくまでもユーザーにとって使いやすいかどうかを重視し、本当に必要な機能を使いやすく搭載するように努めました」と言う

シニアが安心して使える便利機能が充実

 かんたんスマホ3は「うごくま」アプリのほかにも、シニアにとって便利な機能が搭載されている。まず、「迷惑電話対策」機能だ。迷惑電話と思われる電話がかかってきた場合に警告が表示され、電話に応答してしまった場合にも通話が録音されるので、あとで対策を講じられる仕組みだ。

迷惑電話の疑いがある電話がかかってきた場合に、すぐに気づくことができる

 従来モデルから人気の「押すだけサポート」も進化。着信音が鳴らない、インターネットにつながらないといったトラブルが発生した場合に、画面をタッチするだけで解決に導かれるアプリだが、かんたんスマホ3では、タッチの感度や音声の聴こえ方も調整できるようになった。自分で解決できない場合は、電話サポート(無料)に聞くこともできる。

従来からの人気機能「押すだけサポート」は、自分で解決できる症例が増えた

 初めてNFC、FeliCa(おサイフケータイ)に対応したことにも要注目。これにより、マイナンバーカードの読み取りも可能になったわけだ。

開発のリーダー役である、ソフトバンク プロダクト本部 UX企画4課 課長の山田聖人さん。「かんたんスマホ3は、過去のモデルではできなかったことも実現できた完成度の高い自信作」とアピールする

 ディスプレーは、従来モデルよりも大きい6.1型(2400×1080ドット)になり、5G(Sub 6)にも対応。4500mAhの大容量バッテリーを搭載しているので、電池持ちも安心。防水・防塵はもちろん、抗菌・抗ウイルスに対応し、汚れたら丸洗いすることもできる。スマホでは珍しく赤外線通信機能を搭載していることも特徴だ。これまでガラケーを使っていた人は、ガラケーの電話帳データをスムーズにスマホに移すことができる。

見やすい大画面ディスプレーを搭載していることも魅力。「PayPay」や「LINE」もすぐに使い始められる
ディスプレーの下にある3つの物理ボタンは従来モデルから好評で、最新モデルにも継承されている
背面カメラは約1600万画素

 Y!mobileは「60歳以上 通話ずーっと割引キャンペーン」(毎月1100円割引)で通話料が安くなることも利点。高齢の親にそろそろスマホを持たせたい、健康で長生きしてもらいたいと思っている人には、このかんたんスマホ3は格好のプレゼントとなりそうだ。

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